ニシキから改造人間による世界征服計画、そしてゆかり自身も改造人間であることを知らされ、ゆかりはニシキと戦う決意を固めた...
という所からスタートします
(と、啖呵を切ってみましたが、実際の所勝てるかどうかで言えばそれはほぼ不可能でしょう...。最悪は____。)
ゆかり自身、自分は他人と異なる力を持っているということには気づいていた。あの事故で手術を受けてからというもの、異様なほどに耳がよくなり、身体能力も向上した。3キロ先の子供の鳴き声を聞き取って迷子探しをしたこともある。ジャンプをすれば学校の校舎の4Fまで届き、100メートル走では8秒台を出したこともあった。
自身はそういう形の異能力者であると思っていたが、それにしては身体能力が異常に高かった(これほど強力な身体強化の異能力は前例がなかった)し、異能力を目覚めさせるパワーストーンに触れたような記憶もなかった。
その力を気味悪がられ、ゆかりは小学校で孤立した。酷い時には女子にグループ活動の班決めで露骨に仲間外れにされ、男子に石を投げられたこともある。
そうした経験から、中学校以降では能力を極力隠しつつ、人と極力関わらずに生きることにした。
しかし、例外もいた。弦巻マキと紲星あかりだ。彼女達は常に一人でいたゆかりのことを気にかけ、何度も接触を試み、ついに彼女の心を開かせたのだ。いつからか、ゆかりにとって彼女らの存在は自身の孤独を癒してくれたかけがえのない友人になっていた。
そのかけがえのない友人を失うわけには、いかない。
「ほう、貴方はこの私に立ち向かおうというのですか。実に面白い。ですが、私は蛇。貴女のような“兎”を狩る存在。どちらが勝つかは、火を見るより明らかでしょうに。いいでしょう、全力をあげて、“狩らせて”いただきましょう...!」
「ゆかり先輩っ!」キャッ!
直後、ニシキはあかりたちの拘束を解き、拘束に使っていた大蛇を全てゆかりへと向かわせる。
「あかりさん達は私がコイツを惹きつけている間に早く逃げて!」
ゆかりはそういうと高く跳びあがり、蛇たちの突進をかわした。
あかりは一瞬動揺したが、すぐに察したのか
「ッ...!分かりました...!その代わり絶対に死なないでくださいよ!?
ゆかり先輩とまた生きて会えるって、信じてますから!」
といい、駆け出していった。
「人質はもういいんですか?」
蛇をジャンプでかわしながらゆかりが問う。
「貴方が私の提案を蹴った以上、もう必要のないものですから。
それに、あの程度の一般人風情、貴女を殺した後でいくらでも痛めつけることができますし」
「やはり貴方は私を苛立たせる存在のようですね、貴方を倒さなければならない理由が1つ増えた気がします」
そう言いつつ、ゆかりは後ろへと跳び続けてさらに向かってくる蛇をかわし、あかりが逃げた方向と逆方向の道へとニシキを誘導した。
「逃げるだけではどうしようもありませんよ?」
(彼の操る蛇の数が多すぎる、ただのジャンプと蹴りだけでは捌ききれない、足を取られれば確実にやられる...!)
しかし、彼女は1つ大きな過ちを犯していた。彼女が誘い込んだ道の先には超高層ビルが存在した。つまりは行き止まりだったのである!
「おやおや、どうやらこの先は行き止まりのようですね。貴女ご自慢のジャンプでもあのビルは越えられない。よって、この攻撃は避けられない!」
そう言うと、ニシキは頭から生やした大蛇を素早く操り、ボクサーがラッシュを繰り出すが如くゆかりへ怒涛の連続攻撃を加えた!
「ぐ、グハァッ」
攻撃をまともに喰らったゆかりは、その反動で吹き飛ばされ、ビルの入り口のガラスを突き破り、壁に叩きつけられると倒れ込んでしまった。その衣服はボロボロで、さらに体のあちこちに痣ができ、腕や足は流血すらしていた。
「...勝負あり、ですね。」
ゆかりが開けた穴を潜ってニシキがビルの中へと入ってくる。
その声を聞き目を覚ましたゆかりは非常階段を使って上層階へと逃げた。
(次に同じ攻撃を受ければきっとこれでは済まない、早く攻略法を見つけなければ...!)
「機械室...?もしかして...!」
5階の踊り場にあった機械室、その部屋の中には、災害時用の瓦礫の破壊用のチェーンソー、レスキューソーが保管してあったのだった!
「これなら...!」
「逃げても無駄です、大人しく出てきて私に歯向かったことを恥じれば、私の下僕くらいにはしてあげましょう!」
血痕の跡を辿り、5階の大部屋の1つに辿り着いたニシキがそう言うと、
ゆかりは「これを見ても同じことが言えますか?」とチェーンソーを構えた。
それを見たニシキはそれまでの余裕綽々といった態度を変え、乱暴な口調で「チッ、このアマ...こっちが手を抜いてやってたのをいいことに図に乗りやがって..!」と大蛇をゆかりへと一直線に向かわせた。
ゆかりはチェーンソーを起動させると、チェーンソーの刃を蛇の頭へと当て、一気に切り裂いた!
「ギェエエエエエエーーー!!!!!」ニシキの絶叫がビルの一室に響く。
頭を失った大蛇の断面からは血が流れ出し、胴体はニシキの頭から力無く垂れるだけとなった。
(あのアマ、躊躇なく大蛇の頭を全部落としやがった、大蛇は1月もすればまた新しく生えてくる、ここは撤退し、形勢を立て直す...!)
ニシキは部屋のガラスを突き破り、窓から飛び降りた!
「逃しません!」
ゆかりもそのあとを追うようにして窓から高く跳躍し、そして、
「まだ追ってきやがるのか!?クソッ、空中で身動きができない...!」
「これで、終わりです。ハアーッ!!!」
ニシキが最後に見たのは、満月を背にした
「覚えていなさい結月ゆかり、私を倒したことで、貴女は改造人間のほぼ全てを敵に回したのです!私の同志たちが、貴女達の命を狙い続けるのです!
果たして貴女は1人で大切なものを守り切れるんでしょうかねぇ!?
ハーッハッハ、ハーッハッh...グハァーーーッ!」
直後、必殺のキックを受けたニシキはそのまま地面へと叩きつけられ、その上に結月ゆかりも着地した。
ニシキはすでに絶命しており、その亡骸はどんどん灰に変わっていく途中であった。
「どうにか、勝ったみたいですね...」
辛勝を掴んだゆかりであったが、その心境は複雑であった。
「これから、あのニシキのような連中が私達を狙ってくることになる...
私は、私の大切な人たちを守らなくてはならない...。
そのためには、もっと強くならなければ...」
そうゆかりがつぶやいていると、遠くから誰かの足音が聞こえてくるのを感じた。
「異様な音を聞いて来てみましたが、すでに事は済んでいたみたいですねぇ...
ゆかりさん!?」
「ずん子さん!?というか何故貴方があの怪人のことを知ってるんですか!?」
...つづく
と言うわけで初戦闘回でした。戦闘シーンを書くのは難しいです...
これで序章的な部分は終了です。
怪人もとい改造人間について何か知っていそうな転校生、東北ずん子。
果たして彼女は何者なのでしょうか...?