ソードアート・オンライン~LuLuの物語~ 作:ウンニーニョ
浮遊城62層(最前線65層)
ここはとある洞窟
しかしここには攻略組の中から選ばれたメンバーが100名程集まっていた。
上座には《血盟騎士団》団長ヒースクリフ、《聖竜連合》団長カッツェ、《アインクラッド解放軍》通称《軍》のリーダーディアベル、《聖霊の剣》リーダースコール
この世界においての4大ギルドのリーダーが集まっている。
《軍》に関しては25層のボス戦にて甚大な被害のあと、攻略に参加しているのはディアベルだけではあるのだが。
閑話休題
今回、作戦の指揮を取るヒースクリフが話し出す。
「今回、攻略組の中でも信頼のできる者たちに集まってもらったのは他でもない。先日、情報屋達の働きにより、レッドギルド《ラフィン・コフィン》のアジトが発見された。ここ最近《ラフィン・コフィン》の被害は攻略組にまでおよんでいる。そこで本日午後より、《ラフィン・コフィン》討伐を行うこととなった。
これはボス攻略戦ではない。敵はモンスターなどではなく、プレイヤーである。しかも相手はレッド、こちらを殺しにくる。
この作戦は強制ではない。プレイヤーを攻撃することにためらいのあるものは辞退してくれてかまわない。それでも、プレイヤー達に平穏をもたらすため、参加してくれる意思のあるものだけ残ってもらいたい。
10分後、作戦会議をはじめる。よく考えて答えを出してくれたまえ」
10分が過ぎ、辞退したのは20名あまり、残った人数は74人。
そして、《ラフィン・コフィン》討伐の作戦会議が始まった。
「では、会議をはじめる。
《ラフィン・コフィン》がアジトとしているのは46層の外れにある洞窟。メンバーは57名。本日22時に奇襲を仕掛け、捕縛後、回廊結晶により黒鉄宮に送る。なお、《ラフィン・コフィン》の中にもグリーンの者もいると思われ、オレンジとなった者は作戦終了の後、カルマ回復クエストを《血盟騎士団》で支援する物とする。質問のある者はいるか?」
言葉には出さなかったが自分の命を仲間の命を守るため、相手を殺さなくてはいけないシーンもあるだろう。
それがわかっているからこそ、全員だまって今の言葉を噛み締め、頷いた。
そこに、あるプレイヤーから声が上がる。
「ここに、《追放者》がいる理由を教えてくれるか? そいつは力がなかったから追放されたと聞いているが?」
1人のプレイヤーが疑問を口にする。それにヒースクリフが答える。
「ここにいる者の中には同じ疑問を持つ物も少なくはないだろう。ルル君がボス攻略に参加しなくなった理由はリアルでの事情によりこの世界でも左手をなくしてしまったルル君の身を案じてのことだ。実力に関しては攻略組トップクラスの実力を保障しよう。それゆえに私達4人の総意により、この作戦に加わってもらうこととなった。」
ヒースクリフの言葉にカッツェ、ディアベル、スコールが頷く。
それにより、ルルに対してのメンバーの反対は消えた。
ヒースクリフは周りを見回すと頷き、最後にと話し出す。
「それでは今夜21時30分にここに集合とする。なお《ラフィン・コフィン》への情報漏洩を防ぐためこのことは他言無用とする。」
この言葉にメンバーは解散していった。
☆★☆★
時刻は21時55分
再集合した《ラフィン・コフィン》討伐メンバーは46層、《ラフィン・コフィン》のアジトの前にいた。
そして22時
討伐メンバーはアジトに突入した。
しかし《ラフィン・コフィン》の姿はない。
討伐メンバーが戸惑っていると、メンバーの後方でパリィと音がした。
全員がそちらを見ると1人のプレイヤーがポリゴンとなり、そのプレイヤーを殺したであろうプレイヤーが喋りだす。
「ハハハハハハ! ハメられたのはお前達の方なんだよぉぉぉぉ‼︎」
「レイダァァァァ‼︎」
内通者がいたのだ。
裏切り者に対してカッツェは叫ぶが、それが始まりの合図かのように隠れていた《ラフィン・コフィン》が一斉に飛び出してくる。
