私の世直しアカデミア   作:M.T.

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すみません、夏バテしてお腹壊しちゃいました(言い訳)。
Ganzin様、すはらかなや様、高評価を入れていただきありがとうございます!
面白いと思っていただけましたら高評価(特に8・9・10あたり)お気に入り、感想等よろしくお願いします。

6/28 一部修正しました。


第34話 弟がいつもお世話になっています

劫波side

 

 俺が“無個性”だと告げられたのは、5歳の頃だった。

 俺が“無個性”だと分かった途端、孤児院の奴等はゴミを見るような目を俺に向けてきた。

 その日の夜、俺は寝ている間にスラムに捨てられた。

 

 目が覚めたら、周りにはゴミ山が広がっていて、鼻が曲がるような異臭が街中に漂っていた。

 ゴミの臭いだけじゃなくて、血や腐った死体の臭いも混ざっていた。

 どこかしらで誰かが襲われていて、悲鳴がずっと聴こえていた。

 まさに地獄絵図ってやつだ。

 俺がゴミ山の中を彷徨いていると、無造作に捨てられた端末から声が聴こえた。

 

   くん。可哀想に、誰も助けてくれなかったんだね』

 

 端末越しに、気味の悪い声が聴こえてきた。

 そいつは、俺の事を知っているとか何とか言って、こっちが聞いてもいない事をベラベラと喋った。

 俺は日本の資産家一族、“六徳家”の当主の子供だという事。

 俺の両眼の中にある星は、六徳家の血を引く人間の瞳にしか現れない特別なものだという事。

 当主は俺の姉にあたる女に跡を継がせ、用済みになった俺を売り飛ばした事。

 生みの親と育ての親に捨てられた俺を、そいつが助けたいと思った事。

 それを全て説明した後、そいつは俺にある提案をしてきた。

 

『僕はね、君のような子供を捨てたこの社会が許せないんだ。もし君が今を変えたいというのなら、僕と一緒に来てほしい。君が望むなら、“個性”をあげるよ』

 

 『“個性”をあげる』、その一言で、俺の中で答えは決まった。

 

「寝言は寝て言え、カス」

 

 俺は、そいつの提案を即刻拒否した。

 “個性”をやるなんて上手い話に、そう易々と乗っかるわけねえだろ。

 第一、俺は別に“個性”なんか要らねえし。

 俺は、“個性”に頼らなきゃ生きていけねえ雑魚とは違う。

 

『そうか…それは残念だ。気が変わったら、いつでも声をかけるといい』

 

 その言葉を最後に、そいつは電話を切った。

 俺は、そいつの心配とは裏腹に、スラムの中で自由気ままに生きた。

 俺は、ゴミ溜めの中に俺を捨てたシスターを恨まなかったし、孤児院に戻りたいとも思わなかった。

 『普通』とか『常識』を押し付けてくるババァも、“個性”を見せびらかしてくる孤児院の奴等も嫌いだったし、むしろ離れられて清々していた。

 

 俺はまず、生きる為に戦う術を身につけた。

 俺を狙ってくるチンピラを返り討ちにしているうちに、戦い方がなんとなくわかるようになってきた。

 あと、秘密基地も作った。

 やっぱり住む場所には拘りてぇしな。

 ゴミの臭いも、人の叫び声も、3日も暮らせば気にならなくなった。

 古臭い慣習や常識に縛られない暮らしは、不衛生さと治安の悪さにさえ慣れれば、むしろ孤児院より居心地が良かった。

 

 だけどそんな俺の暮らしに、ある日変化が起きた。

 俺がスラムに来て一週間が経った頃、チンピラがよってたかって女をいじめているのを見つけた。

 

「その辺にしといたら?」

 

「あ?何だこのガキ!」

 

 俺が声をかけたら、チンピラがキレて襲いかかってきたから返り討ちにした。

 そしたら、いじめられてた女が俺についてきた。

 俺の秘密基地にまでついてきたから追い払おうとしても、女はしつこくついてきた。

 

「どこまでついてくる気だよ?」

 

「どこまでもお供します」

 

「…ふぅん、変な奴」

 

 赤い髪の女が、俺の作った秘密基地に入り浸るようになった。

 女は、俺の言う事なら何でも聞いた。

 それだけじゃなくて、俺が何も言わなくても、俺の命を狙ってくるバカ共を排除してくれた。

 

 スラムで暮らしているうちに、近所の不良が勝手に俺の後ろについてきた。

 特に俺の基地にまで上がり込んで世話を焼いてくる奴等が、女の他にも三人いた。

 何の偶然か、トカゲの奴以外は、全員“無個性”だった。

 最初は俺の後ろをついてきて鬱陶しかったけど、一緒に過ごしているうちに面白い奴らだって事がわかって、気がつけば4人は俺にとって大事な仲間になっていた。

 

