ソードアート・オンライン~LuLuの物語~ 作:ウンニーニョ
二つに分けようか悩みましたが、勢いでいっちゃいます。
浮遊城35層(最前線49層)
迷いの森。
ここで、一組のパーティが揉めていた。
「あんたはそのトカゲが回復してくれるんだから回復結晶は必要ないでしょ?」
「そう言うあなたこそ! ろくに前に出ないのに回復結晶が必要なんですか?」
「もちろんよ。おこちゃまアイドルのシリカちゃんみたいに仲間が回復してくれるわけじゃないもの」
「な……」
青いトカゲ……もとい、小竜を頭に乗せている少女が《シリカ》
シリカと言い合っている赤い髪の女性が《ロザリア》である。
パーティの男達が「お、おい…」「二人とも…」などと仲裁にはいる。
しかしロザリアの言葉にシリカが切れた。
「わかりました! アイテムなんていりません。あんたとは絶対に組まない。あたしを欲しいってパーティは他にも山ほどあるんですからね!」
シリカはそう言うと右手を振りメニュー画面を開きパーティを脱退し、他の仲間が止めるのも無視して一人森の中へと消えていった。
☆★☆★
「はぁ、はぁ…」
シリカは後悔していた。
自分の力を過信した事を。
仲間に任せて地図を持っていなかったことを。
今彼女は猿人型のモンスターに囲まれ、HPを半分にまで減らしていた。
回復をしようとアイテムバッグを探る。
しかしバックの中にはポーションも回復結晶もなかった。
アイテムが無い事に木期間を覚え、シリカが気をそらした瞬間だった。
モンスターは武器を振りかぶり、シリカに向かって横薙ぎに振るう。
シリカは吹っ飛ばされ、近くの木にあたり、その下に転がる。
シリカのHPはぐんと削られ、レッドゾーンにまで減ってしまった。
さっき相棒の小竜《ピナ》が回復していてくれなかったら危なかっただろう。
シリカがナイフを手放していることに気づき、辺りを見回す。
その間にもモンスターは近づき、シリカをポリゴンへ変えようと武器を振り上げている。
だが、シリカにはあたらなかった。
ピナが間に割って入り、シリカを庇ったのだ。
ピナのHPがぐんぐんと減っていき、そして0になった。
「ピナ!」
シリカはモンスターのことも忘れ、ピナに近づき抱き上げた。
シリカが抱き上げた瞬間、硝子が割れるような音と共にピナはポリゴンとなって霧散してしまう。
近づくモンスターの声と足音に戦闘中であることを思い出し、振り向くがモンスターはすでに武器を振り上げていた。
もうダメだ。とシリカが目を閉じた時、一人の少年が通りかかった。
少年はその光景を見て自分の使える2つのソードスキルの内の1つ《辻風》を即座に発動する。
少年の体はシステムによって加速し、モンスターとシリカの間に割っては入ると、モンスター達を一度にポリゴンに変えた。
「おい、大丈夫か?」
黒いローブを纏った少年がシリカに声をかける。
しかしそれが耳に入ら無い程に動揺しているのか、シリカはピナがいた場所に残る羽を抱きかかえ、うずくまってしまう。
「ピナ、私を1人にしないいでよぉ……」
「その羽は?」
「ピナです。私の…大切な」
シリカの言葉を聞いた少年は自分の過去と重ね、表情を暗くする。
「すまない。俺がもっと早く来ていれば君の友達を助けられたのに」
「私が悪いんです、一人で森を抜けられるなんて思い上がってたから…ありがとうございます、助けてくれて」
シリカの返事にますます自分と重ねてしまう。
その時少年は最近使い魔の復活アイテムが発見されたことを思い出す。
「その羽、アイテム名はあるか?」
シリカが羽をタップすると羽に《ピナの心》と言うアイテム名が浮かびあがる。
それを見てシリカは涙ぐむが、少年が「泣かないで」と声をかける。
「ピナの心が残っていれば、まだ可能性はある。47層に思い出の丘って言うフィールドダンジョンがある。そこで最近《使い魔蘇生用のアイテム》が発見されたんだ。俺が取りに行って来てもいいんだけど、主人が行かないとアイテムが入手できないらしい」
「いえ、情報だけでもありがとうございます。レベルを上げていつかは…」
しかし次に少年の口から出た「蘇生できるのは3日までなんだ」その言葉にシリカは一度明るくした表情をまた沈ませてしまった。
そのときシリカの目の前にトレードウィンドウが出現する。
