輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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炭治郎君視点です。混乱される方がいるかもしれないので、先に前提を説明します。
場面は炭治郎君vs累まで飛びます。鼓屋敷編も書きたかったのですが、全部丁寧に書くと本小説の進みが相当遅くなりそうだったのでこうしました。響凱ファンの方いましたら大変に申し訳ございません。それと後書きに本小説で起きている出来事の背景を補足しています。原作とかけ離れた事態になっていることを許容できる方は本文をどうぞ。



39話 絆

「威勢がいいなぁ。できるならやってごらん。十二鬼月の上弦である僕に・・・勝てるならね。」

 

 

俺は今、蜘蛛の巣のような模様の着物を着た白髪の少年と相対している。

 

彼は前髪をかき上げ、今まで隠れて見えなかった両目の文字、『上弦』『伍』の刻まれた眼を晒す。

 

俺の後ろには全身を切り刻まれた禰豆子と、負傷して動けなくなった姉弟子の真菰さんが横たわっていた。

 

なぜこのような事態になったのか、それは半日近く前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー半日前ー

 

 

 

俺と善逸と伊之助は藤の花の家紋の家を出発し、次の任務先である那田蜘蛛山へと向かった。

 

到着すると、山の周辺には雁哉さんが結成した遠距離支援部隊の人達が大勢いた。

 

状況を聞くと、既に10名ほどの隊士と30名以上の支援部隊の人達が入山したものの、誰も帰還できなかったそうだ。

 

雁哉さんの弟さんが開発した無線機なるもののおかげで、山に潜伏する鬼の情報は先方隊のおかげで既にわかっていたらしい。

 

そこで俺は驚愕の事実を聞いた。

 

 

『この山には十二鬼月が複数体群れをなして潜伏している。』

 

 

珠世さんから聞いた話だが、本来鬼は群れないらしい。鬼舞辻無惨が徒党を組むことを禁じて操作しているからだとか。

 

だから、この山では異常な事態に陥っていることが、容易に想像できた。

 

俺は鼻で、善逸は耳で、その山にとんでもない化け物が棲んでいる気配を感じ取り戦慄した。

 

伊之助も最初は物怖じしたが、二の足を踏む俺よりも先に入山を決意した。善逸はずっと二の足を踏んでいた・・・というより、座り込んで動かなかったので、置いていくことにした。

 

やがて、山の中で、冨岡さんの同期らしい村田さんという先輩隊士と、冨岡さんの継子であり俺の姉弟子の真菰さんと合流した。

 

二人が言うには、無線機を通じての本部からの連絡によると、もう少し待てば柱が三名派遣されるとのことだった。

 

俺たちの任務は急遽、十二鬼月の足止め及び情報収集が主となった。

 

とは言え、真菰さんは既に階級は甲で、常中も修めており、十二鬼月の下弦であれば十分戦えると本人は思っていたようで、そのまま俺たちは下弦の討伐任務を続行した。

 

確かに真菰さんは強かった。俺の鼻や伊之助の空間識覚で鬼の居場所を探知し、糸で隊士を操る女鬼の下弦の参は倒した。

 

続いて、川まで出ると、少女鬼の下弦の伍を発見。追跡しようとしたら頭部のみ蜘蛛になった大男の下弦の弐が襲い掛かってきた。

 

こちらはかなり苦戦した上に、俺は頸を切ろうとした瞬間引っこ抜いた大木で打ち払われ、遠くに吹き飛んでしまった。

 

そして、吹き飛ばされた先に、少女鬼の下弦の伍が前髪で両目を隠した少年鬼に顔を糸で傷つけられていたのを目撃した。

 

その少年鬼は『僕たちは家族だ』と言う。意味がわからなかった。彼らからは、恐怖と憎しみと嫌悪の匂いしかしなかったから。

 

俺がそんなものは偽物だと豪語した途端、少年鬼の気配が変わった。

 

少女鬼の下弦の伍を傷つけるくらいだから、その上位の鬼であることは想定していた。だが、彼から発せられる威圧感は下弦の比ではなかった。

 

少年鬼は手をかざしてそのまま引く動作をした。その途端、俺の周囲に蜘蛛の巣のような攻撃が迫る。

 

とっさのことで反応が遅れ、俺は攻撃を喰らうところだった。

 

だがそうはならなかった。禰豆子が寸でのところで俺を庇ったからだ。四肢を切断され、五体バラバラにされ、鮮血がまき散らされる。

 

俺は禰豆子に駆け寄ると、急いで禰豆子の四肢を拾い集め、つなげて治そうとする。

 

その間、少年鬼は俺たちを襲ってこなかった。

 

