歴女JK謀神の子供を産む   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1506年 松寿丸様お風呂に入る

「ほぉ!? 筆の様に墨を付けなくても文字が書け、出っ張りを移動すると綺麗に消える……妖術の類いか?」

 

「この中よく見ると小さな筒になっていて、その中に磁石が入っているんですよ。磁石が浮き上がる事で文字を書いているのです」

 

「なるほど……ペンの黒い部分も磁石ということじゃな?」

 

「そうです。さすが松寿丸様飲み込みが早い!」

 

 私は松寿丸様を褒めながら風呂が沸くまで教科書を使って文字を教えていく。

 

「ふむ、この文字であればくずし字の様に読むことができない人物が減るだろうが……」

 

「現代の書物を読む時に使えれば良いので、あまり難しく考えない方が良いですよ」

 

「そうか……」

 

 ピロピロと音が鳴り、お風呂が沸いたので私は松寿丸様を連れてお風呂に入りに行く。

 

「未来の風呂はこうなっているのか……」

 

「勝手が分からないと思いますので一緒に入りますよ」

 

 私と松寿丸様は服を脱いで風呂場に入り、シャワーからお湯を流していく。

 

「おお!? お湯が噴き出した!? なんじゃこれは?」

 

「シャワーというこの管が地下に繋がっていて地下で水を熱する装置と繋がっているのです」

 

「水は何処から来ているのだ?」

 

「水道管と言う水の流れる管が地面に埋め込まれていて、それが井戸の代わりに水を各家に流しているのですよ」

 

「へぇ……」

 

 私はシャンプーを泡立てて松寿丸様の髪の毛を洗う。

 

 まだ元服前なので髪を結うことはまだされておらず、おかっぱ頭であった松寿丸様の髪の毛にシャンプーで洗うと、油分というか汚れが凄く出てきた。

 

「行水だけでは皮脂が落ちませんから髪に臭いが付いちゃうんですよね……」

 

 何度かお湯で洗い流してはシャンプーで泡立てるを繰り返していると、松寿丸様の顔色が悪いことに気がついた。

 

「松寿丸様?」

 

「これ石鹸じゃろ……凄い値の張る物なのではないか……」

 

「いえ、未来ですと庶民でも気軽に買える代物となっていますよ」

 

「そ、そうなのか……でも良い匂いだな」

 

「体に良い物とかは良い匂いがしたり、食欲が湧いてきたり、気持ちよかったりしますので、これは体に良いことなのですよ。邪気を清めると松寿丸様の時代では言うかもしれませんね」

 

「なるほど……邪気を祓うか……」

 

「お湯で流しますよ」

 

 シャワーで汚れを落としたあとは体を洗っていく。

 

 体は濡れたタオルで体を拭いていたためか汚れは酷くないが、ボディソープを付けたボディタオルで擦ると垢が少し出てくる。

 

 それも私が擦って洗い流し、お風呂に入らせると

 

「おぉぉぉ!? お湯に浸かるとはこれほど気持ちが良い物なのか……水を大量に使うのは贅沢でなかなかできんが……これは凄く良いのぉ」

 

 私も髪や体を洗いながら

 

「気を抜きすぎて溺れないでくださいよ……肩まで浸かるのが良いとされていますよ」

 

「そうなのか……おぉ、体から疲れが抜けていく感覚がする……体の中が揉みほぐされるような……」

 

「温かくなり、血管……体内の血の巡る管が広がっているのでしょう。健康に良いとされていますよ」

 

「そうなのか! そうなのか! 実に気持ちが良い」

 

 私も浴槽に入り数分後、お湯に始めて使った事で垢が浮き出し、お湯を捨てながら松寿丸様の体をもう一度洗う。

 

「体が軽くなったみたいだ!」

 

「そうでしょうそうでしょう。それに今の松寿丸様からは良い匂いがしますよ」

 

「彩乃からも石鹸の良い匂いがする! なるほど、これが清潔なのか……」

 

「はい、で、お風呂に入った後はストレッチと呼ばれる体操をした方が良いと言われています」

 

