一般通過レジェンダリアンの〈超級〉〜指名手配を添えて〜 作:苦悩
戦闘シーン入れば更新が早くなるのでお待ちください。
……次、みんな大好き〈あの人〉が登場します。
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【
さてさてさて、〈Infinite Dendrogram〉を初めてから長くも短いもので、早くも3日(内部時間だと1週間と2日)が経ってしまった。
開始から内部での翌日に〈エンブリオ〉が進化して予想外に3体操作になったり、そのせいで経験値効率が落ちてレベルが上がりづ辛くなったりもした。
どうやら《生命増躰》、あるいは【カゲノワズライ】のデメリットとして、経験値効率の悪化があったらしい。他のマスターと話していて気づいた。
他のマスターがパーティーを組んでも変わらず10の経験値を取得するとすれば、自分の場合、《生命増躰》で出現した分、10を等分されてそれぞれのアバターに入るため、その分レベルアップが遅くなる。
……まあ、自分一人だけで現時点で24のジョブを取れる利点はあるけど。2つくらいステータス的には意味ないけど。そもそも【死兵】だから〈エンブリオ〉の補正くらいしか意味無いけど。
閑話休題
そのために【死兵】のレベル上げが遅くはなったけど……初期から出していた「男性」体と「女性」体はもうそろそろカンスト、3つ目のアバター「両性」体はあと3レベル上げればいいくらいまでになっている。
で。
「やばい死ぬ!」「ちょっと来んの早すぎた!」「でも経験値効率はいい!」「ちょっと休みたいんだけど?!」「デスペナはヤダデスペナはヤダ!」「あーもう!」
「「「どうしてこうなったー!」」」
はい。
死にかけてる。で、何とか逃げてる。
いや、ね?自分としてはなるべく安全にやってたんだよ?
……モンスターが学習して奇襲してくるとか聞いてない。
まさかまさか……1回やっとくかって思って結局だめだったから逃げ出した「ティールウルフ」の群れに囮作戦やり返されるとは思わないジャマイカ。
3つのアバターに増えたからやれると思って、まずは「女性」体で囮兼突撃して、そっから「男性」体「両性」体両方で挟み撃ち。そこから5、6匹は倒したんだけど、流石に群れが大きすぎたのと、奇襲の混乱の最中にボスを撃てなかったのが大きかった。
結局そこから逃げ出して、また後日ってことで今日もう1回やってみたんだが……まさかあいつら。
「「「群れが合流するなんて聞いてないんだけどー?!」」」
あろうことか別の群れを取り込んで、
というか、従来のゲームでもモンスター一匹一匹演算してるなんて信じられない。どんだけのスパコン使ってんだよ。
……チェシャ曰くの超技術だったわクソが。
「「「あーもう!やってやんよコンチクショウ!」」」
幸いにして、こちとら一職目カンスト1歩手前の〈マスター〉だ、一匹一匹はもう相手にならん。
なら、自分がやればいいのは徹底した1on1、からの一撃必殺。
心配なのは少しだけステータスの劣るアバターふたつだが、少しだけだ。テクニックでどうにかなる範疇。
なら、出来ない道理は無い。
「取り敢えず自分が切り開けばいい!」「「で、自分が右(左)をやればいい!」」
というわけで!
「「「南無三!」」」
まずは「男性」体が、正面切って突っ込む。
同時に「女性」体と「両性」体で左右を囲んで。
突然の方向転換に「ティールウルフ」は一瞬怯んで、その間隙に棒を突き込む。狙いは神経の集中してる鼻。
突いたら一度素早く引いて、直ぐに痛みに空いた口に突っ込む。
先を尖らせて簡易の槍型にした棒は、運良く頸椎の隙間に潜り込み、一撃で命を絶つ。
一瞬で光の粒に消えた先頭にさらに怯んだ左右の一匹を、火属性【ジェム】《ファイアボール》で始末。
先頭と両翼を潰された群れは、少しだけスピードを落として僅かに焦燥しているように見える。
─チャンス
次いで取り出すのは、地属性【ジェム】《マッドクラップ》。
亜竜級モンスターもちょっとだけ拘束できる範囲魔法を使い、所詮ザコ敵でしかない「ティールウルフ」を拘束。
粘性化した地面に注意しつつ、さらに取り出すは有り金はたいて購入した火属性【ジェム】《ヒート・リング》。
【紅蓮術士】の初期に覚える範囲攻撃魔法のひとつ。本来なら術者を中心として徐々に広がる炎の輪を発生させる魔法なのだが、【ジェム】に収めたことで【ジェム】を中心に広がる魔法になった。
その効果範囲は。
《マッドクラップ》と同じ範囲。
つまり、この状況で、この【ジェム】を群れの中心に投げ込めば、この群れの討伐は完了する。
「……金欠だけど」「デスペナ無効は」「金で買えない!」
というわけでさらば、貯蓄期間今までのほぼ全て、総額120,000リルの稼ぎよ!
