歴女JK謀神の子供を産む   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1521年 尼子侵攻の戦後処理

「よしよし、予想通り遠征免除じゃ。これでワシは表で活動するのは難しいが毛利は自由に動ける」

 

 吉田郡山城の旧城部分……政務と普段の生活スペースであるが、その部屋は彩乃が持ち込んだ本畳が敷き詰められており、城主の寝室兼政務をする場所として作られていた。

 

 広さはだいたい20畳あり、場違いな雀卓が置かれていた。

 

 その卓を元就、相合元綱、志道広良、彩乃の4人が囲んでいた。

 

「兄上が外に出れない間は私が表の仕事をします。居城の松尾城も修理が必要ですしね」

 

「いやぁ、私も石見方面で、肝心な時に殿の所に行けなくて申し訳ありません」

 

「いや、広良は良い仕事をしてくれた……それポンじゃ」

 

「兄上は大内義興様の出雲侵攻は失敗すると?」

 

「ああ、それこそ数年かかるが、北九州情勢がそれを許してはくれんじゃろうて……毛利も人の事を言えんが小荷駄隊で物資運搬をしているうちは大軍の長期間の運用には向かん。補給基地となる城を建てながらじわじわ尼子の支配の否定をしていかなければならないが、大内義興様が長陣で国元不在となれば少弐氏残党が動くじゃろうて」

 

 元就は残党と言っているが、少弐家は龍造寺家が支えており、まだ力を残していた。

 

 今動いてないのは少弐の当主が元服したばかりで攻勢に出れる将になっていないからであり、大友家と密談をよくしていた。

 

 大友家も今は大内と休戦しているが、大内とは怨恨のある相手の為に必ず衝突する運命を背負っていた。

 

「まぁ元就様は仮病を1年程続けてください。私や怜にまた仕込んでも良いのでね」

 

「腰を振る仕事になりそうじゃな……まずは吉川から処理するかのぉ」

 

 吉川家は現在2つの派閥に家が分かれていた。

 

 尼子とこのまま繋がりを続けたい劣勢の尼子派閥と今からでも大内義興に土下座して吉川家を残してもらおうとする大内派閥である。

 

 大内義興から毛利家から家長となる子供を送ると言われていたが、吉川から嫁いでいた怜には男児が居らず、必然的に彩乃の子供になるが、誰にするべきかで元就も悩んでいた。

 

 あと尼子派閥を片付けなければ吉川の当主となっても吉川領に入れないと通告もしており、吉川領内では内紛が起こる気配が漂っていた。

 

 毛利家としては前までの吉川であれば毛利の西の緩衝国扱いができたのだが、弱体化した今の吉川では大内義興に所領が広すぎて警戒されるのを低下させる意味しか無く、毛利が保護しなければ立ちいかない程である。

 

 正直そんな所に息子を送り込んで家を乗っ取っても毛利家を支えられるまで力を取り戻すには十年単位の時間が必要である。

 

 一応任せられそうなのは申三郎と雉四郎のどちらかであるが、申三郎は武力は問題無いが領地経営が出来るか不安であり、雉四郎は知識は高いが武力は未知数かつ優しすぎる欠点を持っていた。

 

「小次郎は手元に置いておきたいしのぉ。う~むなかなか難しいのじゃ」

 

「元就様、それロンです。中のみ1000点」

 

「やっすいのぉ……もっと大きの張ればよかろうに」

 

「我の信条は手堅くですからなぁ」

 

「はい、点棒」

 

「確かに」

 

 元綱が話題を切り替える。

 

「広がった南部の領土はどうしますか? 家臣に分け与えるので?」

 

「一部は渡すが、海沿いの土地は直轄地にして毛利の金策の地とする。元綱には銀山城に入ってもらい、銀山城下を経営して欲しいのじゃ」

 

「となると松尾城周辺はどうします?」

 

「代官入れて後々小次郎に任せるかのぉ……なるべく家臣達の力を削り、中央集権を達成しておきたい」

 

「それを理解できる家臣はどれぐらい居るのでしょうねぇ……」

 

「銭払いの方が生活は良くなるハズなんじゃがな。実際にワシの直臣達は銭払いをしているが、不満は出てないし」

 

「学び舎で経済について学んでないと分からない考えなのでは? 私も領地経営を学んでようやく理解できましたし」

 

「うむ……家臣統制は難しいのぉ……飴と鞭……飴と鞭じゃ……」

 

 広良が次に武田家の旧臣達の召し抱えについて話す。

 

「武田旧臣の登用も始まっておりますが、武田水軍の面々は早々に当家に付きました。これで毛利家も水軍が運用できるようになりましたな」

 

「まぁ当面は活躍させる場所も無かろう。商船の護衛で日銭を稼がせるのと大内への商品運搬くらいかのぉ?」

 

「でもこれで大内との直接取引が出来るようになりましたね」

 

「彩乃の言う通り迂回路を通らなくても大内領土と接したのは大きいのぉ。厳島神主家には悪いが、領地没収は仕方がなかろう」

 

 武田家と協力していた厳島神主家は族滅とはならなかったが、所領を没収され、権威だけの存在に成り下がった。

 

 復活の芽はあるのもの、難しい立場に置かれている。

 

「あ、リーチ」

 

 彩乃がリーチをする。

 

「おお? でかいやつかのぉ」

 

「さぁどうでしょうねぇ」

 

「彩乃殿、その反応は大きい時のでしょうに」

 

「けひひ、さぁどうでしょう。振り込んで! お願い」

 

「嫌なのじゃっと」

 

 そのまま場が流れてしまう。

 

「尼子はどうなるんでしょうか。兄上はどう考えますか?」

 

「大内が3年の時間をかけられるのであれば大内の勝ち、そうでなければ尼子の勝ちじゃろうが……尼子の支配領域はリセットじゃろうな」

 

「となると山名家などが復活してきますかな?」

 

「備中の庄家の様に新しい家が生えてくるかも知れんな。幕府からの干渉も無いから存分に暴れろとしか言えないのじゃ」

 

「その間に毛利の方針は?」

 

「動揺の激しい三吉家や江田家に毛利の影響力を浸透させる。それで備後西北部を抑える。山名も今回の尼子の敗戦で大内に擦り寄るかも知れんからな。そうなった場合橋頭堡だけは確保しておきたいのじゃ」

 

「それでは今以上に宍戸家が重要になりますなぁ……」

 

「宍戸家は幕府とも繋がりがある家故に、今回の尼子侵攻撃退の合戦記録を細川殿や将軍に見せる役目を担ってもらった。毛利の武功が少しでも広がれば良いのじゃがな」

 

「あとは安芸国人衆の纏め役の任を今一度大内に確認しないといけませんな」

 

「そうじゃな。安芸において大内への指示系統は蔵田殿から毛利に任せると一本化してもらわねば。蔵田殿から毛利に、毛利から他の国衆に……さすれば毛利の影響力も更に強固となろう」

 

「ではその様に」

 

「うむ、広良、元綱頼むぞ」

 

「「は!」」

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