歴女JK謀神の子供を産む   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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1549年 1550年 杉殿の死去 ザビエル来日

 1549年になって、毛利家は1つの不幸が襲った。

 

 杉殿が亡くなったのである。

 

 史実より4年ほど長生きしていたし、彩乃が未来に連れていき、健康診断を受けさせてもいたが、急死してしまった。

 

 彩乃も元就も長く面倒を見てもらった方であり、毛利家の子供達も杉婆様と呼ばれ慕われていただけに多くの者がショックを受けた。

 

 吉田郡山城近くの寺で葬儀が行われ、毛利親族衆は全員が参列した。

 

 そんな悲しい出来事が起こったが、元就も

 

「時が経つのが早いのじゃ」

 

 と呟く事が多くなっていた。

 

 元就も彩乃も数え年で53歳……本人達は元気であるが、周りは普通に寿命がいつ尽きてもおかしくない年齢である。

 

 志道広良も数え年で83歳になり、毛利家の宰相としての役割を後任に譲って隠居生活をしているし、杖とコルセットが無ければ歩けないくらい年老いていた。

 

 他にも怜が腹痛を訴えて倒れ、未来に担ぎ込んで虫垂炎が進行して盲腸が破裂寸前まで炎症していた為に、手術を受けて、一命を取り留めると言う出来事もあり、徐々に寿命を気にする年齢になってきた事を意識しなければならなくなってきた。

 

 なんなら長男の房元が数え年で40歳である。

 

 年月が経つのが早い事早い事……。

 

 ちなみに彩乃の一番下の毛利光丸も元服して毛利就輝と名乗るようになり、男子14名、女子6名全員が早逝すること無く12歳以上になることが出来た。

 

 女子達は皆嫁いで子供を作っているし、なんならひ孫もポコポコと産まれていた。

 

 房元の息子の毛利義元の更に息子の太郎丸なんかがまさにそうである。

 

 この調子だと玄孫まで生きていけそうであるが……。

 

 

 

 

 

 

 1550年、遂にあの男が山口に流れてくる。

 

 フランシスコ·ザビエル……イエスズ会の宣教師である。

 

 現在日ノ本周辺で活動している宣教師は全員カトリックの宣教師であり、土佐で活動している根腐れ牧師ことライト牧師も一応はカトリックである。

 

 ライト牧師はイタリアに留学経験がある地方牧師という経歴かつ、一度は船乗りに転職していたので経歴的には結構ヤバい人物であるのに対して、ザビエルは元貴族であり、しかも名門パリ大学を卒業しているエリート中のエリート。

 

 現代日本風に言うなら社長や医者の息子で東大卒業して海外協力隊として後進国に来たみたいな経歴の人物である。

 

 ただザビエルはそんなエリートであるが地域に合わせて布教方法を変える柔軟性を持つ人物でも有ったのがザビエルであり、そのやり方が日本のイエスズ会の基本方針になるのだが……ザビエルは山口に到着し、まず長門守護代の内藤興盛と面会することができた。

 

 内藤興盛はザビエルの話すキリスト教の教えに感銘を受け、主である大内義隆にザビエルを紹介したのである。

 

 この時ザビエルはまだ薩摩で多少の布教活動をしたが、仏教徒と勘違いされて布教に失敗したため南蛮商会が居る博多や今日ノ本の中心である山口で布教の許しを得ようと画策していた。

 

 ただ内藤興盛や他の大内家家臣から大内義隆の人物像を聞いているとザビエルの許容を超える男色家であると判明し、そのまま会談の場になる。

 

 ザビエルは民衆救済を掲げているため衣服に金をかけていなかったのでボロっちい格好で大内義隆に面会し、大内義隆は貢物も特に無かったので金になりそうもないなぁ〜と思っていたら、開口一番。

 

「大内様、貴方に会えたら言いたい事がございました」

 

「ほう、なんだ? 言ってみろ」

 

「大内様、貴方男色家で有名ですが、我々キリスト教の教えでは御法度! 貴方このままでは地獄に落ちますよ」

 

「お前は誰に何様で何を言っている!?」

 

 まさかの大内義隆にザビエルは説教をぶっ放したのである。

 

 紹介した内藤興盛や控えていた家臣達、通訳していた者も場が凍りつき、いきなり地獄に落ちると言われた大内義隆は普通に激怒。

 

「不愉快だ! 布教は許さん。帰れ!」

 

 その場で斬り殺さないだけ凄まじく温情である。

 

 大内義隆も長年勘合貿易をやってきて異国の商人との付き合い方も分かっており、殺せばその場で終わりだし、これを口実に攻撃される可能性もある。

 

 だったら怒ったぞというポーズだけして相手の要望を却下するだけに留めれば良いと判断したのである。

 

 怒らせたザビエルは山口を追放となり、勿論朝廷や幕府にも面会が出来なくなった。

 

「仕方がありません……では日ノ本にはもう一つ政権があると聞きます。そちらに行ってみましょう」

 

 ということでザビエル一行は京があった山城国に移動するが、そこはほぼ廃墟に野盗が住み着いているような場所であり、命の危険に遭いながら堺に逃げ延びていった。

 

 そして堺の商人から土佐にキリスト教を広めている人物が居ると説明があり、ザビエル一行は土佐に移動するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザビエル一行が土佐の高知の町に到着すると煉瓦造りの西洋式の建築物が多数あり、驚愕した。

 

「極東に我々の居たヨーロッパの様な街並みがあるとは!」

 

 そしてそこに教会を発見して教会の中に入るとライト牧師が教徒達と聖歌を歌っていた。

 

 その光景を見たザビエルは号泣し、聖歌を聴くのであった。

 

 聖歌が終わり、ライト牧師がザビエル一行を見つけ、話を聞く為に裏に呼んだ。

 

 ワインを注いでステーキとパンを出す。

 

『へぇヨーロッパからわざわざ極東に布教にねぇ』

 

『我々よりも早く極東のジャパンで布教活動をしている人物が居るとは思いませんでした。これも神の導き』

 

『俺はただ船に乗って自分が稼げる場所を見つけただけなんですがね……領主からも根腐れ牧師って言われてますがね』

 

『何をしているんですか……』

 

『なに、酒飲むし、肉を食うし、女を抱くのでね。カトリックだと許されざる事も多い……だからあえてプロテスタントの牧師を名乗っているんですよ』

 

『それでもここに根を張って活動することは立派な行いです』

 

『いやぁ~立派じゃねぇよ。現地の娼婦の娘を何人もシスターと言って妻に囲っているような男ですよ』

 

『色欲に溺れているのですか……』

 

『本国のお偉いさんに誇れるような人物では無いですし、キリスト教だが仏教や神道が混じって変質し始めている。ここで布教活動する許可は殿様に言っておくから問題は無いと思うが……だいぶ厳しいと思うぞ』

 

『それでも神の教えを広めるのが私の役目です!』

 

 ライト牧師は直ぐに毛利盛就に連絡を取り、ザビエル達の布教活動を行う許しを貰い、活動を開始したが、ライト牧師が広める日本の宗教と融合したエセキリスト教の方が人気があり、なかなか教徒を獲得するには至らなかった。

 

 ただそれでも鉄道を乗ったり、蒸気機関で動く工場を見学したりと大きな発見がある期間であった。

 

 四国を回ったザビエルだったが、仏教の教えが根強い四国では反発も大きく、土佐以外ではろくに活動することもできず、結局翌年に山口に戻ることになるのだった。

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