これからはこの連載だけでなくアナザーin黒子編も、今までよりまともなペースで進めて行けると思います!
「ただいま~」
『1番人が寄ってきそうだから』という理由で、大量にビラを持たされていた両手を漸く空にした真白がバスケ部のブースに帰ってきたのは、期待の新入生――火神大我が去って行った後のことだった。
「ちょっと真白君、今までどこ行ってたの?!にへーっと笑ってる場合じゃないわよ!!」
「あれ、俺誰の命令でビラ配りさせられてたんだっけ……」
「諦めろ。今カントク混乱してっから」
「それは見れば分かるけど……何かあったのか?」
聞いてみれば、何とアメリカ仕込みの大柄な青年と、帝光中出身の1年生が入部届を出していったらしい。もっとも、後者の姿は誰にも目撃されていないそうだが。
「火神大我と黒子テツヤねえ……ん?黒子テツヤ?」
「え、ひょっとして知り合いか?」
「さっきちょっとね。何だ、黒子君もバスケ部だったのか。ふふ」
「ちょ、それって帝光出身の新入生に会ったってこと?どんな子だった?!」
「あ、それ俺も気になる!」
「うーんと…………大人しい不良?」
「「「「「……は?」」」」」
「だって髪の毛水色だったし。でも話しかけてみたら凄く礼儀正しくて、びっくりしちゃったよ。本の趣味も合いそうだし。あ、あと物知りでな、」
「あーうん、やっぱりもういいわ。うん、真白君はそういう人よね」
「あれっ、何だかもの凄く不本意なところで何かを諦められたような気がする」
「気のせいじゃねえから安心しろよ」
「解せぬ」
「まー何にせよ、今年の1年は大いに期待できるわ!今年こそインターハイもウィンターカップも、
「今年も楽しくバスケができるといいなあ」
「…………人の闘志を削がないでよ……」
相変わらず闘志や敵愾心といった物騒な感情とは無縁そうな呑気さで、にぱーと笑う男子生徒。こんな無害そうな人間が誠凛のピンチヒッターだというのだから、真白アンリという人間は中々どうして侮れない。
「俺もこのチームが好きだし。半分はマネージャーみたいなもんだけど、1年に負けないよう頑張るよ」
そう言って桜の舞う中で微笑んで見せた真白は――――――次の瞬間、勢いよく血を吐き出した。
「ゴファァッ!!!」
「おーい、真白がまた血ィ吐いたぞー」
「日向ー、ゲロ袋ってどこに置いといたっけ?」
「そこの机の横に掛けといただろ。おい真白、いつも持ってるタオルと造血剤何処だ」
――目の前で美青年が吐血するというショッキングな出来事が起こったにもかかわらず、彼の仲間たちはテキパキとその始末を開始する。バスケ部全員、実に冷静であった。
「いつものことながらすんごい光景よねー……もう慣れたけど」
「悲しいことにな」
ここで誰1人救急車すら呼ぼうとしないのは、これがバスケ部どころか誠凛高校全体にとって日常茶飯事の出来事だからである。この真白アンリという青年は、自他ともに認める「超虚弱体質」なのだ。
外周を走れば酸欠で気を失いかけ、新型の病気が出回れば100%罹患し、何もなくても1日に最低3回は血を吐く。彼をよく知らない生徒は特に最後の様子を見てパニックに陥るのだが、暫くすれば他の生徒たちと連携して冷静にビニール袋やタオルを持って走り寄ってくるようになる。慣れとは恐ろしく、今まで新設校である誠凛には1学年分しか人数がいなかったことも相まって、もはや彼の看護は誠凛生たちにとって日常の一部と化していた。無意識のうちに看護師としての素質に日々磨きがかけられていることに(特にバスケ部)、残念ながら彼らは気が付いていない。
――――――――それでも、頼りになる存在であるのは確かなのだ。多分。
唯の爽やか系イケメンだと思った?残念、貧弱でした!