『本物の絆だ! ほしい!!』と訳のわからないことを叫んだ後、少女鬼の下弦の伍を糸でバラバラにする。

 

俺が状況を呑み込めてないと、そいつは禰豆子を自分の妹にすると言い始めた。

 

承知するはずがないと言い返したところで、真菰さんが俺と合流した。

 

どうやら、頭部のみ蜘蛛になった大男の下弦の弐は倒したようだ。しかし、伊之助は負傷し意識を失ったため、一旦村田さんに預けてきたらしい。

 

真菰さんは俺を庇うように、少年鬼に戦いを挑む。

 

 

 

ー水の呼吸 漆の型 雫波紋突きー

 

 

 

俺の目で見ても相当に速い突き技を、少年鬼はあっさりと躱す。

 

真菰さんはすぐさま剣を翻す。

 

 

 

ー水の呼吸 壱の型 水面斬りー

 

 

 

真菰さんの斬撃は間違いなく少年鬼の頸に入った。しかし、甲高い音と共に、真菰さんの日輪刀が半ばで折れた。

 

俺も真菰さんも驚愕し、真菰さんはすぐさま俺のそばまで後退するが、その瞬間、真菰さんの体から鮮血が飛び散る。

 

 

 

「速さだけは柱並みみたいだね。でも肝心の膂力がまるで足りてない。そんなんで僕の頸が切れるわけないだろう?」

 

 

少年鬼は両手であやとりのように糸をかざしている。血が滴っていることから、あれで真菰さんを瞬時に攻撃したことが予想できた。

 

 

「さあ、坊や。君の妹を僕に頂戴。」

 

「ふざけるのも大概にしろ!!お前なんかに禰豆子は渡さない!!!」

 

 

そこで彼は髪をかき上げる。上弦の伍。以前相対した猗窩座よりは下位とは言え、上弦の鬼だ。

 

上弦の鬼は今から100年以上、一匹も欠けたことがないらしい。

 

そんな鬼が俺の目の前にいる。凄まじい威圧感だ。猗窩座の時と違い、今戦えるのは俺だけしかいない。

 

俺が攻めずに様子を伺っていると、少年鬼の上弦の伍は手を引く動作をする。

 

また蜘蛛の巣の攻撃かと身構えるが、俺には何もなく、禰豆子が宙を舞い、奴に引き寄せられる。

 

 

「さあ、もう奪ったよ。自分の役割を自覚した?」

 

 

俺は激高し、突進するが、奴の糸の攻撃が来るので躱すしかなかった。

 

その瞬間、上空に宙づりにされる禰豆子が見えた。全身を糸で括られ、おびただしい血が俺に降り注ぐ。

 

 

「禰豆子!!!!!」

 

「うるさいよ。このくらいで死にはしないだろ。鬼なんだから。」

 

 

俺は自分の腕の袖を必死に握る。落ち着け、感情的になるな・・・!

 

もう出し惜しみも何もしてられない。相手は遥か格上、常中が使えた真菰さんの水の呼吸が通用しなかった以上、俺の水の呼吸が通じるわけもない。

 

ヒノカミ神楽の連続技で、反撃させることなく、攻め殺すしかない。できなければみんな死ぬ。やるしかない!!!

 

 

 

ーヒノカミ神楽 円舞ー

 

 

 

俺は突進し、上段からの振り落としを放つ。奴の放った糸を切ることができた。

 

間髪入れず、横なぎの斬撃につなげる。

 

奴の頸に届くかというところで、後ろに下がられ躱されてしまう。

 

すると、技を放った後の隙をついて、奴の糸の攻撃が俺を一閃する。

 

 

 

ーヒノカミ神楽 幻日虹ー

 

 

 

俺は高速で体をひねり、残像のみを残して奴の背後に回る。

 

 

 

ーヒノカミ神楽 火車ー

 

 

 

背後で体を上下反転させた状態で、奴の頸へと刃を振るう。・・・が、

 

 

「遅いね。あくびが出るよ。」

 

 

俺は糸の攻撃で吹き飛ばされてしまう。地面を転がり上体を起こす。息が乱れる。

 

既に奴は俺に接近し、腕を振るおうとしている。

 

 

 

 

ーヒノカミ神楽 灼骨炎陽ー

 

 

 

 

俺は体をひねり、波状攻撃を繰り出す。奴が振るった糸は全て切られ、奴は再び距離を取る。俺は奴を見据えて構える。

 

 

「嫌な目つきだね。メラメラと。愚かだな。もしかして、僕に勝つつもりなのかな!!」

 

 

凄まじい数の糸の斬撃が浴びせられる。俺はそれを全力で躱し、さばき、はじいて対処する。

 

俺は隙を見て再び突進する。

 

 

 

 

ーヒノカミ神楽 日暈の龍 頭舞いー

 

 

 

 

奴の放つ糸を全て切り払いながら距離を詰める。肺が苦しい。これで決めるしかない!!!

