前世の記憶を持った〝あきこ〟は〝まさひろ〟が大好き 作:ゴールド@モーさん好き
私は、死んだ。藤原の家に産まれ、一の姫としての役割を果たし、あの日私は天寿をまっとうした。
不思議と恐れは無かった、けれど後悔はあった。遠い昔に募らせた想い、例え日の目に出せなくとも忘れたくないと秘め続けた情熱。ソレを終ぞ伝えれなかった心残り。
けど、ソレは思いがけない形で持ち続ける事となった。
♢
「あきこおはよう」
「〝まさひろ〟! おはよう! 」
少年に朝の挨拶をしながら、私は彼の手を握る。
〝小学校〟……そう呼ばれる学び舎に私は通っている。
どういう訳かは分からないが、私は〝前世〟と呼ばれる存在の記憶と名前を持ったまま産まれた。
「……」
「どうしたの、まさひろ」
「えっあ、いや……別に何でも」
「うっそだぁ、何考えたのか教えて」
「ばっ!? 近いって! 」
「手を繋いでるのだから当たり前じゃない」
「そっそうじゃなくてぇ……」
「ふふっ」
〝私〟の記憶と同じ顔、同じ名前の男の子。〝私〟を知らず、私しか知らない男の子。
私は、まさひろを見て〝私〟を思い出した。烈火の情愛、非愛の運命、何時までも何処までも彼を愛していた乙女の全て。だからこそ、私は〝私〟と一緒に在れない。
「ねぇ、まさひろ」
「なんだよ……」
私が少しからかった事で少しふてくされ、目線を合わしてくれずとも返事をしてくれる。ソレがとても嬉しく、愛おしく感じる。
「私、毎日が幸せなんだ」
「……は? 」
「なに、その素っ頓狂な返事」
「あきこが先に変な事言うからだろ……」
「ひっどーい! 私は真面目な事言ってるのに」
私があからさまにぷんぷんっと言った風な態度を見せると、まさひろは手を握り直しつつ──けど、っと視線をこっちに向ける。
「けど」
「けど……なに? 」
「おれも、だよ」
視線を私と交じらせ、避けを繰り返しながらも紡いでくれた想いに私は心が満たされる。
「あっありがとう」
「そこで照れないで欲しいなぁ! 」
「無理、〝貴方〟にそんな事言われたら照れちゃうよ」
〝まさひろ〟は私の好きな人だ、〝彼〟じゃない。絶対譲らない、私だけの大切だ。
♢
「あきこ、居るか?」
「まさひろ!」
帰りのホームルームが終わったら、隣のクラスのまさひろが迎えに来てくれる。
「あんたら本当に仲良いわね、付き合ってるの? 」
「うん!」
「違うよ?! 」
まさひろは顔を赤く染めながら、私の手を取ってそのまま教室を後にする。
「毎日登下校一緒にして、想い合ってて……ソレで恋人じゃないって言うのもおかしいと思うよ」
「さっきの話掘り下げんのかよ……」
帰路を歩きたながら、私はさっきクラスメイトに言われた話題を広げる。
「そもそも俺もお前も、好きなんて言ったこと無いだろ」
「じゃあ今すぐ言おうか? 」
たしかに直接そういう事は言ってなかったなと即で返事をしたら、まさひろはそのまま黙ってしまった。
「ごめんなさい」
「なんであやまるの」
「いや、その……今その言葉を貰ったら」
「貰ったら? 」
なんて言ってくれるんだろう、今私すっごい頬緩んじゃってる。でも仕方無いよね、すっごいドキドキしてるんだもん。
「がまんできなくなる」
「ッ! ……」
「きっと、キミへの想いが止まらなくなる……だから、ごめん。俺の覚悟が決まるまで、待ってて欲しい」
「………………うん」
顔が、とってもあつい。クラクラしそう。
「きょ、今日は引き分けって事でね!」
「鏡見てきなよ」
「そっちこそ」