吉良吉影はキヴォトスでも静かに暮らしたい   作:爆死担当抹茶

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三話目です。リアルと4周年イベに追われて投稿が遅れています、助けて下さい。


プロローグ 〜シッテムの箱〜

 

『シッテムの箱』です。

 

 このタブレット端末は一体何なのだ?妙な気配……『スタンド』に似た何かを感じるそれは、わたしに緊張と警戒心をもたらす。

 

 「普通のタブレットのように見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明。」

 「連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。」

 

 また『連邦生徒会長』か……この『キヴォトス』で突然行方不明になったという情報をニュースで知っていたが、何か裏があるような気がする。この様子だと、おそらく『先生』を呼び出したのも連邦生徒会長なのだろう。わたしがここに来た理由も、もしかしたらその連邦生徒会長とやらに関わる出来事なのかもな。

 

 ──だとしたら尚更疑問に思う。何故わたしが美しく、平穏な杜王町から、このような物騒極まりない所に連れて来られたのか?先生は『先生』としての役割があり、その役割を遂行させる為に連邦生徒会長が呼び出したとすれば十分合点がいく。

 

 だがわたしはどうだ?キヴォトスに来ても『心の平穏』を求めた生活は変わっていない。仕事の取引先という関係で、様々な学園との交流が無いというわけではないが、それでもわたしはこのキヴォトスの生徒達に特段何かしている訳ではない。

 

 ……考えても頭が痛くなるだけな気がしてきたな。むしろ謎が深まったと考えるとわたしの目論見は大失敗も大失敗だ。

 

「……では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかってます。邪魔にならないよう、離れています。」

 

 考え事をしている内に、先生へ伝える事は全て伝えたのか、リンは退室することにしたようだ。

 

 「それなら、私も離れておくとしよう。」

 

 わたしも邪魔になっては悪いと考え、退室した。

 

 ─────────────────────

 

 「吉良さん。」

 「何だ?」

 

 リンからの突然の声掛けに、思わず少し圧力的な返答をしてしまったかもしれない。幸いリンが気にする事は無く、

 

 「何故、あなたは先生と行動を共にしているのですか?」

 

 そう聞かれた。当初の理由は勿論言える訳が無いので、その後に考えついた理由を述べることにした。

 

 「ここに来る前に不良生徒達によって攻撃されてね……わたしは『心の平穏』を願って生きているのだが、それを邪魔されたのだから、わたしは戦ったのだ。そしてそのまま流れで先生についていく事にしたのさ……」

 

 「……どのようにして、戦ったのですか?」

 

 「なに……大したことでは無い、ちょっと爆弾を投げ込んだだけさ……わたしも外の世界から来た者なのだが、ここの治安には少し不安を覚えるところがあってね、常備することにしているのだ」

 

 流石にキラークイーンの事を喋るのはまずい。まぁスタンド使いでもなければ見える事は無いのだが、念には念を入れて、という奴だ。

 

 (ウイィィィィィィン────*1)

 

 機械の起動音。すると先程まで必要最低限のみだった灯りが、瞬く間に部屋全体を照らす。──どうやら、成功したみたいだな。

 

 「……はい、分かりました。」

 「(カチャッ)サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね。」

 「お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会長を代表して深く感謝いたします。」

 

 〔えっへん!このスーパーアロナちゃんにかかれば、お茶の子さいさいです!〕

 「!?」

 

 謎の声がしたので咄嗟に身構えつつ、キラークイーンを出す。

 

 「……?どうかされましたか?」

 

 この様子、リンには見えていない?だとすれば、この声は『スタンド』から出た声という事か?

 

 〔え?え!?私の声は先生にしか聞こえないはずなのに!?どうして……!?〕

 

 「いや……気にしないでくれ、実は先程謎の生徒がここに侵入していたのを確認していたんだ……物音がした気がしたからその生徒かと思いつい身構えてしまったのだが、どうやら気のせいだったようでね……」

 

 取り繕ったような言い訳ではあるが、先程までシャーレ周辺で不良生徒が暴れていたのだから、内部に侵入した輩がいてもおかしくない、そうリンは判断したらしい。

 

 「そういう事だったのですね。ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく。」

 「そうか……感謝する、これで今夜も……くつろいで熟睡できるな」

 "ありがとう、リンちゃん。"

 

 ……先生はリンに『ちゃん』を付けて呼ぶのが好きなのか?

 

 「誰がリン『ちゃん』ですか……ともかく、『シッテムの箱』は渡しましたし、私の役目は終わったようですね。」

 

 ─────────────────────

 

 「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了……。」

 

 いやぁ、驚きの連続だ。ただのタブレットに見えるこの『シッテムの箱』の中に『アロナ』という生徒がいて、しかもその子はすごいAIらしく、なんと連邦生徒会があらゆる手を尽くしても回復できなかったサンクトゥムタワーの制御権をものの数秒で自分の手中におさめてしまったのだ。

 

 「先生、サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収できました。今サンクトゥムタワーは、私アロナの統制下にあります。」

 「今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも同然です!」

 

 ……イヤイヤイヤイヤ!?流石に支配なんて事はしないよ!?

 

 "その権限を連邦生徒会に移管できないかな?"