STRに優れた「男性」体が投げ込んだ【ジェム】は確実に群れの中心に落ち、そこから規定の魔法が発動する。
まず一回り大きくて見覚えのある《リーダー・ティールウルフ》が熱で溶断されて光の粒になり、その周りを固めていた《ティールウルフ》、そして外周にいた《ティールウルフ》の順に焼き切って行く。
さすがは上級職の攻撃魔法、威力がやばい。
120, 000リル……
「「あ、カンストした」」「こっちは……あ、こっちもだった」
苦労とお金に見合った価値はあったようで、もう少しかかると思ってた「両性」体のカンストも出来ていた。
取り敢えず、これで他のジョブについても【死兵】さえリセットしなければほかのジョブに着くことが出来る。
……うん、出来なかったんだよ……。
あまりにも火力不足すぎてほかのジョブからカンストさせようとしたら、【《【死兵】ジョブが上限に達していません。このままジョブを変更すると、【死兵】ジョブは未選択状態に戻り、新たに共有ジョブを設定しなければません。よろしいですか?Y/N》】って出たんだよ……。
これは間違いなく失敗したって、軽く後悔した。
「でもこれでこのアバターは【
ようやくだ。
ようやくこの、単調でつまらないし、やれることが少ない状況から抜け出せる。
「ああ、でもそうか……」「取り敢えず」「これをやっとかないと」
感動で目を逸らしていたウィンドウに目を向ければ、そこにはクエストの達成を知らせる文言が乗っている。
【クエスト【達成──レベル50】を達成しました】
「「「……長かったー」」」
いやもうね、他のマスターは早い人だともう上級職に行ってるし、自分よりも遅かった人でも2職目カンストとかざらだ。
それもこれも経験値3分の1の状況が悪い。
……次に《生命増躰》でアバターが増えたら、【記者】でも取ろうかな……。まず【死兵】からだったよ畜生め、ステータスほぼ成長しねぇよ
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と、言うわけでササッと転職。
【クリスタル】に触れて希望のジョブをポチポチっとするだけの簡単な作業。
これでそれぞれ、
「男性」体が【
「女性」体が【
「両性」体が【
になることが出来た。
こう振り分けた理由は、《性別転換》のステータス上昇効果が「両性」体以外は合っているから。
別に「両性」体は【従魔師】にしないで、別の、それこそHPに関連したジョブ……例えば【盾士】で壁役をしても良かったんだけど、折角だからね。
これまでの流れで【適職診断カタログ】で出たジョブしか選んでなかったんだから、取り敢えずコンプリートしときたいかなーって。
あとはまあ、本体が脆弱な【従魔師】でも多少なら殴られても平気ってのもある。
で、転職後にひとつ、試したいことがあったんだよね。
もしこれができるようなら、
修正の対象になるかもだけど……構わない。結局ゲーム、それもオンラインのものってのは運営とプレイヤーのイタチごっこの面があるから。
今が楽しければそれでいい。もし修正されても、あとから笑い話にできる。
「という事なので」「やってみよう」「レッツ・クッキング」
まず選択いたしますはこちら。
「両性」体の《テイム》。
これを「
すると、《
……第1段階、成功。
次に選択いたしますはこちら。
「男性」体の《
これを「
すると、さっきまで2行しか無かった「ペル・ナルシー」が、
……第2段階、成功……!
そしてそして!
最後に「男性」体の《獣心憑依》を「
最終段階……成功!
「「「ぃよっし!これでSTRだけなら「男性」体任せでOKだ!」」」
しかも、場合に応じてステータスの《憑依》先を切り替えられるから、単純ステータスにおいては「男性」体メインで育てた方がいいだろう。
【死兵】のステータスも「男性」体に入ってるし。
それに、なんやかんや20年近く「男性」体で過ごしてきたんだ、これが一番慣れてる。
「それじゃあ
という訳で、「男性」体は闘技場に向かう。
「女性」体、「両性」体はただでさえ低いステータスを補うため、レベル上げに向かう。
傍目から見たらパーティーが解散して二手に別れたように見えるだろうけど……
自分が3つの体を動かしてるし、3つの思考をしてる。
思考は常に繋がってる……とはまた違う。
全く違う思考を、全く同時に、自分が、考えている。
これも随分、楽にできるようになった。
最初は戸惑ったけど、さっすがの超技術。
全然違和感なく、現実でも戸惑うほどに馴染んだ。
……改めて思うけど、めちゃくちゃ理想の状況なんだよな、これ。
いつもはやりたいこととやれることとできることに割ける時間が体ひとつ分で24時間、寝る時間や諸々も含めれば10時間もない。
それが体3つ分で、30時間も何かしたいことに費やせる。
これ、割と最高。
別のことしながら別のことが出来るって、本当にやばいくらいに最高。
しかもしかも、《性別転換》で───
「あ、着いた着いた」
適当に街を歩いてたら、いつの間にか闘技場まで着いてた。
「すいません」
取り敢えずおっさんの所在を確かめるために、受付の女性に声をかける。
「はい、登録ですか?」
「あぁ、いえ……あとで登録はしますけど、今は人を探してて」
「はあ……こちらにいる闘士の誰かですか?」
「えぇ、【獣戦鬼】のエードって人です」
名前を出したら、受付さんは納得の表情を浮かべた。
「あぁ、あなたがあの
「あ、はい」
……いや、何やったのあのおっさん。
なんか受付さんのオーラがドス黒いんだけど……。
「因みにですが」
「はい」
「
「…………はい」
「男性なら食指の範囲外でしょうが、何分私もあなたを一目見た時に女性と思ってしまいました。……味変とか珍味だとか言い出しかねません。本当に、ご注意を」
「………………はい!」
……クソ野郎だな、おっさん、見る目変わるわ。
てか、あの時声掛けてきたのって……。
おぇ、最悪だ。殺そう。
「では先程も言ったように、
「分かりました!」
……何があっても「男性」体以外のアバターとは絶対に合わせんぞ!
情報のゲボ
【|■■■【■■■・■■・■■■】】/【|■■【■・■■】】ペル・ナルシー
どちらもオリジョブです
……まあ、ない方がおかしいような気がしないでもないジョブですが。