吉良吉影はキヴォトスでも静かに暮らしたい   作:爆死担当抹茶

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 ついにアビドス編の第一章が完結しそうですね。自給自足が目的で始めた小説でしたが、気付いたら心の中の自分が「ぼくは読んでもらうために小説を書いているッ!」と叫んでいましたね。
 皆様のいいね評価感想に全員『礼』だッ!



対策委員会の奇妙な冒険 その7

 

 「くっ……」

 

 人は自分の心の底を『他人』に隠したまま生活している。しかし……永遠に誰にも『自分の本性』を隠したまま一生をすごせるものだろうか?

 

 (くそっ!)

 

 『爪がのびる時期』は気持ちがおさえられられなくなる。でも今はなんとかしておさえるんだ、ヘタな行動をとるとバレてしまう。安心して落ちつくまでがまんするんだ……!

 

 ガリガリガリ……(シャーレの書類にサインする音)

 

 「『やつら』のおかげでこんな目に……」

 

 だが……こんな時……忘れてはいけないのは……。こんなヒドイ時にこそ……最悪の時にこそ!『チャンス』というものは訪れるという過去からの教訓だ……『追い詰められた時』()()……冷静に物事に対処し『チャンス』をものにするのだ……。

 

 「この吉良吉影が切り抜けられなかった物事(トラブル)など一度だってないんだッ!」

 

 だからこそ今は気を逸らすために、溜まりに溜まったシャーレの雑事を……!!

 

 ガリガryyyyy!!!

 

 

 

 

 ──キヴォトス中央病院

 

 

 

 

 「……素晴らしい!五臓六腑健康体そのもの!君は健康的な生活を弁えているようだな……」

 「夜11時には床に着き必ず8時間は睡眠を取るようにしている……」

 「委員長よりD.U.最健康賞が渡されるだろう!この結果を胸に、ますます励むのだぞ!」

 (死ぬほど嫌な顔をしながら爆弾を医者にだけ見えるように取り出す)

 「まっ待て!落ち着け!見逃してくれれば悪いようにはしない、分かるな?」

 「わたしはそんな『目立つ』ことに繋がる賞はいらないのだよ……分かるかね?」

 (やたら必死に首を縦に振る医者)

 

 バタバタしたが……やったぞッ!乗り越えたぞッ!無事このハードな状況を乗り越えて『自由』を取り戻したぞ……。まさか『爪がのびる時期』と健康診断が重なるとは思わなかったが……これでようやく!!

 

 ──ガラガラッ

 

 「いらっしゃい!……おっ?吉影さんじゃねぇか!その様子だとまた()()()()か!」

 「ああ……誰も『爪』をのびるのを止める事ができないように……持って生まれた『(さが)』というものは誰もおさえる事ができない……どうしようもない困ったものだ」

 

 ──前までのような、殺人衝動(クソカスのような性)ではないがな。

 

 今のわたしの性は……。

 

 ──うまい物をたらふく食べずにはいられない

 

 ……だ。

 

 「健康診断とこの時期が重なってしまってね……欲求を抑えるのに非常に苦労したよ」

 「ハッハッハ!とにかく……。お待ちどぉ!」

 

 柴大将特製『柴関ラーメン ジャンボ』だ!

 

 そのラーメンは椀から飛び出している部分だけでも推定50cmを超える最早現実のものかすら疑う程の山盛りの麺に、2cm強の超極厚チャーシューにのりねぎナルトの超ド級のB級グルメである。もちろん普段のわたしであればこんな劇物は食わない。赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに朝目を覚まし、健康診断も異常なしと言われる生活を送るためにだ。だがキヴォトスに来てからというものの、爪の伸びる時期になると無性はに腹が減るようになってしまったのだ。だがそんな性を負うことになったとしても、このラーメンを初めて見た時にはたまげた。

 

 「いただきます」ススス……。

 

 麺はまずスープから……一口含むだけで醤油ベースの絶品スープが口に広がり、わたしの口に第一の幸せを運ぶ。

 

 (そこに麺をつっこむッ!)ズルルッ!!

 

 不意打ちでつっこまれた麺は、手打ち独自のもちもち食感と、麺が吸ったスープによりわたしの口には第二の幸せが広がる。

 

 (そしてチャーシューにかぶりつくッ!!)ガブゥゥゥ!!

 

 タレの塩味と油の甘味がたっぷり染みたチャーシュー、わたしの口に広がるのは第三の幸せ。

 

 (しかし……スガスガしい……なんてスガスガしい気分なんだ)

 

 まるで新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーな爽やかな気分に浸り……しかしながら、刻一刻と迫るわたしの幸せな時間の終焉を実感する。

 

 「最後の一口だ……」

 

 ……ゴクン!

