私の世直しアカデミア   作:M.T.

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いざ書いてみたら準決勝が思ったより短かったので、二回戦と繋げて一話で投稿する事にしました。
面白いと思っていただけましたら高評価、お気に入り、感想等よろしくお願いします。
作者は単純ですので、ものすごく喜びます。

※最初はオリ主ちゃんはオールマイトの正体やワン・フォー・オールの事を知らない設定だったのですが、知っている(というかオールマイトが話した)設定に変更しました。
よくよく考えたら、世界有数の情報網を持つ名家の当主がその事を知らないっていうのは不自然だと感じたので。
ご迷惑をお掛けし大変申し訳ございません。


第13話 速さは重さだと偉い人が言っていました

 一回戦の第二試合が終わり、一旦控え室に寄った私は、その足で観客席に戻ろうとした。

 するとその途中で、ちょうど治療を終えた緑谷君と鉢合った。

 

「やあ、緑谷君」

 

「あっ…六徳さん…」

 

 私が声をかけると、緑谷君は緊張した面持ちで振り向く。

 緑谷君の指には、包帯が巻かれている。

 

「ムッ…何だ、治療してもらわなかったのか?」

 

「これは…その、体力的なアレで…」

 

 緑谷君が事情を説明すると、私は心の中でなるほど、と納得した。

 リカバリーガールの“個性”は、直接傷を癒すのではなく、患者の治癒力を強化するタイプだ。

 治癒力を高める際に体力を使う為、あまりにも重傷だったり負傷箇所が多かったりすると治せないという欠点がある。

 

「…そうか。ならばこれを食え」

 

「えっ…」

 

 そう言って私は、綺麗にラッピングされた袋を緑谷君に渡した。

 中に入っているのは、赤黒い色をしたキャラメルだ。

 実は、こんな事もあろうかと、療子の血から治癒能力を持つ成分を抽出して食べやすいように作ったキャラメルを、控え室の冷蔵庫で冷やしておいたのだ。

 もちろん、砂糖やバターなどを混ぜたから本物の血に比べれば治癒力は劣るが、それでも二回戦でちゃんと戦えるくらいには回復するはずだ。

 私が先程控室に戻ったのは、これを取りに行く為だ。

 

「治癒の“個性”を持つクラスメイトがいてな。彼女の血液から治癒能力がある成分を抽出して、食べやすいようにキャラメルにしてみたんだ。食え」

 

 私が言うと、緑谷君は引き攣った顔で私を見る。

 いや、言いたい事はわかるよ?

 だが、血を使って菓子を作ろうと思ったら、これが限界だったんだ。

 本当にちゃんと傷が治るし、味も私が保証するから。

 私が視線で圧をかけると、緑谷君は恐る恐るキャラメルを一個食べた。

 すると、緑谷君の顔の腫れや痣が少し引いた。

 

「本当だ、傷の痛みが引いていく…それだけじゃない、疲労回復の効果まであるのか…!でも六徳さん、どうして僕にわざわざ?」

 

「…勘違いするな。私はただ、万全な状態で試合がしたいだけだ。二回戦が始まれば、私達は敵同士。情けは無用だ」

 

「……ありがとう!」

 

 私は、言いたい事だけを伝えて、そのまま観客席に戻った。

 後ろで緑谷君が礼を言っていたので、返事代わりに軽く手を振っておいた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そんなこんなで、気付けば第八試合が終わり、二回戦が始まった。

 私は、軽くコキコキと両手の関節を鳴らしてからリングに上がった。

 

『二回戦!!第一試合!!一回戦で熾烈な戦いを見せたA組のダークホース!!緑谷出久!!対!まさに才色兼備!!圧倒的カリスマと実力を兼ね備えた女傑!!六徳刹那!!』

 

「緑谷君。先に言っておくが、私に忖度する必要は一切ない。全力でかかってこい」

 

「っ…はい!」

 

 私が言うと、緑谷君が返事をする。

 その次の瞬間。

 

『START!!』

 

 マイク先生の合図と同時に、私は全速力で駆け出した。

 緑谷君は、私に狙いを定めてデコピンを放とうとしてくる。

 一回戦では心操君をさっさとデコピンで場外に押し出さなかったせいで苦戦を強いられたから、今度は初っ端から私を吹き飛ばしに来たか。

 悪くない判断だ。

 だが…

 

「隙が大きすぎだ」

 

 私は、間合いを詰めて緑谷君の攻撃を殺すと、そのまま緑谷君を両手で掴んだ。

 このまま投げ飛ばすなり蹴り飛ばすなりすれば、それだけで私は勝てる。

 だが私は、敢えて緑谷君を場外には押し出さず、その場で投げ技をかまし思いっきり地面に叩きつけた。

 

「ぐっ…!?」

 

 投げ技を喰らい背中を強打した緑谷君は、痛みで顔を歪める。

 骨折はしない程度に加減したが…まともに受け身を取らなかったから、相当痛かっただろうな。

 

『決まったぁーーー!!六徳、開始早々見事な投げ技をかましたぁ!!』

 

『緑谷のパワーは確かに脅威だが、発動するまでの隙がバカデカい。そこを突いて、縮地法で間合いを詰めてきたか。実に合理的な判断だ』

 

