ソードアート・オンライン~LuLuの物語~   作:ウンニーニョ

19 / 28
まえがき

読者の皆さんお待たせしました。

今回の話はどうルルを絡ませようか悩みました。
それでこんなにも…言い訳は見苦しいですね。

楽しんでいただければ。では、どうぞ






圏内事件

浮遊城60層

 

ここは最前線の迷宮区。

ルルはあいも変わらず一人。迷宮区の安全エリアで休憩中。

 

「だいぶマッピングできたか……」

 

そんなことを呟きながら食事をしようとサンドイッチを取り出していた。

その時、「ルール!」と言いながら誰かが背中を押した。

ドン、その衝撃でルルはサンドイッチを落としてしまった。

サンドイッチは落としたことにより、耐久値がなくなりポリゴンとなって霧散する。

 

「あ……何すんだ‼︎」

 

そう言ってルルが振り向くと顔の前で手を合わせるセレスティアがいた。

 

「ごめん、まさか食事中だとは思わなくて……」

 

ルルははぁ、と溜息をこぼすと「いいさ別に」と立ち上がる。

よくは無いのだが、気を遣わせることも無いかと顔には出さない。

 

「セレスティアは攻略か?」

 

「そうだよ。今日は次からボス攻略に挑むメンバーたちにレクチャーみたいなもんかな?」

 

セレスティアの言葉にルルは後ろのメンバーに目を向ける。

メンバーは2人。右手に片手直剣に左手に盾を装備した少年と短剣使いの青年。

すると片手剣の少年が話しかけてきた。

 

「はじめまして。《ガロン》と言います。よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いしますって、攻略組じゃないだろこの人」

 

短剣使いの青年の言葉にセレスティアは顔をしかめ、ルルは言われなれているため特に気にしていない。

 

「ちょっ」

 

「そんなことないですよ。《フィート》さん。この前見なかったんですか? DDDの本部でデュエルしたの。レイダーさんが手も足も出せずに負けたんですよ?」

 

セレスティアが咎めようとしたところに、ガロンが興奮した面持ちで話し出す。ちなみに青年はフィートと言うらしい。

 

「でもボス攻略に参加できない人だろ?」

 

「じゃぁ、これから一緒に行動すればわかるって! たしかにボス攻略には参加できないかもしれないけどすごいひとなんだって! ね、いいですよね?」

 

ガロンの興奮した言葉にセレスティアはどうする? と目で合図し、ルルは溜息をこぼし仕方ない、と了承する。

 

それから町に帰るまでフィートは目を奪われた。なぜこの人がボス攻略に参加しないのかと疑問に思う。この人がいれば攻略速度が上がるだろう。

それほどルルは圧倒的に強かった。

今ここにいるセレスティアよりも、DDDの副団長リンドよりも、団長のカッツェよりも強いと思うくらいに。

 

攻略が終わり、話しながら迷宮区を出て行くセレスティアとルルの背中を見ながらフィートは「すごいな…」とこぼす。

するとガロンが「そうでしょ。なんで《追放者》になんかなったんだろうね?」疑問を口にする。

2人の疑問はもっともである。ルルがボス攻略に参加しなくなった理由はあの時ボス戦に参加していた者以外はほとんど知らない。

左手がないからといってもルルは攻略組の中でも上位の力を持つ。

ボス戦から外されたという事実だけが噂となり《追放者》となったのだから。

 

☆★☆★

 

59層

 

 

転移門の前、ルルのお昼をおじゃんにしたセレスティアはルルにご飯をおごることになった。

セレスティアは2人でご飯を期待していたのだが、ルルの「もう一人呼んでもいいか?」の一言により、3人でのご飯が決まった。

と言うわけで只今もう一人を待っている最中である。

 

「おー。ルルっちにセレス嬢じゃないカ。

 今日の取っておきの情報があるゾ。」

 

「いくらだよ?」

 

「今日のはタダでいいヨ。重大な用件でもあるしナ。圏内事件。今日の夕方、安全圏内でプレイヤーが死んダ。プレイヤーは剣で貫かれた状態で首を吊るされていたそうダ。死んだ時、周りにいたプレイヤーの中にYOU WINの文字が表示が表示されているプレイヤーはいなかっタ。つまり、デュエルじゃないってことダナ」

 

「それって、圏内でも殺人ができる裏技があるかもって事?」

 

「そういうことダナ。今2人のプレイヤーが調べてるみたいダ。また何かわかったら教えてやるヨ」

 

そういって鼠のアルゴは去っていった。

 

「圏内で殺人ができるなんてことになったら大変なことになるわね」

 

