歴女JK謀神の子供を産む   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1545年 根腐れ牧師

 陶率いる大内軍は出雲に侵入したが、各城に毛利攻めで得たクロスボウの技術を習得し、連射型のクロスボウを各城に配り、出雲各地に築かれた12の支城が連携し、初っ端から苦戦を強いられていた。

 

「ええい、なぜあの程度の城を攻め落とせんのだ」

 

「(陶)隆房様、あの城は規模は小さいですが、山の傾斜を上手く使い堅城となっております。城に籠もる尼子の将も第二次出雲侵攻で裏切らなかった忠臣が詰めており、時間がかかるかと……」

 

「いや、力攻めで落とす。城の中には1000程度しか居ないハズだ。3万の軍を動かせば一気に落とせる!」

 

 兵力差は圧倒的であり、それゆえに陶隆房は力攻めを選択した。

 

 降伏勧告をし、返答が無かったので一気に攻めかかった。

 

 城からは雨の様に矢が降り注ぎ、大軍で身動きができない陶の軍は次々に兵が倒れているが、それでも1刻ほどで正門が突破され、城内に流れ込む。

 

 三の丸、二の丸と制圧されていくが、圧倒的寡兵ながら尼子の兵は抵抗を続け、自分達の2倍の大内兵を道連れにして落城した。

 

「ようやく落ちたか。手こずらせおって」

 

 陶隆房は城が落ちたことに満足したが、陶の家臣達は小さな城で2000もの兵を失ったのは看過できない損害と考えていた。

 

 こんな城があと12城も出雲にはあり、それを突破してようやく本拠地の月山富田城に到達する。

 

 月山富田城は名将と言われた陶興房をもってしても兵糧攻めを選択しなければならなかった堅城。

 

 そんな城があるのに前哨戦でこんなに被害を受けていれば、尼子を倒すのは不可能と考え、陶隆房に今からでも毛利に援軍を頼んではどうかと言うが、陶隆房にとって毛利家は政敵であると同時に大内義隆の寵愛を離れていても受けている恋愛感情的にも憎べき相手であった。

 

「次その様なことを言うたら貴様とて許せんぞ!」

 

 と陶隆房は忠言した家臣を叱責し、家臣達は忠告したくてもできない状態に陥ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 陶軍の様子は毛利忍軍により毛利房元にも届いていた。

 

「陶め、功を焦ったな……まぁ自滅の道を進むのであれば良い」

 

 房元の目の前には人質から帰国した息子の新太郎こと毛利義元と自分の妹である愛が座っていた。

 

「父上、俺は愛姉さんと結婚したいのです! どうか許してください!」

 

「……愛はそれで良いのか?」

 

「デブの私をこれだけ愛してくれる甥っ子の為に子供を沢山産みたい所存です。それに……私の乳では気味悪がって他男が寄り付かないのは兄上が良く知っているのではないでしょうか」

 

「うむ……」

 

 元就と彩乃の長女である愛は彩乃よりも更にデカい乳に成長しており、メートルおっぱいというべきたわわが実っていた。

 

 ただそんなに大きな乳だとこの時代は奇乳扱いであり、背の高さも相まって多くの者から妖怪扱いされていたのである。

 

 結婚の話も出ていたのだが、気味悪がって話が流れてしまい、妹達が次々に結婚していく中、愛だけは吉田郡山城の部屋住み生活を送っていたのである。

 

 元々大内家の人質に送られる前から愛に可愛がられていた義元は愛とは叔母の関係だが姉と呼んで慕っており、是非とも正室にしたいと父親に直談判していた。

 

「まぁ父上(元就)も自由にしろと言っていたし、義元も子供を作らねばならぬからな。愛なら元気な子供を産むだろう。愛、義元を頼むぞ」

 

「任せてください!」

 

 というわけで愛と義元はこの年に結婚し、話を後から聞かされた元就と彩乃は仰天したものの、吉田郡山城に戻る頃にはひ孫が産まれているのであった。

 

 

 

 

 

 

 その頃彩乃達は南蛮人に紛れていた牧師擬きのライト牧師と話していた。

 

 商売の規模が大きくなった事でイエスズ会以前にもキリスト教の教会がマラッカにあり、そこから土佐に商館が設置されるついでに教会が設置されたのだが……

 

「ヤア元就様、彩乃様! 教会にヨウコソ!」

 

「お主本当にキリスト教の牧師か? 堕落し過ぎじゃろ……」

 

「神も極東のここまでは見ていませんヨ! 私も昔はちゃんとしたクリスチャンでしたヨ! でも船に乗って悟りました。祈っても神は助けてくれない。なら俗世で自由に生きるべきだト!」

 

 イエスズ会の……特にザビエルが聞いたら卒倒しそうな根腐れ牧師であるが、これでも聖書を暗唱することができたり、キリスト教の内部情報をよく知っているし、船旅で疲れた船員達に寝床を貸したり、船員達と日ノ本の娼館で産まれた子供達を保護して教会で引き取り、孤児院としても活動していた。

 

「まぁ子供達に船旅をさせるわけには行きませんからネ。元就様、子供達が大きくなったら雇ってくださいヨ」

 

「土佐にも学校があるからそこに通わせるのじゃ。成績が良ければ雇う。女の子にもいくらでも仕事があるからのぉ」

 

「助かりマス! じゃあ肉食いまショウ! 肉! ワインと一緒に食べると美味しいデスヨ!」

 

「女は抱くは、肉は食うわ……キリスト教って肉食べてはいけない日とかがあるんじゃろ?」

 

「後で懺悔すれば問題ありません! なんなら免罪符書いておきますか! 元就様も免罪符いります? 買えば天国にいけますヨ!」

 

「ボロい商売をしているのぉお主は……」

 

 なおこんな根腐れ牧師であるが、土佐の住民からは結構人気があり、改宗する人も増えていた。

 

 坊さんとも宗教論争をよくやっているが、ライト牧師は口は上手いので相手を怒らせない程度に上手く弁論して丸め込むというより引き分けに持ち込んでまた話しましょうとし、茶を飲んで和解みたいなことを繰り返していた。

 

 そんな牧師なので土着する気満々……日本食が気に入ったし、本国よりも美味い肉が食べられるし、小柄な日本人女性をたらし込んで一夜を共に出来るとめっちゃハッスルしていた。

 

 現代で言うところの日本大好き外国人みたいなノリなので、最初は恐る恐るという感じだった土佐の人々も彩乃や元就がよく教会で駄弁って居るので自然と仲良くなり、ミサを祭りと称し、彩乃が和約した聖書を唱和する場は開けばお菓子が配られるというのもあり数百人が毎回集まる名物行事に1年で成長していた。

 

「これザビエル来たら凄い問題になりそうだけど大丈夫かな?」

 

 彩乃はそこはかとない不安を感じるのだった。

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