参加者全員悪人のデスゲームに巻き込まれた死に戻り能力者 作:とみたけじろう
日記形式を謳っておきながら、実質一人称視点の小説になっています。
不快に思う方がいたら、申し訳ないです。
現状公開されているルール、登場人物まとめ
NO.8
プレイヤー名:
所属グループ:「A」
NO.9
プレイヤー名:
所属グループ:「A」
基本ルール
1
10名のプレイヤーは、A・B・C・Dのいずれかのグループに配属される。
グループの内訳はそれぞれ3名だが、Dグループに限っては1名とする。
2
獲得条件を満たすことで、他のグループへの移籍権を得られる。
しかし、移籍権を行使しても、Dグループには移籍できない。
取得してから12時間以内に移籍権を行使しなかった場合、当該権利は失効する。
また、移籍権は重複しない。
3
ゲームの開催期間は4日。
開催期間内に他のグループを殲滅したグループのプレイヤーを勝利者とし、10億円の賞金を分配する。
開催期間後に、複数のグループが存在していた場合、プレイヤーは全員殺害される。
4
ゲームのエリアは予め指定されており、エリア外に出たプレイヤーは殺害される。
また、エリアは日数を経るごとに縮小するが、初日に限って縮小しない。
5
ゲーム初日は、戦闘禁止とする。
戦闘行為が発見された場合、当該プレイヤーは殺害される。
1日目
状況を飲み込むのには時間を要した。
死んだ筈なのに生きていて、クソみたいなデスゲームには参加したまま。
これが、夢や幻じゃない現実だなんて、そう簡単には受け入れられない。
否定する材料を探すために、とにかく俺は校内を走り回る。
見覚えのある内装、汚れ一つない廊下、屋上に設置されたトレジャーボックス。
そして、何よりも。
教室の隅に置かれていた段ボールの中に入っていた、自動拳銃。
言うまでもなく、本物である。
ここで、ようやく現実を受け止められた。
ありとあらゆる全ての事象が、死ぬ前に見たものと寸分の狂いもなく全く同じ。
間違いなく、時間が巻き戻っている。
……俺は「死に戻り」したのだ。
原因は不明だが、それでも分かることがある。
それは、死に戻りした理由について考えても、意味がないということ。
Fラン大学で留年するくらい馬鹿な俺が、ごちゃごちゃ考えたって時間の無駄。
今すべきことは、二度目の死を迎えないように行動することである。
トサカ男に殺された時、痛くて怖くて仕方がなかった。
あんな思いは、もう二度としたくない。
だから、学校を後にした。
何故なら、サラちゃんと会いたくないから。
俺を見捨てて逃げた腹いせに、豊満なバストを揉みしだきたいところであるが、ゲームの管理者に戦闘行為として認識され、ぶっ殺されたら最悪だ。
故に、とにかく離れる。
前回の記憶を参考にして、学校内の食料や水は取り尽くした。
このアドバンテージを無駄にしないためにも、他の場所を探索すべきだろう。
戦闘禁止である初日のうちに物資を集めたいし、他の参加者とも接触したいからな。
サラちゃんやトサカ頭の男のような性悪プレイヤーは少数に違いない。
デスゲームに否定的な人達は、必ず存在する。
友好的な人間と手を組むことが出来れば、生存確率を上げられる筈だ。
これこそ、俺が考案したパーフェクトプラン。
そう信じて、意気揚々と探索していたのに。
「おい。テメェが俺を連れ去ったクソ野郎か? 舐めた真似しやがって……!」
今、俺は……見覚えしかないトサカ頭にぶん殴られそうになっている。
遮蔽物や、隠れる場所は皆無。
怒り心頭といった表情を浮かべる奴は、ポキポキと拳を鳴らしながら距離を詰めてくる。
確かに、他のプレイヤーと会いたいと言った。
積極的に動き、探し回ったりもしたさ。
けど、トサカ頭とは会いたくなかったよ!!
暴力的で、交戦的で、性格も悪い。
デスゲームに乗り気でいるコイツは、俺が求めている人物像と真逆じゃねぇか!!!
「下手な真似すんじゃねぇぞ。大人しくしてりゃ、速攻で終わらせてやるからよ」
しかも、コイツ、俺を誘拐犯だと思い込んでる!
殺意剥き出しで、ボコボコにしようとしてる!!
……いや、待て。
落ち着いて考えろ、俺。
この状況は、むしろチャンスなんじゃないか?