「なあ、今更だけどよ。お前ら名前なんて言うんだ?」

 

「名前?そんなのねえよ。生まれてすぐ捨てられたからな」

 

「アハハ、俺も」

 

 俺についてきた4人は、誰も自分の本名を知らなかった。

 俺が住んでいたスラムには、赤ん坊だろうと平気で捨てられるから、自分の名前を知らない奴は珍しくなかった。

 

「よし、じゃあ俺が決めてやる!お前はカイマン。お前はロップ。で、お前がシャム」

 

「えぇ?」

 

 俺は、仲間のうち三人に、動物にちなんだ名前をつけた。

 トカゲ顔のデカイ奴は、顔がカイマントカゲみたいだから、そのままカイマン。

 最初についてきた女は、垂れ耳ウサギみたいな髪だからロップ。

 細い男は、猫みたいな目つきをしてるからシャム。

 で、最後に目元に傷のある眼鏡の男の名前を考えようとした時、ちょうどドブネズミが俺の目の前を横切った。

 

「んで、お前は〜…ラット!」

 

「今、ドブネズミを見て僕の名前決めませんでした?」

 

 俺が命名すると、ラットは文句を言った。

 しょうがねえだろ、咄嗟にピッタリな名前が思いつかなかったんだから。

 

「なあ、せっかくだからチーム名決めねぇ?」

 

「チーム名?」

 

「そう!こうやって5人集まってるんだし、何かバシッと決まる名前あった方がかっこいいべ?」

 

「おー、いいね」

 

 シャムが笑いながら言うと、カイマンがそれに賛同した。

 ふと空を見上げると、チームの名前が思い浮かんだ。

 

「じゃあよ。夕暮れ時に結成したから、『ダスク・ギルド』なんてどうだ?」

 

「うわあ、安直〜」

 

「え、カッコよくね」

 

 俺が提案すると、シャムは歯を見せて笑い、カイマンは俺の提案した名前を気に入った。

 この5人で『ダスク・ギルド』を創設したのは、6歳の頃だった。

 

 その日から、俺らは街中を駆け回って、街中のゴミを片っ端から片付けた。

 せっかくチームを作ったんだからデカい事をしようって事で、ゴミ山を人の住める街に変えた。

 最初は街のチンピラ共に笑われたけど、ゴミ掃除を続けているうちに俺の後ろをついていく奴等が少しずつ増えた。

 そして俺が11歳になった頃、長年スラムの奴等を苦しめてきたマフィアをぶっ潰して、街の秩序を守るルールを新しく作った。

 

「困った時は、いつでも俺達を呼べ!お前らの事は、この『ダスク・ギルド』が守ってやる!」

 

 伸びたマフィア連中を高く積み上げた山の上で俺が演説すると、スラムの奴等が歓声を上げた。

 俺らがボコボコにしたマフィア連中は、みんなまとめて俺の部下にして、スラムの掃除を手伝わせた。

 

 だけど政府の奴等は、スラムのゴキブリが職業ヒーロー以上に英雄として讃えられるのが気に入らなかったらしい。

 奴等は、俺達がスラム街を立て直した途端に用済みと言わんばかりに俺達を国から追い出し、元々国にいたプロヒーローがスラム街を人の住める街に変えたっていう捏造記事を世界に発信して、積極的にヒーロー上げのプロパガンダに励んだ。

 ご苦労なこった、とは思ったが、別に奴等が俺らのした事をどう利用しようがどうでも良かった。

 俺らは賞賛されたかったわけでも、見返したかったわけでもなく、ただやりたいようにやっただけだ。

 …まあ、無能な政府や職業ヒーローに、スラムのイカレ連中を制御できるとは思えねえけど。

 

 

 

「日本に行く?」

 

「うん。六徳家の当主に一回会ってみたいからさ。敵が誰かを確かめに行く」

 

 俺は六徳家の現当主に会いに、日本に行く事にした。

 きっかけは、六徳家の当主のスピーチをニュースで見た事だった。

 それまでは、端末を使ってベラベラ喋ってきた奴の事なんか、これっぽっちも信じていなかった。

 だけど映像で現当主の顔を見た瞬間、俺は悟った。

 こいつは俺の実の姉だ、と。

 

 俺は、この目で見たもの以外信じない。

 だから、そいつに直接会いに行って、俺の敵かどうかを見極める事にした。

 もし端末で俺の実の親の事を教えてきた奴の言っていた事が本当なら、六徳家は俺の敵って事になる。

 だけどもしあいつの言っている事が嘘だったら、あいつの方こそ俺の敵だ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「えへへへ、えへへへへ」

 

「何これ」

 

