一般通過レジェンダリアンの〈超級〉〜指名手配を添えて〜   作:苦悩

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注意
描写は正確にしてないとはいえ、警告が来たら書き直します


LSとお金と

100メートル──100メテル先の控え室は、なんて言うか……凄かった。

まず扉。

 

他の人は『○○様控え室』って書いてある。

おっさんのは『人の屑様の犬小屋←犬に失礼』だった。

……外で話を聞いてなかったら絶対誰の控え室か分からなかった。

 

とりあえずノックしてみるけど……開かない。というか、反応がない。

 

「おっさーん?」

 

ドンドンと扉を叩きながら呼びかけるも、やはり無反応。

……なーんか、受付さんの人の話と併せて考えると嫌な予感がするんだよなぁ……。

 

嫌な予感に若干頬を引き攣らせながら扉を開けた、瞬間。

 

臭かった。

もちろん、あの(・・)匂い。

 

……臭い。痛覚だけじゃなく嗅覚も遮断したい。

 

で、最後。

 

「……」

 

「「───♪❤」」

 

………………

 

 

「お邪魔しましたー」

 

………………

 

 

無理。

 

帰る。

 

やってられっか。

 

 

そのまま勢いに任せてログアウト……あ、やべ、「両性」体死にかけた。

 

やべえやべぇ、制御ミスった。

 

まあ、いいや、そのままログアウトを……

 

「まあ、待てよ」

 

【他者接触状態につき、ログアウトできません】

 

ガシッと方を掴まれて、ログアウトが阻止される。

 

「……はーなーせー!おーかーさーれーるー!だーれーかーたーすーけーてー!!」

 

「ばっ、おまっ!やめろ、ただでさえ低い俺の評価が……!しかも俺は合意の上で……!」

 

おっさんがなんかほざいてるが、この状況、どっからどう見ても無理やり部屋に連れ込もうとしてるようにしか見えないだろう。

しかも、自分の容姿が美少女寄りともなれば尚更だ。

しかも、おっさんはパンツ一丁の半裸だ。いや、半裸より酷いかもしれない、なんたって、テント(・・・)が立ってるんだから。

 

さて、三人称視点で考えてみよう。

何やら死んだ顔でログアウトしようとしてた美少女(男)が、さっきまで部屋でヤッてたそういう方面にいい噂のない上にパンイチな男に肩を掴まれている。

美少女(男)はやめろと悲鳴を上げ、パンイチ変態男は少し慌てているが、それでも肩を離さずそれどころか無理やり部屋に入れようとしている。

 

事案だ、これ以上ない犯罪行為だ。

 

「うわぁ」

「あいつ、遂にやりやがったか」

「俺、〈DIN〉になんか聞かれたら証言するよ、いつかやるって思ってたって」

「あの子も可哀想にな、あんなクズに目をつけられるなんて……」

「遂に無視されるようなったからって、あんな強引に……」

「あの色情魔……処す」

 

「いや言ってないで助けて?!」

 

『無理!』

 

「なんで?!」

 

『そいつ強いから勝てない』

 

諸行無常(しょっぎょむっじょ)!神は死んだ!」

 

くそぅ、なんて奴らだ!

こんな幼気な美少女(男)を、こんなおっさんの皮を被った野獣の生贄にするなんて……!

 

「ぐぬぬ……あ、そこの緑の服(・・・)ガスマスク(・・・・・)着けた人!こいつら役に立たないから助けて!」

 

通路から歩いてきた、奇妙な装いの人に声を掛ける。

多分、こんな奇妙な格好をするってことは十中八九マスターだろう。

同じマスターなら、もしかしたら助けてくれたりするかもしれない……!

 

『え、嫌ですぞ?』

 

「なんで?!」

 

今も部屋に連れ込んでこうと引っ張りまくるおっさん(変態)に抵抗してるのに?!

 

『どう見ても20を超えてるように見えるからですぞ?』

 

そんな、そんな理由?!当たり前のように言うけど、判断基準おかしくない?!

 

「あっ、ちょっ!もう限か……」

 

『でも何やら面白そうな気配がするので、助けることにしますぞ。───《幼生への回帰(リトル・リターン)》』

 

突然行われたスキルの宣言。

それによって、床に魔法陣が展開され、肩を引っ張る力が弱まった。

 

「テリトリー……いや、チャンス!」

 

咄嗟に動こうとして……転んだ。

 

違和感はあった。だって、スキルの宣言の直後くらいから視点がかなり低くなっていたから。

それは、周りも一緒で……。

 

「あれー、ここどこー?」

「マミー?」

「うぇぇん!たすけてー!」

「あははっ!遊ぼ!遊ぼ!」

 

「……うわぁ……」

 

これ……もしかして……。

恐る恐る、後ろを振り返ると……元おっさんがいた。

 

「?おねぇちゃん、どうしたの?」

 

「あぁいや……なんでも無い、よ?」

 