 相澤先生の言うとおり、緑谷君は“個性”を発動するまでの隙が大きく、発動しようとしているのが丸わかりだ。

 それを見逃してやれる程、私もお人好しじゃない。

 悪いが、痛い所はとことん突かせてもらうよ。

 

 私は、緑谷君が“個性”を使おうとする度に、敢えて場外にも戦闘不能にもせず、発動を阻止しつつ後に残らない程度のダメージを与える。

 すると緑谷君は、今度は“個性”を発動しようとせずに姿勢を低くして私に突撃してきた。

 私は下半身に重心を置いて緑谷君を正面から受け止め、すかさず腹にボディーブローを叩き込んだ。

 

「がはっ…!!」

 

 カウンターを喰らって仰向けに倒れかけた緑谷君のジャージを引っ張ってさらに後ろに重心を傾け、そのまま押し倒してマウントポジションを取る。

 緑谷君が両腕で私の身体を押し除けようとしてきたものだから、上体を倒して体重をかけ、ずいっと顔を覗き込んだ。

 

『カウンタァアア!!!からの、鮮やかなマウントポジション!!これには緑谷、絶対絶命!!つーか、六徳ってこんなに動けたのか!?普通科だろォ!?』

 

『そりゃあ、六徳の実力は既にプロのレベルに達してるからな。()()()()()()()()()()は全くの別物ってこった』

 

 緑谷君は両腕に力を込めて私の上体を起こそうとするが、びくともしない。

 あくまで体格を見た上での推測でしかないが、私は多分彼より軽い。

 しかも私は今、わざと逃げられる余地を与えている。

 シンプルな増強型なら、“個性”を使わずに逃げられて当然なんだがなぁ。

 

「パワーが足りない。普通、肉体強化型の“個性”持ちがヒーローを目指すなら、幼少期から計画的に筋トレを行うはずなんだがな。使うだけで身体を壊す程の強力な“個性”なら尚更だ」

 

「くっ……」

 

「君のそのナリを見てわかった。君、もしや“個性”が発現したのは最近なんじゃないか?」

 

「!!」

 

 私が尋ねると、緑谷君が目を見開く。

 ……やはり、そうだったか。

 

 “個性”を使う度に身体を壊すと聞いた時点で、おかしいとは思っていた。

 かつての燈矢さんのように、“個性”と体質がミスマッチしている事例も確かに存在する。

 だったら尚の事、身体を壊さないように“個性”と体質を擦り合わせる訓練をするはずだ。

 だが今の緑谷君は、その訓練を継続してきたようには見えない。

 考えられる可能性は、ひとつしかない。

 

 遅咲きの“個性”というのは、稀だがないわけじゃない。

 発現する条件が限定的だったり、発現はしていても特定の条件下でしか効果を確認できなかったりするケースもあるからな。

 緑谷君もそのケースに当てはまるなら、“個性”を使いこなせていないのも納得がいく。

 

 おっと、ミッドナイト先生がカウントを始めた。

 私はこれで決着をつけるつもりはないので、10カウントを終える前に緑谷君を解放した。

 

「………そんな事だろうと思ったよ。ならば私が、ささやかなお節介をしてやろう」

 

 そう言って私は、騎馬戦の時と同じ要領で緑谷君に流れる時間を遅くした。

 すると緑谷君が猛スピードで私に向かってきたので、私はそれをのらりくらりと躱す。

 時を遅くした分スピードが格段に上がったが、動きが単調なので避けやすい。

 ある程度攻撃を避け続けたところで再び投げ技をかまし、“個性”を解除した。

 

「今のでわかっただろう?」

 

「何が、ですか…?」

 

「まさか君は、私が騎馬戦の時、()()()()()()()()を速くしていたと思っているのか?」

 

「あっ……」

 

「そんな事をすれば、腕の組織が千切れて二度と使い物にならなくなる。今の君の“個性”の使い方は、理屈としてはそれと同じだと推測しているのだが?」

 

 私は、緑谷君に“個性”の使い方をアドバイスした。

 例えば私の『停滞』の“個性”であれば、パンチを撃つ時は必ず全身の時の流れを少しずつ遅くする。

 そうでないと、腕の筋組織や血管、骨、神経などが加速に負けて千切れ、腕を切断する羽目になるからだ。

 今の緑谷君は、それと同じ事をしてしまっているように見受けられる。

 

「私はね。時を縮める時に、まずは弱めの加速で少しずつ全身を慣らしてからスピードを上げるようにしているんだ。君の“個性”では、それと同じ事はできないのかな?」

 

「全身を…慣らす……」

 

 私がアドバイスをすると、緑谷君は突然目を見開いてブツブツ喋り始めた。

 

「あっ…そうか…!何でこんな単純な事に今まで気付かなかったんだろう…そりゃそうだ、“個性”は身体能力の延長だもんな。一ヶ所にだけ発動すると身体が壊れてしまうなら、全身に発動して身体をパワーに慣らせばいいんだ。使う時にだけスイッチを入れるんじゃなくて、常にスイッチを入れておいて、全身に熱を行き渡らせるイメージでいけば…」

 

 緑谷君は、対戦相手の私そっちのけでブツブツ言っていたが、しばらく黙って見ていると、突然彼の身体に電気のような緑色のオーラが走った。

 ほう、なかなかどうして飲み込みが早い。

 

