一般通過レジェンダリアンの〈超級〉〜指名手配を添えて〜   作:苦悩

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始めます。
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‪๛━─>ФωФ=)<目からビーム!!!

さて……新しい魔法系スキル、か。

さっき《魔眼》の改造案が思い浮かんだから、それにしよう。基本スキルとその上位スキル、みたいな感じで。

 

で、折角ならこの石の塔──に擬態したゴーレム(・・・・)を壊せるくらいの威力にしたいよね。

 

……色々と偽装を重ねてるし、一見すると分からない。

動かないし、《看破》や《敵意感知》とかの感知系スキルにも反応しない。

随分と偽装を重ねているから、普通の手段では見つけられないと思う。

でも、MPの流れを見れば……すごい分かりやすく、生物的に流れてるのが分かる。

 

多分、これも試練の1種なんじゃないかなって勝手に思った。

明らかに、『壊してね』って感じで置かれてるから。

……まあ、これがただの石の塔だったとしても、自分は間違いなく壊してたけど。

その場合、純魔力属性の欠点。ただの物に当たるとガラス以下の脆さって弱点もどうにかしないといけなかった。

いずれはやろうとは思うけど、さすがにどうすればそんなことできるのか思いつかないから一旦保留。

 

その点、無機物ではあるけど非人間範疇生物(モンスター)で良かった。

保有MPも、1万ちょい上あたり……ダメージ、通るね。

 

幸いにして、このモンスターに触れない限り、考える時間はあるんだ。

リアルの兼ね合いもあるし、1日2日籠るってのは出来ない。

 

だから、あと数時間程度で、このモンスターを、出来れば一撃で壊せる魔法を開発する必要がある。

 

時間制限、新スキル、対象のHP。

制限として縛り付けてくる3本の鎖。

 

ふっつーに邪魔だけど……いいね。

それでこそ推定エンドコンテンツ。

 

 

───燃えてきたじゃん

 

取り敢えずMP確保の為に《生命増躰》でアバター増やしてっと。

さて、考えますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ペル・ナルシーの予想は正しい。

確かに、この石の塔は、試練の番人であり、妨害者である。

 

数多の隠蔽スキルを重ね、決して動かず、試練の開始までは意識すら持たない。

それは例え超級職……隠密系統【絶影(デス・シャドウ)】の隠蔽察知スキルや、研究者系統【大教授(ギガ・プロフェッサー)】の奥義《叡智の解析眼》の効果も受け付けない。

 

試練の開始が『石の塔に触れる』ことであるのは、これらの超級職が【術神(ジ・オド)】に就くことを認めないから。

接触と同時にジョブ履歴を参照し、真に試練を受ける資格があるのかを確認する。

その際にもし、万が一、超級職である……若しくはあったのならば、排除する為。

 

真の資格保持者であれば、問題ない。

挑戦者の思考を乱すため、最適化されたステータスを得て攻撃を開始する。

 

しかし、超級職を経験し、なおも強欲にこのジョブに手を伸ばすのであれば……容赦はしない。

その超級職の東西版それぞれレベル3000(・・・・・・・・・・・・・・)のステータスと、即死効果付き(・・・・・・)の攻撃を通常攻撃として振るってくる。

 

それは、先代管理者の意図した防衛措置。

極論【術神(ジ・オド)】は、超級職に達した者ならば誰でも取れてしまうからだ。

 

MP操作は才能ある者なら可能であり、そういった者ならば既に超級職に至っている。

オリジナルの魔法は、魔法系超級職が簡単に作ってしまう。

下級職制限など、【魔術師】を含む3職を残して全てリセットしてしまえばいい。

別ルート(・・・・)でもそれは同様だ。

 

こんなに簡単に(・・・)取れてしまう超級職など、他にない。

超級職になりさえすれば、後は研鑽を重ねるだけで就けてしまうのだから。

 

勿論、先代管理者はその可能性が高いからこそ、〈アーキタイプ・システム〉による検閲を設定していた。

全てのジョブを管理しているソレならば、如何にジョブをリセットしようと履歴から参照し、対象外を弾くことが出来る。

 

ならば何故、石の塔を設置し、態々ジョブ解析の機能までつける必要があったのか。

〈アーキタイプ・システム〉による検閲がありながらそうした理由。

 

それは、仕様外(・・・)の手段で〈アーキタイプ・システム〉を騙す(・・)者の出現を、予期していたから。

 

確かに、〈アーキタイプ・システム〉は、全てのジョブを管理し、個々人の履歴も全て保有している。

しかし、それはこの世界の仕様内に限っての話。

もし、仕様外の手段によってジョブを変え、不法(・・)にも超級職に至ったものが現れたら。

その時、〈アーキタイプ・システム〉は正常ではなく、その者に【術神(ジ・オド)】を渡してしまう可能性が高い。

 