そして《ラフィン・コフィン》のヘッド《プー》が叫んだ。
「It's Show Time‼︎」
今、《ラフィン・コフィン》討伐作戦は最悪の形で幕を開けた。
大混戦となる中、ルルはレイダーと対峙していた。
「ハハハハ、《追放者》今日こそお前を殺してやるよ‼︎」
そう言ってレイダーは斧を振りかぶる。
レイダーも前回で学習したのだろう。ソードスキルは使わない。
しかしルルは刀で斧をいなし、流すとレイダーを切りつける。レイダーのHPは3割ほど減少する。
「おとなしく捕まれ。 お前では俺に勝てねえよ」
ルルはさとすがレイダーは逆上するばかり。
ルルはすべての攻撃をかわしレイダーのHPを削る。
レイダーのHPはレッドに突入するが、レイダーは怯える様子もない。
「ほーらレッドに入ったぞ次攻撃すればお前は殺人者だ」
そう、討伐メンバーと《ラフィン・コフィン》の一番の違いは殺しを躊躇するかしないかだ。
ルルは降参することをさとすがやはりレイダーは聞く耳を持たない。
そこに別の《ラフィン・コフィン》のプレイヤーがルルに攻撃してくる。それを刀でいなし、HPを確認すると攻撃を加え、HPを削る。
そこにレイダーの斧が横薙ぎに振るわれる。
ルルは反射的に避け刀をレイダーに向けて振り下ろすが、直前で躊躇し、止めてしまう。
その隙はあまりにも大きかった。
レイダーはソードスキル《クリムゾン・ブラッド》を発動する。
隙ができていたルルに斧が振り下ろされる。
《クリムゾン・ブラッド》は3連撃。2撃目を食らいルルのHPはイエロー、最後の一撃を受ければHPは0になるだろう。
しかし斧はルルにあたる事はなかった。
「1層の時とは立場が逆になったね」
ルルの目の前には斧に貫かれ膝をつくディアベルがいた。
「これは殺し合いなんだ。戸惑えば自分や仲間が死ぬ」
話している間にもディアベルのHPは減っていく
「君はこれからの攻略に必要な人間だ。僕なんかよりも……ずっと」
「まってくれ、ディアベル」
ルルはそう言ってディアベルに手を伸ばす。
しかし、ルルの手が届く前にディアベルのHPは0になった。
「ルル君、後は頼んだよ」
ディアベルは微笑むとポリゴンとなって霧散した。
「ディアベル……」
ルルは立ち尽くす。周りでレイダーが何か暴言を言っているようだが耳には入らない。
カラン…ルルの足元に何かが転がってくる。ルルが目をやるとそこには最近見た盾が転がっていた。
ガロンの盾だ。
周りを見渡せばフィートが《ラフィン・コフィン》に囲まれてメッタ刺しにされている。
あの時の光景と重なる、ギルドをなくしたあの時と。
その時、ルルの目の前にある光景が飛び込んでくる。
水色のボブカットの少女、セレスティアが戦っている。そして、少女は後ろから切られようとしている。
サチ…
ルルにはあの時のサチと重なって見えていた。
俺が戸惑ったからディアベルは死んだ。ガロンもフィートも…セレスティアも……
そこで、ルルの中の何かが弾けた。
「うぉぉぉぉお‼︎」
ルルは迫っていたレイダーの斧を回転しながらかわすとその勢いのままレイダーを切り裂きポリゴンに変える。
その後、ソードスキル《辻風》を発動し体を加速するとセレスティアに剣を振り下ろしているプレイヤーの首をはねる。
その時のルルは体に光を纏っていた。そのせいなのだろうか? 間に合うはずのなかった距離を一瞬で詰め、起こるはずのノックバックを無視しすると次の行動に移る。
《ラフィン・コフィン》の攻撃をかわすと、相手がとっさに出した盾をチーズのように斬り裂き、一撃でポリゴンに変えていく。
次に対峙したのは《赤目のザザ》と呼ばれる《ラフィン・コフィン》の幹部。
「《追放者》か、沢山殺した、みたいだな、それも終わりだ、俺が、お前を殺す」
「ルル、助かった」
ザザの声もキリトの声もルルには聞こえていないかのように何も返さず戦闘を開始する。
まずはルルがザザのエストックを上に弾き、そこにキリトが攻撃を加える。
