輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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弟のカナト君視点です。だいぶキャラ崩壊したかもしれませんが、筆者のイメージです。あと公式設定か怪しいカップリングを採用しています。ファンブック弐が元ですかね。読み込みが足りずすみません・・・それと筆者はジェンダー差別のような考えは一切持っていないです。お母さんは偉大です。貶めるようなつもりで記載していないのでご了承ください。


9話 秘密のお付き合い

「おらおら!! どうしたァ!!! カナエの継子つってもこんなもんかァ!?」

 

 

僕は今、風柱邸の庭で、不死川さんにフルボッコにされている。

 

それはなぜか。時間は半日ほど遡る。

 

 

 

 

 

ー半日前ー

 

 

「稲葉君。以前あなた、私の継子になる際に、『僕にできることなら何でもします』って言ってたわよね?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・言いましたっけ?」

 

「ええ。私は忘れてないわよ~。」

 

 

カナエさんが僕の部屋で満面の笑みを浮かべている。

 

ついにこの日が来てしまったかと、僕は死刑台に乗った人間のような気持ちになった。

 

確かに僕は、継子になった日、そんなような失言をのたまった。

 

しかし、この2か月余りの期間、カナエさんがそのことを話題にすることはなく、てっきり忘れてくれたとばかり思っていた。

 

しかし、現実はそこまで甘くなかった・・・

 

 

「観念しました。だから、どうか温情ある措置を・・・あまりにもとんでもないことは勘弁してください・・・」

 

「何言ってるの稲葉君。私をなんだと思っているのかしら。ちょっと協力してほしいことがあるだけよ。」

 

 

拍子抜けした・・・いや、していいのか?? 内容を聞くまで安心はできない・・・

 

 

「具体的にはどういったことでしょう?」

 

 

僕は精一杯のやせ我慢と作り笑いを浮かべた。背中の冷や汗が止まらない・・・

 

 

「今から一緒に風柱邸まで来てほしいの。訓練用の棍も忘れずにね。」

 

 

これは一体どういった思惑なんだ???

 

言われた通り、稽古する際と同じ装備を整えて、カナエさんと蝶屋敷を後にした。

 

 

「ふう、ここまでくれば誰にも聞かれる心配はないわね・・・」

 

「は、はあ・・・・・・一体何をですか?」

 

 

何だかカナエさんの様子がおかしい・・・心なしかソワソワしている。

 

 

「いいかしら、稲葉君。このことは他言無用よ。あなた以外には絶対知られるわけにはいかないの。もちろんしのぶにもよ・・・」

 

「え・・・しのぶさんにもですか!?」

 

「そう・・・むしろしのぶにこそ知られるわけにはいかないのよ・・・」

 

 

いやいや、これ聞いたらヤバイやつなんじゃ・・・

 

とはいえ、これ聞かなきゃいけない流れだし、ここで逃げたら後が怖すぎる・・・

 

僕は腹を括って次の言葉を待った。

 

 

「稲葉君・・・わたしね・・・!」

 

「・・・はい・・・」

 

「実はみんなに内緒で、不死川君とお付き合いしてるの・・・!!」

 

「・・・はい・・・はい???」

 

 

想定外すぎる内容だった。めっちゃおびえて待ち構えてたため、内容の落差に頭が一瞬混乱した。

 

 

「・・・不死川さんって風柱の?」

 

「うん・・・!」

 

「カナエさんと不死川さんはお付き合い、つまり恋人同士ってこと?」

 

「そ・・・そうなの!!///」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・はあ・・・」

 

 

うん。とりあえず言葉の意味はわかった。でも今の状況がさっぱりわからない・・・

 

 

「あの~カナエさん。それで、なんで僕が一緒に風柱邸に行かなければならないのでしょう・・・恋人同士ならむしろ僕のような邪魔者いない方がいいと思うんですが・・・」

 

「だって! 私がなんの用事もなく風柱邸に通っていたら、他のみんなにばれちゃうじゃない!!」

 

「ええ~・・・」

 

 

つまりはあれか。会う口実が欲しかったのか。周囲をごまかすための言い訳が。ならそう始めから言えばいいでしょうに。

 

 

「つまり、今回は新しく取った継子の顔みせを口実に不死川さんに会いに行くと・・・でも、だったら僕の稽古一式の準備に何の意味があったんでしょうか?屋敷についたら、僕は風柱邸の離れにでも待機しておいて、お二人は思う存分好きなように過ごせばいいでしょうに・・・」

 

「だって! ただ会いたくて会いに来たなんて、恥ずかしくて不死川君に言えるわけないでしょ!!///」

 

「ええぇ・・・」

 

 

マジかこの人・・・日ごろと稽古中ですら別人になるのに、不死川さんの前だとさらに別人になるのか・・・

 

確か、死んだ父さんが言ってたな。女性は男性よりもずっと強かで、目的のためなら手段を選ばない恐ろしい生き物だと・・・

 

だから女性はとても厄介で、しかしだからこそ、母になったらこの世で最も強く頼もしい生き物になるから大事にしないといけないのだと。

 

 

「ふう・・・わかりました。とにかく僕はカナエさんに連れられて、不死川さんに稽古を受けに来た継子ってことで対応します。」

 

「・・・! 稲葉君!! やっぱりあなたに打ち明けてよかったわ!! ちゃんと最後まで協力してね!!」

 

「あぁ・・・はい。わかりました。」

 

 

僕の回答に満足いただけたようで、カナエさんは歩く速度がかなり増した。それこそ競歩選手かってくらいに。

 

まあ、でもカナエさんが喜べば、蝶屋敷のみんなも喜ぶ。それについては願ったりかなったりだと納得した。

 

しかし最後までって言ったな・・・ 一体どこまで叶ったら最後まで協力したことになるんだ?

