一般通過レジェンダリアンの〈超級〉〜指名手配を添えて〜   作:苦悩

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まあ、あれですよ、スランプってやつです。
いやね?アイデア自体は頭の中にちゃんとあるんですよ。でも、それを文字に出そうとすると全然形にならないって言うか、冗長的になるって言うか……変な感じになるんですよ。

なので、少し読みづらいがですが、まあ、ゆっくり更新します。
という訳で初投稿になります。


念動力

「用向きはあいつから大体聞いた。そのうえで尋ねるが……正気か?」

 

「失礼な、逆にどう見れば自分が狂ってるように感じられるのかな?」

 

呆れたように口から出た言葉に言いたいことは山ほどある。が、ここは我慢、我慢だ。

何せ言っていることが正しければ、こいつはあの(・・)マスター。

俺たちティアンの常識が通用しない奴にどれだけ文句を重ねたって、無駄になるだけだろう。今のこの時期に、この村に来やがったことがその証明みたいなもんだしな。

 

「あのなぁ、お前、もう少し自分が何したのか考えてみろよ」

 

超級職で無いにも関わらず、超級職レベルの殲滅力を誇る魔法を村の前で行使。

ジョブチェンジしたいからって、売れば財産になる【宝櫃】を大量に、それも純竜級モンスターのドロップを含めて格安で売り払おうとする。

更に、アレを赤く染めた(・・・)

 

……いや、その前にそもそもとして、だ。

 

「てか、いい加減顔を見せろ。お前が女だてらに旅人で、要らぬトラブルを回避するために仮面してるってのは分かるがな」

 

顔を隠されると、表情が分からなくて困る。何より、怪しい。

 

「あー……諸事情により、無理。」

 

「あん?……犯罪者か?」

 

咄嗟に《念動力(サイコキネシス)》を発動、取り囲み、握りつぶせるように調整。

 

なるほど、こいつが犯罪者なら、一応の筋は通る。禁足地指定していたこの村に入り込んだのは、まあ、事故で済むかもしれないが、顔をそうまでして見られたくないのは変だ。

生憎ここ最近増えたらしいマスターの、その中でも犯罪者の顔なんて、閉鎖していたこの村まで届いてない。

 

だが、もし、顔を知られて困るようなやつなら、なるほど、仮面を付けたままにするのも分かる。

 

「いいや、違うよ(・・・)。この仮面は、そうだね……うん、自分のエンブリオの発動条件(・・・・)だから、外せないんだ」

 

……嘘は、吐いてない(・・・・・)な。《真偽判定》に反応がない。

だが……なんだ?この違和感。

 

「……聞くが……お前のそのエンブリオ。嘘を誤魔化すスキルが付いていたりとかはしないよな?」

 

いつもならぞわぞわした感触がある《真偽判定》が、今回に限ってはどこか滑らかだ。

正直に言って、気持ち悪い。

 

それに、発動条件が仮面……顔を隠すようなもんなんだ。この仮面を通したら、言葉の真偽それ自体を隠せる、なんて効果があるかもしれない。

一応《鑑定》してみると、《普通の仮面》ってのが分かるが、少し、信用できないな。

 

ジリジリと《念動力(サイコキネシス)》を縮めて、更に《念話(テレパシー)》で念の為村中に注意喚起を流しておく。

無駄になればいいが……。

 

「……んー。いや?流石にそんなスキルは付いてないさ。これは正真正銘、ただの店売り仮面。自分のエンブリオの条件ってだけで、特別なものじゃないよ」

 

「……で?そこまで言うからにはお前のエンブリオ、見せてくれるんだろうな?」

 

寧ろここまで喋っておいて、喋れませんなんて馬鹿なこと

 

「無理だね」

 

「は?」

 

いや、いや。

いやいやいやいや。

なんだこいつ、マジで巫山戯てんのか?

 

「……少なくとも此方には、無理矢理にでも吐かせる用意がある」

 

「へえ……例えば?」

 

声音から分かる、その余裕な態度に無性にイラつく。

だから、《念動力(サイコキネシス)》を首元に集めて吊るし上げた。感触からギリギリ窒息しないくらいまで締め上げている分、逆にキツイだろう。

 

「吐かなければ、骨を折り、捻じる(・・・)。なに、安心しろ。俺はこんな成りでも次期村長だからな。専属で回復魔法を使える人材が付いてくれているんだよ」

 

「───、───」

 

何かを言っているようだが、ダメだ。コイツはまだ折れてない。

苦しげに息を吐き出してはいるが、魔力が動いている。それだけでまだ反抗的な態度なのは明らかだ。

 

「どうした?別に首だけに限定する必要も無いんだぞ?腕、足、腰に肘膝手首足首指の関節。あぁ、腹にも圧力を掛けておくか」

 

