ソードアート・オンライン~LuLuの物語~ 作:ウンニーニョ
《盗賊の遺品》をクリアした2人は町へ足を向けつつ、リトルネペントを狩っていた。
「全然でないな、花つき」
「まぁ1%しかでないらしいからな」
ルルの問いにキリトが答える
「マジかよ⁉︎ キリトの分だけとろうぜ、俺のクエストは破棄するわ」
「まぁ、カロールシミターはゲットできたしいいんじゃないか? でも運よく2対同時に出ることもあるかもしれないしな」
「期待はしないでおくよ」
そんな話をしながら普通のリトルネペントを倒したキリトにレベルアップのファンファーレが鳴り響く
「おめでとう、キリト」
「あぁ、これでLv5か。ちょっと待っててくれ、ステータス割り振るから」
その時、背後から拍手が聞こえてきた。
ルルとキリトは反射的に武器に手をかけ拍手の聞こえてきたほうへ振り向く
「ご、ごめん。先に声をかけるべきだったね」
プレイヤーであることに安堵を覚えた二人は緊張を解く。
「俺たちこそ過剰反応だった、すまないな」
「れ、レベルアップおめでとう……ずいぶんと早いね?」
「ありがとう。早いって程でも……それを言うならそっちも早いな。誰かがこの森に来るのはもう少し後かと思ってた」
「僕も一番乗りだと思ってたよ、ここは道がわかりにくいから」
そのわかりにくい道をこの速さで来たのだからこの人もベータテスターなのだろう
「君達もやってるんだろう《森の秘薬》クエ」
「あれは片手剣使い必須のクエだからな。報酬の《アニールブレード》を貰っておけば3層の迷宮区まではいける」
キリトがそう言うと
「折角だから協力してやらない?」
プレーヤーが協力をもちかけてきた。
「でもこのクエストは一人用だよなパーティでやっても人数分執拗だぜ?」
「別にパーティは組まなくてもいいよ。先にやっていたのは君たちなんだから、最初の2個は君たちに譲る。3人狩り続ければすぐに3匹目も出てくるだろうからさ。それまでつきあってもらえれば」
ルルはどうする?っとキリトに問いかける
「あぁ…じゃぁ悪いけどそれで」
キリトに続いてルルも返事を返す。
「俺は曲刀使いだからさ、取るのは2個でいいぜ!」
「よかった。じゃあしばらくよろしく、僕はコペル」
「よろしく俺はキリト」
「ルルだ、よろしく」
☆★☆★
「………出ないね」
3人で狩りをすることでポップ数も増え、効率は上がっているはずだ。けれど花付はポップしない。
物欲センサーでもついてるんじゃないかなどとルルが考えていると、ついに目の前に花付が現れた。
「きた‼︎」
待ちかねた、とルル、キリト、コペルが飛び掛かろうとしたその時
キリトが足を止め
「まて、奥に実付きもいる」
不運な事に花付きの後ろに実付きもポップしたのだ。
実付きに攻撃を加えればその実が割れて仲間を呼ぶ。
普通なら割ってしまい経験値を稼ぐのも有りだが、生憎今は一度死んだら終わりのデスゲーム。
実を割ってしまえば最悪の事態になるかもしれない。からといって離れていくまで待っていれば花付きの花も実に変わってしまうのだ
「行こう、僕が実付きのタゲをとるから2人は花付きを即効で倒してくれ」
コペルはそう言うと返事もまたずに実付きへと向かっていき、ルルとキリトはすぐさま花付きへと向かう。
花付きは2人に気づいたようで2人に向けて腐食液を放つ。
ルルはそれをサイドステップで躱し、駆け抜けざま一撃を浴びせる。
キリトはバックステップでかわした後触手の攻撃を掻い潜り、逆袈裟切りに切り裂く。
そして後ろに回っていたルルの曲刀単発ソードスキル<フェル・クレセント>によって花付きのリトルネペントはポリゴンとなり霧散していく。
その過程で頭頂部の花が散り、中からキーアイテムである《リトルネペントの胚珠》がキリトの足元に転がってくる。
キリトはそれを拾うとルルに笑みを送り頷いた。
「悪い、待たせた」
キリトがそう叫び、2人はコペルのほうに足を向ける。
するとコペルは実付きを盾ではじき、戦闘を中断させると奇妙な視線をこちらに向けてくる。
諦めと悲観…いや、こちらを哀れむような目?