「そっかー!じゃあさじゃあさ!いっしょにおんせんい──」

 

気づいた時には殴っていた。

幼気な少年に見えたが……性根は子供の頃から腐ってやがったか、こいつ。

 

「……で、これが君の〈エンブリオ〉……だよな?流石に思考まで子供に戻すジョブがあるとは思えないし」

 

『もちろんですぞ。これが俺の〈エンブリオ〉、【順逆時在 ネバーランド】のスキルですぞ』

 

「そうか、ありがとう、助かった。もし助けて貰えなかったら……いや、本当にナニされていたか……」

 

『困った時はお互い様ですぞ。特に13歳以下のロリショタの悲鳴ともなれば無視する方が難しいのですぞ!』

 

13歳以下……いやいや、自分、20なんだが……。ていうか、ロリショタて……

 

『む?違いましたかな?リアルは兎も角、その体(・・・)は0歳児、それも生まれて間も無いと思うのですが、気のせいですぞ?』

 

「え、いや、まあ、この体はアバターだから……そりゃ生後1月もないと思うけど……」

 

『そういう問題では無いのですぞ。俺の感覚すれば、人型ガードナーと同じ感覚なのですぞ。つまり君は〈エンブリオ〉、それも希少な人型ガードナーの一体、違いますかな?』

 

……やばい、ほぼほぼ合ってて困る。

確かにこの体は〈エンブリオ〉【カゲノワズライ】だ。

それをこの人、自前の感覚で言い当てた……ヤバ。

 

「……はぁ、降参降参、確かにこの体は〈エンブリオ〉だよ」

 

『おお、やはり俺の感覚に間違いは──』

 

「いや、残念ながら半分ハズレ。自分はペル、ペル・ナルシー。〈エンブリオ〉のtype:ボディ、【並列分体 カゲノワズライ】で全身置換(・・・・)したマスターだ」

 

『は?全身置換?有り得るのですぞ?』

 

だよねー、話聞いたマスター全員レアカテゴリーの話題出してもボディなんて一言も言ったこと無かったし。

あ、自分はしれっとガードナーで通してる。普段は別行動って言って。

マスター相手ならまだ嘘が通じるから楽なもんだ。

目の前の人物みたく、自前の超感覚で察してくる人はどうしようもないけど。

 

「まあ、レアカテゴリの中でもレアだろうね、自分も今まで見た事ないし」

 

『ふむ、だとすると、最初の見立て通り本当に20くらいの男なのですぞ?』

 

「まあ、そうだね」

 

『ふーむ……助け損ですな!』

 

「んん……凄い、微妙な気分なんだけど……」

 

なんだろう、さっきまでは感謝してたのに、段々この人の性癖っていうか趣味っていうかが分かってくると……

 

『おおっと、自己紹介がまだでしたな。俺はLS(ロリショタ)・エルゴ・スム、全てのロリショタの守護者ですぞ!』

 

「嘘臭い、てか名前よ」

 

何故に名前にロリショタ入れた、いちいちそれ名乗るの大変じゃないか?

 

『この俺ほど守護者に相応しい者はいないと思いますぞー。何せYLNT(イエスロリショタノータッチ)、世界の常識なのですぞ!』

 

「そんな常識ない!……あいや……うん、まあ、なかったらヤバいから本当はあるのかな……?」

ヤバい、このHENTAI、言動は巫山戯てるっぽいのに芯が通ってて疲れる。

 

「……まあとにかく、ありがとう。おかげで冷静になれたよ」

 

『お易い御用ですぞ。俺としても有用な情報を貰えた訳ですからな』

 

「それでも、だ。……このおっさん、こんなでも自分が受けたクエストの報告先なんだよ……さっきの状態で話したくなかった」

 

だからありがとう、と右手を差し出す。

 

『あ、握手は御免被りますぞ』

 

「お前さぁ……」

 

 

 

その後、握手はできなかったけど、フレンド登録はさせてもらった。

 

 

 

 

 

 

従魔師(テイマー)】/【魔術師(メイジ)】ペル・ナルシー

 

 

 

 

「やべ死ぬ」「《ウォーターボール》!」

 

いやまさかまさかのあんなの見たら、一瞬とはいえ思考バグるわ。

森の中で出会った突進しまくる《ナイト・ボア》。それを後方から《魔物強化》系のスキル使って「女性」体の援護してたんだけど、一瞬動きを止めた瞬間に突破された。

両方とも後衛だからENDは紙。

「女性」体の魔法で《ナイト・ボア》を吹き飛ばさなかったらやばいとこだった。

ここまでデスペナしたことないんだから、こんな変なタイミングで変な死に方したくない。

まあ、死ぬって言っても1/3。しかもどうせリアルで1日あれば復活するんだけど。

 

「とはいえ」「焦ったー、《ウォーター・ボール》」

 

