輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話 作:科学大好き人間
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現在俺たち二人は産屋敷邸の庭でひざまずいている。
屋敷の部屋から当主の輝哉さんが姿を現す。
庭にひざまずく俺たち二人と、その他数人の隊士に声がかかる。
「お早う、皆。今日はいい天気だね。空もとても青くて晴れ晴れとしているね。」
「お館様に置かれましてもご壮健で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます。」
「ありがとう。カナエ。」
俺たちは現在、柱と呼ばれる強そうな気配がする人たちの集まりになぜか呼び出されている。
他でもない輝哉さんの頼みによるものだ。
「お館様。畏れながら柱合会議の前に、柱ではないそこの二名の隊士について聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」
輝哉さんにとても丁寧なあいさつをした女性に対し、全身傷だらけの何だか怖そうな男性がそう尋ねる。
他の柱の人たちが一斉に俺たち二人を見る。正直しんどい。圧がすさまじい。
「うん。彼らは私の遠縁の子たちなんだ。天元が任務の途中で見つけてくれてね。今は私の庇護下にあるが、彼らの意向で鬼殺隊に入隊してもらった。みんなにも仲良くしてもらいたいから今後よろしく頼むよ。」
なるほど。遠縁の人間ってことにするのか。まあ、正直に事情を話しても、おそらく信じてもらえないということだろう。しかし・・・
「お館様。産屋敷家の一族はみな呪いで戦える体ではないのではありませんか?彼らはとうに十五を超えているように見えます。あの年齢であれば、お館様のようにあざが広がり始めてもおかしくないのでは・・・」
柱の中で一番ムキムキで、数珠をジャリジャリしてる怖そうな人が疑問の声を上げた。
柱の中で一番武の気配が強い人だ。見た目に負けず恐ろしく強い人なのだろう。
さて、輝哉さんはどう答えるつもりなのか。はたはた疑問ではあるが・・・
「それについては仮説でしかないが、面白い予想を彼らが立ててくれたよ。カナト、お願いできるかな?」
「はい。輝哉様に代わって説明させていただきます。」
すると、カナトが立ち上がり解説をするそうだ。
だが、待ってほしい。俺はそんな話聞いていないのだが・・・
「柱の皆さん。初めまして。僕は稲葉カナトと申します。こちらは兄の産屋敷雁哉・・・ですが、今後は
「な・・・なるほど・・・?」
待て。いろいろおかしいだろう。突っ込みどころがありすぎる。まず、海外留学中に大けがってなんだ。俺は今十五だぞ。
そんな若い時に海外に留学できる奴なんていないだろう。これで俺が外国に詳しいと勘違いする人がでたら困る。
いや、そんなことよりも輸血だけでそんなに体質変わるわけがない。
心臓移植や骨髄移植ならまだしも、輸血だけで体質が変わるなら、病気も何もかもそれで治るってことになる。
いや、それ以上にそんな話みんなが鵜呑みにしたら輝哉さんに輸血やら臓器移植やら推奨する輩が出てくるかもしれない。
カナト。お前はこんなデマ流してどう話を収拾させるつもりだ。
俺は柱の視線が集中したこと以上に胃に負担を強いられることになった。
「そ・・・それでは、お館様も大量の輸血を行えば延命できるのでは・・・!? しのぶに言って、大量の輸血を集めてきましょうか、お館様・・・!」
まずい。女性の柱の人が恐ろしい勘違いをし始めている。どうやってこの人たちの誤解を解くつもりだ。
「ありがとう。カナエ。でもそれはできないんだ。産屋敷家の血が薄まれば、私たちの先見の明ともいうべき勘も失われるかもしれない。だから、私は延命などせず、寿命が持つ限り鬼殺隊の当主として陣頭指揮をとりたい。ほかのみんなもわかってほしい。」
「・・・御意」
