輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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兄の雁哉君視点です。だいぶ先になったら出す予定の登場人物の名前が出てきます。設定からして強くなり過ぎる気がするので、どうやって弱体化させようか検討中です。


27話 透き通る世界

「とりあえず大岩は切れたか。」

 

「はい!! これも全て、真菰さんと錆兎のおかげです!!」

 

「・・・? まあいい。」

 

 

今現在、俺は大岩が真っ二つになってるのを、炭治郎と真菰と一緒に眺めていた。

 

しかし錆兎か・・・確か冨岡さんの親友だったか?

 

最終選別の時、俺やカナトがしたみたいに、他の隊士を助けては鬼を切り続け、最後は手鬼に殺されてしまった人か。

 

俺とカナトは当時常中がすでに使えたから大した負担はなかった。

 

常中なしでたった一人で俺たちと同じことをやってのけようとした錆兎は、とんでもない精神力の持ち主だったのだろう。

 

鱗滝さんが言うには、錆兎の死をきっかけに、冨岡さんは塞ぎこんでしまったとか・・・

 

今あんだけコミュ障なのは、その時の心の傷がまだ癒えていないからかもしれない。

 

 

「よし、最終選別がちょうど三ヶ月後にある。それまでお前に常中の訓練を叩き込む。」

 

「はい!! よろしくお願いします!!」

 

「じゃあまず見本だ。真菰。この瓢箪を割れ。」

 

「うん。いいよ。」

 

 

パアアアアアン!!!

 

 

俺が渡した小さめな瓢箪が、真菰の一息で粉々になる。

 

その様子を炭治郎は唖然として見ていた。

 

 

「とりあえず、真菰みたいにこの瓢箪が割れれば、常中の基礎は問題ない。それができれば、あとは瓢箪をでかくするだけだからな。」

 

 

そう言って、炭治郎に真菰が割った瓢箪とほぼ同じサイズのものを渡す。

 

炭治郎は恐る恐る瓢箪を指で叩く。硬質な高めの音がした。

 

 

「これを割るんですか? 息で? 素手で割るとかでなく?」

 

「? ああ、そうだ。ちなみに外からの力で割ったら、破片で一目瞭然だから、俺がいないときに割っても合格でいいぞ。

 

 そしたら今度はお前の背丈くらいの瓢箪用意してるから、次はそれを割るんだ。」

 

「・・・はい・・・頑張ります・・・」

 

「よし、さっそく息を吹き込んでみろ。全集中の呼吸と同じ要領で、全力でだ。」

 

 

俺がそういうと、なぜか元気をなくしていた炭治郎だったが、気持ちを切り替えたのか瓢箪に息を吹き込む。

 

みるみる炭治郎の顔が赤くなる。目をひん剥き、とても苦しそうだ。

 

やがて限界に達したのか、その場に倒れこみ、ゼエゼエと息切れを起こし始めた。

 

 

「間さんならともかく! 真菰さんはどうやってこれを割ったんですか!! 華奢な女の子なのに!!!」

 

「えへへ~。私はもう三ヶ月以上、常中の訓練してるから、小さい瓢箪なら簡単に割れるよ~。」

 

「が・・・頑張ります!!!」

 

「炭治郎。頑張るのは結構なことだが、努力ってのは正しいやり方と嚙み合って初めて成果が出るんだ。

 

 以前のお前みたいに、誤った努力をしようとすれば、一生常中は使えこなせないだろう。

 

 だから、ここ1週間くらいは、俺と真菰が交代でお前の様子を見る。

 

 正しいやり方さえ掴めれば、お前の尋常ではない精神力はきっと他を圧倒する武器になるはずだ。

 

 順当にいけば、柱の継子になっても可笑しくないほどの実力になるだろう。」

 

「あ・・・ありがとうございます・・・! 二人の期待を裏切らないよう、必ず成果を上げます!!!」

 

 

うん。まじめだ。まじめ過ぎる。この子絶対ブラック企業とか入っちゃいけない子だ。

 

根が真っすぐだから、絶対死ぬまで働き続ける気がする。

 

まあ鬼殺隊は現代っ子が真っ青になるような超絶ブラックな職場だから、ほんとはこの子入るべきじゃないんだろうけど。

 