ならば〈アーキタイプ・システム〉ではなく……試練自体(・・)に最後の砦を築いた方がいい。

それならば、超級職に至る際に必須の試練ならば、確実に防げる。

 

そういう思惑があり、この石の塔は設置された。

 

余人にはただの石の塔と映るこの番人を。

そしてその実、試練の挑戦者によって変化するゴーレムに似たナニカを。

 

そしてコレは、第2の選別と確認でもある。

 

リソース運用特化職(・・・・・・・・・)術神(ジ・オド)】に必須の、リソースを観る目(・・・・・・・・)を保有しているか否か。

それを見定めるために。

 

もし、3種(・・)の内どれも感じとれていないようならば……その時点で、試練は終了する。

3種のリソース、つまりは、MP、SP、そして経験値。

 

術神(ジ・オド)】とは、これらを自在に操る(・・)ジョブであるが故に。

生来の機能を持って、天然モノのセンススキル《魔力眼》《魂力眼》《昇力眼》の何れかを取得していなければ、このジョブに相応しくない。

そしてその何れかを持ち、個別に対応したルートを辿ることで、このジョブへの切符は手渡される。

 

今回は(・・・)魔力ルートであったため、石の塔は魔力を巡らせている。

先代までの【術神(ジ・オド)】は全て経験値ルート……《昇力眼》の天然モノで条件達成していたので、石の塔は何処かに向かって経験値の流れを形成していた。

(先代まで全て天地出身者であるため、このジョブは天地限定であると誤認されている)

 

この試練の目的は勿論のこと【術神】であるが、同時に挑戦者の成長も重要な物差しとして設定されている。

石の塔は試練開始後、仮初の命を得て挑戦者事に最適化されたステータスを得る。

その後、挑戦者に襲いかかるのだが……。

 

この試練の成功率は12%。

殆どは、ステータスが比肩する石の塔の攻撃に耐えきれず、避け切れずに死亡している。

如何に【術神】の資格があろうと、瞬時の魔法構築……先代まではスキル構築が出来なかった。

 

さとありなん、挑戦者は、どう足掻いても下級職3つ分をカンストする程度しか経験を積むことが出来ない。

自分と同程度や、やや格上程度の戦闘経験はあるだろう。

が、その状況でスキルの構築をした者は、少ない。

 

幾ら事前にスキルの構成は出来ていても、構築は石の塔に触れるまでは出来ない。

だからこその試練、だからこその制限時間。

 

これが出来ないものに、【術神(ジ・オド)】の資格など、サラサラないのだ。

 

では、今回の挑戦者は、と言えば……

 

 

 

 

 

 

 

「……で……目が……だから……うん」

 

出来た。

《魔眼》の改造……ただかっこよく目を光らせるだけのスキルを、こんな感じ(・・・・・)にした。

これなら目からビームした時に見栄えが良くなるし、何より……あの石の塔を壊せるはず。

 

どうやらこの空間、普通に今まで使えていたスキルは使えるんだけど、新しく構築しようとすると妨害がかかる感じがする。

こう、頭に思い浮かべて、いざ、ってMPを手繰ろうとしたら、まるで鉄の塊でコーティングされたみたいに動かなくなった。

 

だから、ここからは一発本番。

文句なしの実践。

 

なに、大丈夫。

フィガロと戦った時に、戦闘時のスキル構築は経験済み。

あの時は事前に設計してたのを土壇場で改造して、さらに新造したんだから、今の方が余裕だ。

 

頭の中にちゃんとイメージはある。

あとはそれを実行するために……ヴェロリン、って感じで動かして、ヒュピュビン、って感じで形にした後、ヒュゴー、って感じで完成させるだけ。

 

「「「「さあ、やるぞ!」」」」

 

気合を入れて、石の塔に触れる。

直ぐに後ろに飛び退いて……構築開始。

 

案の定動き出した石の塔。

姿はそのままに、僅かに浮遊している。

ソイツの両端を挟んだ「無性」、「両性」体の視界をチラ見しながら、「女性」体の目を閉じ、手を伸ばす。

 

いつかの再現だ。あの時との差異は、《生命増躰》アバターが全て残っていて、力も増しているってこと。

例え上級職カンスト相当のステータスをしていようと3分は持たせるし……なんなら《ラスト・コマンド》の発動も視野に入れれば4分は硬い。

 

……それだけあれば十分。MPの大半を「女性」体が使用する分で持っていかれるけど、逆に言えばSPは無事。

なら、ジョブスキルで殴って蹴って切っとけば、その間に目的のスキルは出来上がる。

 

「(目にMPを集中……スキル、《魔法射程延長》模倣……スキル、《詠唱》模倣……スキル、《魔法威力拡大》模倣……)」

 