 六徳家の現当主…俺の姉貴が、俺に抱きついてアホみてえな面しながら頬擦りをしてくる。

 なんだこれ。

 なんか、思ってたリアクションと違うんだけど。

 

 俺が生まれ育った国の上流階級の奴等は、スラム街で育った俺を、ゴミを見るような目で見てきた。

 俺がスラム街を生まれ変わらせた後も、その評価が変わる事はなかった。

 もっとこう、俺に疑いの目を向けてきたり、軽蔑したりするんじゃないのかよ。

 

「藍色を帯びた黒髪も、星を宿した黒い瞳も、父上そっくりだ。最後に話しかけた時はまだ母上の腹の中にいたというのに、こうして私の目の前にいるのが嘘のようだ」

 

「わかった、わかったから。おいお前ら、こいつどうにかしろ」

 

 姉貴は、俺を強く抱きしめながら身体中を撫で回してきた。

 俺は、ロップ達に助けを求めようと目配せをしたけど、ロップ達はニヤニヤしながら俺達を見ているだけだった。

 お前ら、一生俺の手足として生きていくんじゃなかったんかよ。この裏切り者が。

 

「本当に大きくなったな、劫波。こうしてまた会えるなんて、夢のようだ」

 

「離せよ、鬱陶しいわ」

 

「…やだ。もう少しだけ、このままでいさせて」

 

 姉貴は、涙ぐみながら気が済むまで俺を抱きしめてきた。

 顔が胸に埋もれて、苦しい……

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

刹那side

 

 弟との再会を果たし、気が済むまで抱きしめた後、私は『逢魔刻団』の4人から弟の話を聞いた。

 私は、今まで弟を守ってくれていた4人に、感謝の気持ちを伝える事にした。

 

「ロップ、シャム、カイマン、ラット。改めて礼を言おう。今日まで劫波の…私の弟の友達でいてくれてありがとう」

 

 私が4人に向かって頭を下げて礼を言うと、私の後ろにいた黒服達がどよめく。

 黒服達の動揺も、わからなくはない。

 六徳家の当主がヴィジランテ予備軍、しかもスラム出身の子供に向かって頭を下げるなど、普通はあり得ない事だからな。

 だが、彼等が劫波の心の支えでいてくれたという事実の前では、()()()()はどうでも良いのだ。

 

「いえ、お礼なんてそんな…」

 

「俺らは一生団長についてくって決めたからな」

 

「彼は、“無個性”だという理由で社会に捨てられた私達に、『大事なのは自分の運命を呪う事ではなく今を生きる事だ』と説き、生きる術を教えてくれた。私達の生きる理由は、それだけで充分だから」

 

 私が礼を言うと、ラット、シャム、ロップの3人が当然のように言った。

 だがカイマンだけは、戸惑いを見せながら口を開く。

 

「…俺は正直、あんたの事を計りきれないでいる。俺の生まれ育った国じゃ、異形や“無個性”には人権なんかなかった。金持ちの偉い奴ってのは、俺達みたいな奴等を人間とも思ってねえ、鬼畜の集まりだと思ってた。この国には、あんたみたいな変わり者もいるんだな」

 

「普通だよ」

 

「……え?」

 

「私からすれば、異常なのはそいつらの方だ。何を食って生きていれば、君達を迫害するなどという非合理的な判断ができるのだね。とても文明人とは思えんな」

 

 私の態度に戸惑いを見せるカイマンに対し、私は持論を語った。

 矮小でくだらない自己愛を守るためだけに、自分より弱い者や自分とは違う者を傷つける。

 そういう下劣な奴等が権力を持つから、国民まで馬鹿になる。

 そいつらと同じ人間であると思うだけで、全身が痒くなってくる。

 

「…あんた、やっぱ変だな」

 

「そうか?」

 

 カイマンの発言に対し、私は肩をすくめてみせた。

 変も何も、私はただ事実を言っただけだ。

 尤も、私の思想が少数派であるという自覚はあるがな。

 

「ああそうだ、劫波。今ちょうど風呂を沸かしたところなんだが、一緒に入らないか?」

 

「は!?何でだよ、キモっ!!」

 

「私、お前が生まれたら一緒に風呂に入るのがずっと待ち遠しかったんだ。積もる話もあるしな」

 

 そう言って私は、劫波を風呂場に連れて行こうとする。

 すると新井が、私に苦言を呈してきた。

 

「お嬢様、それはちょっと流石に…」

 

「何だ?姉の私が弟と一緒に風呂に入って何が悪い?」

 

「………」

 

 私が目で圧をかけると、新井が黙り込んだ。

 11年ぶりに弟に会えたんだから、一緒に風呂に入るくらいいいだろ。

 こちとら、クソ共のせいで弟が生まれる前に引き裂かれて、11年間も離れ離れだったんだぞ。

 