 

僕はその言葉の意味を理解することなく、今後待ち受ける苦労をこの時知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

そうして、今に至る・・・

 

 

「おらァ!! もう終いかァ!?日ごろカナエに優しく稽古つけてもらってばかりいるから、この程度で根を上げるんだろうがァ!! 立てェ! 他の柱がみんなカナエみたいに、懇切丁寧に優しく手取り足取り教えてくれるわけじゃねぇってことを、今日みっちり叩き込んでやらァ!!!」

 

 

いやいや、おかしいでしょ。なぜこうなったんだ・・・

 

僕はただカナエさんの要望通り不死川さんに挨拶して、稽古をつけてくれるようお願いしただけなのに・・・

 

あれか? カナエさんが僕のこと褒めまくってたのがまずかったんじゃないか? 不死川さんの目の前で。

 

普通、意中の女性が他の男性べた褒めしてたら、男ならよく思わないのはあるあるだけど・・・

 

仕方ない・・・ここは不死川さんのことを褒めちぎって、カナエさんとお似合いの恋人同士であることを本人に認識してもらうしかない。

 

そしてこれだけはわかってほしい・・・!

 

カナエさんの稽古は決して不死川さんがうらやむような優しい内容じゃないということを・・・!

 

今まで何度、あの強烈なばねの一撃で意識を失ったか・・・!

 

何度あの柔軟に見せかけた鬼のような剛剣に袋叩きにされてきたか・・・!

 

そして、それについて何の疑問ももっていらっしゃらないという事実を・・・!

 

その結果、僕は本能でカナエさんに逆らえなくなるほど、恐れを抱いているということを・・・!

 

全て・・・! 全てわかって頂きさえすれば、きっと不死川さんは僕に同情して稽古の手を緩めてくださるはずだ・・・!!

 

 

「不死川さん!!! お聞きいただきたいことがあります!!!」

 

「アァ?」

 

 

よし、一旦嵐のような攻撃はやんだぞ。

 

 

「不死川さんはカナエさんが惚れ込むほどのかっこいい男性です!!!

 それに対し、僕のような気弱な男が万が一にもカナエさんの気持ちを引き付けることなどありえません!!!

 ですからどうか・・・どうか僕になんか構わずお二人のお時間を大切になさってください!!!

 邪魔者はいなくなりますので、どうか思う存分カナエさんと有意義なひと時をお過ごしください!!!」

 

 

「はあァ!? 何言ってんだてめェはァ!?」

 

「ちょっと!! 稲葉君!! 急に何言い出すのよ!!」

 

「そして!!!」

 

 

勢いだろうか、叩かれすぎたせいで頭が逝かれたのか、今までの鬱憤を言葉にしてしまった。

 

 

「カナエさんの稽古は!!! 不死川さんがうらやむような!!! 優しいものではありません!!!

 日々意識を飛ばし!!!  不死川さんと同等かそれ以上の重さの剣撃で!!! 全身袋叩きにされるものです!!!

 その所業!!! まさしく!!! 鬼子母神のごとし!!!

 そして!!! 本人もその過酷さに気づかれていないご様子!!!

 故に!!! 不死川さんがご心配されるようなこと!!! 断じてございません!!!

 どうか!!! この場をお借りして!!! ご理解いただきたい!!!!!」

 

 

僕はこんなに大きな声で訴えることができるのだと、この時初めて自覚した。

 

ふと二人の方を見ると、不死川さんが憐れむような目で僕を見た後、呆れるような目でカナエさんに目線を移した。

 

 

「いや・・・稲葉・・・それは災難だったな・・・カナエもなァ・・・今後はもう少し手心加えてやれやァ・・・」

 

「ごっ・・・ごめんなさい稲葉君!! あなたがそんな風に思っていたなんて!!

 私気づけなくて・・・本当にごめんなさい!!!

 不死川君も、そんな目で私を見ないで~~~!

 お願いだから幻滅しないで~~~!」

 

「いや・・・これは幻滅だとかそういう話じゃなくてだなァ・・・まあ、少し話しようやァ・・・」

 

 

こうして、不死川さんからの稽古は終わり、二人は屋敷の奥に移動していった。

 

そうして、僕はふと気づいた。不死川さんの稽古を受けてもなお、息が切れてないことを。疲弊していないことを。

 

僕は改めて、日ごろのカナエさんの稽古でどれほど頑強に鍛えられているのかを身をもって実感することになった。

 

 

 

続く

 

 

 

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