ソードアート・オンライン~LuLuの物語~   作:ウンニーニョ

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さて、前回に引き続き黒猫団のお話ですお待ちかねの方もいてくださると信じています

                    それでは10話はじまります






月夜の黒猫団2

「うーん、遅いわ。いつもならもう来てもいいはずなのに」

 

「一回落ち着いたら?」

 

「でもー」

 

「ルル君に会うために素材集め頼んでるんだもんねー。メッセージはとばしてみた?」

 

「そんなことないわよ! そ、そうよ! それにメッセージもかえってこないのよ」

 

「そんなに心配なら見に行けばいいんじゃない?」

 

「べ、別に心配ってわけじゃないんだけど……うん、それもそうね。アスナも付き合ってくれるんでしょ?」

 

「えー。でも今日は午前中に迷宮区も行ってきたし、いいよ。一緒に一緒にってあげる」

 

 

こうして《アスナ》と《リズベット》はルルを探しに出かけた。

 

 

☆★☆★

 

 

ここは8層のとあるカフェ。

テラスでケイタは黒猫団の帰りを待っていた。

そこにフラフラとふらつきながらルルが近づいてきた

 

「おかえり、ルル、どこに行ってたんだい? みんなは?」

 

「……すまない。……俺は……守れなかった……」

 

ケイタの問いにルルはかすれた声でこたえる。

 

「守れなかったって、どういう事だい? あ、わかったみんなで驚かそうとしてるんだろう? どこに隠れてるんだい?」

 

「……違うんだ……みんなで、ホームに置く家具を買って……ケイタを驚かせようって……だから短時間で稼ぐためにいつもより上の迷宮区に行ったんだ……そこで、トラップに引っ掛かって……すまない……守れなかった」

 

「嘘だろ……だって、じゃぁ、なんで、ルルは生きてるんだよ!」

 

「……俺は……攻略組だから。だから、みんなを守れると思ってたんだ……でも、モンスターのポップが異常で……結晶無効化空間で転移もできなくて…」

 

「嘘だろ……そんな……」

 

「ケイタ?」

 

仲間を失った事実とルルから知らされた真実にケイタはフラフラと歩き始める。

浮遊城の外延へと向かっていくケイタに嫌な予感がしてルルはケイタを追いかけた。

 

☆★☆★

 

ケイタを追いかけているルルを追跡スキルをつかって探していたリズとアスナはみつけた。

 

「あいつ、こんなところにいた」

 

「でも、なんかあったのかな?」

 

リズとアスナはそう話しながらルルたちを追いかけた。

 

☆★

 

浮遊城の外延まできたケイタは追いかけて来たルルに向かって叫んだ。

 

「攻略組のお前が、俺達に関わる資格なんてなかったんだ‼︎」

 

そう叫んで外延の手すりによじ登り浮遊城の外へと飛び降りようとしている。

それを見てルル、そして、追いかけてきたリズやアスナも止めようと駆け出す。

 

(そうだ、俺が俺の思い上がりがみんなを殺した。俺が自分のレベルを隠していなければ…でも……)

「もう俺の前で誰も死んでほしくないんだ‼︎」

 

ルルはそう叫び手すりから飛び降りたケイタに左手を伸ばす。

そして、ギリギリのところでケイタの手を掴み、ケイタは浮遊城の外で宙吊りの状態になった。

ケイタも飛び降りてから死の恐怖に駆られたのだろう。少しほっとした顔でルルの方を見上げている。

 

「ルル……」

 

しかしその時、パリィという音とともにルルの左腕がポリゴンとなり、霧散する。

ケイタは緩めた顔を絶望に染め、夕暮れ雲の中に消えていった。

 

「ケイタ…何でこんな時に…また…助けられなかった」

 

なぜ、こんな時に耐久値に限界が来たのだろう。

なぜ、俺の手はいつも届かないのだろう。

そんな事を考えながらルルは左肩を押さえうずくまった。

 

 

☆★☆★

 

 

「え? なんで?」

 

アスナは口を押さえて驚愕をあらわにする。

助かったと思ったのだ。飛び降りた時は焦った。

しかし、ルルが手を掴み、落ちずに助かったのだ。

 

なのに……次の瞬間にはルルの左腕はポリゴンに変わり、飛び降りたプレイヤーは落ちていってしまった。

アスナは考えるほどにパニックに陥る

 

「ルル、大丈夫⁉︎」

 

リズはルルに駈け寄る。

義手のことは知っていた。

だけど、こんな時に耐久値が切れるなんて想像もしていなかった。

リズは何度もルルに声をかけるが返事はない。

 

(とりあえず左手を隠さないと……)

「アスナ、ローブ持ってない?」

 

リズの呼びかけにアスナの思考が回復する。

 

「あ、ちょっと待って。持ってるから」

 

アスナは右手を振り、メニュー画面を開くとそのままアイテム画面を開きローブを取り出すとルルとリズのもとへ駆け寄る。

 

「ありがとう。ルル、ちょっと?これで左手隠しなさい。ぁあもう!隠せって言ってんでしょうが‼︎」

 

リズはそう言いながら反応のないルルに無理やりローブを着せる。

 

「…ここにいても仕方ないわね。私の借りてる家に移動しましょう。アスナ、手伝って」

 

「わかった」

 

そう言うとリズとアスナは両脇からルルを支え、リズの借りている家へと向かうのだった。

 

☆★☆★

 

 

「どう?」

 

「うん、眠ったみたい」

 

「そう。それであの左手のことなんだけど、何か知ってる?」

 

「やっぱそれよね、もう見られちゃったし……しょうがないわよね」

 

リズの言葉にアスナは頷いて姿勢を正した。

 

「ルルの左腕ね、リアルでは肩から先が義手らしいのよ」

 

「え?」とアスナが驚きの声を上げる。

 

「それでね、このゲームがデスゲームにかわったあの日。装備画面を確認したら左手が義手に変更されていたらしいの。ルルが言うには《ナーブギア》は人間の脊椎から電気信号をカット、そして読み込んでいるんだから、応用すれば人間の記憶も読み取ることができるんじゃないかって。それで私達の今の姿ができているならあの左手のことも説明できるらしいの」

 

「治すことはできないの? もちろんこっちの世界での話しだけど、部位欠損みたいに義手をはずして時間を置いてみたりとか、リズが義手を作ったりだとか」

 

「試したけど無理だったわ。部位欠損みたいに時間が経てば治るわけじゃなかったし、それに耐久値も回復できなかった。もちろん作ることも。」

 

「そう……」

 

「それに、なにもあんな時に耐久値が切れなくてもいいじゃない? あれじゃルルがかわいそすぎるよ……」

 

リズの目から涙が溢れ出す。

それを見てアスナは椅子から立ち上がりリズの横に移動すると何も言わずに抱き寄せる。

 

しばらく沈黙が続いた後、沈黙を破ったのはドアが開く音だった。




あとがき

皆さんまずは謝らなければなりません前回2つに分けたといっておきながら今回も分けてしまいました。すみません。

さて今作の主人公ルルを義手という設定で考え始めた時から暖めてきたケイタの死ですがどうだったでしょうか?


次回も21時に更新予定です。それではまた明日
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