 私は劫波の手を引いて、一緒に風呂場へと向かう。

 さっき私が服を汚してしまったし、風呂に入っている間に亜楼達に服を洗っておいてもらおう。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「うわ、広」

 

 一緒に風呂に入ると、劫波が僅かに目を見開く。

 劫波が育った国には、入浴の文化がないからな。

 驚くのも無理はない。

 

「ちゃんと身体洗ってから入るんだぞ」

 

「わーってる」

 

「私が背中を流してやろうか?」

 

「触んな、キモチワリィ」

 

 私が劫波の肩に手を置くと、劫波は鬱陶しそうに私の手を払いのけた。

 服を着ている時は女の子みたいだとも思ったが、意外と身体ががっしりしてるな。

 しっかり鍛えているのがわかる身体つきだ。

 こうしてみると、ちゃんと男の子なんだな、と思う。

 

「劫波は小さくて可愛い♡」

 

「は?何、殺されてえの?」

 

 私が劫波に向かって言うと、劫波は悪態をつきながら私を睨んできた。

 今11歳って事は、もうすぐ思春期か。

 そうなると、小さくて可愛い劫波ではなくなってしまうんだろうな。

 成長が楽しみな反面、やはりどこか寂しい。

 …ああ、『小さくて可愛い』っていうのは背の話だからな?

 

 私が誰に向けたわけでもない言い訳をしつつ、劫波と一緒に湯船に浸かると、劫波の瞳が目に留まる。

 劫波の両眼の黒い瞳の中には、六つ角の白い星が輝いている。

 

 六徳家の人間は、瞳の中に六つ角の星を宿している。

 六徳家の歴史は長く、平安中期に皇族の一人が皇籍離脱し六徳姓を賜ったのが始まりとされているが、六徳家の眼の中に星が現れたのは割と最近の事で、私の曽祖父の代からだ。

 六徳家の家紋でもある六つ角の星は、六徳家の血を引く人間にのみ現れる特異体質だ。

 だが、世代を経るごとに血が薄まるから、現存する六徳家の子孫達は、曽祖父の持っていた星を不完全な形で受け継ぐ事になる。

 私も、伯父や伯母も、片眼にしか星がなかった。

 

 だが例外として、どの世代でも一人だけ、両目に星を持つ者がいた。

 それが先代当主と先々代当主、つまり私の祖父と父だ。

 特に父は、“個性”を持たない代わりに多方面で超人的な才能を発揮し、六徳家の歴史上最高の当主と称された。

 

 そして弟も、父と同じ六つ角の星を両眼に持っている。

 この子と初めて目が合った時は、父の生まれ変わりなんじゃないかとさえ思った。

 もしあの日クソ共が父と母を殺していなければ、次期当主になっていたのは間違いなく劫波だった。

 

「…なあ、劫波。お前は、どうしたい?」

 

「は?」

 

「お前は、六徳家の当主になりたいか?」

 

「馬鹿言ってんじゃねえ。こんなでかい家の当主なんか、かったるくてやってられっか」

 

 私が尋ねると、劫波は呆れたように言った。

 

「それに今の俺には、あんたよりあいつらの方が大事だ」

 

「……そうか」

 

 劫波がこの家に残らないと決めた事に、驚きはなかった。

 というか、今の劫波ならそう答えると思った。

 

「劫波。お前は、この家や私の事なんか気にしなくていいし、お前はお前の生きたいように生きろ。だけど、私は家族として、お前を一生気にかけ続ける。お前が幸せなら、私は何も要らない」

 

 私は、劫波の頭を撫でながら、ずっと伝えたかった事を伝えた。

 すると劫波は、いきなり私の顔にお湯をかけてきた。

 

「キモチワリィ事言ってんじゃねえ。俺は、俺のやりたいようにやってるだけだ。言われなくても、世界一自由に生きてやる」

 

 劫波は、こっちが心配しているというのに、生意気にも減らず口を叩いてきた。

 何というか…こういうところ、本当に父上にそっくりだな。

 

 ところで、劫波は日本語はどれくらい喋れるのだろうか?