 

 「ごちそうさまで」

 

 友だちなんかじゃないわよぉー!!

 

 (ダンッ!)

 

 この声……まさかアルか?わたしがラーメンに集中している間にいつの間中入店していたのか……。それにしても「友だちなんかじゃない」とは一体……?

 

 「わかった!!何か引っかかってたのがわかったわ!問題はこの店、この店よっ!!私たちは仕事しにこの辺りに来てるの!ハードボイルドに!アウトローっぽく!!」

 「なのに何なのよ!この店は!お腹いっぱい食べられるし!!あったかくて親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこのふいんき!」

 「あっははー!アルちゃんってタイピングする時『雰囲気』って変換できるー?」

 「あれって何でできないのよ!」

 

 ……お腹いっぱい食べられてあったかくて親切で話ができて和気あいあいのほんわか、何も問題は無いのでは?

 

 「とっ、とにかく!ここにいると、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!!」

 

 一通り言い終わったアルが息を切らしている。

 

 「……それって……」

 

 一瞬の沈黙を貫くように、ハルカが口を開ける。

 

 「こんなお店はぶっ壊してしまおうってことですよね、アル様?」

 

 ……たまげたな。

 

 「……へ?」

 

 ハルカはどこから取り出したのか、いつ仕掛けたかも分からん爆弾の起爆スイッチを構え……

 

 ──良かった、ついにアル様のお力になれます。

 

 (キラークイーンッ!!)

 

 わたしにとってあまりにも見慣れたサムズアップ。しかし降ろしたその指は空回りする。

 

 「……って、あれ?あれ?起爆スイッチは!?」

 

 ひどく動揺するハルカ。こっちとしては急に起爆スイッチを取り出される方がたまげる事態なのだが。

 

 「まったく……いけない子だ」

 「よ……吉影さん!?」

 「このような危険な代物はわたしが預からせてもらおう……」

 

 「よくも……」

 

 「よくもアル様の望みを!死んでください死んでください死んでくだ──」

 

 (ドゴゴゴゴゴゴゴーン!)

 

 「「「「「「!?」」」」」」

 

 咄嗟にキラークイーンを出してなんとか防いだが……何故()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「ゴホッ、ゴホッ……うわあ、建物がなくなっちゃったよ?」

 「ケホッ……これは一体……?」

 

 「見つけたぞ!」

 

 そこには、『風紀』と書かれた腕章を付けた、銀髪ツインテールのゲヘナ生がいた。ゲヘナの風紀委員だろうか?

 

 「社長!ムツキ!ハルカ!早く隠れよう!やつらが来た!」

 「ここまで接近しておいて隠れられるとでも?舐められたようだな!お望み通りとっ捕まえてや──」

 「……おい、待て?何故()()()()()()?」

 

 確かにアビドスにはあまり住人はいないが……だからといって人の店に砲撃する馬鹿がいるわけないだろ?……わたしのお気に入りの店だったのだがな……。

 

 ──また今夜も、ぐっすり眠れそうにない。

 

 「君たちは今、何をしているか理解しているのかね?」

 「ッ……!私たちはそこの厄介者どもをとっ捕まえるのが目的だ!こちらにも事情がある、後で負傷者は手当してやるから安全なところにでも行っとけ!」

 「ところで……君たちが爆破したのはキヴォトスにおけるわたしにとって数少ない()()()()()()()なのだが……わたしのアビドスでの『心の平穏』が手に入る場所だったのだが……」

 「……何が言いたい?」

 

 「甘いぞッ!このわたしがそんな事をッ許すと思うかッ!」

 

 (ドガアアァァァァン!!)

 

 「なっ……!?」

 

 一段と強力な爆発が風紀委員を襲う。

 

 「激しい『喜び』はいらない……そのかわり深い『絶望』もない……『植物の心』のような人生を……そんな『平穏な生活』こそわたしの目標だったのに……」

 「カハっ……急に爆破してきて、何を言って……」

 「それを君らが言えたクチなのかね?んー?」

 

 風紀委員のその生徒はハッと思ったのか口を閉じる。

 

 『闘争』はわたしが目指す『平和な人生』とは相反しているから嫌いだ……ひとつの『闘い』に勝利する事は簡単だ……だが次の『闘い』のためにストレスがたまる……愚かな行為だ、他人と争うのはきりがなくムナしい行為だ」

 

 「だが私の『平穏』を乱した者と()()()()()()()()()()()()

 

 (ドッゴオオォォォォオ!)