「っ……!!」

 

「その状態で動けるか?」

 

「やってみます…!」

 

 緑谷君は、緑色のオーラを纏った状態で突進してきた。

 おっと、思ったより速いな。

 だがまだ慣れていないらしく、私がひょいと躱すと、バランスを崩してすっ転んだ。

 私が手招きをすると、緑谷君は再び突っ込んできた。

 瞬きの瞬間に、緑谷君の拳が私の眼前に迫ってきた。

 いきなり顔面かよ。

 

 私は、“個性”を使って向かってくる緑谷君の攻撃を軍隊格闘術で捌き、カウンターを叩き込んだ。

 …うむ。まだまだ隙が大きいが、先程よりは大分良くなった。

 

 ここでまた、もうひとつ余計なお節介。

 私は、緑谷君の右肩を掴んで“個性”を発動した。

 

「えっ」

 

「少し()()ぞ」

 

「ぐふっ!?」

 

 私は、右手で作った手刀を緑谷君の腹に突き刺した。

 そのまま逃げられないように右肩をガッチリ掴みながら、20箇所くらい手刀を入れた。

 用を済ませた私が緑谷君を解放すると、緑谷君はその場で崩れ落ちてグロッキーになった。

 

「な、何を…」

 

「力が効率よく行き渡るように少々身体を弄った。さっきより高出力を維持できるようになったんじゃないか?」

 

 私が尋ねると、緑谷君はすぐさま立ち上がり、“個性”を発動しながら構えをとった。

 うむ、さっきより出力が上がったな。

 さっきまでが5とするなら、大体8…いや、10くらいか。

 私には、弱い者いじめをする趣味はない。

 これでようやく、心置きなく戦えるというものだ。

 

「さて…ここからは、本気で君を潰す。覚悟はいいか?」

 

「っ…よろしくお願いします!」

 

 私が尋ねると、緑谷君は再び私に突撃してきた。

 まあ、結論から言えば私が勝った。

 緑谷君の積み重ねてきたものを、私が全て真っ向から叩き潰した。

 場外に押し出す事もできたが、敢えてそれをせず完膚なきまでにぶちのめした。

 起き上がらなくなるまでボコボコに殴り、ようやくノックアウトした。

 

「緑谷君、ノックアウト!!六徳さん、準決勝進出!!」

 

『敵に塩を送りながらの完全勝利!!緑谷もよく頑張った!!二人の健闘を讃えて、エヴィバディクラップユアハンズ!!』

 

 試合が終わると、歓声が沸き起こった。

 私は、救護ロボで運ばれていく緑谷君に一礼してから、スタジアムを後にした。

 その途中で、何やらトゥルーフォームのオールマイトに「ありがとう、六徳少女!」などと小声で話しかけられた。

 

 ……なるほどね。

 ようやく、点と点が繋がった。

 緑谷君、君が()()だったのか。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

オールマイトside

 

 二回戦は、第一試合から凄まじい戦いだった。

 緑谷少年は、試合に負けはしたが、六徳少女のおかげでワン・フォー・オールを自壊せずに使えるようになり、全力をぶつけられて満足したようだ。

 六徳少女には、感謝してもし切れない。

 

 六徳少女は、私の正体も、ワン・フォー・オールの秘密も知っている…というか、私が彼女に話した。

 彼女の父親は、“無個性”でありながら天性の知能とカリスマで世界中の社会問題を解決し、かつては第二の平和の象徴と呼ばれていた。

 私が武力で、彼が権力で悪を裁き、人々を救け、互いに持ちつ持たれつの関係で平和を維持してきた。

 彼の遺志を継いだ六徳少女にも、ワン・フォー・オールの秘密を共有すべきだと判断し、緑谷少年にワン・フォー・オールを与える前に話した。

 …特に驚く様子も疑う様子もなく、「継承者候補はいるのか」だの「ナイトアイと話をさせてほしい」だの言い出したものだから、逆にこっちがびっくりしたけどね。

 

 だが継承者が緑谷少年だという事は、まだ彼女には話していない。

 …もしや、既にその事に気付いているのか?

 その事が気になってモヤモヤしていると、六徳少女と目が合った。

 彼女は私と目が合うなり、「黙っておきます」とジェスチャーをしてきた。

 

 やっぱり、試合中に気付いてたか…

 本当に、気が利きすぎて逆に怖いよ。

 でもありがとう、六徳少女!