「体操とな?」

 

「一緒にやりましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたたたた」

 

「松寿丸様硬いですね……これで激しい運動をしていると体を壊してしまいますし、そこから病気になったりもしますからほぐした方が良いですよ」

 

「いたた……そ、そうなのか」

 

「はい! 神様曰くこっちの世界に居ても年を取らないらしいので人の2倍鍛えることができますので頑張りましょう!」

 

「そ、そうか……いたた」

 

 それからストレッチを行い、風呂上がりの牛乳をコップに入れて松寿丸様に渡す。

 

「これはなんだ?」

 

「牛乳……牛の乳を腹を壊さないように加工した液体です」

 

「牛の乳だと……仏教的な殺生肉食禁止の詔(牛、馬、犬、鶏、猿を食すことを禁じた法律)に反するのではないか?」

 

「未来では猿と犬以外は普通に食べますよ。そもそも本来の仏教に肉食を禁じる事はありませんし……時の権力者が美味い食べ物を庶民に食べられると自分達の食べる分が無くなるから食べさせないようにしたというのが正しいですよ」

 

「そうなのか!?」

 

「というか肉を食べないと筋肉……力が付きませんよ。この牛乳は骨を強くする効果があり、飲み続けることにより骨が折れにくくなるのです」

 

「……えい!」

 

 意を決して松寿丸様が牛乳を飲むが、口に入るとカッと目を見開いた。

 

「う、美味い!」

 

「でしょ……風呂上がりの1杯とも言われるくらい牛乳を風呂上がりに飲む習慣が未来ではあったりしますよ。まぁ朝食の時に飲むことの方が多いですけど」

 

「そうなのか……彩乃! もっと未来のことについてワシに教えてくれ!」

 

「分かりました。ただ今日はこれまでにしておきましょう。まだ時間はありますが、元の世界の時間があまり進んでいないのでね」

 

「そうなのか……もっと未来を見てみたかったのだが」

 

「まだまだ見れますから安心してください。今日はお絵かきボードと教科書、それに紙と筆記用具を持って帰りましょう」

 

 

 

 

 

 グニョンと異空間が出現すると私と松寿丸様は戦国時代に戻った。

 

「ワシの部屋じゃな……日もまだ出ている」

 

「未来に居ても時間があまり進まないのですよ。今度時を計る道具も持ってきましょう」

 

「面白そうじゃな!」

 

「では気持ち良い状態ですがどうします? また将棋を打ちますか?」

 

「それも良いが、今日は持ってきた教科書を読みたい」

 

 松寿丸様に言われて、持ってきた教科書を開き、私と松寿丸様が教科書を見ながら音読をしていく。

 

 ひらがなしか無いため、1度音読すれば松寿丸様も内容を理解できる。

 

「読みやすい物語だな」

 

「あ、文字を覚えるのに分かりやすい歌がありますよ」

 

 私は歴女を自称するだけあり、持ってきた紙に鉛筆でいろは歌を書いていく。

 

「いろはにほへと……」

 

「どんな意味の歌なのだ?」

 

「ひらがな47文字全てを重複させないで作られた歌で、美しく咲き誇っている花もやがては枯れてしまう。この世に生きる私達もいつまでも生きているわけでなく、夢や酒に溺れること無く悟りの世界に至れば大きな失敗はしませんよと言う歌です」

 

「なるほど……全ての仮名文字を使う歌……これが書ければ仮名文字は習得したと言う意味になるのじゃな……というより彩乃も字が上手いな」

 

「書道という文字の美しさを競う習い事を昔していましたので」

 

「ほう、なら筆文字も上手いのか?」

 

「ただ未来の文字ばかりですのでくずし字は書けませんよ」

 

「それは書く必要なかろう。読めれば十分だ。ワシがくずし字の読み方を教えるから、彩乃は未来の学問を教えてくれ」

 

「分かりました。色々教材を集めてきましょう」

 

 こうして松寿丸様と私の勉強会が始まるのだった。

 

 

 

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