コイツも生物であるし、動きがマスターと言えども人間範疇生物──特に人──の範囲内でしかないのは確認済みだ。

で、ある以上。駆動部位の関節は特に壊しやすい。

限界ギリギリまで折り曲げるだけでかなりの激痛が発生するのは当然だし、内蔵が圧迫される苦しみは息が詰まる現状、相当凶悪だろう。

あとはある程度ぐったりしたら離す。まだ反抗的なようなら何度も何度も、場合によっては本当に曲げて捻って潰せばいい。

 

コイツは客人でもあるが、禁足地に立ち入った不届き者でもある。ならば、多少の怪我程度、負っても仕方ないだろう。

まあ、殺しはしない。寧ろ言うことを聞く状態にした方が都合がいい。何せコイツ、アレ(・・)を赤くしたんだからな。コイツさえいれば───。

 

「── 。───……成程」

 

「─なに!?」

 

呟きが聞こえたかと思えば、思わず目を疑った。

魔力が、コイツの魔力が気づかないうちに風属性に塗り代わり、喉に繋がっていた。

くそが、これだと態々首絞めた意味が半減するだろ!

てかこちとら仮にも魔力に優れた赤珠種族(カーバンクル)だぞ?!俺に気づかれないように魔力を操作するったって、限度があるだろうが!

 

いや、それよりもだ、そんな事はどうでもいい(・・・・・・)

見るべきは俺が張り巡らした《念動力》、それに抗ってやがる(・・・・・・)《念動力》だ!

 

俺の《念動力》じゃないのは俺が一番よくわかっている。こんな大量に発生させた覚えは無いからな。

……それじゃあなんたってコイツが《念動力(・・・)》を使えてやがるんだよ!?

コイツが【念動力師(ピーカー)】だってんなら分かるが、それは完全に違う!正真正銘、ただの【魔術師】だ!《看破》すればそれは分か───!

 

「まさか、コイツ!」

 

《看破》まで欺きやがったか!?

 

「いや、成程。イメージ的には魔力の手。ただし、人の手じゃない。霞、みたいな。物理に干渉するには属性変換しないといけないのに、していない。でも、こうなってるってことは、なにか仕組みがある」

 

「視え───仮面が必要なのは、まさか!」

 

仮面越しの視界なら、何でもかんでも偽れるし、何でもかんでも視えるってか?!

 

「MPに対して、SP。又は、魔力に対する魂力。二つに分かれてる意味があまり分からなかったけど……うん。うっすら、分かった」

 

淡々と、コイツは呟く。呟く言葉が響く度、俺の《念動力》は歪んで、外側から、握り潰される。

 

「良かったら、このスキルの名前を教えてくれないかな。案外使い勝手が良さそうだし。特に、MPをSPで変化させて、干渉できる範囲を広げてるってところがいいよね、これ」

 

「ぐ、ぬぅ……!」

 

くそ、が!

 

「テメェ絶対【魔術師】じゃねぇだろ!下級職程度に負ける上級職があるものかよ!」

 

てか隠す気ないだろコイツ!

 

「特に純魔力属性との相性が頗る良い。そして使うMPが純魔力属性になっている、ということは」

 

瞬間、砕かれる、握り潰される。

コイツが何かを呟くと、《念動力》のナニカ(・・・)が変わった。そして、それまではギリギリ拮抗していた力が、なにか、理不尽なルールにでも侵されたのか、一瞬で逆転させられた。

 

「当然、単純な出力勝負に持ち込むことができる、と」

 

「チッ……!《発火能力(パイロキネシス)》!」

 

興味なさげに服に着いた埃を叩き落とす仕草がイラつく。顔も完全に俺を見ていない。

 

危険だ、コイツは。

 

「燃えろ!」

 

《発火能力》は【発火能力者(パイロマスター)】のスキル。能力は、自分の念じたところに、好きなように操ることが出来る火炎を出せること。

上手く操れば、今、この瞬間のように、コイツだけを燃やすことも簡単だ。

 

「《消火》」

 

だが、それはなんの抵抗もなければ、だ。

また(・・)、気づけば魔法が出来上がっていやがった。発生の予兆すら視え……って、まさかこれもか?

 

「おいおい……今度は海属性かよ……」

 

「森の泉に海属性の地竜っていう変な奴が居てね……。〈UBM〉では無かったんだけど、そいつ、燃やそうと思ってもこうやって消して来るんだよ。だから、火を消すのに関しては大体分かるんだ」

 

「はッ!すると、何だ?見ただけで覚えたって、そういう事か?」

 

「こう動かせば絶対にこうなる、って、楽でいいよね。ちゃんと筋が通ってる分(何もしてないのに)人を相手に(拷問とか)するよりも気楽だし(君正気?)