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

心操side

 

 俺が第二試合を観戦していると、六徳さんが戻ってくる。

 

「お疲れ様」

 

「すまないね、心操君。本来は君があの場に立つべきだったのに」

 

「…何で謝んのさ。むしろ、負けられた方が俺の立場がねえよ」

 

 六徳さんが謝ってくるものだから、俺は笑いながら答えた。

 彼女は多分、ヒーロー科に編入したい俺が一回戦で早々に負けて、ヒーロー科に興味がない自分が準決勝まで勝ち進んだ事を気にしているんだと思う。

 そんなの気にする事ないし…むしろ惨敗された方が弟子の俺の立場がないから、勝ってくれてよかったよ。

 

 それにしても、緑谷のパワーアップを手助けした上で勝っちまうなんて…マジでイカレてるよ。

 あれだけの実力差があるなら、開始数秒で場外に押し出して終わりだったはずだ。

 勝ち敗けに拘っていないからこそ、人の為に世話を焼けるんだろうな。

 六徳さんはヒーローに興味がないって言うけど、俺にとっちゃ、誰よりも彼女が立派にヒーローやってるよ。

 

「なんつーか…あんた、マジでヒーローだよ。対戦相手を救けた上で勝っちゃうなんてさ」

 

「私がそんな高尚な人間に見えるか?私はただ、自分の株を上げる為に彼を利用しただけだ」

 

 六徳さんは、フッと笑いながらそう言った。

 平然ぶってるけど、嬉しそうなのを隠しきれてないよ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

刹那side

 

 続く第二試合は、中々に見応えのある試合だった。

 最初こそ、拳藤君が大拳で轟君の氷を砕き、炎を仰いで威力を殺す事で優位に立っていた。

 しかし、轟君が冷気と熱気を組み合わせる事で衝撃波を生み出す『膨冷熱波』を繰り出すと、一気に形勢は逆転。

 拳藤君は、拳を盾にして衝撃波を防ぐも抵抗虚しく場外に押し出されてしまい、轟君の勝利となった。

 

 

 第三試合は、意外にも呆気なく終わった。

 無敵かに思われた塩崎君だったが、蔓を張る前に飯田君の『レシプロバースト』で場外に押し出され、試合終了。

 一回戦の上鳴君との試合をも置き去りにする瞬殺だった。

 

 

 第四試合は…まあ、ほとんど予想通りだった。

 『スティール』の“個性”のおかげで熱への耐性を持つ鉄哲君が、全身を鉄化して爆豪君の爆破を受け止めカウンターを叩き込んで優位に立っていたものの、ある瞬間から爆豪君の爆破が効き始めた。

 爆豪君の容赦ない絨毯攻撃を受けたせいで療子の血の鉄分を使い果たして金属疲労を起こし、10分にも及ぶ激闘の末、とうとうダウンした。

 

 こうして、私、轟君、飯田君、爆豪君の4人が準決勝に進出した。

 

 

 

「さて…行くか」

 

 準決勝第一試合を控えた私は、少し時間に余裕を見てリングへ向かった。

 その途中で、フレイムヒーロー“エンデヴァー”こと炎司さんに出会った。

 彼とは、燈矢さん関係で浅からぬ縁がある。

 私は改めて、頭を下げて挨拶をした。

 

「お久しぶりです。炎司さん…いえ、今はエンデヴァーでしたね」

 

「ああ。君には色々と世話になったな」

 

「…その節は誠に申し訳ございません」

 

 あれは、10年前の冬の事だった。

 私は、昔炎司さんに土下座を強要した事を謝罪した。

 燈矢さんの話を聞いた当時の私は、炎司さんの言動に憤慨するあまり、家族全員の前で土下座をさせた。

 今思えば強要罪にあたるし、燈矢さんや冷さんは謝れだなんて一言も言っていなかったのに、余計な事をしてしまった。

 

 それでも彼は、私の無茶振りに応え、家族全員の前で一人一人に謝罪をした。

 子供の無茶苦茶な要求に文句ひとつ言わずに応えたのは、少なからず家族を想う気持ちがあったからだと思う。

 

「俺があの場で頭を下げたのは、君に強制されたからではない。俺の意志だ。だが、家族と向き合う機会をくれたのは君だ。感謝する」

 

 私が昔の非礼を改めて謝ると、炎司さん…もといエンデヴァーは、目を細めながら言った。

 No.1ヒーローに固執していた昔に比べて、温かく、それでいて強い眼差しだと感じた。

 

「……私の両親を殺した(ヴィラン)を捜してくれと警察やヒーローに依頼した時、誰も相手にしてくれませんでした。真面目に捜査をしてくれたのは、オールマイトを除けばあなただけです。世間では色々言われていますが…私は応援してます」

 

 私は、本心をエンデヴァーに打ち明けた。

 私はかつて、私の両親を殺した犯人を捕らえるため、警察やヒーローに協力を依頼していた。

 しかし、本来当主の器ではないにもかかわらず、本家の唯一の生き残りというだけの理由で家督を継いだ私は、全くと言っていいほど周囲の人間に信頼されていなかった。

 当時の私の当主としての権力は皆無に等しく、誰も私の話を真面目に聞いてくれなかった。

 子供の戯言だと嘲笑うならまだマシで、ガセネタを掴ませて私から金を騙し取ろうとする詐欺師紛いの連中や、私のデリケートな部分にまで首を突っ込んでくる下品な連中もいた。

 

 そんな中、唯一真面目に捜査をしてくれたのがエンデヴァーだった。

 「炎熱系“個性”として見過ごせん」と犯人の所業に憤慨し、全国にサイドキックを派遣し総出で捜索にあたってくれた。

 そして探していた(ヴィラン)が何者かに殺された事が判明すると、「約束を守れなかったのだから金は要らない」と報酬の受け取りを拒否してきた。

 中にはエンデヴァーの事を「六徳家の財産に目が眩んだ拝金主義者」だの「六徳家に取り入って点数稼ぎしようとする屑」だのと言う奴もいたが、それをやろうとしたのはどこのどいつだと言ってやりたい気分だった。