 

 〔っ!?前線の8割が再起不能(リタイア)!?〕

 

 「ぐっ……どうやっ、て……こちらに気づかれないように……爆弾……を?」

 「まさか、貴方がここにいて、ここまでするとは……吉影さん。貴方がいると知っていれば、こんなことをしなかった……。」

 「……チナツか……いてもするんじゃあ無い……他人の店を爆破なんて……普通そうだろ……?」

 

 今なら感じる。キラークイーンに満ちるスタンドパワーと、神秘。

 

 「話を続けよう……今までは……『わたしの平穏』を乱すものとしか闘うことは無かった……本当は……こんな闘争は……ムナしいだけだ、だが……この吉良吉影……初めて何かを背負ったらしい……言うなれば『プライド』……他者とぶつかり合うような『戦い』を……柴関ラーメンの仇のため……そしてこれから貴様らが手を出すであろう……」

 

 ──アビドス高校の生徒達の『平穏』の為にこの運命を変えるべく戦わざるを得ないッ!!

 

 キラークイーンのスタンドパワー、そして神秘が臨界点を突破する。

 

 その時、脳裏に浮かんだ台詞を吐く。

 

 キラークイーン、第3の爆弾!

 

 BITES THE DUST(バイツァダスト)』ッ!!*1

 

 第3の爆弾は、文字通り世界の理すら破壊する。

 

 時間遡行。

 

 それさえも可能にしてしまう。

 

 ────────────────────────

 

 「……素晴らしい!五臓六腑健康体そのもの!君は健康的な生活を弁えているようだな……」

 「夜11時には床に着き必ず8時間は睡眠を取るようにしている……」

 「委員長よりD.U.最健康賞が渡されるだろう!この結果を胸に、ますます励むのだぞ!」

 (死ぬほど嫌な顔をしながら爆弾を医者にだけ見えるように取り出す)

 「まっ待て!落ち着け!見逃してくれれば悪いようにはしない、分かるな?」

 「わたしはそんな『目立つ』ことに繋がる賞はいらないのだよ……分かるかね?」

 (やたら必死に首を縦に振る医者)

 

 ……わたしは、この状況を知っている。

 

 知覚できているようだ。

 

 『BITES THE DUST(バイツァダスト)』。今までわたしですら知り得る事のなかったキラークイーンの第3の爆弾。どうやら時間を巻き戻す事が出来るようだ。その時間は……時計を確認すれば11時。柴関ラーメンが爆破されたのが11時55分程。だいたい1時間程時間を巻き戻せるようだ。

 だが『サガ』の衝動を感じない。バイツァダスト発動前の『経験』は発動後でも一部引き継がれるようだ。

 

 「……1時間か……短いが……やるべき事が多いな……だがこの吉良吉影が切り抜けられなかった物事(トラブル)など一度だってない……このトラブルもきっと乗り越えてみせる……!」

 

 まず連絡すべきは……あそこだな。あの風紀委員会とやらのトップへの連絡が必要だ。風紀委員会への連絡先は……これだ!この前シャーレで雑事をこなしていた時に来た風紀委員会からの先生への支援要請の時にきた番号。

 

 (ルルルルル……)

 

 〔おかけになった電話は現在通話中です──〕

 

 ……繋がらないか……噂によると多忙な人物らしいからな……風紀委員長は。

 

 (ならばッ!)

 

 足元に爆弾を作り出し、点火ッ!

 

 (ドガン!)

 

 そして爆破の衝撃を銃弾を防ぐ要領で相殺するッ!

 

 (ビューン!)

 

 着地の時も同じ要領で行けば良いだろう。そしてこの移動方法、かなりのスピードが出る。ゲヘナ風紀委員会の建物があっという間に見えてきて……

 

 (ドガン!)

 

 やったッ!やったぞッ!着地もつつがなくしたぞッ!……いや、まだ喜ぶのには早過ぎる。

 

 「あなたはシャーレの補佐の吉良さんですか?本日はどう言ったご用件で……。」

 「風紀委員長の子に会いに来たが……いるかね?」

 「ああ……委員長であればいます……万魔殿からの迷惑電話に先程までかかりきりで……。」

 「とりあえず会わせて貰うよ」

 

 そうして委員長室へと入ったわたしを待ち受けていたのは、白の長髪*2に紫の目、そしてホシノと同じぐらいの身長の少女だった。

 