 

……ッチ、《念話》まで使いやがるか。

 

「お生憎様、俺はちゃんと筋を通す男として有名でな。だが、テメェみたいな野郎は素直に尊敬するよ(信用するわけねぇだろ)俺の何倍も(何でもかんでも)素直なところとかな(嘘吐く野郎なんぞ)

 

「アハハ、照れるね。あと、自分(・・)は女だから、野郎じゃなくて女郎、だね」

 

「おお、そういえばそうだったな。スレンダー過ぎて忘れてたぜ、ハッハッハ」

 

「アッハッハ、そうなんだよね!あんまりにも細すぎるせいで、ついさっきも何故か(・・・)折れそうになったんだよね!」

 

「ハッハッハハッハッハ!」

 

「アハハハハハハ!」

 

「「……」」

 

……。

 

「表出ろや」

 

「その歳にもなってひとりで行けないの?寂しんぼ?まあ、自分ったら優しいからね、着いて行ってあげようじゃあないか」

 

「……チッ、うぜぇ」

 

如何にも面倒くさそうな態度で椅子から立ち上がり、ヤレヤレと首を振る仕草が妙に芝居掛かっててイラつく。

 

アレだ。もう、コイツ、始末した方がいいんじゃねえか?

入ってくんなっ()ったこの村に、何も知らなかったとはいえ入り込んだ。その時点で殺されても文句は言えないだろ。

アレの件もある、どうせ死ぬ(・・・・・)運命なのは変わらないからな。寧ろ自由に動く腕やら脚やら、逃げる手段は無くしておくべきだ。

 

 

─────、─────。

 

 

「奥義、《」

 

「やめんか馬鹿(もん)

 

()で!……何すんだジジイ!」

 

突然、後ろから頭を叩かれて振り返ってみれば、本来なら寝台で伏せってるはずのジジイがいた。

無理をしてんだろう、若干顔色が白い上、杖を突いてやっと体を支えているような有様だ。

 

「なんだって、ジジイが……痛ぇ!」

 

「ふぅ……ソラーファ、客人の前だということを忘れるな」

 

ぐ、おおおぉ……。手加減されてるのは分かってるが、それでも痛え。しかも一撃目で出来たたん瘤を正確に狙ってきやがったぞこのジジイ……!

 

「おいジ──「ん」御館様ァ……」

 

「んー?」

 

よく見れば、扉の陰に隠れてエンジが見ていた。

屋敷に戻ってから何処か体調が悪そうだったが、流石にさっきのやり取りは見えていたのか。

……いや、バリバリスキル使ったからな、隠しようもなかったのか。

で、何事かと慌ててたところにジジイ(御館様)が来た、それとも呼びに行った、ってところか。

 

「すまんな、お客人。「い”っ!」コヤツも普段なら温厚で「ぐっ!」ヘタレな男なのだが「ああ”、っあ”!」。如何せん時期が時期でな「ぎっ!」、気が立っておるのだろう「がっ!」」

 

くっそ、この……!

 

「おいてめぇクソジジいってぇ!なんかい”、叩きやが、るんだ!俺の頭は鐘じゃねぇっつうの!?」

 

「ふん。の、割にはいい音を出すな」

 

「うるsアガァ!」

 

が……が……。

 

「という訳でだ、お客人。どうか、このバカの頭で堪忍して貰えないだろうか」

 

「んー……いや。此方としても、ズカズカと入り込んだ身だからね。謝罪は受けとるし、あまり気にしてないから。それよりも、取り引きの方をして欲しいかな」

 

「確か、【宝櫃】を受け取る代わり、ジョブクリスタルを使わせて欲しい、のだったな?」

 

「そうそう。流石にジョブチェンジしとかないとさ、経験値が勿体なさすぎるでしょ?」

 

「……ふむ、だとすれば……そうさな。こちらからも条件を付ける。仮に疑問を抱いても、追求せず、呑み込むのであれば、許可しよう」

 

「んー……。まあ、勝手にお邪魔してるのはこっちだから……。あんまりにもやばい様なやつじゃない限り……例えば、自分(・・)との……あー、性行為の強要とか、そういうのじゃなければまあ……受けよう。……まあ条件次第ってとこだね」

 

「たかがジョブクリスタルに 、そこまでのもの要求できるか。というか、いい歳した女子(おなご)が例えでも言うものでは無い。こちらからの条件は、今日1日、催事の支度を手伝って貰う、と言うだけのものだ。軽いお使いの様なものだな」

 

「……今日……さ……れ……り……ず。……わかった、引き受けるよ」

 

「宜しい。ならば、こちらからもジョブクリスタルの使用許可をだそう。あぁ、【宝櫃】はお客人の好きなだけ置いてってもらって構わない。余りにも多いようならリルも出そう……いつまで寝てる気だ、ソラーファ。ほれ、起きろ」

 

…………ってぇ!

 

「ぐ、ぉぉぉ……」

 

「話は纏まった。ソラーファ、お客人の案内は任せる。詳しい話はエンジから聞け。(やつがれ)は誰かさんのお陰で疲れたのでな、寝台に転がる」

 

 

 

 

 

 

 




まあ、これって最新話書き終わるまで漬け込んでた話なので、スランプ一歩手前の話ではあるんですけどね。
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