その後はキリトの攻撃など気にしていないとばかりにルルはザザの腕を切り飛ばした。
そこでザザの首元にキリトが剣を向ける。
腕と共に武器を飛ばされたザザは捕まるしかなかった。
「く…いつか…覚えていろよ…キリト…ルル…!」
ザザが怨むように話すがルルはもうそこにはいなかった。
《ラフィン・コフィン》もあらかた片付いた。
ルルは今、《ラフィン・コフィン》のヘッド《プー》と幹部《ジョニー・ブラック》と対峙していた。
「お前も大分殺してるみたいじゃないか、どうだ? 殺す感触は?」
「楽しーでしょ?最後に絶望した顔を見るのってさー」
やはり、プーの声もジョニー・ブラックの声も届かない。
ルルは《辻風》を発動するとプーに向けて加速する。
「ちっ聞いてねえか」
プーは何とか中華包丁のような剣《友切包丁(メイト・チョッパー)》で弾く。
ノックバックを狙ってジョニー・ブラックがナイフを投げるが、今のルルにノックバックは起こらない。
ナイフを弾くと邪魔だとばかりにジョニー・ブラックに肉薄すると、左右の四肢すべてを部位欠損にし、放置する。
そこでルルの異常さに気づいたのだろう。
ジョニー・ブラックは「ヘッド、こいつヤバイ。逃げてくれ」と叫ぶ。
それを見ていたプーも「Crazy。引くしかないか」と撤退に入る。
しかしそれをルルが許すはずもなく、プーに攻撃を仕掛ける。
プーも何とか防ぐが徐々にHPは削られ、左腕は切り飛ばされている。
その時、ジョニー・ブラックの「ヘッドを守れ。」と言う叫びに反応した《ラフィン・コフィン》のメンバーがルルに切りかかる。
そのすべてを躱し、刀でいなす。そして、首を撥ね、ポリゴンに変え、腕を飛ばし、無力化する。
しかしその間にプーは逃げ出していた。去り際に「……覚えていろよ」と残して。
そして《ラフィン・コフィン》討伐戦は終わりを迎える。
この作戦で攻略組から28名《ラフィン・コフィン》から23名という死者をだした。
☆★☆★
「さっきはありがとう。ルルがいなかったら私、死んでた」
セレスティアが話しかけてくる。
ルルの体からは光が消え、いつもの雰囲気にもどっていた。
ルルは苦笑いでセレスティアを見ると
「あぁ、だけど、沢山殺してしまったな……」
「それに、沢山死んだよね。味方からも…知り合いも沢山死んじゃった」
ルルはフラフラと歩き出す。
セレスティアは手を伸ばすが少し考えた後、あぁ、なるほど。と溜息をこぼし「行ってらっしゃい」と送り出した。
☆★☆★
48層リンダースにあるリズベット武具店。
ガチャとドアが開きルルが帰ってくる。
「あぁ、ルルお帰り。」
リズの言葉にいつもは「ただいま」と返すルルは今日はドアを入ったところで立ち止まり、俯いたまま返事を返さない。
「どうしたの? なんかあった?」
リズの心配そうな言葉にルルはぽつぽつと話し出す。
「今日、《ラフィン・コフィン》討伐作戦があったんだ」
リズはその言葉に目を見開く。
《ラフィン・コフィン》と言えばSAO最悪の殺人ギルドだ。
自分の知らない間にルルはどんな死線を潜り抜けたのだろうかと。
「そこで俺、人を殺したんだ。仲間が殺されて、殺さなくちゃもっと沢山の仲間が殺されて。どうしようもなくて、でも…でも……」
リズはそっとルルを抱きしめる。
「ルルは仲間の為に、《ラフィン・コフィン》の被害がでてる低層のみんなの為に罪を背負ってくれたんだよね。でも、それを1人で背負ったらルルが潰れちゃうよ。
私がそばに居るから。 ルルが潰れちゃわないように隣でささえるから」
「リズ……」
ルルもリズの背中に手を回す。
「ねぇルル……」
「リズ、それくらい俺に言わせてくれ」
「結婚しよう。リズ」
そしてルルとリズは見つめ合い
この日、2人は初めて唇を重ねた。
あとがき
どうだったでしょうか?
ここでディアベルが出てきたわけです。そしてやっぱり「後は任せた」ですね。
そして心意…
次回をお楽しみに。