 ずっとスラムにいたから、日本語を勉強する機会はほとんど無かっただろうが…

 家の中でなら私も使用人も英語を話せるから何も問題はないが、しばらく日本にいるつもりなら、最低限の会話くらいはできないと支障をきたす。

 もし挨拶の言葉すらわからないのであれば、今のうちに教えておいた方がいい。

 

「劫波。英語の他に何語を話せる?」

 

「スペイン語とフランス語、あと中国語が少し」

 

「日本語は?どれくらい話せる?」

 

 私が尋ねると、劫波は少し考え込んでから口を開いた。

 

「“人がゴミのようだ”」

 

「…どこで覚えた、そんな言葉」

 

「アニメ」

 

 ……あーあ、ダメだこりゃ。

 やっぱり、しばらくは私がついてやった方が良さそうだな。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

劫波side

 

 無理矢理姉貴と一緒に風呂に入らされた俺は、姉貴が用意した服を着て部屋に戻った。

 俺のスマホに着信が入ったのは、ちょうどうとうとしてきた時だった。

 相手が誰だかは、出なくてもわかる。

 俺をしつこく勧誘してきた野郎だ。

 この際だからハッキリ突っぱねてやろうと、バルコニーに出てから電話に出た。

 

「……何だよ」

 

『日本に来てから、随分と楽しそうだね。君を捨てた六徳家に、いいように操られているとも知らずに』

 

 俺をしつこく勧誘してきた野郎は、この期に及んで俺が六徳家に騙されてると言い張ってきた。

 そこらの馬鹿ならコロッと言いくるめられたんだろうが、今の俺にはどっちが嘘をついてるかくらいわかる。

 

「うるせえんだよ、カス。何が『君のような子供を捨てたこの社会が許せない』だ。マッチポンプもいい加減にしとけよゴミ」

 

『君は何を言っているんだ?』

 

「とぼけんじゃねえ。親父とお袋を殺して俺を攫ったのはてめぇだろ。何でもかんでもてめぇの思い通りに操れると思ってんじゃねえぞ、アホが」

 

 俺は、あくまで自分からは嘘だと認めようとしないクソ野郎に、ハッキリと言ってやった。

 するとクソ野郎は、スマホ越しにため息をついた。

 

『君はもう少し、話のわかる子だと思っていたんだけどね…何も疑わずに僕についていけば良かったものを』

 

「その言い方は、てめぇが俺を騙そうとしてたって事でいいんだな?」

 

『…君に似て、強情な男だったよ。あの男につけられた傷が今でも疼く。彼には、できるだけ長く苦しみながら死んでほしかったんだ』

 

「やけにあっさり認めるんだな」

 

 俺が尋ねると、クソ野郎はどこか楽しそうに話し始めた。

 こいつ、もう俺に嘘が通用しないからって、開き直りやがった。

 だけど、これでハッキリした。

 姉貴の言っていた事は本当だった。

 親父とお袋は、俺を捨ててなんかいなかった。

 何より確信したのは、このクソをぶっ殺さねえと、何も解決しねえって事だ。

 

『僕はね、君を本当に可哀想だと思っているんだよ。余計な詮索をしなければ、()()()()()()()()()()()()()というのに』

 

「………あ?」

 

『これが最後のチャンスだ。今すぐ六徳家の当主を殺しなさい。でないと、君の大事な仲間を一人ずつ消していく』

 

 さっきまでとは違う殺気のこもった声に、全身が総毛立つ。

 その瞬間、あいつらが血の海に沈むイメージが脳裏に浮かぶ。

 こいつ、本気であいつらを殺すつもりだ。

 

『5年間苦楽を共にした仲間の命と、ついさっき会ったばかりの女の命。どちらが大事かなんて、考えるまでもないだろう?』

 

 …そう来るかよ、クソが。

 このクソ野郎、あいつらを人質にしやがった。

 早くあの女を殺さないと、ロップ達が殺される。

 

 

 

「劫波、そんなところにいたのか」

 

 突然後ろから声をかけられて、思わず声を詰まらせる。

 振り向くと、ネグリジェを着た姉貴がバルコニーのドアの前に立っていた。

 

「ん?誰かと電話をしているのか?」

 

 姉貴は、バルコニーに置いてあったサンダルを履いて、俺に歩み寄ってくる。

 姉貴が一歩近づくごとに、呼吸が乱れて嫌な汗が流れた。

 脳裏に、嫌なイメージが浮かぶ。

 

 姉貴が俺の肩に触れた瞬間、この手を姉貴の首に伸ばし、力いっぱいにへし折る。

 首の骨が折れる音が響いた直後、大量の血が噴き出る。

 力なく床に倒れた姉貴が、目を見開いて口からゴポゴポと血を吐き出し、小便を漏らす。

 首から噴き出た血が、床に広がった小便を赤く染める。

 瞳の中の星が暗くなっていって、最後には海の底みたいに真っ暗に散瞳する。

 俺が荒くなった息を整えた、その時だった。

 

 

 

「劫波」

 

 声をかけられると同時に、ファサッと何かが俺の肩に掛かった。

 見上げると姉貴が、心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。

 

「夜更かしも程々にな。ここ開けとくから」

 

 そう言ってドアを開けて部屋に戻る姉貴を見て、ようやく思考が現実に引き戻された。

 気がつくと、いつの間にか上着が肩に掛かっていた。

 …クソ、俺とした事が妙にリアルな想像しちまった。

 俺がため息をついたその時、またスマホから声が聴こえてくる。

 

