輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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カナヲちゃん視点です。何気に初です。最後の方におまけを入れてあります。めっちゃノリノリで書きました。やっぱり五感組のやり取りって面白いですね。


31話 最終選別 日の光に照らされる一輪の花

「カナヲ。よく無事に帰ってきました。怪我はありませんか?」

 

 

私はいつものように頷く。最近は、カナエ姉さんの真似をして、ずっと笑顔を作っているから、きっと以前よりは安心してもらいやすいだろう。

 

衣服には誇りや泥の汚れ一つなく、目の前のしのぶ姉さん、それから蝶屋敷のみんなはその様子を見て、頬をほころばせる。

 

 

「流石カナヲね。藤重山の鬼なんてどうってことなかったみたいね。」

 

 

しのぶ姉さんはそう誇らしげに言うが、実はその予想は少し違う。

 

私は先日までの最終選別の出来事を思い起こしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー7日前ー

 

 

 

私は藤重山に入山し、しばらく一人で周辺を歩いていた。やがて周囲から鬼がやってくる。

 

みな油断して襲い掛かってくるが、しのぶ姉さんやカナト兄さんに稽古をつけてもらってる以上、万が一にもやられることはない。

 

そうやって3匹くらい返り討ちにしたところで、近くから悲鳴が聞こえた。

 

・・・どうでもいい。人が死ぬのはよくないことだとわかってはいるが、わざわざ助けてあげようとも思わない。

 

なんでみんな常中はおろか、全集中の呼吸も半端にしか使えないまま最終選別を受けに来るんだろう。

 

アオイもそうだった。もともとは家族を殺された鬼に復讐するだとか、自分と同じ思いをさせないだとか考えていたのは知ってる。

 

でも結局、呼吸の練度が低いまま、最終選別に参加して、それで鬼に殺されそうになった。

 

その時、カナト兄さんに命を救われたと言っていたけど、そもそもアオイがもっと修練を積んでれば何も問題なかった。

 

まあ、今はアオイは蝶屋敷の仕事を頑張っているし、私もそんなアオイが好きだから、結果的にはよかったのかもしれないけど・・・

 

そんなことを考えているうちに、悲鳴を上げている子もそろそろ今わの際というところまで来たらしい。

 

鬼に殺されるんだろうなと私は傍観していたが、そこに水の飛沫を思わせるような流麗な剣閃が通り過ぎる。

 

きっと、助けられた子は何が起こったかすらわかっていないだろう。私の目で見ても、相当早い斬撃だった。

 

そこには、花札のような耳飾りをした、市松模様の羽織を着た男の子が立っていた。

 

 

「大丈夫ですか? 怪我はない?」

 

 

お日様のような優しくて底抜けに明るい表情でその子は笑っていた。

 

この子は一体誰だろう。きっと私と同じくらい強いと思う。少なくとも、常中は完璧に身に着けていると思う。

 

じゃなきゃ、あんな柱を彷彿とさせるような太刀筋は出せないはず。

 

でもなんだろう。違和感がある。まるであの太刀筋は、本当はあんまり得意じゃないと訴えているような・・・

 

やがて、耳飾りの男の子は、怪我した子をおぶってどこかに行ってしまった。

 

私は気になって、そのあとを追う。・・・気になる? ・・・私が?

 

感情が希薄になってから、初めての経験だった。いや・・・そうでもないか・・・

 

強いて言うなら、初めてカナト兄さんがクッキーなるものを焼いて私に見せてくれた時に似ている・・・

 

どうして、初めての好物とあの男の子が、私を同じような気持ちにさせるのか・・・わからない・・・

 

やがて、その耳飾りの男の子がたどり着いたのは水源だった。泉だろうか?

 

そこにはすでに、4人ほどの他の子たちがいた。

 

 

「よし! これでようやく5人だ! いいかいみんな、これから他の負傷した子たちもここに連れてくる。

 そしたら傷の手当てをしつつ、5人1組になって身を守り合うんだ! そうすればめったなことでは死なない!

 これは俺を鍛えてくれた人が言ってたことなんだ! だからきっと大丈夫!! みんなで生き残ろう!!!」

 

 

・・・何をしてるの? ・・・一体この子はどうしてそんなことをしようと思ったの?