そう輝哉さんが答えると、柱の人たちは静かにうつむきしぶしぶ了承する。
どうやら丸く収まったようだが本当にこれでよかったのだろうか。
俺は不服の意をカナトに目線で伝える。
カナトは「あはは・・・」と言いたげに苦笑いして目線を返す。
こいつ・・・こういうとこだぞ・・・
俺が恨めしくそう思っていると、やがて、柱の人たちは屋敷の奥の部屋へと移動していった。
庭には俺たち二人だけが残った。
「ふ~。一件落着。」
「どこがだ。」
「いや~とりあえず僕らの素性はこれでみんなに納得してもらえたからいいかなって。」
「いや、よくないだろ。カナエって人盛大に誤解してたぞ。あれ大丈夫なのか?」
「輝哉さんが説得してたからきっと大丈夫だよ。多分。」
「多分て・・・」
「あはは・・・」
「いや、それよりも、俺だけ話の段取り聞いてなかったんだが・・・」
「あ~ごめん。雁哉には伝え忘れてた。うっかりしてたよ。」
「お前、そういうところだぞ。」
「いや~輝哉さんには伝えてたし話も併せてくれたから結果オーライかなって。」
「全然オーライじゃねぇよ。」
「ごめんて。」
「ゆるさん。」
「ちょっ! ほんとごめん! ごめんなさい!」
俺はカナトをおいてさっさと鍛錬に戻ろうとその場を後にした。
正直日輪刀が届いてから違う呼吸を身に着けるために今は一秒でも惜しい。
その後ろをカナトが焦って追いかけてくる。
「まったく。そんなに怒りんぼだと蝶屋敷のしのぶさんみたいに他の隊員たちに怖がられちゃうよ。」
「うるさい。俺は一日でも早くこの体に合う呼吸を身に着けて鬼の首領を倒す。そうしないといつまでたっても帰れないだろうが。」
「う~ん。そうなんだけどさ・・・ってあれ? 風の呼吸はやっぱり合わないの?」
カナトの言葉に一度俺は立ち止まり、振り返る。
「ああ。やっぱり、月の呼吸じゃないと合わないみたいなんだ。ただ、鬼殺隊で誰も使える人がいないみたいでな。今度産屋敷家の書類でも漁ってみるか。」
俺は腰に差してある日輪刀を引き抜く。濃い紫色に峰が染まっているのを恨めしく思う。
「そういうお前だって水の呼吸は合わないって言ってただろう。お前こそどうするんだ?」
カナトも日輪刀を引き抜く。
刃が若葉色で峰が赤茶色の二色の刀だ。
「う~ん。緑と茶色だから風か岩だと思うんだけど、どっちもしっくりこないんだよね・・・」
「もういっそ自分で派生させたらどうだ?」
「いや~派生させるにしても何を派生させればいいか皆目見当もつかないからねぇ。」
「ならひとまず水系統の派生の呼吸全部見せてもらえばいいだろう。水系は数が多いから一つぐらい参考になるはずだ。」
「そうなると、この後蝶屋敷に連れてってもらおうかなぁ。そうすれば花の呼吸と蟲の呼吸なら見せてもらえるだろうし。」
「ん? 蟲の呼吸ってなんだ?」
「え? しのぶさんが使ってた呼吸のことだよ。」
「んん? しのぶって医療従事者だろ? 呼吸なんて使えるのか?」
「最近使えるようになったらしいよ。鬼の頸は切れないらしいけど。」
「はあ? 頸切れないのにどうやって鬼倒すんだ?」
「いや、藤から抽出した毒を注射針みたいに日輪刀で打ち込むんだって。この前の合同任務で使ってたよ。雑魚鬼だったけど、ちゃんと効いてたみたいだし。」
「なるほど・・・」
毒殺か。確かに脳筋で切って倒すより戦略の幅は広がる。殺せなくても動きを鈍らせれば他の隊員がいればかなり楽に倒せるだろう。
「よし。俺もこの後蝶屋敷に行く。毒の話は興味がある」
「いいよ。じゃあ、この後カナエさんに頼んでみようか。」
そうして話を終わらせて、俺はこれからのことを思案した。正直月の呼吸について調べるのが優先ではあるが・・・
何かこう、勘みたいなものが働いた気がする。
これが産屋敷家の血によるものなのかもしれない。
続く
この話の時点で柱は、
悲鳴嶼さん、宇随さん、カナエさん、冨岡さん、不死川さん
の5人がいるものとします。
今後の柱の順番は筆者が勝手にイメージしたもので書いていく予定です。