ソードアート・オンライン~LuLuの物語~ 作:ウンニーニョ
しかも短い
浮遊城46層
パリィィ……部屋にガラスが割れたような音が木霊する。
攻略組は激戦の末、46層のボスを倒したのである。
しかし今回は死者が出てしまった。
それがある問題を起こしていた。
「お前、本気で戦ってなかったんじゃないのか?」
死んだプレイヤーの友達だったプレイヤーがルルに詰め寄る。
「そんなことぁねえだろうよ。一番攻撃に参加していたのはルルだしよ?」
「そうだ。あの時だってアタッカーのルルがタンクのかわりまでしてくれただろ?」
クラインとキリトが庇い、ルルに助けられたプレイヤーも「そうだ、あの時ルルがいなければ死んでいた」と同調する。
しかし友を亡くしたプレイヤーの勢いはとまらない。
「そいつ、初級のソードスキルしか使わなかったじゃないか。上級スキルを使ってたら誰も死ななかったかも知れない」
その言葉にところどころで「たしかに」「最近使ってるの見てないな」など聞こえてくる。
確かにルルは31層以降のボス戦で上級スキルを使っていない。
いや、使えないのだ。
今はローブで隠れているが、あの日、ルルは左手を失ってしまった。
刀ソードスキルは初級の《辻風》《浮舟》以外は抜刀系と呼ばれ初期モーションに左手で鞘を持たなければ発動しない。
ルルは使わないのではなく、使えないのだ。
このことを知っているのはこの中ではアスナだけである。
ルルは一番ボスにダメージを与えているし、35層、41層ではラストアタックも決めている。
プレイヤーは行き場のない怒りをルルにぶつけているだけなのだ。
ここである人物から声が上がる。
「少し落ち着きたまえ。とはいえ、ルル君が上級スキルを使っていないのも事実だ。ボスがダウンし、一斉に攻撃する時であってもだ。説明してもらえるかな?」
ボス戦の指揮を取っていた男、ヒースクリフがルルに質問する。
そこにアスナが「団長、ちょっと待ってください」と言いかけるが、ルルは「アスナ、いいんだ」とアスナに告げると語り始める。
「俺は31層から上級スキルを使っていない、使えなくなってしまったんだ」
ルルの声に周りから「どういう事だ?」などと聞こえてくる。
「クライン、刀の上級スキルはどうやって発動する?」
「そりゃ、お前、左手で鞘を持ってだな、刀を構えるんだろ?」
「そう、左手で鞘を持つんだ。俺は現実で義手だったんだ。そしてこの世界でも。31層で俺の左腕の耐久値は切れて……ポリゴンになって砕けちまった。だから上級スキルは使えないんだ」
ルルははおっていたローブを脱ぐ。
そして左の肩から先がないルルの姿が攻略組のプレイヤーにさらされる。
ほぼ全員が目を見開いて絶句している。
考えられなかったのだろう。
普段は冷静なヒースクリフまでも目を見開き絶句している。
そしてヒースクリフは残念だ、と言う顔をしながら。
「たしかに君は攻略組の中でもトップレイヤーだ。しかし、これからボス戦はもっと厳しい戦いになるだろう。その時、君のその姿、上級スキルが使えないことが命取りになるだろう。そんな君をボス戦に参加させることはできない」
ヒースクリフの言葉にルルは「そうか」と答えると攻略組のメンバーに「後は頼む」とだけ言い残し迷宮区を引き返す。
キリトやクライン、アスナが追いかけてきて何か言おうとするが言葉が出ないようだ。
「なに辛気臭い顔してんだよ。46層をクリアしたんだ。飯でも食いに行こうぜ?」
ルルの言葉にアスナが「じゃ、私が料理作るね」と言い、それを聞いたクラインが「マジですか、アスナさん」とテンションをあげる。
それを見たルルとキリトは苦笑している。
その後ささやかなホームパーティが開かれた。
その後呼ばれなかったリズベットをルルが必死でなだめたのは余談である。
この出来事を中途半端に聞いたプレイヤー達はルルのことをこう呼びはじめる
《追放者》
攻略組を追い出された臆病者だと。
あとがき
と言うことで012どうだったでしょうか?
まさかの主人公ルルの攻略組脱退です。
これからどうなってしまうんか。
それではまた次回013で。