難産に陥り無事投稿が遅れました。
腹いせとして……カイザー理事、君を『始末』させてもらう。
(ブロオォォォ!!)
カイザーPMCがアビドス高校への侵攻に失敗した次の日、わたしたちはなかなかのパワーとスピードの自動車に乗って様々な学園を回っていた。……前の車はカチカチヘルメット団だったか?を追い払う時にキラークイーンで爆破してしまったからな。ムダな出費が出た事が何故かユウカにバレてしこたま叱られたが、まあいいだろう。
"ふ〜……これから忙しくなるね……"
「ああ……全くだ……」
街道を行く様々なキヴォトスの住人は、アビドスの騒動もつゆ知らず、今日一日をどう平穏に過ごそうかといった様子。人がこれからひとりひとつはあるような譲れない己の信念を曲げてまで大事を成そうという時に……うらやましいな……ヒマそうで……。
「さて……ゲヘナ学園に着いたな。未然に防いだとはいえ前のアビドス侵攻の案件での迷惑料として今回の作戦に協力して貰うつもりだが……風紀委員長が出向くかどーかまでは知らん……先生に任せるつもりだが」
"任せて!"
その時の先生の背中は結構頼もしく見えた。だが現実は非情なもので……
「はぁ?『風紀委員長』に会いたい?ゲヘナの風紀委員長に、そんなに容易く会えるとでも思ってるのか?」
この通り、イオリによって門前払い。うーむ、困ったものだがごもっともだ。先生と共に来たは良いが……いくらシャーレの権限あれど、ゲヘナの重役にアポ無しで突撃してはいどーぞと会わせてはくれん。
"そこをなんとか……!"
「そうだな、じゃあ土下座して私の足でも舐めたr
"レロレロレロレロレロレロレロ"
ひゃんっ!?」
……ありのまま今起こった事を話すぞ。『先生はイオリの前で突っ立っていたと思ったら いつの間にか足を舐めていた』。どういう訳か瞬きひとつしていない筈なのにくつと靴下をいつの間にか丁寧に脱がせてあるし靴下に至ってはご丁寧に畳まれて積み重ねてある。そしてがっつくようにイオリの足を舐めている先生の顔は物凄く真面目な顔。
何を言っているのか分からんと思うがわたしも何を言っているのか分からなかった。
「ちょっ、人の話は最後まで……んっ!ちょっと!?大人としてのプライドとか、人としての迷いとか
"そんなものは無いッ!「覚悟」とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開くことだッ!"
おかしい!ヘンタイ!歪んでる!」
……わたしは今何を見せられているのだ?今まで人生で切り抜けられなかったトラブルなど一つもないこのわたしでさえ今の状況でどう行動するのが最適解なのか分からん。
「こっ、この汚らしい阿呆め──」
「何だか楽しそうね?」
風格漂う強者の風貌。
ヒナが来た。
この状況で、
ヒナが来た。
……わたしは天を仰ぎたいような気分になった。自分が手を貸している成人男性が女子高生の足を舐めていて、その女子高生が所属する委員会の長が今この場に居合わせたのだ……警察沙汰に出会したとも言えるだろう、誰だってそーなる、わたしだってそーなる。
「……い、委員長……?」
「自分の望みのために膝をつく姿なら、これまで何度も見てきた。でも、生徒のために跪く先生を見たのは初めて」
何か凄く勘違いをしているようだ。先生が『生徒の足を舐めている』のが、ヒナには『生徒のために土下座している』ように見えているのだろう、言葉で表すのであればカオス。
「膝を上げてちょうだい、先生。言ってみて、私に何をしてほしい?」
「いや、その、委員長……先生は跪いているんじゃなくて、その、足を」
"レロレロレロレロレロレロレロ"
「……?……!!!!???」
先生の奇行に気付き、先程までの風格漂う強者の風貌が一瞬で瓦解し、代わりに出てきたのは年頃の少女の赤面。……誰だってそーなる、わたしだってそーなる。
「……すまない……だがわたしたちには学校で『質問を質問で返すな』と教える事ぐらいには重要な成すべき事がある……今この状況を説明するよりもよ重要だ……」
「う、うん……大体理解した。そのためにイオリの足を舐めるのが必要だった……のかは怪しいけど、まあ今はいいかな……。要件は?」
「……小鳥遊ホシノがカイザーPMCに攫われた。そしてこれから救出作戦が行われる……手伝ってはくれないか?」
ホシノが攫われたと聞いて、ヒナの表情が一転険しくなる。
「……小鳥遊ホシノが攫われた、のね。……分かった、協力する。カイザーの黒い噂は私たち風紀委員会も把握している。その魔の手がいつゲヘナ学園に伸びてくるかも分からない、その前に対処しておくに越したことはない」
「協力に感謝する……助かるな。ホントに」
レロレロレロレロレロレロレロ……
イツマデナメテンダコノヒトクイハンシャメ!