 

わからない。彼のことが。とても不思議に思った。私はついその場に身をさらしてしまった。

 

 

「どうしてそんなことをしているの?」

 

「! ・・・君は? いつからここに?」

 

「呼吸の修練も大して積んでいないその子たちをどうして助けているの? 誰かに命令されたの?」

 

「・・・俺は竈門炭治郎だ。君は?」

 

「私は栗花落カナヲ・・・ねえ、教えて。なんで?」

 

「俺にとっての課題は、この藤重山で負傷した人を可能な限り助けることなんだ。俺を鍛えてくれた人も入隊するときやってたから。」

 

「・・・! 炭治郎はカナト兄さんのことを知ってるの?」

 

「え!? カナヲは雁哉さんの弟さんを知ってるのか!? しかも兄さん!?」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

お互いしばらく困惑の空気に包まれる。

 

雁哉さんって、確かカナト兄さんのお兄さんだよね。この人はカナト兄さんのお兄さんのお弟子さんってこと?

 

私は距離を取っていたが、炭治郎に近寄った。

 

 

「カナト兄さんは私の師匠なの。花の呼吸を教えてくれて・・・」

 

「そうなのか! 実のお兄さんが師匠なんてすごいな!! つまりカナヲは雁哉さんの妹さんでもあるのか!!」

 

「? カナト兄さんは私の実のお兄さんじゃないよ。」

 

「?」

 

「柱になるまで蝶屋敷に住んでたから、私が勝手にお兄さん呼びしてるだけ・・・」

 

「そうなのか! きっと雁哉さんと同じですごく強くて賢くて頼りになる人なんだね!!」

 

「そうなの・・・! それととっても優しくて時々私にお菓子作ってくれるの・・・!」

 

「お菓子も作れるの!? 流石雁哉さんの弟さんだ!! そんなすごい人にカナヲは鍛えてもらったんだね?」

 

「うん。だからきっと炭治郎にも負けないよ?」

 

「それは頼もしい! よかったら俺と一緒に他の負傷者を助ける手伝いをしてくれないか?」

 

「え? なんで?」

 

 

炭治郎は首を傾げている。私の質問が聞き取れなかったんだろうか。

 

 

「カナヲは強い! 常中もできてるし、この山の鬼になんか決して負けないと思う!

 だったら7日間時間を潰すより、鍛錬の一環で、みんなの救助をした方がいいはずだ!

 もし鬼殺隊に入れば、大勢の市井の人を助けなくちゃならない。これはそのための予行練習だよ?」

 

「!」

 

 

炭治郎はそこまで考えてこの最終選別を受けているんだ。確かに、剣士はただ戦うだけの人じゃない。

 

カナト兄さんも大勢の人を守り、助けて、傷を癒して、それで一杯一杯感謝されてる。

 

あれはただ鬼を切ったからじゃない。みんなを守り切ったからそんな風に思われているんだ。

 

きっと、しのぶ姉さんもアオイも、そんなカナト兄さんを見て、好きになったんだと思う。

 

炭治郎のそばに居れば、もしかしたらみんなの気持ちがわかるようになるかもしれない・・・!

 

 

「わかった。炭治郎。私も協力する。」

 

「本当か!  ありがとうカナヲ!! これからもよろしく頼む!!」

 

「あ・・・うん・・・! こちらこそ、よろしく・・・」

 

 

今心臓が跳ねたような錯覚が・・・

 

大丈夫かな・・・私どこか悪いのかもしれない・・・

 

 

「どうしたんだ? カナヲ? どこか痛むのか?」

 

「っ! 大丈夫! 今一瞬だけ胸が苦しくなっただけだから・・・」

 

「大変じゃないか!? カナヲは無理しなくていいんだぞ? ここでみんなと一緒にいるんだ。もし鬼が寄ってきたら、みんなと力を合わせて倒してくれ。できそう?」

 

「うっうん・・・! それくらいならできると思う!!」

 

「よし! 俺はこれから他の人を助けにいく。待っててね。カナヲ。」

 

「うん・・・! 気を付けて・・・」

 

 

それから炭治郎は去っていった。半刻置きくらいに怪我人を連れて戻ってくる。

 