「本当に殺人なのか? それ」

 

セレスティアはルルの言葉に疑問を返そうとするが「お待たせー」とピンクの髪の少女が声をかけてきた。

 

「待ってないよ。リズ、今日はどこに食べにいこっか?」

 

「そうねー? たしかこの層においしい所があるって聞いたのよね。そこにいかない? いいでしょ? ルル」

 

セレスティアとリズがちゃっちゃと店を決めルルは頷き店へと向かう。

店に入ると見知った2人のプレイヤーがいた。

リズは「あら、2人さんデート?」と茶化しながら話しかけ、2人は赤くなって否定する。

その2人キリトとアスナを交えて、5人での食事となった。

話題は圏内事件。調べていた2人とはキリトとアスナだったのだ。

あらかたはアルゴに聞いていたとおりだった。

デュエルではない状態で一人のプレイヤーがポリゴンになって消えた。圏内でだ。

それを目撃したキリトとアスナは目撃者の中から死んだプレイヤー《カインズ》の知り合い《ヨルコ》と共に事件を調べていた。

カインズをポリゴンに変えた武器の名前は《ギルティソーン》製作者は《グリムロック》といい、カインズやヨルコと共に昔《黄金林檎》というギルドのメンバーだった。

 

半年前に起こった《黄金林檎》の解散事件。

 

《俊敏力を20上げる指輪》を手に入れ、ギルド内でもめた事件。

 

ギルドで使うか、売ってお金に換えるか。多数決の結果売却することになり、リーダーである《グリセルダ》が売りにいった。その先でグリセルダは殺害され指輪を奪われる。

その手引きをしたのが《黄金林檎》の誰かで、夫婦であったグリムロックの復讐ではないかと言うことになり、グリムロックを探すも見つからずに話を聞くために元《黄金林檎》のメンバーでありDDDのメンバーである《シュミット》に話を聞く。

 

しかし、シュミットは怯えていて話にならない。

 

その時、窓際にいたヨルコが背中をナイフで刺されポリゴンになって消えてしまう。その時、外にいた人影をキリトが追うが取り逃がしてしまう。

それに怯えたシュミットはほっといてくれ。とDDDに閉じこもっていたが、今はグリセルダの墓参りにいっていると。

 

「なんだ、そんなことか」

 

ルルの言葉に全員顔を向ける。

 

「そんな事って、圏内で人が殺せるかもって事なんだよ?」

 

セレスティアの言葉にルルは苦笑しながら返す。

 

「悪い、そう言うことじゃないんだ。たぶん、この事件は誰も死んでねえよ」

 

セレスティアは「え?」と声を漏らすがルルは続ける。

 

「ポリゴンが発生するのはプレイヤーが死んだ時とモンスターを倒した時。それと、アイテムの耐久値が切れたときさ。

圏内でもアイテムの耐久値は減る。俺の左手がポリゴンになったのも圏内だったしな。2人はアイテムの耐久値が切れるのを見計らって転移したんだろう」

 

ルルの言葉にアスナとリズは悲しそうな顔をする。

 

「たぶん《カインズ》とヨルコの自作自演ってとこだろうな。誰がグリセルダを殺したのか探すために。それにグリムロックが協力したってことだろう」

 

「そうなんだよ。俺達もさっきそこに行き着いたんだ。後は元《黄金林檎》のメンバーに任せておけば大丈夫だろう」

 

ルルとキリトの言葉に全員が安堵し食事を始める。

 

そこにリズが疑問を口にする。

 

「でもグリムロックとグリセルダって夫婦だったのよね?」

 

「そうだけど?」

 

「だったらおかしいわよね今の話」

 

「どうしてだ?」

 

リズの疑問にアスナとルルが反応する。

 

「結婚するとアイテムストレージが共通化されるのよ。離婚する場合は任意で決めた%にランダムで分割されるのよね。でも片方が死んだ場合はもう片方に全部のアイテムが付与されるのよ。たしか。だとしたら指輪の行方はグリムロックさんなんじゃ_____」

 

ガタッ

 

リズが言い終わる前にルルが立ち上がる。

 

「やばいぞ、それが本当なら3人が危ない!」

 

「どういう事?」とアスナが問う。

 

「もし、半年前の犯人がグリムロックだとしたらだ。この事件でカインズとヨルコが協力を依頼しにきたら半年前の自分の罪を隠そうと動くと思う。もう二度と掘り返されないようにする事は元《黄金林檎》全員の殺害だ。キリト、行くぞ!」

 