 「あなたは……シャーレで先生の補佐をしている吉良吉影さんね。私は空崎ヒナ、よろしく。」

 「ああ……よろしく……早速本題から入るのだが……君たちの配下がアビドスへと襲撃しようとしていると聞いてね」

 「……そう、分かった。」

 「すんなり信じるのだな……てっきり疑われるかと思ったよ」

 「シャーレで先生の補佐をしている時点で、わざわざここに来てまで嘘をつくような人じゃないというのは予想できる。それにさっきからアコが私と目を合わせようとしなかったから、なんとなく疑っていたけど……これで辻褄が合ったわ。」

 「……ありがとう……それと少し着いてきてくれないかい?とある地点を通るだろうからそこで待機していて欲しいんだ……」

 「……いいけど。そこまで把握しているのは少し気になる。」

 

 時間は……11時半、あまり時間が無い。

 

 「最後にヒナ……少し悪いが『手』……握らせて貰うよ」

 「えっ……?」

 「よし……しっかり掴んだな?『キラークイーンッ』!」

 「!?!?!?」

 

 この際ヒナからの目なんて気にするもんか……あとは……柴関ラーメンにハルカによって設置された爆弾を解除するのみッ!

 

 ──よりスピードを飛ばして、ヒナを目標地点へと配備し、柴関ラーメンへ到着。

 

 友だちなんかじゃないわよぉー!!

 

 (ダンッ!)

 

 ……爆弾は……これかッ!露骨に「間違った色を選べば爆発するッ!」と言わんばかりの赤と青の導線ッ!どっか別の所に投げる事も考えたがそれだとビルの倒壊により余計な被害が出かねないッ!ならば……

 

 『覚悟』するしかないッ!

 

 「こんなお店はぶっ壊してしまおうってことですよね、アル様?」

 

 ハルカの声、いーや限界だ切るねッ!

 

 キラークイーン!『赤の導線』を切るんだッ!

 

  ──良かった、ついにアル様のお力になれます。

 

 (ブツゥン!)

 

 (カチン!)

 

 切断のコンマ1秒後にボタンを押す音が聞こえた。

 

 その音のみだった。

 

 本来であれば鳴るはずだった轟音は、そこにはなく、柴関ラーメンはその形を保っていた。

 

 ……やったッ!やったぞッ!

 

 ──運命に勝った!

 

 「あれ……あれっ!?」

 

 店内では便利屋の騒ぎ声が聞こえる。

 

 「……吉影さん。何をしているのかしら?」

 「ああ……ヒナか……わたしは実にスガスガしい気分だ……感謝するよ……」

 「……?まあ、こちらも……変なトラブルになる事も無かったし……ありがと……。要件はそれだけ……じゃない。あなたたちシャーレがアビドスに肩入れしているのであれば、伝えておきたいことがある。これは直接言っておいた方がいいと思って。」

 「何の話かね?」

 「……カイザーコーポレーションがアビドスの捨てられた砂漠……あそこで何かを企んでる。本当なら廃校予定のアビドスに教える義理はないのだけど。……一応、ね。」

 「……なるほど……ヒナ……有益な情報をありがとう」

 「じゃあまた、吉影さん。」

 

 ──やれやれ。まだまだ夜もぐっすり眠れそうに無い。

*1
この時の吉良吉影には!正史であれば持ち得ないような!苦境にある弱者を守るという『黄金の精神』が確かにあった!『アビドス高校』の危機『柴関ラーメンの破壊』それらが彼の精神をより強靭なものとしたッ!スタンドパワーは本人の精神力に依存する!そこに『神秘』の力の相乗効果が合わさりッ吉良吉影は『深い絶望』『他者に正体を知られる』以外のバイツァダストの第三作動条件『弱者を守る』を新たに得たのだッ!!また彼は第三発動条件であれば『運命の改変』『記憶保持』『成長の引継』の三つが可能となる!キラークイーンはまさしく『無敵』のスタンドへと変化したのであった!

*2
まるでモップのようだと失礼な事を考えてしまった……




 
 アビドス編第一章完ッ!

 一部ファンに怒られそうだと思いますがアルちゃんはふいんき(←何故か変換できない)してそうなふいんき(←何故か変換できない)があります。分かってください。

 投稿があほうほど遅れている理由はリアル事情と別に書いている小説があるからです、そっちは近頃投稿しました。

 あ、それと水着ハナコとシロコテラー、ドヒナが募集で来てくれました。心が強ぇヒナなのか……?

 次章、対策委員会は学校を守りたい

小説の長さはどれぐらいが適切?

  • 1000〜5000
  • 5001〜
  • 読めればよかろうなのだァァァァッ!!
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