まあ柱まで上がれば、給料に上限がなくなるから、平均年収だけ見れば高額納税者が泡吹いて倒れるような組織なんだけどな・・・

 

平均値じゃなくて中央値で年収みたら、命懸けるには割に合わないと思うけど・・・

 

 

 

「よし。それじゃあ常中の訓練始めるぞ。今日は俺がつきっきりで教える。とにかく正しいやり方を覚えこませるからな。」

 

 

それから、丸一日、日が暮れるまで、俺は炭治郎に呼吸の維持をさせ続けた。

 

耳から心臓出たとかわけわからないこと言ってたけど、まあお約束だな。血圧上がるし、心拍も上がるからな。

 

やがて体温もどんどん上がるだろう。それこそ、インフルエンザに罹ったみたいに。

 

他の柱には秘密にしているが、痣の発現にはおそらく心拍数200以上、体温39度以上をキープすることが必要なんだろう。

 

この前カナトに検証に付き合ってもらった。ちょうど痣が浮かび上がるタイミングが、以上の二つの状態を維持した時だったからだ。

 

つまり、呼吸の熟練度が上がると、血圧、心拍、体温が向上し、身体能力がみるみる上がるっていう寸法だろう。

 

その一つの到達点が痣だ。痣が発現するってことは、呼吸がある一定の水準で高止まりするってことだから、そりゃあ強くなるだろう。

 

しかし、心拍数を異常に早めるってことは、間違いなく寿命が縮む。だから25歳まで生きられないのか。

 

それとももしかしたらそういう感染症の可能性もあるな。黒死病の亜種かもしれない。だとしたら25歳まで生きられるのはだいぶマイルドだけど・・・

 

そうすると薬の投与で治る可能性もあるが、俺は医学の知識がほとんどないからわからない。

 

まあ、その辺のことはカナトやしのぶに任せればいいか。

 

輝哉さんに痣の発現方法を秘匿するように進言したのは俺だ。

 

貴重な柱が25歳までに死ぬのは見過ごせない。悲鳴嶼さんなんて発現した瞬間死ぬかもしれない。

 

戦力向上のために発現したがる不死川さんみたいな人もいるが、その判断はまだ早計だと思う。

 

痣の発現以外にも、戦力を上げるための手段があるはずなんだ。

 

それを俺は炭治郎が昔父親から聞いたという内容に可能性を感じている。

 

なんでも炭治郎の父親は、病弱だったにも関わらず、神楽を日が明けるまで舞うことができたらしい。

 

しかも、俺の知ってる情報から類推すると、ほぼ間違いなくその神楽は日の呼吸のはずなんだ。

 

そんなとんでも呼吸の型を夜通し人間が舞えるはずがない。

 

絶対何か種がある。そう思い炭治郎にさらに問い詰めると、非常に興味深いことが知れた。

 

 

『たくさんのことを覚え、吸収した後は、必要でないものを削ぎ落す。その動きに必要なものだけ残して閉じる』

 

『頭の中が透明になると、透き通る世界が見え始める。』

 

 

これらのフレーズを炭治郎から聞いた瞬間、俺は驚愕した。

 

この言葉を口癖のように言っていた奴が俺の知り合いにいたからだ。しかも平成の平和な世の中で。

 

そいつの名前は白峰零。俺が普通の高校にいた時、剣道部にいた男だ。

 

なぜあいつが、炭治郎の父親と同じ言葉を口にしていたのかわからない。

 

しかし、あいつはその透き通る世界が見えたそうで、相手が動く前に、血管や筋肉の予備動作が見えるから、相手に何もさせず試合では無敗だった。

 

今思えば、あいつは炭彦と出会う前から、全集中の呼吸を極めていたんじゃないだろうか。

 

あいつに痣はなかったし、習得は身体的なものでなく、技術的なもので可能なはずなんだ。

 

あいつの祖先がこの時代にいるはず。おそらくそいつは一般人だが、呼吸を使える。俺たち柱をはるかに凌駕する技術を持っているはずだ。

 

輝哉さんも産屋敷家の人脈を総動員して捜索に当たってくれているが、依然として見つからない。

 

奴は一体どこにいるのか・・・奴がいれば、俺たち柱は痣なんぞなくても上弦と対等に戦えるようになるんじゃないだろうか・・・

 

 

 

 

 

そんな淡い期待が消えずにやまない。

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

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