輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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弟のカナト君視点です。前話が短いなと思い、もう一話追加で投稿しました。そんなことよりも、小芭蜜っていいですよね・・・流石公式カップリング・・・
この小説面白いと思われる方いらっしゃいましたら評価お願いします。


17話 馴れ初め

「伊黒さん。何かあったんですか?」

 

「・・・稲葉か・・・いや・・・なんでもないぞ・・・」

 

 

僕が柱に就任してちょうど半年たった。よって、再び柱合会議の時期となった。

 

現在、僕たち柱全員は、例に漏れなく産屋敷邸の枯山水の庭で待機してるところだ。

 

いつも通り、他の柱の先輩たちに挨拶を済ませた後、伊黒さんだけ上の空だったのが気になり、僕は思わず声をかけた。

 

 

「伊黒さん。具合でも悪いんでしょうか? もしよろしければ僕が作った栄養剤をお渡しましょうか?」

 

「いや、必要ない。体調はいたって良好・・・のはずだ・・・」

 

 

伊黒さんはどこか遠いところを見ている。

 

何か悩みでもあるのだろうか・・・

 

 

「伊黒さん。何か思い詰めていることがあれば相談に乗りますよ? 僕でよければいくらでもお話聞きますから。」

 

「・・・そうか。では早速だが、稲葉に聞きたいことがある。おそらく柱の中では、お前か胡蝶くらいしか頼りにならない内容だろう・・・」

 

「私もですか? 一体どんな内容なのでしょう?」

 

 

比較的そばにいたしのぶさんにも話の内容が届いたらしい。すかさず、僕らのそばに近寄ってきた。

 

 

「それで、相談というのは・・・いや、相談といえるのかもわからないのだが・・・」

 

 

僕としのぶさんは二人そろって伊黒さんの次の言葉を待った。

 

 

「つい先ほど、柱になったばかりの甘露寺蜜璃という女性隊士に道を聞かれたのだが・・・」

 

「蜜璃ちゃん? ああ、あの桜餅みたいな髪の色してる子のことですよね?」

 

「おい・・・なぜ稲葉は甘露寺のことを知っているんだ・・・」

 

「いえ、ひと月ほど前に救援で駆け付けたら任務先にいたので。まあ僕が到着した時には彼女が鬼を倒していましたけどね。」

 

「そ・・・そうか・・・しかしは稲葉は甘露寺とも仲がいいのだな・・・」

 

「? どうしてそう思うんですか? まだ1、2度しか面識ありませんよ?」

 

「なんだと・・・それで親しげに名前で呼んでいるのか? どういう経緯でそうなった・・・!」

 

「いや~。本人が『蜜璃ちゃんって呼んでね!』って初対面の時に言ってたから・・・」

 

「・・・稲葉君・・・いきなりそれで異性の名前呼びできるのはあなたくらいなものですよ・・・」

 

「え? そうなの?」

 

「まあいい。そんなことよりもだ。俺はその甘露寺とさっき会って話をした。それからずっと調子がいつもと違うのだ。」

 

「調子が違う?」

 

 

僕が思わず聞き返すと、伊黒さんは遠くの空を眺め始めた。

 

 

「なんというか・・・気持ちがそわつくのだ・・・胸のあたりが満たされるというか、一方で落ち着かないというか・・・

 一瞬とはいえ、脈拍も少し早まったような気もするし、心なしか体温も上がった気がする。もしかするとこれは・・・」

 

「伊黒さん・・・それって・・・!」

 

 

伊黒さんの話を聞き、僕は一つの結論に行きついた。

 

 

「ふふ、流石に稲葉君でも気づきますか? そうですよ、きっと伊黒さんは・・・」

 

「そう! 伊黒さんは間違いなく風邪を引いています! この後、風邪薬お渡ししますね!」

 

「ちょっと・・・稲葉君? あなたは何を言っているのですか?」

 

「いや、だって、脈拍の変化に体温の上昇って聞けば、間違いなく原因は風邪だよ!

 なるほど、伊黒さんが僕としのぶさんに相談したのは、いい薬がないか聞きたかったからなんですね!

