遂にアビドス編第2章へと突入しますね。これを書く上でジョジョ4部やブルアカメインストーリーをよく見直すのですが、何度見ても飽きないようなストーリーで、シナリオの作り方が素晴らしいんだなってなりました。
章変化ということもありサブタイトルを変化させるか迷いましたがやっぱりやめました。騙して悪いがこれも拘りなんでな。
皆様のいいね評価感想に全員『礼』だッ!
(カタカタカタ……)
(タンッ!)
「……ふう……」
ここ最近はアビドスに出張している事が多かったので、シャーレに届く仕事をこなせずにいた。なので今は先生にアビドスの事を任せ、先生のサインが必須な書類を除き処理していた。
最後の書類にサインを終えた時に、ふと思い出す。
「……カイザーコーポレーションがアビドスの捨てられた砂漠……あそこで何かを企んでる。」
カイザーコーポレーション……か。先の銀行強盗の時に判明した資金の使い方といい、ヒナの情報といい、いまひとつ信用ならない企業。
わざわざ資金洗浄を行い、バレないようにこそこそ何かをしているので、わたしはカイザーの目的がアビドスの掌握である事なのはほぼ確実であると踏んでいる。……ヒナから教えられた情報を伝えるべく、アビドスに向かわなくては。
そうして、シャーレを後にしてアビドスへと向かった。
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(ガラガラ)
「やあみんな……今日もスガスガしい日……」
「うへー……。」
「「……。」」
("気まずい……")
対策委員会の教室に到着すると、そこに立ち込めていたのは余りにも重苦しく、気まずくなってくるような空気であった。
「先輩たち、大変!!これ見て!」
「アビドス自治区の関係書類を持ってきました!これを……」
「……?」「……あれ?」
「「……。」」
「……な、何、この雰囲気?」
「今入ってきたばかりなのだが……わたしにも分かっていない……」
教室に入ったばかりのアヤネとセリカも違和感に気付いたようだ。
「い、いやそれよりも!とんでもないことが分かったの!」
「はい、衝撃の事実です……!皆さん、まずはこれを見てください!」
(ペラッ)
アヤネが取り出したのは地図だった。曰く、直近までの取引が記録されているアビドス自治区の土地の台帳「地籍図」と言うらしく、現在のアビドスの土地の所有者は……
──カイザーコンストラクション
「……!!」「そんな……!?」「……っ!?」
全員の顔が同時に険しいものとなる。カイザーの系列企業が、アビドスの土地の、現在の校舎とその周辺地域を除く全てを保有していることになっていたのだ。
「「柴崎ラーメンも(か)?」」
わたしとシロコの同時の質問。認めたくは無いが答えはYESだった。バイツァダストの発現・使用をしてまで守ったはずの柴崎ラーメンは、結局、カイザーの手によって奪われたのだった。
「……吉影さん。……大丈夫?」
不意に意識を戻すと、爪を噛んでいた。昔からの癖で、思い通りにならない事がある時、どうしようもない時に爪をよく噛んでしまう。
「あ……ああ心配はしなくてもいい……そしてカイザーについてちょっと耳に入れたいことが……」
ヒナに言われた事をそのまま説明する。
「アビドスの砂漠で……」
「カイザーコーポレーションが……」
「何かを企んでる……?」
皆は半信半疑といった様子だ。
1人を除いて。
「ああもう、そんな難しいことを考えるより、先にやることがあるでしょ!」
……セリカのこういう無鉄砲な所には時々助けられる。進まない議論をするぐらいなら大胆な行動に移すべきというその姿勢には敬意さえ抱く。
「アビドスの砂漠はうちの自治区なんだから!実際に行ってみればいいじゃん!何が何だかわからないけど、この目で直接確かめた方が早いって!」
「……ん、そうだね。」
「……『成長』できたんだね……実に強い意志を感じたよ」
「……いや〜、セリカちゃん良いこと言うねえ。こんなにたくましく育ってママは嬉しいよ、泣いちゃいそう。ティッシュちょうだい。」
冗談めかしくそうホシノは言うが、その言葉に妙な重みを感じたのは気のせいだろうか。
"じゃあ、準備ができたら行こっか。アビドス砂漠へ。"
「「「「「
そうして各々が準備を始めたが、わたしと先生はシロコに連れ出され……
「どうしたんだい?」
「先生……吉影さん……。出発する前に、ちょっと時間が欲しい。」
相談したいことがあると言い、もう使われていない教室の一角へと入る。
「……これ。」
そこでシロコが見せた物は、わたしと先生をたまげさせるのに十分な代物であった。
「これは……『退学届』ッ!?」
"……!?"