『せっかくのチャンスを棒に振るうとは…これは、仲間が殺されてもいいという事かな?』

 

 クソ野郎は、わかりやすく俺を脅してくる。

 けど俺は、俺の行きたいように生きるって決めた。

 俺がこいつの言う事を聞かなきゃいけない理由なんか、何一つない。

 

 何よりこいつは、俺を完全に怒らせた。

 もう、ぶっ殺し確定だ。

 一度決めたら、俺はもう曲がらねえ。

 要は、仲間を殺される前にこいつを殺しゃあいい話だろうが。

 俺は、画面にヒビが入るほど強くスマホを握りしめながら、クソ野郎を煽り返した。

 

「上等だコラ。返り討ちにしてやるよ」

 

 俺がそう言うと、通信がプツッと途切れた。

 それから30分もしないうちに、事態が急変した。

 

 

 

 ――ウゥーーーーーーー!!!!

 

 

 

「!?」

 

 屋敷中に、サイレンの音が鳴り響いた。

 何が起こったのか分からずにいると、黒い服を着た髪の長い女が駆けつけてきた。

 

「侵入者よ!早く避難して!」

 

 女は、切羽詰まった様子で俺に声をかけてきた。

 …まじかよ。

 いくらなんでも早すぎだろうが。

 あのクソ野郎、ガチで俺らを殺す気らしいな。

 俺は、避難を促してきた女の腕を掴んで、手短に尋ねる。

 

「おい、侵入者の居場所はわかるか?」

 

「え?」

 

「連れてけ」

 

「は!?」

 

「俺が始末しに行く」

 

 俺は、手をコキコキと鳴らしながら言った。

 何するつもりか知らねえが、俺の仲間を殺そうってんなら、黙って見過ごすわけにはいかねえよなぁ?

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

狭間side

 

「うんうん、なるほどねぇ」

 

「盗み聞きとは、趣味が悪いぞ西馬」

 

 俺は、壁に挿した尾を使って劫波君の携帯を傍受する西馬に注意をした。

 お嬢様の安全を守るためとはいえ、何でもかんでも傍受するのはこいつの悪い癖だ。

 まあ今回は、そのおかげで早急に対処できたわけだが。

 

 それにしても、劫波君がオール・フォー・ワンに狙われていたとはな。

 奴め、劫波君がここに来るタイミングをずっと狙っていたのか。

 家族水入らずを邪魔するとは、どこまでも不愉快な奴だ。

 

 異常を感知した俺達は、監視塔で睨みをきかせていた。

 双眼鏡で敷地内の森を見ると、全長20m以上はある巨人が、屋敷のバリアを破壊しようとしていた。

 六徳家の屋敷には、タルタロス並みのセキュリティが敷かれている。

 11年前の事件をきっかけにお嬢様は、六徳家の機密と信頼を守るため、11年の間に兵力をかき集め、最先端のセキュリティシステムを導入なさった。

 そのうちの一番外側に敷かれているセキュリティが、侵入者が接近すると硬化して壁の役割を果たすレーザーバリアだ。

 普通の武器程度なら通さないが、屋敷のセキュリティの中では一番突破が容易だ。

 まずいな、このままだとバリアを破壊される。

 

「にしても、デカいな。何あれ」

 

 西馬は、“個性”で敷地内全体を索敵しながら口を開く。

 タイミング的に、オール・フォー・ワンの手先か…?

 劫波君がオール・フォー・ワンに刃向かったから、奴に代わって始末しに来たのだとしたら…

 …いや、今はそんな事はどうでもいい。

 

「どこの誰だろうと、同じ事だ。侵入者を排除するのが俺達の役目」

 

「かっくい〜」

 

 俺が刀を抜くと、西馬が茶化してくる。

 俺は構わず、巨人の方を見た。

 あいつがどこの誰だろうと、お嬢様を脅かすのなら排除するまで。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 巨人が、レーザーバリアを突破し、木々を薙ぎ倒しながら一直線に屋敷に向かってくる。

 ここから1kmは離れているというのに、雄叫びが聴こえてくる。

 思ったより速いな…

 などと考えていると、通信機からお嬢様の命令が聴こえる。

 

『総員、侵入者を直ちに捕らえろ。狭間。今動ける者を侵入者のもとへ飛ばせ』

 

「了解」

 

「本当に拘束でいいんすか?あいつ、そう簡単に止まりそうにないんですけど」

 

『ああ。生捕りにしろ。奴には聞きたい事があるのでな。だが拘束が難しければ、直ちに殺害に切り替えろ。私が許可する』

 

「…りょーかい」

 