 

 確かに過去の行いは消えないし、エンデヴァーが聖人君子だとは口が裂けても言わない。

 だが唯一私に手を差し伸べてくれた彼は、誰が何と言おうとヒーローだった。

 

「この体育祭が終わったら、勝っても負けても、焦凍君に温かい言葉をかけてあげて下さい。それでは、私はこれで」

 

「待て!」

 

 私が会釈をしてから入場ゲートに向かおうとすると、エンデヴァーが呼び止めた。

 私が立ち止まって振り向くと、エンデヴァーは咳払いをしてから言った。

 

「俺は焦凍に優勝してほしいと思っている…が、敢えて言わせてもらおう。君の健闘に期待している」

 

「…ありがとうございます」

 

 エンデヴァーからの激励に、私は笑顔で応えた。

 正直私は、勝ち敗けなどどうでも良い。

 だが、期待には応えねばなるまい。

 彼の為にも、轟君の為にも、全力で挑ませてもらおう。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

エンデヴァーside

 

 焦凍に激励に行った帰りに、“彼女”に出会った。

 六徳刹那。

 世界有数の大富豪一族、六徳家の当主だ。

 俺は彼女に、一生感謝してもし切れない恩がある。

 

 彼女は、偶然にも瀬古杜岳で“個性”事故を起こし重傷を負った燈矢を救助してくれた。

 担当医から全身に火傷を負っていたが命に別状はないと聞かされた時は、膝から崩れ落ちて泣いた。

 その日から俺は、毎日燈矢の事を見ると決めた。

 焦凍を兄姉と会わせないようにするのもやめた。

 たとえ許されなくとも、俺にできる償いを一生続けていくと誓った。

 

 俺が行かなかった瀬古杜岳に刹那君は行き、俺が見ようとしなかった燈矢の事を彼女は見ていた。

 もし彼女が燈矢の命を救ってくれなければ、燈矢の理解者になってくれなければ…燈矢を亡くした俺は焦凍に傾倒するしかなくなり、堕ちるところまで堕ちていた事だろう。

 

 俺は父親として焦凍の優勝を願っているが、刹那君にも心置きなく全力でぶつかってほしい。

 この試合、どうなるのか楽しみだ。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

刹那side

 

『サクサク行くぜ!準決勝第一試合!!お互い名家出身のエリート対決だ!!轟焦凍!!対!六徳刹那!!』

 

 試合開始直前、私は轟君に対し立礼をした。

 武道というのは、礼に始まり礼に終わる。

 試合が始まれば互いに情けは無用だが、せめて試合開始前と試合終了直後は、対戦相手を最大限敬うのが礼儀だ。

 

 勝敗には拘らず、互いに悔いのない戦いをしよう。

 この試合が、本気をぶつけられる最後の試合かも知れんのだからな。

 

『START!!!』

 

 

 

 ――パキィンッ

 

 

 

 開始の合図と同時に、私の身体は凍りついた。

 うーむ、どうにもこうにも動けん。

 氷結が来るのがわかっていたから、“個性”を発動する前にその場でジャンプしてみたんだが、ほぼ無駄な足掻きだった。

 

 …思ったより氷結のスピードが速いな。

 しかも騎馬戦で私に氷結の弱点を突かれたからか、視界を塞がないように改善されている。

 なかなかどうして、戦闘のセンスが高い。

 

「“個性”を使う前に拘束させてもらった。どんなに速く動けようが、凍らされちゃまともに戦えねえだろ」

 

 轟君は、私を氷漬けにしながら言った。

 正解だよ、ちくしょう。

 私の“個性”は、発動する前にガチガチに拘束されてしまっては()()()()意味をなさないという弱点がある。

 今“個性”を発動して時を縮めたところで、下手に動くと表皮が剥がれて痛い事になりそうなんだよなぁ。

 ここは…()()()を使うしかないな。

 

「……確かに。実に合理的な判断だと思うよ。()()()()()()()()()()()()()()だがな」

 

「何っ!?」

 

 そう言って私は、辛うじて動く人差し指の肉球で氷に触れ、“個性”を発動した。

 すると、周りの氷が大量の水蒸気を上げながら一気に昇華し、私の身体の自由を奪っていた氷が綺麗さっぱりなくなった。

 

『なぁーーーー!!?なんだなんだ、何が起こってんだぁ!?轟の氷結が、跡形もなく消し飛んでいく!!こりゃ一体どーいうトリックだぁ!!?』

 

『あいつ、まさか……』

 

 マイク先生は私が氷を蒸気に変えて脱出した事に驚いていたが、相澤先生は私が何をしたのか気付いたようだ。

 

「お前、何をした……?」

 

「私の“個性”は、あらゆるものを速く動かせる。それを少しばかり応用しただけさ」

 

「まさか…無理矢理()()()()()()()()のか?」

 

「ご名答」

 

 私がどうやって自力で氷結を抜け出したのか。

 その事に轟君が気づいたので、心の中で花マルをあげた。

 

『六徳、脱出不可能と思われた氷山から自力で脱出!!けど一体何をしたぁ!?』

 

