なにがなんでも一番を! 作:スコスコのすこ
アタシは誰よりも一番で居たかった。理由はなんだったか。確か幼い頃に地域の小さいレースで負けたことから一番に固執するようになった気がする。
才能と呼ぶべきか今までは一番が当たり前だったしそれでチヤホヤされるのも当たり前でしかなかった。
だから初めてウマ娘同士で走ったときもアタシが誰よりも早かった。正直、幼いながらも自分の才能は良くわかってたし負けるなんてことは頭になかった。
だから六年生の最後のレースで負けてたのが信じられなかった。だってレースでアタシに勝った子はいつもアタシが余裕の差をつけて勝っていたからだ。けど、負けた。生まれて初めて負けた。悔しさと同時に自分に対して怒りが沸いてきた。あんな泥臭く貪欲に勝利を掴んだのに対してアタシはどうだ?どうせ勝てるから。負けないから。そうやって慢心をしてたから…負けた。腸が煮えくりわたるようだった。胴上げされてるあの子を見てアタシは心の中で誓った。もう絶対に油断も慢心もしないと、そして今度は全力であの子を倒す
そう、誓った。
数ヶ月後
私に勝ったあの子は交通事故で走れなくなってしまった。
「あはは、ごめんね。スカーレット。走れなくなっちゃった…」
「私ってばトロくてさ、車より早く走れる筈なのにね、」
「うん、トレセンはもう無理かな、」
「そんなことないって?何言ってるの…!私はもう走れないんだよ?!歩くことさえままならない!やっとっ!やっとっ!君にひと泡ふかせたのに!きっと全力の君に勝つんだってそう思ってたのに!…もう帰ってよ、こんな姿、君に見られるのは辛いよ…」
アタシは色んな感情でぐちゃぐちゃになりながらも病院を出た。
「_____ちゃん、もう走れないんだって!車にひかれるってトロすぎだよね!」
「ね!てかそもそも_____ちゃんがスカーレットちゃんと仲良く話してて生意気だったしじごーじとくってやつだよね!てかそんなトロいんだったらスカーレットちゃんに勝ったのもなんかしてたんじゃない?」
「確かに!絶対そうだよー!」
アタシはもう耐えられなかった。あの子はそんなことしない。知恵を振り絞ってアタシに勝ったんだ。それを侮辱するんだったら…!
「…その足はそんなことするための足なの?」
っっ!?
「ねぇ、私は聞いてるの。その足はそんなことするための足なの?」
誰だか知らないけど…!アタシはあの子を侮辱したあいつらを許せない!
「はぁ、自分勝手。じゃあ質問を変えるわ。それであの子は納得するの?」
それはっ!…
「自分勝手にあの子の為とか言わないで。わかってるでしょ。あの子が望むことなんて」
「っ!…アタシは!ダイワスカーレットは一番になる!あの子が侮辱されないように!あの子はこのアタシに勝ったんだって!世界にっ!見せつけたいっ!!」
「そう…名乗り忘れていたわね。私の名前は麗香。今年の春から中央のトレーナーをすることになってる。…あなたが望むのなら一番になる手助けをさせてほしい。」
…正直初対面でこんな信用するなんてアタシもあり得ないと思う。けどこの人は信用していいって思っちゃってる。だから…
「当たり前よっ!!アタシをこんな焚き付けたんだからっ!…信じていいんでしょ?」
「安心しろ。私の全てをかけてでも君を一番に導こう。」
「てか麗香って名字も教えなさいよ。」
「…名字なんてなんでもいいでしょ」
「なら担当降りるわよ。」
「…左衛門三郎 」
「ぶはっ!なによその名字!そんなのあるわけないじゃない!」
「…」免許証ッス
「…ごめんなさい」
左衛門三郎 さえもんざぶろう 名前みたいな苗字ですが実在するみたいです。ウケますね