見たところ、トサカ頭は素手。
銃を始めとした武器を持っていない。
確かに奴は筋肉ムキムキであるが、パンチ一発で人を殺せる化け物には見えない。
つまり、ここで俺が敢えてぶん殴られれば……戦闘禁止を破ったニワトリ野郎は死ぬ。
ノリノリでデスゲームに参加するプレイヤーを、手を汚さずに排除できるのだ。
これぞまさに天啓。
賢すぎて、自分の頭脳が恐ろしい……。
「歯ァ食いしばれッ!」
「ひぃぃいい!! 許してくださいいぃ!!!」
殴りかかってくるトサカ頭の拳を、瞬時に土下座することで回避する俺。
やっぱり、大人しく殴られるなんて無理だ。
怒り狂う奴の顔が怖すぎる。
殺された時の恐怖がフラッシュバックしたのと、もう一つだけ理由があって、つい回避してしまった。
「お、おおお、俺は誘拐犯ではありませんよ。ほらっ! 見てください、俺の首輪! あなたがつけてるものと全く同じ! 俺も、ゆ、誘拐されたんです! 貴方と同じ立場なんですぅ!」
「たしかに、同じだな……誘拐犯が被害者と同じ首輪をつけるなんて、バカな話はねぇ…のか?」
とにかく必死に弁明する。
すると、トサカ頭は考え込む素振りを見せた。
その姿を見た俺は、追撃と言わんばかりにデスゲームについて話す。
近くに置いてあったスマホにルールが記載されていること、初日は戦闘禁止であることなど。
自分の身を守るために提供できる情報は惜しむことなく提供し、所持していた銃も差し出す。
まさに、忠犬ハチ公を超える尽くしっぷり。
我ながら気が狂ってるとしか思えないが、この時の俺は正常な判断が出来なかった。
トサカ頭に殺された体験がトラウマになっており、思考する余裕は微塵もない。
そうして、あらゆるものを献上した結果。
「デスゲーム……か。随分と趣味の悪いお遊びだぜ。それにしても、お前のお陰で色々と腑に落ちた。懇切丁寧に教えてくれて、サンキューな」
トサカ頭の機嫌を取ることに成功した。
出会って早々ぶん殴ろうとしてきた姿とは真逆の、屈託のない笑みすら浮かべている。
これで、取り敢えずは一安心。
危害を加えられる心配は無いだろう。
後は……自然な流れで別れるだけ。
殺人に対する忌避感が薄いトサカ頭と行動するなんて論外中の論外。
癇癪を起こして殺される可能性が大なので、命がいくつあっても足りない。
当初の目的を果たすためにも、他のプレイヤーを探しに行かなくては。
そう考えて、言葉を発しようとした俺よりも先に、トサカ頭が口を開く。
「よし、決めた」
「な、なにを、です?」
「お前、俺と組め。2人で力を合わせて、クソッタレなゲームを生き抜こうじゃねぇか」
「………………え」
当然ながら、拒否権などない。
このような経緯を経て、俺はトサカ頭と行動を共にすることになったのである。
「兄貴と出会えたのは幸運でした! ささ、お荷物をどうぞ。持たせていただきますよっ」
「中々気が効くじゃねぇか。このゲームをクリアしたら、俺のチームに入れてやってもいいぜ」
「いやいや、恐れ多いっすよ……」
そして、俺はトサカ兄貴に気に入られた。
探索の最中にデスゲームに関する話題のみならず、お互いの身の上話をする程度には仲良くなってしまったのである。
三下の
チンピラの好感度上げなど、造作もない。
因みに、トサカ兄貴の苗字は
名前は教えてくれなかったので分からないが、トサカ兄貴は本当にトサカ兄貴だったのは分かった。
年齢は俺の一個下の19歳で、職業は暴走族の総長。
暴走族は職業ではないだろうというツッコミは、機嫌を損ねたくないので止めといた。
趣味は筋トレと、何でもありの喧嘩。
刃物を持って喧嘩を挑んでくる相手を、素手で叩きのめしてやるのが堪らないそうだ。
体にはド派手な入れ墨があり、反社との繋がりがあるかもしれないと俺の中で話題になっていて。
……うん。
わざわざ言うまでもなく、トサカ兄貴は危険人物。
日常生活では、絶対に関わり合いになりたくないタイプの人間である。
「おっ、この缶詰そこそこ美味ぇぞ。コウヘイ、お前にも少し分けてやるから来い」
「いいんですか? それじゃあ、頂きます!」
だが、仲間として接してみると、トサカ兄貴は気立ての良い青年であった。
探索中、俺がヘバる度に休憩時間を取るなどの細やかな気遣いをしてくれる。
長時間の探索で目立った成果が上げられなくても怒らず、今も食べ物を分けてくれたり。
前回のゲームで俺をぶっ殺したトサカ頭が、一緒に行動しているトサカ兄貴と同一人物とは思えないくらいには優しいのだ。
もしや、こいつ、実はいい奴なんじゃ……いやいや、冷静になれ。
大人しそうに見えて腹黒のサラちゃんと、前回のゲームで殺された事を忘れたのか?