「……ホシノ先輩のバッグの中から見つけたの。」
「"退会・退部届……対策委員会小鳥遊ホシノ……!?"(だとォー!?)」
「……ん。書かれてる通りの意味だと思う。先生たち以外には誰にも見せてないし、言ってもないけど……そもそもバッグを漁ったこと自体、ホシノ先輩にはバレてる気がする。」
「何故……シロコはこれを?」
シロコの表情が一段と険しい物となる。少しの沈黙の後、シロコは口を開けた。
「……実は吉影さんがいない時、ホシノ先輩が長い時間席を外していた。校舎のどこかで昼寝をしているわけでもなければ、指名手配犯を捕えにいくって連絡も無かった。今までも席を外すことは何度かあったけど、最近こう言ったことが増えてきた。それがどうしても引っかかって……先輩のバッグを漁ってみたら出てきたの。」
全てを話すと、シロコの表情は申し訳ないと言わんばかりのものに変化する。
「……たまげたな」
「……ごめん、悪いことなのは分かってる。ホシノ先輩からはもちろん、生徒として、先生たちにも怒られて仕方ない。」
「……まだ分かっていないことが多すぎるから……」
"一旦保留……かな、秘密にして。"
「うん……先生たちも分かってると思うけど……ホシノ先輩、何か隠し事をしてる。」
そうして窓の外のホシノの様子を見る。ホシノのアビドス高校を見る目は、どことなく諦めにも似た、寂しさを帯びた瞳だった。
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アビドス砂漠を捜索していく。道中にはヘルメット団やドローンかいたが、爆発するなり鉛玉をプレゼントするなりで片付ける。
〔……っ!?皆さん、前方に何かあります!砂埃で、まだはっきりと姿が見えないのですが……!巨大な町……いえ工場、或いは駐屯地……?と、とにかく、ものすごい大きな施設のようなものが……?〕
おそらくわたしたちが探している物がそこにあるのだろう。
「……こんなところに施設?何かの見間違いじゃなくて?今のところ、こっちからは干からびたオアシスしか見えてないけど……。」
〔おそらく見間違いではないと思うのですが……とりあえず、肉眼で確認できるところまで進んでみてください!〕
そうして進んでいくと、そこには施設らしきものがあり、その規模にたまげた。
「この張り巡らされている有刺鉄線、優に数キロメートル先までありそう……。」
「正確に『計り』直してみるか……子供の頃を思い出すなあ〜行きたくもない『サマーキャンプ』でこうやって距離を計ったっけなあ〜フフ」
「ああもうっ!正確に計り直す暇があるなら……」
(ダダダダダダダダッ!)
「うわっ!?なになに!?」
「侵入者d」
(ドガアアァァァァン!!)
「やはり襲撃者が来るか……そう思って事前に地面にあった砂を強力な『接触弾』にしておいて正解だった……調査に戻ろうか」
〔施設に、何らかのマークを発見しました!〕
そこには、自分らがどれだけ大きな存在なのかを誇示するように、デカデカと『KAISER PMC』と書かれていた。
「カイザー……?こいつらもカイザーコーポレーションってこと!?」
「はい、カイザーコーポレーションの系列会社で……。」
「しかもPMCということは……民間軍事会社……Private Mivitary Companyの略称……」
(ウィンウィンウィン!!ウィンウィン!!ウィンウィンウィン!!*1)
……なんだこのふざけたリズムのアラートは。エレキギターのつもりなのか?
「け……警報音……なの?」
「だ、だとしたら大ごとになりそうな予感なんだけど……。」
「これは……ヘリの音……?」
「それに、この地面の揺れ……おそらく戦車。」
〔大規模な兵力が接近中!こちらを包囲しに来ています!それに……仰る通り、装甲車以外にも戦車やヘリまで、ものすごい数です!包囲が完成する前に離脱してください!まずは急いで、その場から脱出を……!〕
こうして大規模な第二陣との戦闘を行いながら、何とか包囲網を抜けようとすると……
〔……せい、聞こえますか?包囲網を抜け……また……〕
どうやら回線に不調が生じているらしい。だが先程から砂嵐は発生していない。もしや……ジャミングか?