グワーッ!
何がともあれ、これで協力者が増えたな……アビドスの皆と合流して、ホシノ救出作戦の準備を始めよう。相手に悟られぬようになるべく早くすべきだな……
そうしてわたしたちはゲヘナ学園を後にし、シャーレから持って来た大量の支援物資と共にアビドス高校へと到着し……
「ん、準備完了」
「補給も十分、おやつもたっぷり入れておきました!」
「私の方も、アビドスの古い地図を全て最新型しておきました」
「こっちも準備できたわ!睡眠もしっかり取ったし、お腹もいっぱい!どっからでもかかってきなさい!」
睡眠、か……ホシノはおそらく怯えて夜安心して熟睡も出来ていないだろう……再びホシノがぐっすり熟睡できるようにしなければな。
……キラークイーンの凛然と輝くヘイローに、微かな怒りが窺える。どうやら今日は絶好調のようだ、誰もわたしを止められやしないだろう……!
"それじゃ、出発!"
そうして、アビドスを出発したわたしたちは、わたしと対策委員会の二手に分かれての作戦行動を取る事にした。分かれる直前に対策委員会の皆から心配をされたが、この吉良吉影は闘ったとしても誰にも負けない自信があると言って分かれてきたのだ。
〔……誰だ、お前は?ここが誰の土地だか分かっているのか?目的を明かせ!〕
しかし困ったな。思いの外大量の足音と共に通信が入ってきた。カイザーPMC兵だろうが、数が多く、砂漠なので遮蔽物も少ない。大きく体力を消耗する事になる正面突破は少々面倒だ。ならば……
「ぁぁあぁぅぁ〜〜わたしはただ砂漠で遭難しただけなのにこんなに軍隊の方がいるッ!いったい何が何だかわけがわからない!?わたしはただの会社員です……」
……情けない声と今にも泣き出しそうな顔を繕う。わたしの第一印象は『普通の人間』と解釈されるのが常なので、これは効果覿面で、二人のPMC兵がこちらに歩み寄って来る。
「……落ちつけ、我々は罪のない一般人には危害を与えない」
「あ、ありがとうございますッ!おかげで……」
……釣れたな。キラークイーンッ!
「あなた方のようなマヌケに労力を払わずに済みますッ!第一の爆弾!!」
「ナニッ──」
(ドガアアァァァァン!!)
点火された破壊のエネルギーは波状に広がり、閃光と硝煙を伴いPMC兵どもを木っ端微塵にする。騙して悪いがこれも仕事だ。相手だってアビドスの生徒を『始末』する覚悟をしているのだから始末される覚悟もしているだろう?それにどうせオートマターなので『始末』しても問題は無いだろう。
「なッ……貴様何者d」
(バキィッ!)