 任せてください! 僕ら二人ならどんな病気も治して見せますよ!!」

 

「稲葉君。一旦黙ってください。」

 

「え? なんで・・・」

 

「いいから黙ってください!! あなたはどこまで鈍感なんですか!? 普通誰が聞いたってわかりますよ!!」

 

 

僕はしのぶさんから急遽お叱りを受けてしまった。

 

しのぶさんの大きな声に、すかさず周囲の柱のみんなも反応する。

 

 

「どうしたどうした? 痴話喧嘩か?」

 

「違います!! 稲葉君がアホなのがいけないんです!! 宇随さんも何か言ってやってください!!」

 

 

すると、しのぶさんがことの顛末を周囲の柱のみんなに話す。

 

 

「あ~。なるほど。派手に事情はわかった。とりあえず稲葉は反省会だな。しのぶ、伊黒の方を頼む。」

 

「待ってよ、しのぶさん。僕のどこがアホな子なの? 自慢じゃないけど、これでも頭はかなりいい方だと自負してるんだけど。」

 

「そういう話をしてるんじゃありませんよ・・・

 日ごろは細かいところによく気がつく気配りができる人なのに、どうしてこういう話題になるとポンコツになるのでしょうか・・・」

 

「僕はポンコツじゃないよ。第一、伊黒さんだって僕としのぶさんじゃないとわからない相談って言ってたじゃないか!

 だったら、相談内容は薬の話に決まってるよ!」

 

「いや・・・違う稲葉・・・そうじゃないんだ・・・

 俺は恋仲同士のお前と胡蝶なら、自分の気持ちをはっきりさせるために参考として助言をもらえると思っただけなんだが・・・」

 

「!!?? 伊黒さん??? 何言い出すんですか!!! 私と稲葉君はそんな関係じゃありませんから!!!!」

 

「なん・・・だと・・・ あれだけ仲睦まじくしておいて・・・ありえるのかそんなことが・・・!?」

 

 

僕は宇随さんに引っ張られ、伊黒さんはしのぶさんに引っ張られて、お互い声が届かない位置まで移動した。

 

最後に伊黒さんとしのぶさんがよくわからないことを口論してたけど、すぐ目の前から宇随さんからの視線を感じた。

 

 

「稲葉・・・お前胡蝶と恋仲じゃなかったのか・・・?」

 

 

心底驚いたような顔で僕を見る宇随さん。

 

 

「? 何を言ってるんですか? 僕としのぶさんはあくまでもカナエさんの弟弟子と姉弟子の関係ですよ?どうしてそう思うんですか?」

 

 

僕が質問の意味がわからないという顔で答えると、宇随さんから小声で「まじか・・・」と声が聞こえた。

 

すると、僕の後ろから雁哉が肩をつかんで、宇随さんに説明する。

 

 

「すいません宇随さん。こいつそういう方面には情緒が育ち切ってないんですよ。お子様だと思って割り切ってください。」

 

「雁哉。僕はお子様じゃないよ。あんまり馬鹿にしないでほしいんだけど。」

 

「はいはい。お前は賢い奴だよ。頭脳面はな。」

 

「・・・?」

 

 

雁哉までよくわからないことを言う。本当に僕は頭が悪くなってしまったのだろうか。

 

やっぱり上弦の弐との戦いで頭を打ってしまったのがいけなかったんだろうか。

 

そうこう考えているうちに、さっき話題に上がっていた蜜璃ちゃんが枯山水の庭に顔を出した。

 

 

「遅れてごめんなさい! この度、恋柱の任命を受けた甘露寺蜜璃です!! 不束者ですがよろしくお願いします!!」

 

 

蜜璃ちゃんはせわしない様子で、柱のみんなに挨拶をしていく。

 

 

「あれ!? 私と同じ女の子の隊士だわ! キャー!! 嬉しいわ! これから先仲良くしましょ!!」

 

「あ、はい・・・あなたが甘露寺さんですね。私は胡蝶しのぶといいます。」

 

「よろしくね! しのぶちゃん! それと・・・あなたはさっき私のこと助けてくれた人だわ!! お名前はなんて言うのかしら!?」

 

「ああ・・・俺は伊黒・・・小芭内だ・・・よろしく頼む・・・」

 

「よろしくね! 伊黒さん!!」

 

「!!」

 

 

蜜璃ちゃんが伊黒さんの手を握る。すると伊黒さんはよろよろと後方に下がってしまう。

 

 

「あら? どうしたのかしら!?」

 

「大丈夫だ・・・気にしないでくれ・・・」

 

 

力なく伊黒さんは答える。やはり風邪で体調が悪いのだろうか。あとで薬を渡しに行こう。

 

やがて蜜璃ちゃんは再びしのぶさんの方を見る。いや、あれは服装を観察しているのか?