〔……が不安定……早く……退却……が……接近……〕
すると大量のPMC兵と、無駄に高級っぽい、少なくともわたしとしては悪目立ちしそうで乗りたくないような車から降りてきた1人の大柄のオートマターが、大義そうに歩いてきた。
「……侵入者とは聞いていたが……アビドスだったとは。」
「な、何よこいつ……?」「……。」
「まさかここに来るとは思っていなかったが……まあ良い。勝手に人の私有地に入り、暴れたことによるこれらの被害額。君たちの学校の借金に加えても良いのだが、まあ、大した額は変わらないな……。」
「あんたは、あの時の……!」
ホシノが普段であれば絶対しないような形相なエラそーな態度のオートマターを詰める。
「……確か、例の『ゲマトリア』が狙っていた生徒会長……いや、副会長か?それならやつらの『計画』が早く進ませてやるとしよう。」
ゲマトリアは、あなたのことをずって見ていますよ。
初めてアビドスへと来た時に黒服からかけられた言葉を思い出す……黒服とこいつに何か関係性があるのかもしれん。
「君たちならよく知っている相手だと思うがね。私は、カイザーコーポレーションの理事を務めている者だ。そして君たち、アビドス高等学校が借金をしている相手でもある。」
「!!」「……嘘っ!?」
「では、古くから続くこの借金について、話し合いでもしようか。」
その後、対策委員会が理事へと詰めよるが……
「だからどうした?全ては合法的な取引、記録も全てしっかりと存在している。まるで、私たちが不法な行為でもしているかのような言い方は止めてもらおうか。わざわざ挑発をしに来たわけではないのだろう?」
のらりくらりとかわされるどころか……
「君たち程度、いつでも、どうとでとできるのだよ……例えばそう、こういう風にな。」
電話をし出したと思えば……
〔変動金利を3000%上昇させる形で調整。それらを諸々適用した上で、来月以降の利子の金額は9130万円でございます。〕
利子の額を法外な金額にされたり……
「……くっくっく。これで分かったかな。君たちの首にかけられた紐が今、誰の手にあるのか。それと9億円の借金に対する保証金でも貰っておくとしよう。一週間以内に、我がカイザーローンに3億円を預託してもらおうか。この利子でも借金返済ができるということを、『証明』してもらわねばな。」
保証金とか抜かして法外な金を要求されたり……
──完全な負け戦だった。
(……このクソカスどもが……!!)
「……みんな、帰ろう。」
「ホシノ先輩……!?」
この状況を見かねてなのだろう。ホシノはそう提案する。
「ほう……副生徒会長、さすがに君は賢そうだな。……ああ、思い出したよ。賢そうな君と一緒にいた、あの全くもってバカな
ごく一瞬、ホシノの表情に怒りが感じられた。
「最高に『ハイ』ってやつだ……アアアアアアハハハハハハハハハハーッ!存外悪くない時間だった!さあ、お客様を入り口まで案内してさしあげろ。……そうだ、このハイな気分に乗じて一つ教えてやろう。何故我々がアビドス砂漠というこんなだだっ広い砂漠を買ったのか……それは──
──アビドスのどこかに埋められているという宝物を探しているからだ!」
一瞬、困惑した。大の大人が宝探しとかぬかしているのだ。言ってる事がわからない……イカレてるのか?……この状況で。
「それと小鳥遊ホシノ…… 崖に激突して死ぬツバメがいるそうだ……そのツバメは得てして他のツバメよりもとても上手にエサを捕獲したりするのだが……宙返りの角度の危険の限界を親ツバメから教わっていないため、つい無謀な角度で飛行してしまう。だが、その親は教えないのではなく、そのまた親から教わっていないので教えられないのだ。彼ら一族は短命な者が多く なぜ事故にあいやすいのか気づいてさえもいない。
──梔子ユメは短命だったな。」
そうカイザー理事が罵倒すると、ホシノの表情が先程とは比にならないような怒りで満ちる。それでもその顔を理事に見せないようにし、手を出そうとしないホシノ。正直
おそらく、ホシノは『大切な者』を馬鹿にされたのだろう。彼女の『大切な記憶』をコケにされたのだろう。
──優先始末リストの帳簿に一名様の名前が追加されたな。2度と『平穏な生活』を送れると思うなよ……クソカスが。
こうして、アビドス砂漠への遠征は、最悪な形で幕を閉じた。
……今からカイザー理事のカスを殴り飛ばすのが私としても非常に楽しみです。プッチ神父煽りは本当にカスですね。若干使い方が間違ってる気もするけど……気にしません。
次回、対策委員会の奇妙な冒険 その9
時系列順(エデン条約先)か部順(パヴァーヌ先)か
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第2部 パッヴァーヌ24時
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第3部 エデン条約編