「大丈夫ですか?」

 "大丈夫だ、問題無い。"

 「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」

 「あっそれと先生!私の声はあなたにしか聞こえないようになっています!気をつけて下さい!」

 "分かったよ。お疲れ様、アロナ。"

 「えへへぇ……」

 

 AIとは思えない程感受性が高く、子供っぽいような……だけどどこかで見覚えのあるような(・・・・・・・・・・・・・)、そんな感じがするアロナがいる教室を後にした。

 

 「……はい、分かりました。」

 「(カチャッ)サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね。」

 「お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会長を代表して深く感謝いたします。」

 

 良かったぁ〜!これでキヴォトスのみんなが少しでも平穏に暮らせればいいなぁ。

 ……そんな呑気な感情は、一瞬で消し飛んだ。

 

 〔えっへん!このスーパーアロナちゃんにかかれば、お茶の子さいさいです!〕

 

 アロナの声は私にしか聞こえない。そのはずなのに、

 

 「!?」

 

 吉良さんが明らかに動揺して、咄嗟に身構えたと思ったら、吉良さんの背後に……

 

 『背後霊』がいた。

 

 「……?どうかされましたか?」

 〔え?え!?私の声は先生にしか聞こえないはずなのに!?どうして……!?〕

 

 アロナもひどく動揺しているようだ。そして吉良さんはリンちゃんにはアロナの声が聞こえてないのを察したのか、

 

 「いや……気にしないでくれ、実は先程謎の生徒がここに侵入していたのを確認していたんだ……物音がした気がしたからその生徒かと思いつい身構えてしまったのだが、どうやら気のせいだったようでね……」

 

 と咄嗟に答えた。そう言えば私よりも数歳年上なんだったな。流石は人生の先輩、背後霊に取り憑かれている事を除けば参考にしたいくらいだ。

 

 その後、私はリンちゃんに『シャーレ』の部室に案内された。曰く、今の所これといった目的は無く、キヴォトスのどの自治区にも自由に出入りができて、更には所属に関係無く、私が希望する生徒を部員として加入させられるらしい。リンちゃん曰く、「何でも先生がやりたいことをやってもいい」とのこと。

 

 だけど。それよりも。今はそれ以上に。

 

 ──吉良さんが何者なのかが、気になる。

 

 ─────────────────────

 

 "ちょっと、いいかな?"

 

 先生に声をかけられたが、その質問の中身は既に分かっている。

 

 「『声』……の事だな」

 "そう。"

 〔本当ですよ!本来なら先生にしか聞こえないはずなのに、なんであなたにも聞こえちゃってるんですか!それに何ですかその背後霊は!最近何かよからぬ事でもしたんですか!?夜遅くまで起きていたり、ダイエット期間中にコッソリ甘いもの食べたり……!〕

 「夜11時には必ず床につき、必ず8時間は睡眠を取るようにしている……」

 〔じゃあ何故取り憑かれるのですか……じゃなーい!!何で私が見えているのですか!?〕

 「今『背後霊』と言ったのか?まさか『スタンド』が見えているのか?」

 〔質問を質問で返さないでくださいっ!テスト0点になりますよ!〕

 「すまない……*2

 "まぁまぁ二人とも、落ち着いて。"

 "私にも吉良さんの背後霊……『スタンド』は見えている。"

 

 やはりそうか。おそらく先生のスタンドと思われる『スーパーアロナちゃん(長いから以後『アロナ』と呼ぶとしよう)』に見えているのだから、当然先生にも見えているか。

 

 「もしかして先生、君にも『スタンド』が発現したのかい?」

 〔私はスタンドではありません!アロナです!〕

 "もしかしたら、その『スタンド』と『シッテムの箱』に何かしらの共通点があるのかも。"

 〔そんなものありますかね……。ん……んん!?よく見たら吉良さんのスタンドに『ヘイロー』が!?〕

 「あぁ……これかい?このキヴォトスに来た時からいつの間にかついていたんだが」

 〔ヘイローには神秘のエネルギーが詰まっています!そして吉良さんのスタンドのヘイローには、今まで見た事の無いような神秘のエネルギーで溢れかえっています!〕

 「つまりは、わたしはその見た事も無いような神秘のエネルギーのおかげで君の存在を確認できる……という事かね?」

 

 だとしたらシッテムの箱からスタンドのエネルギーとどこか似たような感覚がしたのも合点がいく。

 

 〔おそらくその認識で良いかと……。私達が吉良さんのスタンドを見る事ができるのも同じような感じですかね……。〕

 

 スタンド(キラークイーン)が見えていると言われて一瞬焦ったが、それなら大丈夫だ……いや、万が一の事もある。だとしたら先生を間近で観察していく必要がある。ある程度目立ってしまうのは承知の上だが……それでもわたしの平穏を乱すような人間であるか否かを判断する事のほうが、ある程度目立つよりも圧倒的に『心の平穏』に繋がる。

 

 ──ならばここは。

 

 「そういえば、先程シャーレで働く話が出ていたはず……」

 "そうだね。それがどうかしたの?"

 

 「先生の補佐として働いても良いか?」

 

*1
カーズ様ではありません。

*2
質問を質問で返すのはジョジョ界での禁忌なので流石の吉影も謝罪する。




次回、アビドス編

小説の長さはどれぐらいが適切?

  • 1000〜5000
  • 5001〜
  • 読めればよかろうなのだァァァァッ!!
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