一瞬死ぬかとは思ったけど、《ナイト・ボア》はこれまで何体となく狩ってきたモンスターだ。当然対処法は完璧に覚えている。

 

「〜〜〜!??!?」

 

《ウォーター・ボール》で窒息させるだけなんだけど。

やっぱり水は偉大。生物なんて、肺に水を1滴入れるだけで殺せるんだよ。

 

「「お、レベル上がった……あ、おっさん目ぇ覚めた」」

 

まあ、こっちにはあんまし関係ないけど。

こっちはこっちで頑張ってレベラゲしようねぇ。

 

 

 

死兵(デス・ソルジャー)】ペル・ナルシー

 

 

 

「誠に申し訳ありませんでした」

 

「うん、死んで?」

 

LSの《幼生へと回帰》で子供になったあと、自分が殴り飛ばして【気絶】したおっさん。

その後、なんやかんや10分くらいでスキル効果は解けたけど、解けた後に直ぐ土下座してきた。

 

尚ここは闘技場の医務室なので、視線が痛い。

その痛みもプラスした評価は、地獄へ落ちろ(GO TO HELL)

自分が受けた恐怖は濃い。

 

「いや、でもよぉ、ノックぐらいしろよ。そうすれば少しは中断して……」

 

「したよ」

 

めっちゃ強めに、ドンドンと。

しかも中断して、どうする気だったんだ。

あれか?不意打ちで部屋に連れ込んでナニする気だったのか?

 

「……」

 

「……な、なんだよ……」

 

じとっとした目で見つめてみれば、何やら後暗いところがありそうな反応。

 

「…………」

 

「…………あ、いや、その、な?」

 

「……………… 」

 

「あぁ……ええと、その、な?な?」

 

グイグイ距離を詰めてこようとするけど、今度は助けてくれた周りの闘士が壁になる。

うん、さっきもそうしろよ。

 

「……………………」

 

「あと、えと、その……すんません、あわよくばと思ってました」

 

「【死兵】取って死んでこい」

 

……なーんで壁どもも『まじかこいつ』みたいな目で見て来やがりますかねぇ。自分は正当な被害者の権利を振りかざしてるだけなんだけど……。

 

「……はぁ、まあいい、1億リルで手を打とう」

 

「あぁ、そりゃありが1億ぅ!?バッカじゃねぇのかおめぇ!」

 

「【死兵】取って死ぬのとどっちがマシだ?」

 

「こちら1億リル入りマジックバッグになります」

 

「《真偽判定》持ちの人ー!嘘言ってないー?」

 

「あ(本当に1億リル入りのやつなんか持ってたのかよ、このクソ野郎、てか待てよ……?これ、『真』だけど《真偽判定》持ちって此処にはオレしかいねぇよな?……くくっ!日頃の恨みと寝盗られの礼だクソ野郎が!)嘘っすね」

 

「2億リルね、頑張って」

 

「な、クソが!おい、謀ったなオッサム!」

 

「うっるせぇこんの寝取り魔の糞野郎が!おめぇに手ぇ出されたせいで俺は元カノ何人居なくなったと思ってやがんだ、あ”あ”ん”??」

 

「それはお前が俺に負ける程度の実力しかねぇからだろうが!」

 

おっさん(ゴミ以下)

 

「はい」

 

「今まで彼女寝とってきた人全員(・・)に1億リル、自分に2億リル」

 

「無理だろそんなの!払えるわけ───」

 

「勝手に《看破》使ってきた覗き魔はどこのどいつでしたっけー?」

 

「はらいます」

 

「あ、嘘っすね」

 

「払う払う払う!だからやめろよ?!」

 

「あ、こちら【契約書】になります」

 

「貸せっ!」

 

買っててよかった【契約書】。

もし万が一自分の〈エンブリオ〉の能力を知って生き残ったマスターがいたら、後日この【契約書】片手に口止めしようと思って買ってた。

それが予想外に使えるんだから、転ばぬ先の何とやらってやつだな。ん?塞翁がなんちゃらってやつか?

 

「書いたぞ!これで良いんだろ?!」

 

「ちょっと待ってね……ん、いいよ。じゃあ支払い頑張ってね」

 

「わぁったよ、チクショウ……とりあえずこれがお前に先払いとしての1億リル──」

 

「自分に3億リル(・・・・・)、今まで寝とってきた人に1億リル(・・・・)、頑張って?」

 

「は?」

 

「【契約書】はちゃんと読もうね?」

 

あ、1億リルはいただきます。

 

やー良かった良かった。

これで先々までの金蔓が出来た。

 

「あ、そうだそうだ、そうだった。【死兵】50レベル達成したから報告しとくね」

 

いやー、色々ありすぎて本題忘れるところだった。

 

ま、結果オーライってことで。

 

なお、背後にいた元壁の人達は涙を流しながら笑い、おっさんは天井に目を向けながら笑ってた。

 

うん、みんなが笑ってるからハッピーエンドだ。

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