わたしは残念ながら君たちと駄弁を弄する事が出来る程ヒマじゃないのでね。わたしに手を差し伸べていた二人はキラークイーンで腹をブチ抜かせてもらった。第一波、これで20程倒した。まだまだ腐るほどいるよーだが。
〔(ガガッピー)……どうした、2番小隊、応答しろ。……どうした?そちらに救援を送るか?応答しろ!おい!〕
ん?どうやらオートマターの無線はまだ生きていたようだ。そしてこちらに向かってくる敵影……第2波、中々数が多い。ここからは正面切っての戦闘だが、無論負けるつもりなどないのでね。スーツの内ポケットに仕込んでおいた銃を取り出して、弾丸を爆弾にする。
「今際の時だから教えてやるよ……銃弾を爆弾にして発射するキラークイーンの能力とわたしの銃撃テクによるワザ『ブレイク・フリー』は……」
「一度でもその射撃音を聞けば『始末』されてしまう事だろう」
(パァン!)
たった一発の弾丸。ピストル本来の有効射程はせいぜい100メートル程度で、それ以上の距離だと弾が届いてもほとんどダメージが無い。それに対して、目視圏内にいるPMC兵はその三倍、300メートルも遠くにいる。
だが、
(カチン!)
(ドガアアァァァァン!!)
〔なぁーっ!?〕
始末できるのさ……40、まだまだ大量に居るが所詮は大量始末だ、刺激的にやるとしよう。そういえばキヴォトスに来る前には出来ていなかったが……今は複数の物体を爆弾にする事が出来るようになっている。これもキラークイーンに付いた『ヘイロー』の影響なのか、はたまたわたし自身のイメージ能力の成長の証なのか?……いかん、あくまでも戦場で無駄な事を考えるのは死に至る。
〔前方に人影!一般人です!?〕
〔いや、待て!前衛部隊との連絡が!?あいつがやったんだろうな……始末しろ!〕
仲間がこれだけ爆破されていても尚こちらに向かってくるとはな……軍人というだけあってスケバンやヘルメット団のような輩よりも正確にこちらに狙いを付け、こちらを始末せんと弾丸を打ち込んでくる。勿論キラークイーンで塞がせてもらうがね。無駄だと未だに分からずに鉛玉を打ち込んでくる学習能力の一つもプログラミングされていないようなマヌケのオートマター共にはご退場願おう。
(カチャッ)
懐に仕込んでおいたもう一挺の拳銃を取り出す……ブレイク・フリー禁断の『二挺持ち』といった所か?単純に考えて二倍の効率となったそれは……
(ドドゴゴオオォォォォォ!!)
「おわぁーっ!?」
60、80、100とどんどんオートマターを破壊していく。困ったな、始末した人数が多すぎて段々曖昧になってくる。だがまだまだ腐るほどいる。さっさと全員始末してホシノの救出現場に赴き感動でアイロン掛けを忘れたYシャツのようにグチャグチャになってる顔を拝んでやりたいが、ペースを上げなければそれも叶いそうに無い。
「と、特務部隊!救援に来れるか!?こちら第7小隊……うわぁっ!?」
『……今向かってる、もう少し……(ドガアアァァァァン!!)グォァッ!?』
何だ?通信越しに爆発音が聞こえたような気がするが……上空に目を凝らして良く見てみると、トリニティの校章付きのミサイルが空を飛んでいる。……おそらく
移動する道中で発見したオートマターを40程始末し、始末数が140になったところで、ゲヘナ風紀委員の見知った顔が遠くに見えてきた。そこには大量のオートマターの残骸が転がっていて、最早わたしの救援がいるかどーかすら怪しいが、一応イッパツだけ支援しておこう。……点火確認ヨシ!*1これで160。
そうして移動していく内に、ようやく合流地点に近づいて来た。すると目には一度爆破したハズの、おそらく理事が乗っているであろう有人機『ゴリアテ』と、あの見た目は……無人機『パワーローダー』だな……そいつが二機、合計三機の巨大メカが機銃を掃射している。
「だああっ、何よあいつ!?あの弾丸の量、出鱈目すぎない!?」
「正面突破は危険ですが……。何か突破する糸口は……!」
アビドスは手詰まりといった様子か。……本当はこういう『ヒーローは遅れてやってくる』みたいな無駄に目立つよーな事は趣味じゃないんだがなァ……やるしかなさそうだな……『ブレイク・フリー』ッ!