「まって、場所もわからないでしょう⁉︎ 私も行くわ。リズとセレスティアは協力を依頼して。大事にならないギルド、そうね《風林火山》にたのんでみて」

 

そう言ってルル、キリト、アスナはグリセルダの墓に向かった。

 

☆★☆★

 

グリセルダの墓の前。

 

 

「グリセルダ、俺が助かるにはもう、あんたに許してもらうしかない。すまなかった。許してくれ、グリセルダ。俺はまさかあんなことになるなんて思ってなかったんだ」

 

シュミットが手をつき、頭を下げる。

 

「本当に?」

 

シュミットの前にローブで顔を隠した人物が現れる。

 

「貴方は私に何をしたの?シュミット」

 

その言葉にシュミットはすべてを自白する。

自分が手引きしたと。しかし殺すつもりはなく、金に目がくらんでメモの通りに行動しただけ。あんなことになるなんて思ってなかったと。

 

「誰だ? 誰からの指示だ?」

 

隣から男性の声が聞こえてくる。

 

「グリムロックあんたも死んでたのか?」

 

「誰の指示だ?」

 

「わからない。メモにはグリセルダの部屋に忍び込めるようにクリスタルの出口をグリセルダの部屋にしてギルドの共通ストレージにとだけで……俺がしたのはそれだけだ。殺しの手伝いをする気はなかったんだ。信じてくれ、頼む」

 

シュミットは頭を地面につけ謝る。

 

「今の全部録音したわよ。《シュミット》」

 

2人はフードを脱ぎ顔をあらわにする。それを見てシュミットは目をむいて驚く。

そこにいたのはヨルコとカインズだったからだ。

 

「……そう…だったのか。お前達、そこまでグリセルダのことを……」

 

「あんただってグリセルダのことを憎んでたわけじゃないんだろ?」

 

「もちろんだ。信じてくれ。そりゃ、手に入れた金のおかげで《聖竜連合》の入団基準をクリアできたけど」

 

シュミットが安堵し、後ろに手をつき、脱力したところにナイフが飛んで来てシュミットが倒れる。シュミットの体は麻痺のバットステータスに犯されていた。

 

「確かにこれはでっかい獲物だ。《聖竜連合》の幹部様じゃないか」

 

ナイフが飛んできた方向から3人の人影が近づいてくる。

3人の手には笑う棺のギルドマークが見える。

《ラフィン・コフィン》

SAO最悪とされるレッドギルドのマークである。

3人が話し出す。

 

「さて、どうやって遊んだ物か?」

 

「ヘッド、アレやろーよアレ。殺しあって最後に残ったやつだけ助けてあげるやつ」

 

「んなこと言ってお前この前残った1人も殺しただろ?」

 

「あー。今行っちゃゲームにならないっスよヘッド」

 

《ラフィン・コフィン》の3人の内2人が楽しそうに話す中。シュミット達3人は恐怖にのまれ言葉も出ない。

ヘッドと呼ばれたプレイヤーが「さて、取り掛かるとするか」そう言って中華包丁のような武器をシュミットに向けて振り上げる。

ダメかと思われたその時馬の足音が聞こえ、ヘッドと呼ばれたプレイヤーは手を止め、足音のほうを見る。

すると、そこには2匹の馬が走ってきている。

馬にはルルとキリトがまたがっていた。

馬が止まると同時キリトは落ち、ルルは飛び降りた。

ルルはクツクツと笑い「大丈夫か?」 とキリトに声をかける。

 

「久しぶりじゃねぇか《プー》今度はこんなところでお遊戯かい?」

 

ルルはヘッドと呼ばれたプレイヤー、プーに向かって喋り、刀を抜く。

 

「お前にはよく邪魔されるな《追放者》」

 

「ヘッド、俺にもやらしてくれ!」

 

プーが武器をルルに向けると、骸骨のマスクのプレイヤーがプーに話しかける。

 

「戦ってていいのか? もうすぐ攻略組30人がくるぜ? 全員を相手にできるのかい?」

 

キリトが口を挟む。

プーは「チッ」と舌を鳴らすと「行くぞ」とメンバーに声をかけ、引き上げていく。

 

《ラフィン・コフィン》が見えなくなるとヨルコは腰を抜かして尻餅をつく。

 

「またあえてうれしいよ。ヨルコさん」

 

「全部終わったらすべてお話にいくつもりだったんです。と言っても信じてもらえないでしょうけど」

 

キリトがヨルコに声をかけ、ヨルコが答える。

 

「キリト、ルル、助けてくれてありがとう。けど、なんでわかったんだ? あの3人がここで襲ってくることが」

 

