輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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兄の雁哉君視点です。ついに炭治郎君登場です!! 原作のキャラの魅力を引き出せるよう頑張ります! ・・・今回はちょっと難しかったけど・・・ 


14話 竈門兄妹

「見つかった・・・?」

 

「ああ、遅くなって申し訳ない。

 竈門炭彦君の祖先にあたるであろう人物だが、雪取山という山のふもとに住んでいて、炭焼きを生業にしているらしい。

 他にも竈門の苗字の家は日本にいくつかあるが、炭にゆかりのある家は彼らだけだった。

 一方、白峰という男の祖先だが、こちらは調査が難航している。竈門の苗字に比べると、人数が多いからね。

 君のいう通り、北海道に限定して調査はしているが、まだ時間がかかりそうだ。すまないね。」

 

「いえ。炭彦の祖先が見つかるだけでもありがたいです。」

 

 

現在、俺は産屋敷邸の一室で、輝哉さんから、以前頼んだ人探しの結果を教えてもらっていた。

 

 

「早速会いに行くのかい?」

 

「はい。善は急げかと。」

 

「分かったよ。あの辺りは義勇の巡回警備の地域だからね。私から手紙を出しておくから、案内してもらうといい。」

 

 

現在師走の寒い時期で、雪山に赴くのは気が乗らないが、背に腹は代えられない。

 

こうして俺は、竈門家に訪問することになった

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、いざ会いに行ってみると、報告にあった竈門家は惨殺されていた。

 

 

「これはひどい・・・」

 

 

遺体は切り付けられたり、引き裂かれたような跡もあったが、それとは別に部分部分が細胞膜レベルで破壊されたような痛ましい状態だった。

 

 

「この状態・・・血鬼術によるものか?」

 

 

今回同行してくれた冨岡さんから質問される。

 

 

「わかりません。少なくとも獣の類ではありませんね。それよりも・・・」

 

 

俺は周囲の足跡を確認する。

 

一つは革靴やブーツのような西洋風の靴の足跡。

 

こちらは、まっすぐ家に向かい、そのまま元の道へ帰ったような跡だった。下手人の足跡か?

 

そしてもう一つ、こちらはかなり慌てているような印象の藁靴の足跡だ。

 

家の内外に散見され、加えて山道を降りていくように残っている。

 

 

「おそらく、竈門家の生き残りだと思います。

 血の跡も一緒にあるので、襲われた後、命からがら逃げたのか。

 もしくは難を逃れ、後日ここに帰宅し、その後山を降りたのかしたのでしょう。

 足跡の感じからして、後者っぽいですね。

 それもかなり新しいです。

 今なら合流できると思います。」

 

「わかった。追いかけるぞ。」

 

 

俺たちは足跡を追跡し、山を駆け降りる。

 

数分もしないうちに、森の中で女性の着物をまとった鬼が一人の少年に覆いかぶさってるのが見えた。

 

するとすかさず冨岡さんが疾走する。

 

俺も後に続くが予想外の動きを見た。

 

冨岡さんが鬼の頸を刎ねようとした瞬間、少年が鬼をかばったのだ。

 

 

「なぜかばう?」

 

 

冨岡さんが少年に尋ねる。

 

 

「妹だ! 俺の、妹なんだ!!」

 

 

しかし、その妹らしき鬼は唸り声をあげ、暴れ始める。

 

 

「それが妹か?」

 

 

埒が明かないと思ったのか、冨岡さんは妹らしき鬼を少年から奪い取り片手で拘束する。

 

 

「冨岡さん。鬼を切るのは、俺が彼に事情を聴いた後にしてもらってもいいですか?」

 

「なぜだ?」

 

「彼が俺の探し人、竈門君かもしれないからです。」

 

「・・・わかった。」

 

 

よし。冨岡さんは言うことを聞いてくれるそうだ。

 

俺は、目の前の市松模様の着物を着た少年に近づき、なるべく優しい声色を意識して話しかける。

 

 

「初めまして。俺は雁哉。君の名前は?」

 

 

少年は戸惑っている。当然か。いろいろ予想はできるが、まずは本人に確認だな。

 

 

「申し訳ない。俺たちは鬼狩り・・・といえば伝わるだろうか。

 ただ、あの鬼は君の妹みたいだから、斬るか斬らないかは君の話を聞いてから決めたい。

 何があったか、教えてくれるだろうか。」

 

 

俺は、輝哉さんの話し方を意識して、少年に質問をした。

 

これで少しは心を開いてくれるといいのだが・・・

 

 

「お・・・俺は・・・竈門炭治郎・・・です。」

 

 

やはり、この子が炭彦の祖先か。どこか顔つきが似ている。

 

すると、炭治郎は続けて答えてくれる。

 

 

「妹の禰豆子は・・・まだ誰も殺していないんです・・・信じてください・・・」

 

「うん。わかった。君の家族を殺したのは誰かな?」

 

「はい・・・俺の家には、嗅いだことのない誰かの匂いがした。多分そいつです!