『六徳は、あらゆる物の速さを操れる。“個性”で氷の分子運動を速めて、一気に温度を上げて氷を昇華させたんだ』

 

『なるほどぉ!んな器用な事もできんのね』

 

 私の“個性”は、触れた物に流れる時間、そしてその物体が動くスピードを自在に操れる。

 それは、ミクロレベルでの時間の流れに対しても当てはまる。

 熱とは、万物が揺れ動く事で生じるエネルギーの流れだ。

 私は、集中すれば分子運動にも干渉する事ができる。

 それはつまり、触れた物の温度を操れるという事を意味する。

 正直神経を酷使するから使いたくなかったんだが、そうも言っていられまい。

 

 轟君は、私を氷と炎で攻撃してきた。

 私は自分に“個性”を発動し、次々と放たれる氷の棘や火球を回避した。

 攻撃の練度の高さから日々の努力を感じ取れるが、時を縮めている間は動きが極端にゆっくりに見えるので、五感と直感を研ぎ澄ませて攻撃の隙間を縫っていけば避けられない攻撃ではない。

 

 ……しかし、キリがないな。

 避けても避けても、氷柱と火球が迫ってくる。

 このまま消耗戦に持ち込まれても面倒なので、少しばかり()()()()を取らせてもらおう。

 

 私は、自分の身体に触れて時の流れを遅くした。

 かなり動きがゆっくりになった氷柱の前に立ち、右脚を軽く振りかぶる。

 そして目の前の氷柱目掛けて思いっきり蹴りを放った。

 

 すると、騎馬戦の時のように、轟音を響かせながら衝撃波が発生した。

 前方の氷柱を悉く薙ぎ倒し、無慈悲の暴風が轟君に襲いかかる。

 流石に客席にまで氷柱が飛んでいかないように加減したが…普通ならこれで場外に吹き飛んでいるはずだ。

 

『六徳、えげつねえええ!!!轟の氷柱を、たった一撃でぶっ飛ばしやがった!!』

 

『運動エネルギーは速度の二乗に比例する。速度を上げられるって事は、それに伴う運動エネルギーも増幅させられるって事だ』

 

『ナイス解説!』

 

 相澤先生の言う通り。

 速さは重さ。

 ソースは某海軍大将さ。

 

『これは流石の轟も吹き飛んで……ない!?しかもほぼ無傷だとぉ!!?』

 

 マイク先生は、リングの上に平然と立っている轟君を見て驚愕していた。

 轟君は、炎で暴風の勢いを殺し、背面に氷山を作る事で場外を免れていた。

 

 ………ですよね。

 流石はNo.2の息子。

 この程度で吹き飛ぶわけがないと思ってたよ。

 だが邪魔な氷柱がなくなったおかげで、だいぶやりやすくなった。

 

「セイッ」

 

 私は、氷で阻まれる前に轟君に急接近すると、“個性”で威力を上げた状態で中段蹴りを放つ。

 轟君は氷を鎧のように展開する事で私の蹴りを防いだが、氷の鎧は粉々に砕け、私の蹴りが轟君の脇腹にクリーンヒットした。

 

「殺す気か…!」

 

「このくらいしないと、君のガードは破れないと思ってね」

 

 轟君が脇腹を押さえながら立ち上がり炎を放ってくるので、私は炎を回避しながら微笑んでみせた。

 私は、再び轟君に接近し、顔面狙いで攻撃を放った。

 すると轟君は、今度は先程より分厚い氷の装甲で私の拳を防いできた。

 そしてそのまま、すかさず左の炎でカウンターを放つ。

 私は、その場で高く跳び上がる事で炎を回避し、頭上から踵落としを放った。

 衝撃波を纏った蹴りが、氷のガードを破って轟君の脳天にクリーンヒット。

 よろめいた瞬間に組みつこうとしたが、火力の高い炎がそれを阻んだ。

 

 …ちっ、防御からカウンターまでのタイムラグがほとんど無いな。

 これは思ったより厄介だ。

 接近戦だと、氷のガードは破れても、炎のガードに阻まれて決定打を与えられない。

 

 埒が開かないので、直接触れずに衝撃波でダメージを与える方向に切り替えた。

 攻撃の瞬間のみ速度を上げて、50センチほど距離を取ったまま掌底を放つ。

 轟君は、咄嗟に氷で私の掌底をガードし、さらに氷でブレーキをかける事で場外を免れた。

 だが流石に瞬間的な加速にまでは対応し切れなかったのか、決して軽くはないダメージを受けたようだ。

 

「ガフッ…」

 

 衝撃波を腹部に受けてリングに膝をついた轟君だったが、ほとんど呻き声も上げずにすぐに立ち上がった。

 肋骨を折るくらいの勢いで打ったつもりだったんだが…なかなか接近も強い。

 No.2ヒーローの指導は伊達ではないという事か。

 

 

 

『まさに激闘!!!近接格闘術で攻める六徳に対し、轟は氷と炎で隙のない攻撃と防御を両立!!凄まじい殴り合いが、かれこれ5分は続いているが…果たして勝つのはどっちだ!!?』

 

「接近も強かったとはな。感心したよ」

 

 結局互いに相手を戦闘不能か場外に追い込む決定打を与えられずに、5分が経過した。

 私は、接近戦で私と互角にやり合う轟君を素直に称賛した。

 

