一般通過レジェンダリアンの〈超級〉〜指名手配を添えて〜 作:苦悩
という訳で初投稿です。
2話溜まったので1話放出。ついでに言えば、ようやくペルくんちゃん視点が書ける……長かった。
「ねえ」
「うん?」
■■ちゃんが、不思議そうに顔を
相変わらず、仮面で顔はよく見えない。けど、■■ちゃんは、本当に無邪気に、私を■■■た。■■を喪失させた。
あぁ、だから寧ろ、不思議そうにしてくれてるから
「
「うげ」
「とはいえ、このジョブは3つの特化上位職に1つの超級職まで基本スキルがほぼ共通で、そこまで差異が出る訳じゃないの。基本的には、だけど」
本当に、嫌になる。
どの口が言うのか。どんな顔して、賢しらに■たるよのか。
この■■■をぶち■ければ、それでおわ■のくせして。
「下級職の【異能力者】から始まって、《念動力》特化の【念動力士】。《発火能力》特化の【発火能力者】。《第六感》特化の【透視能力者】」
相変わらず、純粋そうに頷く■■ちゃんを見てると、■の黒いものが、溢れそうになる。
でも、もう……。
「そして、超級職の……」
「ちょ、ストップストップ!それ聞いていいやつ?!」
「……多分、問題ないはず……だって私、別に口止めとかされてないし」
嘘。
「お爺様も、そこは別に隠してなかったっていうか……条件は知らないけど、名前くらいならね」
これも、■■。私は、条件を知っている。
私はなれないし、なったところで■■が無いっていうのも、知っている。
「【
MPとSPが
そんな、馬鹿らしいを通り越して呆れるしかない、普通は就くことすら不可能なジョブ。
最早骨董品に近いけれど、それでもそれが、私達が守り通してきたモノのひとつ。
……これのせいで、私たちは、あいつに……。
「【超能力者】……コインを弾いたらビーム放てたりする?それか未知の物質を操ったりだとか、物質を崩壊させたりだとか……」
……ん、ん?
「なにそれ怖い。どうしてそうなるの?」
「『
んぇ……?でんきょく?を、脳に……?
「───だから、───それでね?─────というわけで、これ実質魔術なんだけど────」
「あ、えっと……」
たまに■■ちゃんの言うことが分からなくなるのって、どうしてだろ。
■
「クソ……多すぎる……」
思わず、舌打ちが漏れる。それもこれも、あいつが持ってきた【宝櫃】の価値が思った以上に高いのが原因だ。
つまり、奴のせいだな、クソが。
あのクソアマ、《看破》も《真偽判定》も誤魔化しやがるから騙されてやってるってのが分からねぇのか?なぁにが下級職だ、何処の世界に下級職で亜竜級どころか純竜級ボスモンスター討伐なんてふざけた事するやつが居ると思ってる?(注意:マスターだと稀によく居ます。というか、下級職時点でも伝説級なら相性次第でいけちゃいます)
「恨むぞジジイ、面倒なこと押付けやがって」
てかこれ予算足りるか?ただでさえ祭事のせいでリルが不足気味だってのに、そこにこの量の【宝櫃】の換金だぞ?
「くそ……気に入らねぇ……あいつの譲歩に甘んじるのが、気に食わねぇ!」
多少安くてもいい?つまり、どうせ払えねぇとか最初から見下してやがったっつうことだろ?
あぁはいはい、その通りですよ、ありがとざんした。
この通り無い袖は振れない物なんでな?
「ッチ……しょうがねえ、か。あいつに借り作るってのも、気に食わねぇが」
いや、まて……。そもそもこの量を買い取らせようとしやがったから、俺はこんなに苦悩してんだよな?