 西馬が尋ねると、お嬢様が追加指示を出した。

 直ちに殺害に切り替えろ、か…

 お嬢様がそこまで言うとは、それ程までに今回の標的の危険度が高いという事か。

 何にせよ、油断なく対処しなければ。

 

「行くぞ、西馬」

 

「あーい」

 

 俺が声をかけると、西馬が気怠げに返事をする。

 俺は、“個性”を使って屋敷中の戦闘要員を侵入者のもとへ飛ばした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 俺は、侵入者のもとへ新井先輩達を飛ばして、自分もいつでも転送できるように準備をした。

 今侵入者が暴れているのは、屋敷の敷地内の森の中だ。

 森の中には無数のセンサーとトラップが仕掛けられていて、レーザーバリアを突き破った侵入者に対してトラップが発動し、近隣のヒーロー事務所や警察署にも直ちに通報がいく仕組みになっている。

 既に森中に仕掛けられた迎撃システムによって絶え間なく侵入者を攻撃しているが、侵入者はそれをものともせず突き進む。

 こうなったらもう、俺達使用人の手で食い止めるしかない。

 囲先輩は『悪魔形態(デビルフォーム)』に変身して侵入者を食い止め、亜楼先輩は無数の矢印を操って侵入者を拘束した。

 

「お嬢様のもとへは、行かせない…!」

 

 二人が侵入者の動きを止めている間に、新井先輩が侵入者を狙い撃とうとする。

 だが囲先輩と亜楼先輩の力では侵入者を止めきれず、侵入者は大声を上げながら暴れた。

 

「止まれぇ…!!」

 

 亜楼先輩と囲先輩は、苦しそうな表情を浮かべながら踏ん張っていた。

 すると新井先輩が、サポートアイテムを使って二人を援護した。

 

「囲、亜楼!!何が何でもここで食い止めるぞ!」

 

「わかってますってばぁ!!」

 

 新井先輩が叫ぶと、囲先輩はさらに踏ん張って侵入者を押さえる。

 囲先輩が投げ飛ばされそうになったその時、円錐型の弾丸が侵入者の膝裏に突き刺さる。

 侵入者のスピードが落ち、囲先輩と亜楼先輩が侵入者を押し返した。

 見ると、筒美先輩が監視塔でライフルを構えていた。

 

「筒美先輩!」

 

『今のうちに仕留めろ!』

 

「っはい!」

 

 囲先輩と亜楼先輩が侵入者を押さえている間に、さっき筒美先輩が撃った膝裏を俺と小雪ちゃんが抉り、西馬が特殊な電磁波で神経のジャックを試みた。

 それでも侵入者はピンピンしていたけど、トドメを刺す為の時間稼ぎにはなった。

 新井先輩が義足から放った砲撃が侵入者に命中し、侵入者の身体が縮んで力も弱まった。

 よしっ、いける…!

 

 

 

『マキア、いつまで寝ているんだい?起きろ』

 

「っ…!?」

 

 どこからか聴こえてきた声に、背筋が凍る。

 この声は、まさか……

 

「主よおオオオオ!!あなたの仰せのままに!!!」

 

 声が聴こえた直後、侵入者がカッと目を見開き、再び巨大化した。

 囲先輩は侵入者の足にしがみつき、亜楼先輩も侵入者の身体に矢印を巻き付けて食い止めるが、侵入者は今にも二人を振り払おうとしていた。

 そんな俺達を嘲笑うかのように、侵入者の親玉がラジオ越しに俺達を煽ってきた。

 

『健気だねぇ。そこまでして立ち向かう理由がどこにある?社会のゴミが、今更点数稼ぎのつもりか?』

 

 そう言ってクソ野郎が笑った、その直後。

 

「うるさい…!!」

 

 囲先輩が、誰よりも先に怒りを露わにした。

 

「点数稼ぎ…?違うね…俺は、とっくに俺の事なんかどうだっていいんだ…!あのお方はなぁ…たったの4歳で家族を亡くして、この家のトップに立たされて、お前らのような自分勝手なクソ共に休む暇もなく命を狙われて…誰よりもつらいはずなのに、誰よりも未来を見据えてんだよ…!!」

 

 囲先輩は、侵入者にしがみつきながら口を開く。

 社会のゴミだって事なんて、俺達が一番よくわかってる。

 

 ヤクザの組長の息子として産み落とされた俺は、クズ親に暴力で押さえつけられて、“個性”を悪事に使わされた。

 結局組はヒーローの手で潰されて、俺もクズ親諸共ヒーローに追われる身となった。

 そんな俺を庇ってくれたのが、お嬢様だった。

 あの日から俺は、俺を救ってくれたあの人の為に生きると決めた。

 

「俺達は、お嬢様を幸せにする為にここにいる。あのお方の未来を阻むなら、誰であろうと許さない」

 