(パァン!)
本来であればパワーローダーの装甲の前ではピッチャーフライ取るよりも簡単に受け止められてしまうよーな弾丸でも……当たる直前で爆発するならッ!
(ドガアアァァァァン!!)
「ッ!?パ、パワーローダーが突然爆発した!?」
"この爆発……まさか!?"
「実にらしくないんじゃあないかァ……?君たち」
自分が目立っているという事実だけでも、実にムカっ腹が立ってくるが……それを晴らす為の矛先はもちろんカイザーの
「この声は……吉影さん!?まったく、ヒーロー気取りなんだか分からないけど遅いんじゃな(ドドドドドドドドッ!!)……うわわっ!?」
「軽口叩く元気があるならあの
「……フン、面妖な力を扱うようだが……ただの人間の大人であればたったイッパツの銃弾でもくたばるだろうに、わざわざ前線に赴くとは……だがシャーレ……貴様らごと『始末』してしまえば良いのだッ……!私はカイザーPMC理事なのだッ!死んで平伏しろ!私こそが企業なのだァッ!!」
この声……カイザーの
「……御託は並べ終えたのか?」
こういう輩は己が心理的上位にいる事にスガりたがる。まるで母親が居ないとギャーギャー泣き叫ぶことしか出来ない赤ん坊のよーに。この吉良吉影が好きな事のひとつは、そういった輩の心を『へし折る』事だ。己が圧倒的優位かと思っていた瞬間、たった一つの変数で全てが瓦解する理不尽で完膚なきまで心をメッタメタにしてから『始末』する……だからこそかつてのわたしは外の世界で『始末』する度に、あの日初めて見た『モナリザの絵』のよーな……いやあれとは違うが、そういったロクでもない輩を地の底に叩きのめすのが興奮するのだ
「カイザー理事……お前には同情するぞ、アビドスのガキ共ごときが、シャーレが付いてるからとお前は思っているんだろうけどなァ〜……お前は致命的な『見逃し』をしている……もっともそれに今気が付いても試験終了チャイム直前まで問題を解いている受験生のような必死こいた気分のお前には、マークシートが綺麗サッパリ一問ずつズレているのに気付けない程のマヌケのよーな話になってくるがな」
「なッ……何ィ〜!?」
再びキラークイーンのスタンドパワーと、ヘイローの神秘が満ちる心地よい感覚。二つの力は相互作用を起こし、間も無く一つの弾丸へと集約していく。
「キラークイーンの……今日から正式な『第四の爆弾』として扱おう……ブレイク・フリーッ!」
放たれたたった一発の弾丸は、しかしパワーローダーにも、ゴリアテにも向かわない。
「……ブワアアッハッハッハァーッ!!!何だ!?見当違いな方向に銃弾が飛んでるじゃ無いかッ!?プロ野球で近年稀に見る大暴投なんかよりもよっぽど酷い狙いだなァー!?」
「……お前はもう、『始末されている』……」
キラークイーンの親指を降ろす。時間差を作りたかった為わざわざ手動点火にしたのだ。その分威力は言うまでもがな……
(ドッゴオオォォォォ!!)
「なッ……私は、カイザーPMC理事……『企業』なのだぞッ……!?」
「ゔああああああッ!!!????」
フン……ハイクを詠んだ後、しめやかに爆発四散したよーだな。
「敵機、機能停止……」
「ということはつまり……あいつらはもう倒したって事でいいのね!?」
「いや……私たちにはまだやることがある。ホシノ先輩……待ってる」
「そうですね〜、今すぐホシノ先輩を助けて、たっぷり叱らないとです!」
"よし、今すぐ行こう!"
