ソードアート・オンライン~LuLuの物語~ 作:ウンニーニョ
「ちょう待ってんか‼︎」
ディアベルが攻略会議を進めようとすると誰かの声がそれを遮った
「ワイはキバオウってもんや! 会議の前に言わせてもらいたいことがある! この中に今まで死んでいった2000人に詫び入れなあかんやつらがおるはずや‼︎」
2000人それは茅場明彦によって「これはゲームであっても遊びではない」そう発せられた時から死んだ人の数だ。
「キバオウさん君が言う<やつら>とは元ベータテスターの人たちのことかな?」
ディアベルはキバオウに質問する。
「元ベータテスターどもはこのゲームが始まった時、ビギナーを残して消えおった! あいつらうまい狩場やらぼろいクエストを独り占めして、自分らだけ強なってその後も知らん振りや! こんなかにもおるはずやろ? そいつらに土下座さして溜め込んだアイテムや金をパーティメンバーとして命は預けられんし預かれん‼︎」
キバオウの言い分にルルは切れていた。
そんなことはMMORPGでは<当たり前>のことではないかと
「うっせーよ、糞虫が‼︎」
静寂の中あびせられた汚い言葉にその場の全員がルルの方を向いた。
隣にいるキリトでさえ、こんなルルをはじめてみたと目を点にして驚いている。
ルルは足を組み、ひざの上に肘を突きアゴを支えながら話し始める。
「そんなのは当たり前だろう? お前はMMORPGをプレイしたことがないのか? ベータテストの抽選なんてのはリアルラック、すなわち運だ! レアアイテムのドロップとかわらない。自分の運でゲットした情報を自分のことに使うのは当たり前だろう? それにだ、一番危なかったのはベータテスターもしくはそれについていったやつらかもしれないぜ?」
「なんでや?」
ルルの言葉にキバオウが疑問をぶつける
ルルは阿保がとため息を吐くと続ける。
「自分たちはベータテスターだ自分のパートナーはベータテスターだこのゲームのことはよく知っている。だから読み違える!ベータテストから上方修正した敵の強さ! モンスターのポップ数! 死んでもよかったベータテストとは違うんだ‼︎ 下手に知っている分だけ死亡率が上がったかもしれないぜ? お前はベータテスターと一緒に行動したとして聞いていた情報と違う強さのモンスターが出た時、こお言うんだろうな? お前、嘘の情報を教えて俺を殺そうとしたなって」
「そんなこと…」
「ちょっといいか?」
キバオウが言いよどんだ隙に体格のいいスキンヘッドのプレイヤーが口をはさんだ
「俺はエギルだ! キバオウさんあんたはこれをもってないのか? ガイドブックだ、道具屋で無料配布している」
「もろたで?それがどうしたんや?」
「配布していたのは元ベータテスターたちだ」
エギルの発言に、シンとしていた周りのプレイヤーたちから「俺ももらった」「そうだったのか」など聞こえてくる。
「いいか? 情報は誰でも手に入れられたんだ。なのにたくさんの人達が死んだ! それを踏まえてボスをどう攻略すべきかを話し合うべきじゃないのか?」
ルルとエギルに言い負かされたキバオウはふてくされたように席へもどる
「じゃぁ、再開してもいいかな?」
ディアベルの言葉に周りが頷く。
「では、ボスの情報だ。実は先ほど例のガイドブックの最新版が配布された。それによると名前はイルファング・ザ・コボルトロード! それとルイン・コボルト・センチネルと言う取り巻きがいるそうだ。ボスの武器は斧とバックラー。HPバーの最後の一本が赤くなると曲刀のタルワールに武器を持ちかえる。攻撃パターンも変わるそうだ。
……が、先ほどの彼の話を聞く限り上方修正されている可能性もある、そのことにも注意してボス戦に挑もう。攻略会議は以上だ。
あと金は自動均等割り、経験値は倒したパーティの物、アイテムはゲットした人の物とする。異存はないかな?
……よし、明日は朝10時に出発する。では、解散‼︎」
ディアベルが言い終わると集まっていた人たちは次々とこの場を去っていく
「怒ったルルをはじめて見たよ」
キリトが苦笑しながら話しかけてくる。
「あいつの発言にはかなりムカついたからな」
ルルはそういいながらふて腐れたような表情を浮かべる。
「でもお前、俺のことをそんな風に思っていたのか? 付いてきた癖に」
「そんなことはないぞ! 感謝しているさ。でも、今思えば危険な賭けだったのかもしれないな」
ルルはそう苦笑したあと、真剣な表情で話す。
「実際、死んだ2000人の中にベータテスターはかなりいると思う。自分の情報を過信した……コペルみたいなやつらが……」
キリトはコペルの死を思い出したのかすこし暗い顔になる。
「その分俺は運がよかった! 生きてる。キリトに出会えたおかげだ!」
「褒めても何もでないぞ? 飯でも行くか」
「ああ」
ルルとキリトは笑いながら席を立った
☆★☆★
時間は夜
攻略会議で組んだパーティ達は親睦を深めている姿があちらこちらで確認できる
ルルとキリトは自分たちとパーティを組んだフードの少女《アスナ》がベンチでパンをかじっているのを見つけた。
「結構うまいよなそれ」
キリトが声をかけると少女はかじるのをやめ振り向く
「キリト、お前の舌はおかしいいんじゃないのか? まずいぞ?ソレ」
ルルの発言にアスナは同意とばかりにコクンと頷く。
「もちろん思ってるさ。となりいいか?」
アスナの隣にルルとキリトはパンを取り出しながら座る。
「まぁ、ちょっと工夫はするけど。これをパンに使ってみろよ」
キリトはルルに小瓶を差し出すとルルは小瓶をタップする、つづいてアスナのほうにも小瓶を差し出しアスナもそれをタップした。
それをパンにつけると3人同時にパンをかじる
「うっめぇ⁉︎ 何でもっと早く教えてくれなかったんだよ!」
ルルがキリトの方をみるとキリトがドヤ顔をしている。
その隣ではアスナのパンが消えていた。
それを見たキリトがそれがもらえるクエストを教えようか? と言うがアスナの答えはマイナスな言葉だった。
「私はおいしい物を食べるためにこの町に来たわけじゃない」
「じゃぁ何のため?」
「私が私でいるため。最初の宿屋で閉じこもって腐っていくくらいなら最後の最後まで自分でいたい。たとえ怪物に負けて死んでも、このゲーム、この世界には負けたくない、どうしても……」
「立派だな、でもこの世界に負けたくないのなら死ぬことは考えるな。なんとしても現実へ帰ることを考えな! そのためにこの世界で楽しいことを見つけてみるんだな」
アスナの言葉にルルはそんな言葉を残し去っていく、アスナは何も答えずその背中を見送り、残されたキリトはルルの言葉を頷きながら残りのパンを口へはこんだ。
☆★☆★
次の日
昨日攻略会議に出たプレイヤーたちはボスを倒すため迷宮区、ボス部屋の前にいた。
途中、アスナにスイッチのレクチャーをしたり作戦を確認したりしながらついにボス部屋の前にきたのだ。
「皆、俺から言えることはたった一つ、勝とうぜ」
ディアベルがそういって門を開けると1層迷宮区の番人、イルファング・ザ・コボルトロードが玉座で目を光らせていた