 禰豆子は違うんだ!! どうして今そうなったのかわからないけれど・・・」

 

「もういいよ。だいたい分かった。」

 

 

俺は一度、冨岡さんの方を振り向く。

 

 

「人を鬼にできるのは一人のみ。無惨が竈門家を襲ったのでしょう。

 他の家族の遺体の損傷は、おそらく無惨の血に体が適応できなかったからです。」

 

「そうか。なら仕方ない。鬼の妹は殺して、兄の炭治郎だけ連れ帰るか?」

 

「いや、それは・・・」

 

「禰豆子は人を喰ったりしない!!!」

 

 

俺の言葉にかぶせるように、炭治郎が声を張り上げる。

 

 

「俺が絶対、誰も傷つけさせない! 俺が必ず禰豆子を人間に戻す! 絶対に治します!!」

 

 

俺は再び炭治郎の方を振り向く。

 

 

「炭治郎、それは・・・」

 

「治らない。鬼になったら人間に戻ることはない」

 

「ちょっと、冨岡さん。少し黙っててもらえますか? 話が進みません。」

 

「・・・すまない。」

 

 

俺が炭治郎の話を聞こうとした矢先、冨岡さんがバッドコミュニケーションかますもんだから少し強めにお願いした。

 

加えて、やっぱり輝哉さんみたいな優しい喋り方は俺には難しい。

 

少なくとも冨岡さんよりは炭治郎の信頼を得たから、ここまででいいか。

 

 

「炭治郎。いいか? 俺は、お前の力を必要としている。

 なんのことだか今はわからないと思うが、お前は俺や俺たち鬼殺隊にとってとても重要な有用価値がある。

 これは、お前の妹を生かすため重要な交渉材料になる。

 ここまでは理解できるか?」

 

「え・・・? あ・・・は・・・はい。」

 

 

やはりお館様口調じゃないと難しいか? でも今更戻しても余計混乱させるだけだろうし、このままいくしかない。

 

 

「すまない。さっきの優しい口調はお前を安心させたくて無理して取り繕ったものなんだ。

 こっちが素の俺だ。だが、俺がお前の味方であることに変わりはない。

 その上で、提案がある。鬼殺隊に入る気はないか?」

 

「え・・・?」

 

「待て。間。鬼を連れた隊士などみな認めてくれないぞ。どうするつもりだ。」

 

 

俺の提案に早速水柱から抗議が入る。

 

当然そんなことは想定済みだ。とはいえ、この後の炭治郎次第だが・・・

 

 

「なら、まずは炭治郎の管理下で禰豆子が鬼の本能を抑えられるかを試す。

 炭治郎、最初の仕事だ。今すぐ禰豆子をなだめて見せろ。

 お前の妹なんだろ。死んでもやりとおせ。

 それが、できなければ、如何に俺でもお前たちをかばい立てすることは難しくなる。どうする?」

 

 

炭治郎は俺の言葉を理解したのだろう。これができなければ、妹はこの場で殺されることを。

 

徐々に過呼吸気味になるが、腹を括ったのか、炭治郎は禰豆子のそばに近づいた。

 

 

「禰豆子・・・わかるか・・・兄ちゃんが絶対、いつか人間に戻してやるから。

 だから、鬼の本能に負けるな・・・!」

 

 

そういうと、炭治郎は手持ちの斧を腕に押し当てる。薄皮が切れ、血が滴る。

 

 

「禰豆子! がんばれ!! 絶対兄ちゃんが人間に戻してやるから!! 耐えてくれ!!!」

 

 

炭次郎は血の付いた腕を差し出す。

 

禰豆子はそれを凝視し、震えているが、やがて目を必死につむって明後日の方向を向いた。

 

 

「・・・ひとまず大丈夫そうだな。冨岡さん。手を放してください。」

 

「いいのか?」

 

「もし、禰豆子が炭治郎に嚙みついたら、即頸を刎ねますよ。だからお願いします。」

 

「・・・わかった。」

 

 

不安そうな冨岡さんだったが、やがて禰豆子の拘束を解いた。

 

すると、禰豆子は炭治郎にすかさず抱き着いた。

 

背中に手をまわし、抱きしめる。

 

その様子を、俺は柄に手を当てたまま見守った。

 

 

「・・・驚いた。こいつらは何か違うかもしれない・・・」

 

「みたいですね。じゃあ早速産屋敷邸に連れていきます。」

 

「待て! 鬼の視界は無惨が自由に見ることができるし場所もわかる! お館様のそばに連れて行くのは危険だ!!」

 

「あ~。確かに・・・どうしますかね・・・」

 

「一旦狭霧山のふもとに住む鱗滝さんのところに連れていく。まずはそこで禰豆子の様子を経過観察するんだ。

 どのみち、炭治郎が鬼殺隊に入隊するには、育手に鍛えてもらわねばならないからな。」

 

「確かに・・・じゃあ当面そうしましょう。案内お願いします。」

 

「いや、待て。先に竈門家の人達の埋葬が先だ。それがすべて終わったら、移動する。いいな。」

 

 

普段とは比べものにならないほど、冨岡さんは俺にまっとうな指摘をしてくれる。こういうところはかなりしっかりした人だよな・・・

 

日ごろから今回くらいしゃべってくれると意思疎通が取りやすいんだけど・・・

 

 

「そうですね。炭治郎。それでいいか?」

 

 

炭治郎は禰豆子の手をつないでいる。辛そうな表情だが、決心は堅そうだ。

 

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

 

 

 

続く

 

 

 

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