表示されたのは《イーボンダガー》《シルバースレッドアーマー》《ムーンブレザー》《フェアリーブーツ》
どれもシリカの装備品よりも強力なものだ。
「この装備で5、6レベルは底上げできる。あとは俺が付いていけば何とかなるさ」
少年の言葉にシリカは「なんで、そこまでしてくれるんですか?」そう尋ねる。
「何で、か……
前に、俺も大事な仲間を失った。俺の時は助けられなかった。だけど君の相棒は助かるだろう? それだけだ」
悲しそうな顔で答える少年にシリカは聞いてはいけ無い事を聞いたと謝る。
それから気まずくなるのが嫌で、さっきのトレードのお金を払おうとするが断られてしまった。
「いいさ、俺が来た理由にも被ってるしな、それに、変な話を聞かせたしな」
「そうですか? あたし、シリカって言います」
苦笑いを浮かべる少年に右手を差し出す。
「ルルだ。少しの間、よろしくな」
そういってシリカとルルは握手をかわした。
☆★☆★
町に帰ってきたルルとシリカは大通りを歩いていた。
するとシリカに2人のプレイヤーが話しかけてきた。
ルルは別にとがめる理由もないので、今の内にリズにメッセージでもとばしておくか。と右手を振りメッセージを打ち始める。
横ではシリカが「今度パーティくもうよ」「好きなところに連れてってあげるよ」など誘われている。
メッセージを送り終わり、右手を下ろした時「お話はありがたいんですけど、しばらくはこの人とパーティを組む事にしたので」そういって右手に抱きつくシリカを見て2人のプレイヤーがルルを睨むが「ン?」とルルが2人を見ると「すみませんでしたー」と言って走り去っていった。
そうルルは目つきが悪いのである。
「ははは……すいません迷惑かけて」
「人気者なんだな」
「まぁ竜使いシリカっていったらこの辺じゃ有名ですし」
「へぇ(まぁ、今は竜使いじゃないけどな)」
ルルがそんなことを考えているとは知らず、シリカは自分で有名だと思っていたのに知らないルルに少し鼻を折られて、苦笑しながら「ご飯でも食べましょう、チーズケーキがおいしいとこ知ってるんです」と話題を変える。
それに対しルルはクツクツと笑いながら「それはデザートだろ」と返し、2人は飯屋へ向かうのだった。
☆★☆★
二人はご飯を食べ終え、デザートにチーズケーキを待っている所だ。
するとあるパーティが通りかかった。
「あぁら、シリカじゃない? あんた脱出できたんだ。よかったわねぇ」
「ロザリアさん……」
「あれぇ? あのトカゲどこ言ったの? まさかぁ」
「ピナは死にました。でも、必ず生き返らせます!」
「へぇ、じゃぁ思い出の丘に行くんだぁ。でもあんたなんかに攻略できるのぉ?」
ロザリアにイラッとしたルルは「できるさ。簡単なクエストだ」そう口を挟む
ロザリアはルルを値踏みするように見なが話し出した。
「あんたもその子にたらしこまれたくち? みたとこそんなに強そうじゃないけど…まあいいわ。せいぜいがんばってねぇ」
そう言うとパーティをつれて奥の席へと消えていった。
「何であんないじわる言うのかな…」
「まぁゲームだからな、性格を変えて、演じてプレイするヤツは沢山いる。中には悪人を演じる奴らもいるさ。俺達のカーソルは緑だろ?、犯罪を犯すとこれがオレンジに変わるんだ。強盗なんかならまだいい。いや、よくはないんだが、だけど殺人をする奴らもいる。このゲームは遊びじゃないのに」
シリカの口から漏れた疑問にルルは大体の予想を語る。その言葉にどこか怒りが混ざっているような気がしてシリカがルルに喋りかけたところでウェイターがケーキを持ってくる。
ルルは話題を変えるため「これがお勧めのケーキか?」と尋ねた。
それを聞いたシリカは「そうなんです。ここのチーズケーキは超濃厚なんですよ」など話だし、2人は会話に花を咲かせた。
☆★☆★
その夜、シリカが部屋で考え事をしていると、コンコンとノックする音が聞こえた。
返事をするとどうやらルルが明日の事を話しに来たようだ。
シリカは急いで着替え、ドアを開ける。
すると、見た感じ刀ははずしているみたいだが、ローブを纏ったルルが立っていた。
ローブ脱がないのかな?と思いながら部屋に招き入れる。
ルルは部屋に入ると机の上にあるアイテムをセットする。
《ミラージュ・スフィア》
行ったことのある場所を記憶しておけるアイテムだ。
それを使って明日のことを話しているとドアのほうから音がした。