あいつが来なけりゃ、ここまでリルを減らす必要もなかったし、こんなトラブルも起きずに祭事が執り行われてたんだ。
そして、エンジ、が……。
……。
「……くそ……クソ、が」
……なんで、エンジなんだろうな……条件は同じなんだから、俺でも役目を背負える。
結局、選ばれたのはエンジだった訳だが。巫山戯んなよ、害悪親どもが……。
昔っからそうだ。あいつは、いつも損なことを背負わされてきた。
あんな親の、ジジイに育てられたとは思えねぇ程のクズとゴミ女の子供ってだけでも不幸だろ。俺だったら無理だ、あそこまで気丈に振る舞えねぇ。
それに元々病弱で、なんも知らねぇ馬鹿な俺に連れ回されて、家では屑共に勝手なこと言われて、体壊して。
才能があった、その一点だけで巫女に仕立て挙げられた。
体調がいい日は、俺に無理やり連れ出されて。
悪い日は、屑共に、巫女としての教えを説かれて。
ジジイが戻ってこなかったら、とっくに壊れてた。それほど、エンジは限界だった。
だから、今のエンジは見てられねぇ。あんな、媚び売るような目つきで、俺を見やがって。
あいつだ、あいつが来たから、狂った……。
「はッ」
そう思えたら、真剣に、そう考えられたら、どんなに良かったことか。
椅子にもたれかかって、額石を抑える。
俺ら
いっそ、エンジは、あの赤が
必要ない巫女教育なんか受けず、ただの、ちょっと体が弱い、村長の娘として、過ごせれば、どんなに……。
……あぁ、気づいてる、気づいてるさ。エンジは隠してるつもりなんだろうが、何年の付き合いだと思ってやがる。
あいつが、エンジが……馬鹿なことに、誇りなんか持っちまいやがって……あのアホが。
そんな誇り、所詮あの屑共が植え付けたもんなんだから、捨てりゃいいのに。
そうすりゃ、少し位抵抗してくれたかもしれねぇ。最悪、俺と逃げれば……。
なんて、な。
「はっ……はぁ、やめだ、やめ。ダメだな、少し、気分を変えるか」
あと
清め、浄め、淨める。それ迄には、俺も決心しねぇと行けねぇ、か。
「はあ……村、行くか」
エンジのことだから、手伝いに託けて色々と手伝わせてるだろうし。
ざまぁみろってんだ。
■
□霊都アムニール・某所
富の象徴とは何か。それは思い浮かべるモノによって解答が変わる。
ある者に言わせれば、それは
またある者が言うには、それは権力である。
所謂特権を保持し、自身の行いを貫き通す威光であるそれは、富があれば勝手に付随するだろう。
他にも土地や物品、血筋など、一括りにしようとしても微妙にニュアンスが異なるモノが出てくる。
当然なのだが、それは当人の価値観によるものであり、他者にとってはなるほどそういう意見もあるという概念である。
「ふ、ふふふふ」
さて、それではこの男にとって、富の象徴とは一体何か。
それは、人材である。
「……何か」
「あいや、これは失礼。ついつい、喜びが溢れ出ていたようですね。……ふふふふふ」
レジェンダリア特有のメルヘンチックな椅子に腰掛け、同様の机に置いた資料を眺める男は歓喜の笑みを浮かべていた。
一度目にし、
何せこの男は人材マニア。貴重なヒトを集め、仕えさせるのが富の象徴であると考える男なのだ。
所詮金や権力など、特に苦労もなく手に入る程度のもの。寧ろ混沌としたヒトという
ヒトには、才能という変え難い宝石が眠っている。原石のままでは美しくないが、磨き上げたソレは何者にも変え難い光を放っているのだ。
自由意思を持ち、磨き上げられているからこそコチラの誘惑に屈しない彼らを、どんな手であろうと手に入れる。
それこそが、男が思う『富』である。
「さて、失礼したね、Ms.リリエル氏。早速本題になるのだが、仕事を頼まれてくれないかい?」
「……
男の対面にあるソファーに座るのは、歳の割に背筋が伸びた貴婦人だ。
差し出されていたティーカップを傾け、男に冷たい目線を向けている。
「信用が欲しいのならば、誠意を見せなさい。このような、卑劣な事などせずに」
「おや?これほど誠意あるエルフなど、少なくとも私以外には知りませんよ?」
「どの口が……!」
