貧弱でも勝てます   作:砂糖鯨

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展開が遅くて申し訳ないです。変なところでオリジナル要素をぶっこむからこうなるんですかね。



貧弱でも言い当てます

「ありゃ、火神君だ」

 

 席に荷物を置いた後黒子に声を掛けてトイレに行っていた真白は、そこから出てくるなりそんなことを呟いた。

 

 初日の部活を終えた火神大我は、学校近くのマジバーガーの店舗を訪れていた。そこで慣れたように大量のチーズバーガーを購入し、他の客が目を剝いて彼のトレーを凝視する中を歩く。周りからの視線も気にすることなく、彼自身は今日他の部員から聞いたことを思い出していた。

 

(「キセキの世代」ね……そいつらならもしかして……)

 

 ――自分の望む、燃え滾るようなバスケができるのではないか。

 そんなことを考えた時、「ありゃ、火神君だ」と何ともその闘志を削ぐような、気の抜ける呼びかけが聞こえてきた。

 背後からのその言葉に反応した火神は、「あ?」と何ともガラの悪い声を発しながら振り返る。そこには、部活で見かけた上級生らしい男が立っていた。他の部員たちに自分以上の実力を持っていそうな人間はいなかったので、大して興味もなかったのだが、奇抜な髪型などから辛うじて記憶の片隅に引っかかっていたのである。てっきり不良か何かかと思っていたのだが、目の前の男は実に人畜無害そうな笑顔をにぱーと振りまいていた。

 

「こんばんはー」

「……どーも。つか、アンタバスケ部の、」

「はい、誠凛バスケ部の真白アンリです。というか覚えてくれてたんだね、ありがとう」

「や、別に……」

「何か部活中ずっとつまんなそうな顔してるように見えたから、てっきり周りに興味ないのかと思っちゃったよ。酷い勘違いしてごめんねー」

 何気なく爆弾を落とした彼に内心ドキリとする火神だったが、相手は鎌をかけた風でもなく本当に申し訳なさそうに眉を下げている。動揺を押し隠しつつも気にしていないと告げると、そっかー、と今度は叱られた子供が親に許しをもらったような、安堵の滲む笑顔を浮かべた。くるくるとよく表情の変わるその様子は、正しく幼い子供のようだ。

「あ、今1人かな。良かったら俺達と一緒に食べない?そこの席なんだけど」

「は?俺『達』って、そこの席には誰も……ぐおっっ!?」

 

「どうも。……育ち盛りですね」

 

 火神のトレーにこんもりと乗せられたバーガーの山を見てややずれた感想を漏らしたのは、彼がある意味唯一気にしていた人間――黒子テツヤだった。

 

「どっから……つか何やってんだよ!?」

「ずっと座ってましたよ。人間観察してました。あと、そこに座られると真白先輩の席がありません」

「あ!っと……スンマセン、今どきます」

 実際には座ったのではなく椅子に手をかけただけだったのだが、火神はその位置を真白に譲ろうとした。確か日本では、こういった時年上の人間を立てるのが常識だったはず。頭の片隅からそんな知識を引っ張り出していた火神は、そもそも元来不器用ながらに優しい性格の持ち主である。他の席へと視線を走らせ始めた火神を止めたのは、その真白本人だった。

 

「いやいや、俺が誘ったんだから火神君はそこに座っといてよ。俺、ここのお誕生日席に座っちゃうからさ」

「あ、あざっす」

「先輩、それならこの椅子どうぞ」

 使われていなかった隣の席から椅子を1人分拝借してきた黒子が、真白にそれを手渡した。彼がそれに礼を言って着席したことで、結局3人でテーブルを囲む流れになってしまった。正体不明の同級生と先程自分の内心を言い当てられたばかりの上級生に挟まれ、正直火神にとっては中々に気まずい状況である。が、そんな彼の心境を知らない2人の空気は何とも和やかなものだ。

 

「黒子君、そこのサラダと野菜〇活とってー」

「はい、どうぞ。……先輩は野菜がお好きなんですか?」

「ありがとう。……うーん、好物ってほどでもないけど、美味しいとは思うかなあ。俺ファーストフード食べ過ぎるとすぐにお腹壊すから、ちゃんとしたご飯じゃなくて軽食の時は大体頼むのもこんなもんだよ。あんまり量も食べられないし」

「ああ、それは分かります。中学時代の部活の合宿でも、大量の食事を詰め込まされて……何で皆、あんなに沢山食べられるんでしょう」

「分かるー」

 

 女子高生か。そう突っ込みたくなるのを堪えながら目の前のチーズバーガーを貪っていると、「そういや黒子君って、中学は帝光出身だったんだっけ」と真白の何気ない一言が火神の耳に飛び込んできた。それにつられて顔を上げると、正面に座っていた黒子の姿が視界に入る。

 

 男子高校生にしては体の線が細く、また体格も火神や他のプレイヤーたちに比べれば随分小柄だ。誰の目から見ても、中学バスケ界で日本一の学校でレギュラーを張っていたプレイヤーには見えないだろう。実際、部活動中に彼の能力値を見たリコは、その全ての能力が平均以下、加えてそれらが既にほぼ限界値であることまで見抜いていた。とても「キセキの世代」と肩を並べてバスケをしていたようには思えない。

 しかし、寧ろその得体の知れなさが火神の本能に何かを訴え、警戒心を掻きたてる。

 

「それにしても、火神君随分食べますね」

「俺もチーズバーガーいっぱい食べたらムキムキになるかな」

「多分それ関係ないと思います」

「切実に筋肉が欲しいんだよ……あっ、ダブルバーガーならいけるかな?」

「そういえば火神君、沢山食べてましたけどこの後晩御飯とか大丈夫ですか?」

「え、無視?」

 

 

 

 

 

「……………………それより、このあとちょっとツラ貸せよ」

 

 霧散しそうになる警戒心を必死でかき集め、火神大我は何とかそう言い切って見せた。大体真白のせいである。

 

 

 

 

 

 

 

 




信じられるか……?これでまだ原作第1話の半分も行ってないんだぜ……
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