ルルがドアを開けると去っていく人影が見える。
どいやら盗み聞きされていたようだ。
それを聞いたシリカが驚いているのも無理はない。
<聞き耳スキル>
このスキルは普通、隔離され、ノックするか部屋の主の許可のあるプレイヤーにしか聞こえない部屋の中の声をドアに耳を当てることで聞くことができるようになるスキルだ。
今のSAOの状況でこんなスキルを持って入りらヤツはろくなヤツじゃないだろう。
それをシリカに説明すると、シリカは少しおびえたような顔をする。「ルルは大丈夫だよ」と頭お撫で、さっきの続きを話し始める。
シリカはその途中で寝てしまい、ルルが外に出ると鍵が開いたままになってしまうのでルルは仕方なく椅子で寝るはめになったのだった。
☆★☆★
翌朝、シリカが起きると椅子で寝ているルルを発見し、同じ部屋で寝たと言う事実に顔を真っ赤にしながらルルに枕を投げつけると言うハプニングはあったものの、2人は無事47層、思い出の丘にいた。
「うわぁ、綺麗!」
シリカが感動の声を上げる。
ここはSAOでは珍しい花に囲まれたフィールドなのだ。
シリカは周りのプレイヤーがカップルばっかりなのに気づくと、顔を赤くしルルを呼ぶが、当のルルはダンジョンのほうに進んでしまっている。
ルルの「おーい、早く来ないとおいて行くぞ」と言う言葉にさらに顔を赤くし、小走りで追いかけていくシリカだった。
あれから、ルルはモンスターに何発か攻撃を与え、HPを削るとシリカに止めを刺せ、シリカの経験値を稼ぐと言った戦い方をしていた。
はじめはシリカが怖がって植物型のモンスターに足をとられ、すこしエッチィ格好になったりもしていた。
「助けてくださいぃ!」スカートお押さえながらそう言うシリカにルルはクツクツと笑いながら「そいつ弱いからのこりは一人で倒せ」などといい見守っていたのだが……
それはともかく、2人は無事に祭壇にたどり着き、《プネウマの花》を手に入れた。
ルルが「ここで蘇らせるのもあれだから帰ってからな」と言うとシリカは元気よく「ハイッ」と返事をし、2人は帰路をたどる。
もうすぐ転移門。
その前の橋を渡ろうとしたその時、ルルは元気よく前を歩いていたシリカの襟をグイッと掴んだ。
いきなりの事に咳き込みながらジト目で返すシリカに、ルルは「ここからは俺の用事だ。」と言って前に出た。
その時のルルの真剣な表情にシリカがキュンとしてしまったのは内緒である。
「そこに隠れてるヤツでてこいよ!」
ルルがそう言うと木の陰から赤い髪の女性プレイヤーが姿を現した。
そう、ロザリアである。
「なんで、ロザリアさん?」と疑問を口にするシリカに向けてポイッと転移結晶を投げると、ルルはシリカに「それを持って後ろにいな」と声をかける。
そしてルルはロザリアと話し始める。
「あら、剣士さんよくわかったわねぇ。でも、その様子だと守備よく《プネウマの花》をゲットできたみたいね。おめでとう。じゃぁ早速花を渡してちょうだい?」
「な、何を言って___」
「そうはいかねえよ、ロザリアさん」
シリカが言いかけたところでルルが言葉を被せる
「いや、オレンジギルド《タイタンズハンド》のリーダーさん、か?」
「でもロザリアさんはグリーン……」
「ロザリアはな。周りにオレンジが隠れてるぜ? グリーンのロザリアが獲物をおびき寄せるのさ。昨日の盗み聞き野郎もあんたの仲間だな?」
「じゃぁ今まで一緒のパーティにいたのは…」
シリカは想像して顔を青くする
「そぅよ。戦力を確認してお金がたまるのを待ってたのぉ」
そう言いながらロザリアは唇を舐める。
「でも、一番楽しみにしてたあんたがいなくなっちゃってぇ、残念だったけど……そしたら、シリカちゃんったらレアアイテムを取りに行くって言うじゃない? でも、そこまでわかっててその子に付き合うなんてあんたバカぁ? それともほんとにその子にたらし込まれちゃったの?」
ロザリアはルルを哀れむような目で見る。
「いや、どっちでもねえさ。俺もあんたをさがしてんだからな!」
「どぅ言うことかしら?」
ロザリアはルルに疑問をぶつける。
「あんた、《シルバー・フラグス》ってギルド覚えてるか? あんた等が潰したギルドさ。生き残ったヤツが最前線にまで来てさ、泣きながら仇討ちしてくれるヤツを探してたのさ。
あいつは俺にこういったんだ、殺してくれじゃなく牢獄にいれてくれってな。 あんたにあいつの気持ちがわかるか?」