「ごめん、キリト、ルル」
そう言うと今まで防御に徹していたコペルはソードスキルを発動させる。
実付きにたいして尤も行ってはいけない縦切りのソードスキル<バーチカル>
「いや、ダメだろ、それ……」
キリトがそうつぶやくと同時にコペルの<バーチカル>が実をとらえ、凄まじい破裂音が響き渡り異臭が辺りを包む。
その一撃で実付きはポリゴンとなって霧散したが、事体は最悪になったとしかいえない
「コペル……なんで?」
「……ごめん」
コペルはルルの言葉には答えずに、謝罪の言葉を残し、茂みに飛び込んだ。
姿は見えなくてもアイコンは表示されている。
しかし、アイコンまでもが消えた。
「
「あの野郎」
意図的に実を破裂させ、最悪の状況を作り出し自分は隠蔽で姿を隠す。
キリトとルルはコペルの「ごめん」の意味を理解していた。
モンスターのタゲを他のプレイヤーに移しそのモンスターにプレイヤーを殺させる行為。
コペルは胚珠を首尾よく手に入れるため、ルルとキリトを犠牲にしたのだ。
しかし、コペルの思い通りには進まなかった。
「コペル、知らなかったんだな、お前……」
「キリト?」
「隠蔽は便利なスキルだけど万能じゃないんだ」
そう相手を欺きタゲをはずすスキル、しかし索敵スキルが高い相手には通用しない。
それともう一つ。
「'視覚以外の感覚を持っているモンスター'には効果がうすいんだ、たとえば<リトルネペント>みたいな」
「じゃあ……」
植物には基本目はない、ならば食虫植物はどうやってエサをとらえるか
答えは単純、匂いや羽音といった視覚以外の感覚をつかってエサをとらえる。
つまり、隠蔽は使い所を誤った時点で効果の無いスキルと化す。
実際リトルネペントたちはコペルの方に正確に向かって行っている。
「助け___」
「そんな暇はなさそうだ」
助けに行こうとするルルにキリトがこちらに向かってきているリトルネペントの群れを見ながら言う
「確かに、俺たちも死んじまうなこのままじゃ」
コペルからリトルネペントに頭を切り替える
「弱点を狙えば一撃で殺れる!隙ができるからソードスキルは使うな‼︎」
キリトが叫ぶ
「あいよ。絶対生き残れよキリト」
カロールシミターを肩にトントンと担ぎながらルルが言う。
「お前もな」
キリトがそう返すと2人はニヤリと笑い合いリトルネペントの群れに向かって突っ込んでいった。
あれからどれ位たっただろうか、自分のファンファーレが2回キリトのファンファーレが2回なった。
ポップは止み、残るは5体。
それを倒したらあたりは静寂につつまれた。
「お疲れ、ほらっ」
キリトが《胚珠》をほうってくる
「隠れずに戦ってりゃ手にいれられたかもしんねーのに。馬鹿なヤツだよ」
ルルがそんなことを言う中、キリトはコペルの剣を拾ってきて地面に突き刺す
「ほんとに死んじまったんだな」
ルルは《胚珠》をその前におく
「いいのか?」
「墓にはなんかそなえてやんねーとな。こんな奴でも……」
「…戻ろう」
「あぁ」
☆★☆★
さっきの騒動でポップが枯渇したのか帰り道は一匹もモンスターに遭遇することなく村までたどり着けた。
まずはキリトが報告に行き《アニールブレード》を手に入れてくる。
その間に俺は右手を振りクエスト《森の秘薬》を破棄する。
その時、クエスト《盗賊の遺品》が達成されてないことに気づいた。
キリトが戻ってきた後に報告に行く
「本当にあの化け物熊をた倒しちまったのかい? 呆れたやつだよおまえさんは⁉︎ お礼と言っちゃなんだが武器を研いでやるよ」
じいさんにカロールシミターを渡すといままでくすんでいた刃が銀色に輝いた耐久値も100まで回復した。
実はカロールシミターは熊の血で錆びているという設定で、手に入れた時点でランダムで50以下の耐久値に設定される。
リトルネペント戦で壊れなかったのが奇跡である。
そんなことを知らない2人はと言うと
「綺麗になったな。攻撃力とか上がったのか?」
「いや、耐久値が回復したくらいかな。ま、これでクエストも完了だな」
などと努力が無駄にならなかった事に胸を撫で下ろす訳でもなく、呑気な物である。
ともあれ、化け物熊を倒しリトルぺネントの群れを倒したハードな1日、2人は早く休みたくて足早に宿屋へ向かうのだった