フン……おめでたいなァ……?さて、当初の目的はホシノのアイロン掛けをしていないYシャツめいたクシャクシャ顔を拝んでやるのが目的だったが……カイザー理事がここにいるって分かった以上はやる事があるな……ここからは『話し合い』の時間と言った所か?
「……ホシノを連れ戻してこい、わたしはまだやる事がある」
「……でも、吉影さんは私たちのピンチに駆けつけてくれた。ついて来て」
「この先の為に打っておくべき布石なのだ……私だってホシノの感動でアイロン掛けしていないYシャツめいたクシャクシャの顔を拝んでやりたいが……とにかく行ってくれ」
"……行くよ、みんな"
……行ったようだな、さて……ちゃっかりそこで無様な姿を晒しながら這いずり回って逃げようとしている負け犬と『話し合い』しなくっちゃあなァ〜?キラークイーン……そいつを捕まえろ。あの路地でわたしに突っかかって来たスケバンの時のよーに、足だけが固定され絶対に動けないように……
「ッ!?う、動けんッ……」
「君と会ったのは2度目か3度目か?まあいい……私の名は『吉良吉影』年齢33歳。自宅はD.U.シラトリ区北東部の別荘地帯にあり……結婚はしていない……仕事は『シャーレ』の補佐で毎日遅くとも夜8時までには帰宅する。タバコは吸わない、酒はたしなむ程度」
「な……貴様は!?」
「夜11時には床に着き必ず8時間は睡眠を取るようにしている……寝る前にあたたかいミルクを飲み20分ほどのストレッチで体をほぐしてから床につくとほとんど朝まで熟睡さ……赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに朝 目を覚ませるんだ…健康診断でも異常なしと言われたよ」
「なっ……何なんだ、お前は何が言いたいんだッ……!?」
「わたしは常に『心の平穏』を願って生きてる人間なのだよ……『勝ち負け』にこだわったり、頭をかかえるような『トラブル』とか、夜もねむれないといった『敵』をつくらない……というのが、わたしの社会に対する姿勢でありそれが自分の幸福だということを知っている……もっとも、闘ったとしてもわたしは誰にも負けんがね。そして君はわたしたちシャーレの仕事を増やしている……何故かって?生徒に害をなす事を君たちがちょこまかとしているからだ。そーいった事は今回のように『トラブル』に繋がる、つまり君はわたしの睡眠を妨げる『敵』という訳さ」
「たっ……たっ……助けてくれェーッ誰かァ〜ッ!」
「だめだめだめだめだめだめだめ!君は死ななくてはならないんだ……君のようなクソカスは生かしておかないよ……誰ひとりとしてこの『吉良吉影』の睡眠を妨げる者はいてはいけないんだよ……」
『死ななくてはならない』の言葉を聞いて、生まれたての子鹿のようにブルンブルン震えている理事の足には、そのツラと同様ただ恐怖が張り付いてるのみ……もう一歩も歩けなさそうだな。これで『話し合い』の第一段階は完了……フフッ。
「ただなァ〜、この吉良吉影、君を殺すだけじゃなくて命だけは助ける事も出来るんだなァ〜?ちょっとお願いを聞いてくれるだけでいいんだけどなァ〜!」
『命は助ける』という言葉に目に見えて食いついてるな……そんなに死ぬのが怖いのかね?己の欲望の為に散々アビドスから搾り取ってアビドスを死に体にしておいて……わたしが言えた事じゃ無いがね。
わたしが今やっている事は要するに『アメとムチ』って奴だ。交渉においてこちらが絶対的に有利な状態だからこそこいつは使える訳だ。
「なッ……何が望みだ!?金ならある、いくらでもやろう!だから命だけは──」