「わかったわけじゃねえよ。ただあり得ると思ったからな。俺の予想が当たっていればな」

 

《シュミット》の疑問にはルルが答え、続きをキリトが話し出す。

 

「ヨルコさんカインズさん、あんた達はあの武器をグリムロックに作ってもらったんだよな?」

 

キリトの問いにヨルコが答える。

グリムロックは初めはグリセルダを安らかに眠らせてあげたいと渋っていたが、2人が頼み込んで作ってもらったと。

 

「はぁ、渋っていたのはグリセルダのためじゃないぞ。圏内PKなんて派手なことをして半年前の事件を掘り返せば誰かが気づいてしまうかもしれないと考えたからさ。失われたリングはグリムロックの元にあるってことに。つまりグリセルダを殺したのはグリムロックかもしれないってことにだ。まぁ直接殺したのは今の3人だったんだろうがな。どうだい? グリムロック」

 

ルルがそう言うと木の影からグリムロックが顔を出す。後ろには剣を構えたアスナもいる。

 

「やぁ、久しぶりだね。みんな」

 

「何でなのグリムロック、なんで奥さんを殺してまで指輪をお金にする必要があったの」

 

ヨルコが叫ぶ。

グリムロックから帰ってきたのは予想外の言葉だった。

 

「金? 金だって? 金のためではない! 私は!私はどうしても彼女を殺さなければならなかった。彼女がまだ、私の妻でいる間に!

彼女は、現実世界でも私の妻だった。一切の不満のない理想的な妻だった。かわいらしく、従順で、ただ一度の夫婦喧嘩すらしたことがなかった。

だが、この世界にとらわれてから彼女は変わってしまった。共用されたデスゲームに怯え、すくんだのは私だけだった。

彼女は現実世界よりもはるかに生き生きとして充実したようすで、私は認めざるを得なかった。私が愛した彼女は消えてしまったんだと。…なら、ならいっそ合法的に殺人が可能なうちに彼女を、ユウコを永遠の思い出の中に封じ込めてしまいたいと願った私を誰が攻められるだろう?」

 

キリトはグリムロックの言葉に「そんな理由で殺したのか?」と問いかけるとグリムロックは答える。

 

「いつか君にもわかるよ。探偵君

 愛情を手に入れそれが失われようとした時にね」

 

それをアスナが否定する。

 

「いいえ。間違っているのは貴方よグリムロックさん。貴方がグリセルダさんに抱いていたのは愛情じゃない。貴方が抱いていたのは、ただの所有欲だわ!」

 

アスナの言葉にグリムロックがひざを突く

 

「キリトさん、アスナさん、ルルさん、この男の処遇は私達に任せてくれませんか?」

 

カインズの言葉に3人が頷くとカインズ、シュミットがグリムロックを両脇から支え、歩いていく。去り際にヨルコがお辞儀をしていった。

 

 

リズやセレスティア、《風林火山》に[もう大丈夫だ]とメッセージを飛ばすと、「さぁ、帰るか」そう言ってキリトとアスナは町へ引き返していく。

ルルは少しやることがあるからとここに残った。そしてグリセルダの墓の前に立つ。

 

「なぁ、あんたは覚えてるか? 《月夜の黒猫団》のルルだ。中層でよく会ったよな。カインズやヨルコなんかは忘れてたみたいだけどな。

……俺さ、決めたんだ。死んでいった人たちの思いを背負ってSAOをクリアするって。だから、あんたの思いも背負ってやるよ。

たぶん、あんたは夫のグリムロックをここから出してあげたくて頑張ったんだろう? だから、あんたの思いも背負ってここをクリアしてやるよ……じゃあな、グリセルダ」

 

そう言ってルルは一つのアイテムを取り出す。果実酒のビンだ。

 

「わるいな。林檎はもってなくてな。葡萄だけど勘弁してくれ」

 

そう言ってふたを開け、墓にかけていく。 

かけ終わると、ルルは町へと歩き出した。その時、一辻の風が吹く。ルルが振り向くとそこではグリセルダが微笑んでいる。

ルルはグリセルダに背を向けると、ヒラヒラと手を振り町へと歩き出す。

 

しかしその唇は確かに<任せろ>と動いていた。

 

 




あとがき

どうだったでしょうか?

追放されているため作戦会議をかけず、義手のことがあるから事件発生に立ち会えないと。
書きづらいですよね。笑

そして、リズの出番が少ないことにいまさら気づきました。笑

次もなるだけ早く上げれるように頑張りますのでよろしくお願いしますね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。