1分経過。

最初は何故か複数人いる事に戸惑っていた石の塔だけど、やるべきことを遂行するために真っ直ぐ「女性」体の方に向かっていった。

それを妨害するために「無性」体と「両性」体で攻撃を浴びせたんだけど、あまり効いてない。

流石に素材が石なだけあって、かなり頑丈にできてる。

ただ、ノックバックはちゃんとしたから、遅滞戦術は通る。

 

なら、これからあと2分は害悪プレイ重視で行こう。

 

「(MPをもうひとつ…………スキル、《魔力供給》、要素分解……スキル、《魔力圧縮》、接続……スキル、《全天星骸(スターデブリ)》、変則……いや、要素分解……結合)」

 

2分経過。

流石にきつい。

何がキツイって、こいつ、MPは自分より低いくせして、純魔力属性が効かない。

まだ作って間もないからどうしてかは分かんない。

だけど、シンプルだからこそ防がれにくい属性だって思ったのに……。

 

んー、ちょっとHP的にヤバい「無性」体で後方待機して、観察してみよっかな……。

 

「(照準……眼球の焦点……模倣スキル群、結合スキル群、融合……)」

 

3分経過。

わかった。あいつ、使ってるのMPだけじゃない(・・・・・・)

MPに全く動きがない上、体表面のほんの少し手前で掻き消されてる。

いや、掻き消されてる、っていうか……なんというか……言語化できないけど、不思議な感覚。

例えるなら……そう。

 

溶けた金属に固体金属を入れたら、入れた端から溶けて入ってく感じ……。あ、つまり。

 

別の要素に変換されてる?

じゃあ、それをどうこうしないとコレ、通らない感じ?

 

……いや、それは無い。

これは試練(・・)。クリアという答えがあって、目の前のコレは乗り越える壁。

なら、やってやれない事はない。

 

「(続けて(・・・)構築……方向性、制御、収束……スキル、《魔力圧縮》、結合……《魔力自壊》、装填)」

 

 

予想、最大MP以下の攻撃を、何かに変換してる。

もし違ってたら……潔く、今回は(・・・)諦めよう。

傾向と対策を立てて……次はクリアできるように。

 

……まあ、失敗するつもりなんて、サラサラないけど。

 

「(……構築完了!圧縮MP、新規スキルに全て回す!)」

 

必死に石の塔を堰き止めながら、構築し続けた魔法スキル。

「女性」体の目を開ければ……他のアバターの目に見える形になっていることがわかった。

 

「……《陣魔眼(サークル)》、」

 

「女性」体(自分)からじゃ分からないけど、外から見る分にはよく見える。

 

目の中で円を描きながら回るMPの粒が、二層、三層と瞳孔内に広がる。

一層の回転方向と二層の回転方向は真逆、三層は同じ、という風に廻り廻り……限界速度のマッハ6(AGI60000)に至る。

でも、これだけじゃ意味が無い(・・・・・)

これ自体には、一切攻撃力がないんだから。

 

そう、これは、攻撃スキルじゃない。

次の攻撃のための、補助スキル(・・・・・)

 

《詠唱》から、言葉に込めたMPが魔法を強化する性質を。

《魔法射程延長》から、込めたMP分だけ射程距離が遠くなる性質を。

《魔法威力拡大》から、込めたMP分だけ威力が増大する性質を。

 

《魔力供給》から、対象にMPを明け渡す特性を。

《魔力圧縮》から、MPを圧縮する特性を。

全天星骸(スターデブリ)》から、MPを大量展開する性質を。

 

全て繋げて、組み合わせ、結合させる。

次に《陣魔眼》の中心を通った魔法を、強化する方向性で。

《魔力積圧》の影響で、圧縮MPが威力上昇に寄与する自分が、それを活かすために生み出した補助スキル。

 

そして、もうひとつ構築した魔法。

《魔力圧縮》により圧縮され、わざと薄く(・・)した場所から、方向性そのものを制御・収束したMPを放つ魔法。

それこそが、《陣魔眼》によって強化される魔法。

 

 

その名を……。

 

 

 

「《星の視線(ガンマ)》」

 

宇宙の神秘の名を冠した一撃……いや、二撃(・・)

完成したばかりなのと、自分のMP不足で名前負けしてしまった魔法は、それでも。無事に石の塔の原理不明の防御を抜き……

 

いつかの塗り直しの様に、大爆発を引き起こした。




原理不明の防御は、【術神】のスキルを流用し、改造したMP変換機能です。
また、ペル君は明らかに不正手段で【術神】を入手したように見えますが、ちゃんと合法です。
《生命増躰》アバターは増えてますが、システム的にはペル君1人計算になります。
そして別アバターが全く違うジョブを取り、ジョブ総数がいくら増えようと、ミクロ的視点で見ればペル君1人で三職、という判定が下ります。マクロ的に見れば、ジャバウォックの話であったように大量のペル君がいるように見えますが、あくまでペル君は1人です。
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