 そう言って囲先輩は、巨大化して侵入者を押し返した。

 

『許さないのは僕の方さ。せっかく僕が種を蒔いて生やした芽をことごとく摘まれたんだ。僕はね、あの子には最期まで考えうる限りの苦痛を味わって死んでほしいんだよ』

 

 囲先輩の言葉を、クソ野郎が嘲笑う。

 すると亜楼先輩が、矢印でラジオを突き刺して壊した。

 

「お前が死ね」

 

 亜楼先輩は、殺気を放ちながら言い放った。

 口には出さなかったが、全くの同感だ。

 俺も、刀を構えながら侵入者を睨む。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 新井先輩の攻撃を喰らったにもかかわらず、侵入者は止まるどころかさらに巨大化して暴れた。

 亜楼先輩の矢印を引きちぎろうとする侵入者を見て、即刻作戦を殺害に切り替えようとした、その時だった。

 何かが飛び出してきたかと思うと、侵入者の目元目掛けて回し蹴りを放った。

 それとほぼ同時に、無数の銃弾が侵入者を襲い、他の誰かが急所に攻撃を仕掛けた。

 

 

 

「何が『避難しとけ』だ、随分と手こずってんじゃねえか」

 

 声のした方を振り向くと、シャム君がサポートアイテムを構えながら立っていた。

 他の『逢魔刻団』の皆も、武器を構えて侵入者に立ち向かう。

 何やってんだあの子達、お嬢様に『避難しろ』って言われてたのに…!!

 

「ダメだ!!逃げなさい!!」

 

「じゃああんたらは、逃げろって言われて大人しく逃げられんのかよ?」

 

 俺が『逢魔刻団』の皆に向かって叫ぶと、カイマン君が笑いながら言った。

 彼等は、俺達でさえ苦戦を強いられている敵を目の前にしているというのに、余裕そうに笑っていた。

 『逢魔刻団』の皆が不敵に笑う中、劫波君が前に出てくる。

 

「夜中にギャーギャー騒ぎやがって。まあでも、昼のザコよりは歯応えがありそうだ」

 

 

 

 

 




少し早いですが、このタイミングでマキアを出しました。
弟くんとの再会は、梅干し退治の前座です。
今までやたらと話を引き延ばしてきましたが、こっからはジェットコースターの如く話が急テンポで進みます。

そしてお馴染みオリキャラ紹介


六徳(りっとく)劫波(こうは)

年齢:11歳
所属:逢魔刻団(ダスク・ギルド)
誕生日:4月10日
身長:130cm
血液型:B型
好きなもの:ヘヴィメタル
性格:リアリスト

 癖っ毛の黒髪と星を宿した黒い瞳が特徴的な少年。
 逢魔刻団(ダスク・ギルド)団長。
 刹那の生き別れの弟。
 11年前の六徳家全焼事件の際に攫われ、某国の孤児院で育てられていたが、“無個性”を理由にスラムに捨てられた。
 小柄な体躯に反して戦闘能力が高く、荒くれ者を従えるカリスマ性を持つ。


◆ロップ/本名不明

年齢:13歳
所属:逢魔刻団(ダスク・ギルド)
誕生日:不明
身長:168cm
血液型:O型
好きなもの:団長、にんじん

 ロップイヤーのような髪型が特徴的な少女。
 逢魔刻団(ダスク・ギルド)の団員で、劫波の側近的存在。
 銃火器の扱いに長けている。


◆ラット/本名不明

年齢:17歳
所属:逢魔刻団(ダスク・ギルド)
誕生日:不明
身長:183cm
血液型:O型
好きなもの:ナッツ

 眼鏡をかけた体格のいい青年。
 逢魔刻団(ダスク・ギルド)の団員で、最年長という事もあり他のメンバーに比べて落ち着きがある。
 運転や作戦立案などを担当している。


◆シャム/本名不明

年齢:16歳
所属:逢魔刻団(ダスク・ギルド)
誕生日:不明
身長:176cm
血液型:AB型
好きなもの:魚の缶詰

 ネジのようなピアスをつけた細身の少年。
 逢魔刻団(ダスク・ギルド)の団員で、チームのムードメーカー的存在。
 団員の中では特に声が大きいが、意外と頭の回転は早い。


◆カイマン/本名不明

年齢:16歳
所属:逢魔刻団(ダスク・ギルド)
誕生日:不明
身長:200cm
血液型:A型
好きなもの:恐竜

 リザードマンのような風貌の大柄な少年。
 逢魔刻団(ダスク・ギルド)の団員で、唯一の“個性”持ち。
 ただし“個性”は、『見た目がトカゲっぽくなる』だけで、見た目以外はほとんど“無個性”と変わらない。
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