「…ただ、このままだと少々味気ないね。そうは思わんか?」

 

「ああ、そうだな」

 

「轟君、君はどうしたい?」

 

 私は、どうやって決着をつけたいかを轟君に尋ねる。

 別にこのまま接近戦で決着をつけてもいいんだが、それでは少々轟君が気の毒だ。

 この体育祭は、プロに見てもらう場なのだ。

 勝ち敗け以上に、自分の得意を全力でぶつけられたかどうかが評価に繋がる。

 彼が全力で戦いたいと言うのなら、私はそれに応えるまでだ。

 

「当然、勝ちに行く。今の俺にできる全力で」

 

 轟君は、右半身から氷を、左半身から炎を出しながら言った。

 先程までとは比べ物にならない火力だ。

 それだけに、威圧感がひしひしと伝わってくる。

 今までは、全力ではなかったという事か。

 まさか、普通科の私がヒーロー科最強の全力をこの場で拝む事になるとはね。

 

「ウム。そうこなくてはな」

 

 私は、轟君の火力に素直に感心する。

 私は暴力を信じないと決めているが、真剣勝負であれば話は別だ。

 全力で戦おうとする轟君に対して私が微笑み、私もまた誠心誠意応えようとした、その時だった。

 

「いいぞ焦凍ォオオオオッ!!!」

 

 この距離でも振動がビリビリと伝わってくる程の大声が、観客席から聴こえてくる。

 振り向くと、エンデヴァーが観客席から身を乗り出し、ゴォッと髭の炎を燃やしながら轟君を応援していた。

 

「親父…」

 

「見事な火力だ!!それでこそ、俺と母さんの自慢の息子だ!!お前の力を、存分に見せてやれ!!」

 

『エンデヴァーさん急に“激励”…か?親バカなのね』

 

 エンデヴァーの大袈裟な激励に、マイク先生も戸惑っている。

 まったくだ。

 轟君も、頭を抱えちゃってるよ。

 だがおかげで、私まで熱くなってきた。

 あんなに期待されちゃあ、応えざるを得ないな。

 

「あそこまで言われちゃあ、みっともないところは見せられないね」

 

「……ああ」

 

 私が言うと、轟君は意志のこもった目で私を見据えながら頷く。

 轟君は、冷気を纏った右手と炎を纏った左手を組み、溜めの姿勢を取った。

 そっちが全力で来るなら、こっちも手を打たなくてはな。

 私は、轟君が力を溜めている間に、雑念が混じらないように精神統一しながら演算を行った。

 

「行くぞ!」

 

「来い」

 

 轟君が組んだ両手の中にありったけの冷気と熱気を込めるので、私も走りながら右の拳を勢いよく振りかぶった。

 轟君が攻撃を放つと同時に、私も拳を振り抜き、インパクトの瞬間に“個性”を発動した。

 ちなみに私が今放った拳の速度は秒速3000m、大体マッハ8.8くらいだ。

 確かレールガンの弾速がマッハ6〜7とかだから、それよりもやや速いくらいの計算になる。

 

 轟君が拳藤君との戦いで見せた衝撃波と、私の極音速パンチによる衝撃波が、ほぼ同時に放たれた。

 そして、その次の瞬間。

 

 

 

 ――ドゴオォン!!!

 

 

 

 鼓膜が破れるかと思う程の轟音と衝撃波が、私に襲いかかる。

 セメントス先生が咄嗟にセメントの壁を作ってスタジアムに被害が出るのを防いだが、それでも衝撃波は止まらなかった。

 

 私は、ただひたすら拳を加速する事で、衝撃波を相殺した。

 私は轟君とは違って、一度懐に入られたらそこから己を防御する手段が無い。

 おまけに、私自身の生身の防御力はそこまで高くない。

 つまり何が言いたいかというと、押し負ければそのまま場外まで吹き飛ばされてしまう。

 

 だったら衝撃波を跳ね除けられるまで、加速すればいいだけの事。

 プルスウルトラってやつさ。

 私はさらに拳を加速させ、衝撃波で膨張による風圧を跳ね除けた。

 リングは吹き飛び、風圧と大量の水蒸気が観客席にまで襲いかかった。

 

 風が止んだ頃、リングの上には水蒸気とコンクリートの破片が混じった煙が立ち籠め、視界が悪くなっていた。

 何とか場外を免れた私は、“個性”を解除してボロボロのリングに降り立つ。

 煙が晴れてきた頃、目の前を見ると、上半分が砕けてなくなった氷山の上にぐったりと仰向けに倒れ込んだ轟君がいた。

 轟君の上半身が、僅かにリングのラインを超えていた。

 

「轟君場外!!決勝進出、六徳さん!!」

 

『ついに決着!!!激闘の末に決勝の枠を手にしたのは、C組六徳刹那!!正直どうなる事かと思ったが、二人ともよく頑張った!!ヘイエヴィバディ!!クラップユアハンズ!!』

 

 試合が終わると、会場は拍手と歓声に包まれた。

 私は、いまだに氷山の上に横たわった轟君に向かって歩き出す。

 私が触れる直前、彼が目を覚ました。

 

「う……」

 