簡単に絆されず、注意深くならなければ。
二度も騙されるのは、ゴメンだからな。
「俺が見張っといてやるから、先に寝とけ」
「ありがとうございます。おやすみなさい兄貴!」
先ほど述べた通り、1日目の探索で得た目新しい成果はほぼ無い。
手に入れたのは、食料と水。
それと、バールのようなものだけ。
他のプレイヤーと会うことも無かった。
二週目なのに無能すぎるだろ、と自分でも思う。
しかし、今回は前回と一味違う。
以前のゲームにて、トレジャーボックスの付近で待ち伏せされた経験を活かし……なんと、今回はトレジャーボックスが置いてある学校の屋上へと続く階段近くで寝泊まりしているのだ。
こうすることで、他プレイヤーによる待ち伏せを未然に防げる上、翌日に配信されるお知らせを見た瞬間にボックスを確認すれば、中身の横取りもされないって寸法よ。
いやー、我ながら天才的な作戦である。
トレジャーボックスの中に入っているのは一体何なのか、ワクワクが止まらないぜ。
2日目
◇
お知らせ
右も左も分からないプレイヤー様への贈り物として「トレジャーボックス」の鍵を開錠しました。
ボックスの数には限りがあり、早い者勝ちとなっております。
お宝を探し当て、ゲームを有利に進めましょう。
皆様のご健闘をお祈りします。
◇
前回と同じ時間に、同じ内容のお知らせが届く。
ワンチャン内容が変わってるかもしれないと思っていたが、杞憂に終わって良かった。
本当に死に戻り、様々である。
「明日になったら黒い箱が開く……お前の予想的中だな。流石だぜ、兄弟」
「へへへっ。お褒めに預かり光栄です、兄貴。早速中身を確認しましょう!」
トレジャーボックスの扉に手をかける。
中に入ってるアイテムの正体は、何だろう。
アサルトライフルとか、グレネードとか。
そういった強力な武器でお願いします……と、心の中で呟いた俺の期待はすぐに裏切られた。
「んだこれ……SDカードって奴、か?」
かなり大きい箱の中央に置かれていたのは、ちんまりとしたSDカード4つ。
「通常マップ」と書かれたものと、「移籍権獲得条件」と書かれたものが二つずつ入っていた。
正直、期待外れだと思う。
「なんか、思ってたのと違いますね」
「そうか? まぁ、スマホに入れられるみたいだし、早速使ってみようぜ」
トサカ兄貴が手渡してくれた2枚のSDカードのうち、通常マップの方をスマホに挿入する。
すると、一瞬で終わったダウンロードの後、ホーム画面に「マップ」アプリが追加された。
タップしてみると、自分の現在地の表示を中心にエリアが細かく映し出される。
俺達が居る学校を始めとした建造物のフロアの構造も確認できる他、トレジャーボックスの位置と侵入禁止エリアも確認できる。
更に、主要な建物や特定のエリアの名称が表示されるなどなど。
どれもこれも、便利な機能ばかり。
初めから実装してくれれば、もっと探索が楽になっていたと断言できる。
次は、移籍権獲得条件のSDカード。
読み込ませてみると、「ルールアプリに移籍権獲得条件の項目が追加されました」という表示が出てくる。
もちろん、これも即タップ。
◇
移籍権獲得条件
1つのグループにおける定員は3名とする。
Dグループのプレイヤーを殺害すると、所属グループに関わらず、移籍権を得ることができる。
・Aグループに所属しているプレイヤーが、他グループへの移籍権を獲得するための条件
他プレイヤーが所有するスマホ3台を破壊する。
しかし、Dグループに所属しているプレイヤーのスマホを破壊した場合、そのプレイヤーは殺害される。
・Bグループに所属しているプレイヤーが、他グループへの移籍権を獲得するための条件
同一グループのプレイヤーを殺害する。
・Cグループに所属しているプレイヤーが、他グループへの移籍権を獲得するための条件
12時間以上、一緒に行動したプレイヤーが死亡する。
自らの手で殺害する必要はない。
・Dグループに所属しているプレイヤーが、他グループへの移籍権を獲得するための条件
スマホ5台の収集。
プレイヤー8名の死亡。
24時間以上、一緒に行動したプレイヤーが、ゲーム終了1時間前まで生存する。
◇
これは酷い。
まず、このデスゲームでは、最大3人しか生き残れないってのが判明したのが酷い。
メインとなる移籍権に関しても、A・B・Cのどれも酷い条件だが……特に、Dがむごい。
A・B・Cの条件を雑に組み合わせたって感じの、クソみたいな条件だとか。
加えて、Dのプレイヤーを殺せれば、移籍権が手に入っちゃうだとか。
これらの条件を考えたデスゲーム運営は、人の心とか無いんか?
もし、俺がDグループだったらと考えると、心の底からゾッとする。
生き残れる気が全然しない……。
「なぁ兄弟」
「あっ、はい。なんでしょう」
「グループ、何だったっけ」
「えっと、確か……俺は「A」ですよ」
「BやCじゃねぇのか。お前、運良いのな」
まぁ、確かに。
スマホを集めるだけでいいAの条件は、人の死が関わるBやCと比べると楽ではあるかも。
ぶっちゃけ、よく分からん。
「それじゃ、さっさと行くか。モタモタしてると、他の奴らにトレジャーボックスを開けられちまう」
「りょ、了解っす!」
「良い返事だ。頼りにしてるから、これからもよろしく頼むぜ……兄弟」
予想外だったトレジャーボックスの中身。
そんな事よりも。
先程、俺のグループを確認した時、トサカ兄貴が見せた……感情が篭ってない目。
こちらを値踏みするような冷たくて鋭い眼光が、頭に残って離れなかった。
感想や評価など、是非お願いします。