目線を鋭く、男を睨む。もし殺意で人が殺せるなら、間違いなくこの男は死んでいただろう。
それほどに鋭い眼光だ。
「まあまあ、話は最後まで聞いてくださいね。場合によっては、貴方の息子を解放してあげましょう。勿論、改造も外し、元通りにして」
その言葉で、貴婦人の目の色が変わる。
解りやすく動揺し、思わず身を乗り出してしまう。そこでハッと気づいてしまった。あまりに露骨な反応を示してしまったのだから、これはもう話を受けたも同然だろう。
この男のことだ、どんな条件が追加されるか分かったものではない。
「ふふふ、そんなに興奮なさらないでください。もう歳なのですから、お身体に差し障りますよ?さて、では今回貴女に請けてもらう
男は当然のように話を進める。
それは男の策略通りの結果になった為であり、こうなればもはや貴婦人に拒否するという選択が出来ないことも知っていたからだ。
残念ながら、その代償として今回限りで貴婦人とは縁が切れてしまうだろう。だが、男としては何の問題にも思っていない。
長い付き合いだ、コレクションして、眺めて、その力を行使させたのは10や20では効かない。
だが、それほど使い続ければ飽きが来る。それに、この貴婦人ももう先は長くないだろう。ここら辺で手放すのが、自称誠意溢れる男の善意であった。
「貴女はこの
「貴方は!私に、生贄を差し出せと、そう言っているのですか!?」
「それで貴女は息子をその手でもう一度抱きしめられるのですよ?それに、私も貴女を手放すのです、代わりが要るのですよ」
激昂する貴婦人の圧をサラリと受け流し、男は続ける。
貴婦人が行う最後の仕事を。
「───と、このように、私は貴女に代わりこの者たちを運用する事にしました。しっかりと仕事を遂行して貰いますよ?息子さんは彼等と引き換えに解放して差し上げますので、ちゃんと連れてきてくださいね?」
男の語る
それは言うなれば、今までの常識が崩壊するような感覚であった。
そして確かにと納得もある。
男は人材マニアだ。見目麗しい男女は基本として、声がいい、絵が上手い、料理が美味い、果てには超級職だからと、見境なく自身の配下に置こうとする。
勿論、その中には種族的なものまでも含まれる。
今語られた
「……わかり、ました」
歯軋りしながら、自分に嫌悪し、それでも頭を下げる。
ここで断るという選択肢は無い。見ず知らずの希少種族よりも、自分の息子の方が大切なのだから。
「あぁ、それからですが」
「まだ、何かあるのですか?」
「彼らは先程も言った通り、一筋縄では捕らえられないでしょう。なので、援軍……とはいえ1人ですが、協力者を付けることとします。入って来なさい」
言葉と共に、隣の部屋へと通じる扉が開く。
全て、男の予定通りであり、だからこそ扉の先に居た人物は一瞬の遅延もなく堂々と足を踏み出した。
「昨今、巷では<マスター>というものが話題に上がっていますね?彼はその1人です」
貴婦人もその<マスター>に注目する。
線は細く、全体的に小さい。が、注目すべきはそこではなかった。
昏いのだ。
どこか、諦観のようなものを漂わせながら、目元の隈がそれを際立たせる。
「紹介しましょう。彼の名はトウヤ。<マスター>の1人であり、私の目に適う
「……」
トウヤと呼ばれた少年は、ぺこりと会釈した。
どこか形式的な印象が拭えないが、それでも最低限の敬意は伝わってくる。
「本当に、トウヤ君はいい拾い物です。偶に居なくなってしまうのが玉に瑕ですが、それ以上の価値がある」
「……それは、どういう?」
大抵、このように饒舌になった時は男がコレクションを自慢したい時だ。
ここで下手に遮ると不機嫌になり、何を言い出すか分からない。
長年の経験からそれをわかっている貴婦人は、男が望む相槌を打った。
そして、思わず耳を疑ってしまう。それが正しければ、確かにこの男がコレクションに加えるに相応しい人材であって、現状、この世界で、最も希少な存在に違いないからだ。
「彼は現時点で
少年は、昏い目で、ただ虚空を眺めていた。
あ、オリキャラです。この子には独自解釈詰め込みまくりました。