「金……フフフ……確かにそうかもな、『金』に絡む話題だが……アビドスの借金を帳消しにして、買い取った土地も全てアビドス高校に返却願いたいが……いや、君が会社を愛していて、己の命を捧げられるのであれば断ってもいい!君が社会的に死ぬか、生物学的に死ぬかのどっちかってだけだからな……」
「いいい、命だけは……分かった、今からその旨を連絡する……〔もしもs〕おいッ!アビドスの借金の話はもうナシだッ!今すぐ債券を無効にしろ!土地もだ!土地も全てアビドスに返却する!〔り……了解です!〕……これでいいな……これで私の命だけは助けるのだな!?見ろ!この画面を!借金の額は綺麗さっぱりゼロ!土地も返却した……だからッ!!」
「ふーむ……確かに君の言う通り、借金が無くなって土地も帰って来たよーだな。……君はもう用済みだ……」
「……へ?」
その瞬間、理事の右半身が消し飛ぶ……もっとも彼が持っていた端末をわたしが爆弾にして起爆したからなのだがね。
「君のようなキヴォトスの病巣足り得る存在を、わたしは生かそうなんて初めからこれっぽっちも考えてなかったがね……君の思考が直球だったもんだから助かったなァ、実に助かったなァ〜!」
「な……貴、マ……」
理事といってもオートマターなのだからブッ壊しても問題は無いだろう?
────────
その後、アビドスに課せられた借金は全て帳消しとなり、カイザー名義だった土地は全てアビドスの元へと還った。陳腐なハッピーエンドだが……どうにか頑張って功績を全て先生に押し付けた……その為わたしがクロノスとかのよーなマスメディアに囲まれて記事にされる事は無かった。
アビドスの皆は、借金返済で味わいきれなかった青春を取り戻すかのように毎日を満喫しているようだ。アビドスの内だけで無く、外にもコミュニティを広げているお陰か、自治区には少しずつだが確実に居住者が増えているらしい。
ゲヘナ風紀委員会は相変わらず規則違反者達の取り締まりで忙しそーだ。ただし先生との繋がりを持てたからなのか何なのかは分からんが、風紀委員長の髪の毛にごく僅かだが染み付いていたシナっていた感じが無くなった気がする。
便利屋68は相変わらず事業は上手く行っていないようだが、それでも毎日を楽しく過ごしている。4人の結束があってのものなのだろうが、それにしても見上げたキズナなもんだな。
ヒフミは相変わらずペロロにハマりっぱなしのよーだな。ノノミというペロロ仲間が出来たからなのか、ふたりは頻繁に連絡を取り合っているらしいがね。わたしにはあのキモいデザインの人形のなにがいいかは未だ理解出来ていない。
そして先生とわたしはというと……
"ヒィ〜……"
シャーレを空けていた期間に溜まった大量の書類仕事に追われていた。お陰で夜ぐっすり眠れそうにも無い。だがこれで良いような気がする。何も起こらない『平穏な生活』……書類仕事のみの生活は目立つ事も無くていい。
「……先生、気分転換にD.U.シラトリ区に最近出来たイタリアンのレストランに向かわないか?」
"さ、賛成……"
色々大変だが……ひとまずは──
これで今夜も……くつろいで熟睡できるな。
恐ろしく難産に陥っていました。ですが何とかアビドス編が完結しそうで感謝感激雨霰……しかし見切り発車で書き始めた弊小説、今後の構想とかが上手く固められていないのもまた事実。その為構想を練る為にもしばらく更新期間が空くと思います。その間に別の幻覚が投下される可能性もありますが、それはそれとしてこのような小説を読んでくださる読者の皆様に報いる為、またジョジョ×ブルアカの二次小説を支える柱の男になるため、今後も頑張っていきます。第二部、お楽しみに。
皆様のいいね感想評価に全員『礼』だッ!
時系列順(エデン条約先)か部順(パヴァーヌ先)か
-
第2部 パッヴァーヌ24時
-
第3部 エデン条約編