歴女JK謀神の子供を産む   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1506年 松寿丸様スーパーに行く

 私が転生? 戦国の世に来てはや2ヶ月……私は松寿丸様に夜は未来の勉強を教え、昼は杉殿に礼節や戦国の世の常識を教えてもらい、時には買ってきた世界の合戦についての本で合戦の研究をしたりもしていた。

 

「世界地図というのを見たが、日ノ本は小さいな……中華には負けるが大国であると思っていたが……」

 

「ええ、小さい島国が日ノ本です。で、現在世界の覇者と言われているのがスペインとポルトガルでここの領土を領有しております」

 

 志道広良も交えて世界地図を見ながら、現在の世界情勢を大航海時代について書かれた本を片手に説明する。

 

「南蛮……いやポルトガルやスペインという国の航海技術であれば日ノ本にいつかは到来するのであろう?」

 

「はい、ただポルトガル人が来日するのは今から約30年は後の話になりますので今は良いでしょうが……注目すべきなのは南蛮人から購入した銃という武器です。未来だとこの武器は進化し続け、庶民では購入することができない代物となってしまっていますし、技術が進み過ぎて再現も不可能になっています……中華で鳥銃という火縄銃の元となる物はありますが、毛利独力で入手することは困難でしょう」

 

「うむむ……そう簡単に戦局を打開できる兵器は作れないのじゃな」

 

「いや若殿、南蛮人が火薬を使って武器を作り、勢力を広げたというのは大きな事象です。火薬の研究をしていて損は無いのでは無いでしょうか」

 

「彩乃、作り方とかはわかるのか?」

 

「ええ、未来では少し調べれば作り方がでてきますが、戦国の世で作るには最低5年はかかるのですよ」

 

「5年もかかるのか……難しいのぉ」

 

「我としては巨大帝国を築いたローマ帝国、モンゴル帝国の話を聞きたいのだが」

 

「えっと、ローマ帝国の最大領土がこれくらい、モンゴル帝国はこれくらいですな」

 

 私は領土を示す囲碁の碁を置く。

 

 世界地図も合わせればだいたいの領土がそれでわかる。

 

「巨大な領土じゃな……ローマ帝国は数百年続いたんじゃろ? どうやって巨大な領土を維持したのじゃ?」

 

「法律等の政治力、技術力、軍事力……これらが他の国に比べて突出していたからになりますね。簡単に言うと……」

 

 私はローマ帝国陸軍の強さは兵站と密集陣形による物、モンゴル帝国は騎馬による機動力による物であるが、山岳地帯が多い毛利周辺領土で参考になるのは個の精鋭化であると私は考えた。

 

「個の精鋭化……それは何処の国でもやっていることでは無いのか?」

 

「いえ、私が言いたいのは領主が直接軍権を持つ常備兵という制度です」

 

 織田信長がしたと言われてきた銭で次男、三男以下の男子を雇って直属の常備兵にした……という話を毛利でもできないかと言う話である。

 

「それには膨大な銭が居るのと、家臣が猛反発しそうじゃな」

 

「家臣からは支持されなさそうですなぁ」

 

 松寿丸様も志道様も難しいと顔を顰める。

 

 毛利家が全く中央集権ができていないし、守護大名の様な権威も持ち合わせていないため、当主であっても自由に動かせる金だったり、兵数は限られている。

 

 それ以前に毛利家は金が全く無い貧乏国人である。

 

「軍事については置いておいて産業の話をしましょうよ!」

 

「未来の米を育てることはできぬのか? あの美味さであれば普通の米よりも高値で売れると思うが」

 

「そうなると未来の農法を農民達にしてもらう必要があります。そして未来の農法を教える人員と肥料を確保する必要もあります」

 

「難しいのぉ」

 

「難しいのですよ……」

 

 織田信長であれば愚連隊という人員がある程度居るし、尾張の商業が盛んな地域なので金を集める事はある程度できる。

 

 しかし、松寿丸様は織田信長みたいに家督を継ぐ人物ではなく、あくまで次男なのと、松寿丸自身が幼少の為指示しても動いてくれる可能性も低く、しかも管轄する領地も広くない。

 

「今できることは地道に勉強することくらいですね」

 

「そうじゃな……」

 

 そう簡単に産業チートはできなそうである。

 

「我はそうですなぁ……商人との繋がりを作りましょうか。彩乃殿が未来から品物を持ってきても売れる商人が居ないのでは話になりませんからな」

 

「そうじゃな。広良頼む」

 

「はい、若殿」

 

 とりあえずその日の雑談は終わり、勉強の続きをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 松寿丸様は2ヶ月程度で小学校2年生までの教科書を読み終わり、漢字ドリルも200文字を覚えることが出来た。

 

「カタカナもある程度覚えることが出来た。今日はそんなカタカナがいっぱいあると言うスーパーなる食料を取り扱う店に連れて行ってくれると言うが……」

 

「はい! 準備しておりますよ!」

 

 私は松寿丸様と一緒に未来のスーパーに来ていた。

 

「自動ドアじゃな! 覚えたぞ!」

 

 自動ドアも驚かなくなったが、中に入り、私がカートを持ってくる。

 

「家具の店にもあったのぉ……これはなんじゃ?」

 

「これはカートと言う品物を入れる籠を手に持つと重たいので、籠を押して動かせるようにした物です」

 

「ほほう……」

 

 私がカートを押すとガラガラといってカートが動く。

 

 カゴを乗せて、店内に入ると果物が沢山陳列されていた。

 

「おお!? 果物が沢山並んでおる! これはなんと言う果実じゃ?」

 