「ありがとう、轟君。楽しい戦いだったよ」

 

 私は氷山を登り、起きた轟君に手を差し伸べながら言った。

 すると氷山に腰掛けたまま上体を起こした轟君は、俯きながら言った。

 

「…そうか。俺は…負けたのか」

 

 轟君は、意外にも冷静に敗北の事実を受け入れた。

 全力を出し切ったからか、今の彼からはほとんど負の感情は感じられなかった。

 今の彼には不要かもしれないが…少々余計なお節介。

 

「悲観する事はないよ。君が勝つ可能性だって、十二分にあったのだ。実際、もし私が分子運動を操る境地に至っていなければ、最初の氷結で詰んでいた」

 

「…いいよ、同情なんかしなくて」

 

「同情なんかじゃない。紛れもない本心だよ。君は強い。そしてこれからもっと強くなる。君はいつか必ずエンデヴァーを、そしてオールマイトをも超えるヒーローになる」

 

「オールマイトをも…か。随分と先を見てるんだな」

 

「そうかな?案外、そう遠くない未来かもよ」

 

 私が轟君に賞賛と励ましの言葉を送ると、彼は私の手を取り立ち上がった。

 私が立礼をしてからリングを去っていくと、後ろから轟君が声をかけてきた。

 

「……ありがとな」

 

「こちらこそ」

 

 轟君が礼を言ってきたので、私は顔だけ振り向いて返事をした。

 …それにしても、ひどい有様だな。

 体操服がボロボロだ。

 せっかく編んだ髪も、解けてボサボサになってしまった。

 決勝が始まるまでに、着替えねばな。

 …決勝でどうせすぐにボロボロになるだろうけど。

 

 ちなみにこの試合で、体操服がボロボロになって露出が少し増えたせいか、()()()()()()()が蛆のように大量に湧き、画像や動画をSNSで拡散しようとする無礼者共とそれを阻止しようとする勢力との間でサイバー戦争が行われたのはまた別の話。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 轟君との試合が終わった後、私は控え室で休憩していた。

 すると、クラスメイトが控え室に駆け込んできた。

 

「「「「「六徳さん!!!」」」」」

 

「刹那ちゃん!!」

 

 皆がいきなりドアを勢いよく開けて駆け込んでくるものだから、思わずビクッとしてしまった。

 

「決勝進出おめでと委員長〜!」

 

「お疲れ様!」

 

「委員長マジすげーよ。優勝候補の轟に勝っちゃうなんてさ」

 

「とりあえずこれ着て」

 

 皆が労いの言葉をかけてくれる中、心操君がさりげなく私の肩に自分の体操服の上着をかけてくれた。

 私は、心操君から上着を借りてはだけた部分を隠しつつ、皆をまっすぐ見つめて口を開いた。

 

「……ありがとう、皆。早速遣って悪いんだが…お願いを聞いてはくれないか?」

 

「お願い?」

 

「まず、氷嚢と甘い食べ物を持ってきてくれないか?試合で頭を使ったから、できるだけ早く回復させたい。代金は後で支払う……あと、決勝が始まるまでにA組の八百万百を呼んできてくれ。体操服がボロボロになってしまったのでな」

 

「あ、うん!」

 

「アタシ屋台行ってくる!」

 

「刹那ちゃん、私の血は要りませんか?」

 

「……貰う」

 

 私が頼み事をすると、一部を除いてクラスメイト達が急いで控え室を後にした。

 私は、クラスメイトの介抱を受けつつ、控え室のモニターで試合を観戦した。

 

 

 準決勝第二試合は、飯田君と爆豪君の戦いだったわけだが…

 正直言って、私の予想を大きく超えなかった。

 試合開始と同時に『レシプロバースト』で突撃した飯田君だったが、爆豪君は爆破で上空に飛んで回避し、死角から飯田君に爆破を浴びせた。

 滞空性能のない飯田君は、爆豪君の容赦ない絨毯爆撃に対応し切れず翻弄される結果となった。

 そもそもエンジンと爆破の相性が悪いせいか、騎馬戦や塩崎君の時よりも早くエンジンがエンストし、戦闘不能に追い込まれてしまった。

 動けなくなり打つ手無しとなった飯田君が降参した事により、爆豪君が決勝へ進出。

 決勝は、私対爆豪君に決まった。

 

 

 

 

 




しょきろき君にギリギリで勝つならともかく、初っ端から原作終盤並みの火力を出せる轟君にくっちゃべる余力残して勝つオリ主ちゃんはバケモンなんよ。
流石にちょっと強くしすぎましたかね。


やたらと“強固性”が持ち上げられる超常社会で平和を維持してきた立役者が二人とも“無個性”という皮肉
ちなみにオリ主ちゃんのパッパ

・世界有数の大富豪一族の当主
・幅広い業界でトップシェアを誇る大企業群の総帥
・オールマイトと肩を並べる第二の平和の象徴
・AFOが育てた芽を摘みまくるガチ有能
・OFAの秘密を知ってる
・娘がチート“個性”持ち

(ヴィラン)に狙われる理由が多すぎておいたわしさ天元突破してる件について

A組の期末前の修行パートいります?

  • 書け
  • いらん、本編進めろ
  • んなもんより他の番外編書け
  • 好きにしな
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