ロザリアは詰まらなさそうに髪をいじりながら
「わかんないわよ。マジになっちゃって馬鹿じゃない? この世界で死んだって本当に死ぬ証拠なんてないしぃ、それより自分達の心配をしたほうがいいんじゃない?」
そういって指をパチンと鳴らすと、木の陰から《タイタンズハンド》のメンバーが8人現れる
「逃げましょう」そう叫ぶシリカの頭をポンポンとたたきながらルルは「ちょっとまってな」と言って前にでる。
「今回は俺の番だよな?」そう言って薄ら笑いを浮かべた斧使いのプレイヤーがルルに切りかかる。
「ルルさん」シリカは叫ぶがルルはよける様子もない。
ルルは何回か斧を食らうが
「きかねえよ、クソ虫がァ‼︎」ルルはそう叫び斧使いの腹に蹴りをあびせ、元いた場所まで吹っ飛ばす。
ルルは切れていた。
《死の証拠がない》死んでいったプレイヤー達をそんな言葉で片づけてしまうロザリアに切れていた。
その時、ルルのローブの耐久値が切れ、ルルの左腕があらわになる。
その左腕を見た《タイタンズハンド》の1人が目を見開いて叫ぶ。
「あいつ、もしかして《追放者》じゃないのか? 片腕の刀使い。間違いない。《追放者》ルルだ。」
シリカも聞いたことがある。元攻略組トッププレイヤーでありながら、片腕を失い、攻略組を追放されたプレイヤー。
それを聞いてびびるメンバーにロザリアは慌てるメンバーをなだめるように話す。
「どうせ、攻略組から逃げ出した奴だろう? 囲んじまえば大丈夫さ。おら、とっとと始末して」
それを聞いた《タイタンズハンド》のメンバーは全員でルルに攻撃するがダメージはない。
いや、シリカがよく見ていると少し減っては増え少し減っては増え。を繰り返し、減っていないようにみえるのだ。
「…スゴイ」シリカがつぶやいたその時、ルルは行動を起こした。
相手はオレンジプレイヤー攻撃したところでルルのカーソルの色は変わらない。
ルルは殴り、蹴り、《タイタンズハンド》をロザリアの元に送り返す。
吹っ飛んだメンバーは全員HPバーがぐんぐん減っていき、レッドに変わる。
「阿呆のクソ虫どもが何人束になってこようと、結果は同じなんだよ!」
ルルがそう言って近づいていくと、ロザリアは「ひっ!」と声を上げ、震え後ずさりながら説得しようとする。
「私はグリーンなんだ。傷つければあんたがオレンジに」
「うるせえよクソ虫。俺はギルドに属していなければ、もう攻略組でもない。オレンジになってもカルマ回復クエストを受ければ何の問題もないんだよ。
そういえばここで殺しても向こうで死ぬ証拠はないんだったか? 死んでみるか? クソ虫‼︎」
ルルの言葉にロザリアは腰を抜かしてしまう。
「まァ、依頼は牢獄にぶち込んで欲しいっていってたしなァ。これを使ってお前らが進んで黒鉄宮に行くんなら見逃してやる。」
そう言ってルルは回廊結晶を放り投げる。
《タイタンズハンド》のメンバーはルルの言葉に一斉に首を縦に振ると、あわてて回廊結晶を拾い上げ中に消えていった。
残ったシリカとルルの間に沈黙が続く。
「シリカ、わ」「あの、ルルさ」
二人の言葉が被ってしまった。
シリカがクスクスと笑い出す。
ルルは苦笑を浮かべながら「悪かったな。怖い思いさせて。」と話す。
それを聞いたシリカは「怒ったルルさんはとっても怖かったです。」と返し、その言葉にルルは顔が引きつり、それを見たシリカが笑い出す。
それを見て、ルルも笑い出し、2人は転移門へと向かっていく。
転移門につき、またご飯でも食べようとシリカが誘う。
フレンド登録をおこない、2人は別々の層に向かう。
ルルはボス戦には参加せずともこのゲームを少しでも早く攻略できるように49層迷宮区のマッピングに。
シリカはピナを蘇らせるために自分のホームがある8層に。
☆★☆★
シリカの部屋、蘇ったピナにシリカは今までのことを教えてあげる。
目つきの悪いプレイヤーのことを。
少し意地悪なプレイヤーのことを
やさしく頭をなでてくれるプレイヤーのことを
片腕の切れると怖いプレイヤーのことを
自分のたった一日だけのお兄ちゃんの話を
あとがき
あれ?シリカにフラグが立った?
それにしてもキー坊が空気に…
キー坊ファンの方々、すみません。
後この話のあと。ストックがありません。なるだけ毎日21時をがんばりますが、遅れた時はごめんなさい。