炭治郎と別行動をとっていたら、いつの間にか胸が苦しくなくなった。

 

それからは私も炭治郎と同じように負傷者の救護に向かった。

 

そうして7日間が過ぎ、40人参加した最終選別は、一人の死者もなく終わりを迎えた。

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

ー二日目ー

 

 

「カナヲ! 大丈夫か!? 苦しいなら無理せず休むんだ!!」

 

 

胸を押さえるカナヲに炭治郎が駆け寄る。

 

 

「大丈夫だよ、炭治郎・・・! 少し休めばすぐに良くなるから・・・///」

 

 

背中をさすってもらい、頬を赤らめるカナヲ。

 

 

「わかった・・・辛いのにありがとな、カナヲ。」

 

「うっうん! 炭治郎こそありがとう・・・!!」

 

 

そんな二人の様子を見る善逸。

 

 

「きいいいいいいいいい!!!!! 人前でイチャイチャしやがってえええええええ!!!!!

 死ねやゴミカスとんでも炭治郎がああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

ー三日目ー

 

 

「ガハハハッ!! 俺にはわかるぜ! そこのでこっぱちがここの親玉だな!! 勝負勝負ゥ!!!」

 

 

ゴッ!!!

 

 

カナヲに鞘で思いっきり頭を叩かれ失神する伊之助。

 

 

「炭治郎に襲い掛かるなら私が許さない・・・」

 

「カナヲ!! 頭割れたんじゃないか!?」

 

「かああああああああああ!!!!! 俺もカナヲちゃんに守ってもらいたいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

ー四日目ー

 

 

ズバッ!!!

 

 

「大丈夫?」

 

「うっうっす!」

 

 

目の前の美少女に命を救われ、真っ赤になってどもる玄弥。

 

 

 

ー五日目以降ー

 

 

「あれ? もう鬼がいない・・・なんでだろう?」

 

「とんでも炭治郎が全部鬼切ったからだよ。自覚なしかよ・・・」

 

「ガハハハッ!! だったら残り時間は俺と勝負勝負ゥ!!!」

 

 

バキッ!!!

 

 

再びカナヲに失神させられる伊之助。

 

 

「伊之助・・・まずは先に常中を覚えないとだめだぞ? 俺が教えてやるから・・・」

 

「失神してるんだから聞こえるわけないだろ・・・やっぱりとんでもねえよ・・・」

 

「それと玄弥・・・いくらお腹が減ったからって鬼は食べたらだめだぞ? お腹壊すかもしれない。」

 

「はあああああ!!?? 食ってねえし!! 見間違いだろ!?」

 

「玄弥の口から鬼の血の匂いがするぞ。俺は鼻がいいんだ。」

 

「やっぱりとんでもねえ奴だ炭治郎は!! 玄弥も何してんの!?って思ったけど、炭次郎が一番の化け物だ!!!

 いいいいいやああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

 

ドガッ!!!

 

 

「炭治郎のこと悪く言う奴は許さない・・・」

 

「カナヲも暴力はだめだぞ。女の子がそんな眉間にしわ寄せてたら可愛い顔が台無しだ。」

 

「かっ可愛い・・・/////!?」

 

 

フシュ~!

 

 

「どうしたんだカナヲ! 急に倒れて! カナヲーーーーーーー!!!」

 

「・・・」

 

 

関わったらだめだと少しずつ離れていく玄弥。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




もうね、少年少女の恋模様なんて最高ですよ・・・一瞬で社会ですさんだ精神が浄化されます・・・吾峠呼世晴先生・・・ありがとう・・・バサ・・・(猗窩座が塵になる時と同じように筆者も消え去る音)

という寸劇は置いておいて、この最終選別の裏では雁哉君が組織した遠距離支援部隊の人達が交代制で待機しています。なので死人はでておりません。助けられた人は意思確認だけして、隠として入隊します。これで着々と鬼殺隊の人手不足は解消されています(一番は任務の生存率が跳ね上がっているのが理由ですが)。監視途中、炭治郎君とカナヲちゃんのやり取りを見て、筆者同様浄化された隊員がいたとかいなかったとか・・・それは神仏のみぞ知る・・・
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