 

 

「何でしのぶちゃんは普通の隊服なの!?

 私これなのに!! 女の子みんなこうだと思っていたのに!!!」

 

 

蜜璃ちゃんは顔を真っ赤にして、急遽自身の隊服を羽織で隠そうとする。

 

確かに言われてみれば、あの隊服は・・・正直露出しすぎなんじゃないだろうか・・・胸元やら太ももやら丸見えだし・・・

 

前回会った時は突っ込みをいれるのを忘れていたが、あれは年頃の女の子がする格好ではないと思う・・・

 

 

「私もそれを最初は渡されましたよ。」

 

 

しのぶさんが笑顔でそう答える。あ・・・あれは怒っているときの顔だ・・・

 

 

「でもその隊服は前田さんの目の前で油をかけて燃やしましたね。」

 

「しっ・・・しのぶちゃん!?」

 

「油とマッチ貸しますよ。カナヲとアオイにも持たせたので。」

 

「しのぶちゃーん!!!!」

 

 

すごいいい笑顔で、しのぶさんは蜜璃ちゃんにマッチを渡そうとしてくる。

 

その様子に蜜璃ちゃんは恐怖を感じたのか狼狽している。

 

 

「なんだ!! 燃やしてしまうのか!! その隊服は甘露寺らしくていいと俺は思うぞ!!」

 

 

すると、横から煉獄さんの声が乱入してくる。

 

 

「・・・本気で言っているのか煉獄・・・! 甘露寺にこれ以上辱めを受けさせる気か・・・!?」

 

 

伊黒さんの目つきが鋭くなる。

 

 

「甘露寺の底抜けに明るい春の嵐のような華やかさにとても合っていると俺は思う!! 伊黒はそう思わないのか!!?」

 

「・・・確かに・・・」

 

 

煉獄さんからの指摘に伊黒さんは一度考え込む。

 

 

「ただ、それでも、大腿部の露出はせめてやめさせるべきだ。いざというとき動脈を傷つける恐れがある・・・

 俺が後日甘露寺に似合う長めの靴下を用立てよう。甘露寺はそれでもいいか?」

 

「ええ!? 伊黒さんが用意してくれるの!? ありがとう!! 私とっても嬉しいわ!!」

 

「ああ・・・わかったから手を握るのはよしてくれないか・・・心臓に悪い・・・」

 

 

蜜璃ちゃんの服装については話がまとまったようだ。

 

現代人としては、胸元の露出もやめさせてあげた方がいいと思うんだけど・・・

 

せっかくみんなが意見出し合って決めたことだから、何も言わないであげよう。

 

 

「お館様のお成りです」

 

 

やがて、屋敷から輝哉さんが姿を現した。しかし、その姿を見て僕は目を見開いた。

 

 

「お早う皆。今日はいい天気だね。空は青いのかな?」

 

 

輝哉さんの痣は両目を覆うように進行していた。

 

そして、輝哉さんの発言から、その両目の視力は既に失われているのだと悟った。

 

 

「お館様に置かれましてもご壮健で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます。」

 

「ありがとう。雁哉。」

 

 

雁哉は知っていたのか・・・! いや、同じ屋敷に住んでいるんだ。知っていて当たり前か・・・

 

他にも何人か知ってるみたいだ。柱の中だと、ちょうど半分くらいか?

 

 

「お館様。畏れながら早速の議題になりますが、柱合会議で話し合っておきたいことがあります。よろしいですか?」

 

「うん。構わないよ。例の話だね。」

 

「はい。それではお館様、失礼仕る。」

 

 

そういうや否や、雁哉は屋敷に上がり、手早くお館様のそばにホワイトボードを持ってきた。

 

ああ、この前作成を依頼されたのって、ここで使うためか。

 

 

「今日話したい議題は、かねてより俺とカナトで練っていた計画についてです。

 

 その名も『上弦掃討作戦』。柱のみなさんには是非とも率直な意見をお聞かせ願いたい。」

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




伊黒さんと蜜璃ちゃんの馴れ初めの話としのぶさんと蜜璃ちゃんの初対面の話を一緒にしました。書いてて楽しかったです。話の終わりが一気にまじめな感じになったと思いますが、続きは長くなると思い、一旦切りました。明日の更新をお待ちください。
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