「これはみかんですね。天竺近くが原産地で、戦国の世で流れてくる果実になります。少し先の日ノ本で沢山栽培されて特産品になるのですよ」

 

「ほほう……そうなのか……こっちはなんじゃ」

 

「りんごですね。これは戦国の世が終わって250年近く先になってから世界地図で見せたヨーロッパから伝来した果物になります。りんごを毎日1個食べていれば医者が要らないと言われるくらい栄養が豊富な果実なのですよ」

 

「栄養は体を作っている素と聞いていたが、詳しく知りたいのぉ」

 

「健康を保つには知っていて損は無いと思いますよ。色々食べれば力持ちにもなれますし!」

 

「そうかそうか! ……これは柿じゃな! 見慣れた果実もあってホッとしたぞ」

 

「はい、じゃあこちらも知っているのでは?」

 

「おお、梨じゃな! 確かに見知った果実じゃな!」

 

 カゴの中に果物を入れていく。

 

「ネギがあるのぉ、こっちは芋じゃな」

 

「長ネギと里芋ですね」

 

「知らない作物ばっかりじゃな」

 

「人参、ジャガイモ、玉ねぎ……確かに知らない作物も多いですね」

 

「むむ、こっちのつるんとした灰色の物はなんじゃ」

 

「コンニャクですね。コンニャク芋と呼ばれる日ノ本でも取れる毒芋を食べられるようにした物で、腹持ちがよく、長期保存にも適しているのですよ」

 

「ほぉ……領内にもその芋がもしかしたらあるかもしれんな」

 

「そうですね」

 

 続いて横の大豆食品コーナーに移動する。

 

「これらは大豆を使った商品になりますね」

 

「ほう……油揚げというのかこれは……」

 

「今度何か一品作りましょうか」

 

「そうじゃな! 楽しみにしておくぞ……こっちはなんじゃ? 納豆……と読むのか?」

 

「はい、大豆を発酵させた物で、蒸した大豆を稲藁に入れて、3日ほど放置すると納豆になります。ご飯のおかずにも味噌汁の具にもなりますよ」

 

「ふむ、それならワシ達の世でもできそうじゃな」

 

 そのまま魚コーナーに移動する。

 

「おお、美味そうな魚が多いのぉ!」

 

「ここにあるのは殆どが海の魚になりますがね」

 

「むむ、うなぎが居るではないか……なぁ、他の魚に比べて高くは無いか?」

 

「未来だとうなぎは高級品になってしまったのですよ……川で捕まえたうなぎは泥臭いので、清水に数日浸すと泥が抜けて美味くなるのと、うなぎのタレを浸けて焼くと絶品なのですよ」

 

「ほう……あのうなぎがのぉ……」

 

「今度試しましょうよ! 私もうなぎ食べたいですから」

 

「そうじゃな!」

 

 そのまま肉売り場に行くと松寿丸様は牛と鶏は分かったが、豚という動物が分からなかった。

 

「猪を家畜化した生き物で、今度焼いて食べてみますか?」

 

「そうじゃな。牛や鶏は未来では普通に食べられていると思えても、猪であれば五畜に含まれてないから食べても平気じゃ!」

 

「ちなみにこちらは鶏の卵になります。体を大きくするのに必要なのですよ」

 

「むむ……そうなのじゃな……」

 

「では総菜コーナーに行きましょうか」

 

 総菜のコーナーに移動するとピザやお弁当、おにぎり、サラダ、等が色々と売られていた。

 

「出来上がった料理も売っているのか……凄いのぉ未来は」

 

「ここにある料理は戦国の世でも工夫すれば食べられますよ」

 

「そうなのか? このピザ? なるものは何が材料か分からぬが」

 

「小麦を粉に挽いた物で生地を作り、その上に野菜売り場にあったトマトという野菜を使ったソースに、ハムとコーンを乗せた食べ物ですので、未来で苗や種を買えば栽培することができますよ」

 

「ほほう……むむ……これはなんだ?」

 

「牛乳寒天にみかんが入った物ですね。牛乳は風呂上がりに飲んでいるあれで、寒天は分かります?」

 

「いや、わからん」

 

「うーん、ところてんは?」

 

「それならわかるぞ!」

 

「ところてんを乾燥させて粉末にした物を牛乳で溶いて固めた物がこの牛乳寒天になります」

 

「ほほう……これも食べてみたいが箸で食べられるのか?」

 

「これを食べるにはスプーンという道具が必要なのでまた今度にしましょうか」

 

「うむ」

 

 そのままレジに並び会計をする。

 

「教科書に書かれておったが、これが未来の硬貨と紙幣という物じゃな」

 

「はい、ここで会計してくれます」

 

「お会計2561円になります」

 

 私は財布からお金を受け皿に置くとお釣りを受け取った。

 

「今のでどれぐらい支払ったのだ?」

 

「だいたい250文くらいになりますね」

 

「高くないか?」

 

「戦国の世だと物の価値が今よりも低かったので賃金も低かったのですが、今普通の家だと月に25万円……1文10円計算で2万5000文くらいの収入がありますし」

 

「なるほどのぉ……じゃあ未来ではワシの300貫の領地というのも普通の民くらいの収入ということじゃな?」

 

「1貫を1000文で計算すると300万円くらいになりますから未来では庶民と同じ収入ですね」

 

「ふむふむ……未来は隨分と豊かなのじゃな」

 

「では戦国の世に戻り杉殿や志道様と一緒に果実を食べましょうや」

 

「そうじゃな!」

 

 私達はスーパーを出ると異空間を通り戦国の世に戻るのだった。

 

 

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