 

 

 

「ねえ、糸の強度はこれが限界だと思っているの?」

 

 

 

 

ー血鬼術 刻糸牢ー

 

 

 

 

俺を囲むような深紅の糸が張り巡らされる。

 

 

「もういいよ、お前は。さよなら。」

 

 

奴が手を引く動作に入る。糸の牢は俺を刻むかのように狭まってくる。

 

ダメだ。この糸は切れない。俺の剣ではまだ威力が足りない。さっきの糸とはまるで違う匂いだ。

 

絶対負けるわけにはいかないのに・・・死ぬ・・・負ける!! 死・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走馬灯が見える。父さんの神楽の舞が目の前に浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が止まったと錯覚するほどに、周囲の動きがゆっくりに見えはじめた。

 

 

『息の仕方があるんだよ。どれだけ動いても疲れない息の仕方。正しい呼吸ができるようになれば炭治郎もずっと舞えるよ。』

 

 

父さんの言葉が浮かび、一瞬周囲が透き通って見えた。

 

 

と同時にあたりに紅色の炎で包まれる。

 

 

 

 

ー血鬼術 爆血ー

 

 

 

 

俺の周囲の糸と、俺の日輪刀が炎で包まれる。刀が黒から赫赫とした赤へと変わる。

 

ふと雁哉さんの言葉も思い起こされる。

 

 

『赫刀は鬼の細胞を焼き切る。痣、透き通る世界に並ぶ、俺たちの最強の武器だ。方法はなんだっていい。なんでも試せ。いつか必ず使いこなして見せろ。』

 

 

紅色の炎で糸が焼き切れたことに動揺した目の前の上弦の鬼は、俺に急遽接近し、拳で俺の頭蓋を薙ぎ払い砕こうとする。

 

奴の裏拳が俺に迫る瞬間、再び周囲が透明に透き通って見えた。動きもゆっくりに感じられる。

 

糸が燃える今しかない! 今やらなければ!! 禰豆子を守らなければ!!! たとえ相打ちになったとしても!!!!!

 

 

 

 

ーヒノカミ神楽 斜陽転身ー

 

 

 

 

俺は寸での差で振るわれる拳を躱し、空中で上下反転させた勢いで刀を横なぎに一閃する。

 

全身の酸素を全て消費し尽くした俺はそのまま地面に着地した途端、咳き込む。信じられないほどの負荷が体にかかり、目鼻や口から血が流れる。

 

俺は動けない中でも目の前の鬼に視線を向ける。奴の頸は宙を舞い、離れた地面へと落下する。

 

勝った・・・勝った・・・父さんと雁哉さんの言葉・・・それと禰豆子のおかげで・・・

 

しかし、体中に激痛が走る。目が見えづらい。呼吸を乱発しすぎたせいか?

 

禰豆子、どこだ・・・大丈夫か?

 

 

俺が這って禰豆子を探していると、後ろより鬼の気配がする。血の匂いが濃くなった。頸を切っても死なないのか!?

 

 

「僕に勝ったと思ったの? 可哀そうに、哀れな妄想して幸せだった? 僕は自分の糸で頸を切ったんだよ。お前に頸を斬られるより先に。

 もういい。お前も妹も殺してやる。こんなに腹が立ったのは久しぶりだ。何の未練もなくお前たちを刻めるよ。」

 

 

 

 

ー血鬼術 殺目篭ー

 

 

 

 

網のように深紅の糸が俺を覆い、狭まる。

 

ダメだ・・・腕が上がらない・・・ごめん、禰豆子・・・

 

次々と糸が俺の体を引き裂こうとする。俺はこの時、確実に死ぬと思い、目を強くつぶる。だが・・・

 

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 肆の型 穀種争乱ー

 

 

 

 

 

俺の周囲の深紅の糸がふいにばらける。誰だ? この人も俺と同じ赫刀を・・・

 

 

 

「僕たちが来るまでよく堪えたね。後は任せて。」

 

 

 

そこには矛の日輪刀を構える若草色の羽織の人がいた。

 

俺を助けてくれた人は、草柱のカナトさんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 




原作とは異なり、那田蜘蛛山編開始時点で下弦の鬼は魘夢と累以外全員柱に殺されました。理由は、無線機の開発で下弦出現時に速攻柱が救援に来るからです。魘夢は慎重なため出現がばれていません。累は那田蜘蛛山から一歩も出ていないため発見されず生き残っています。それ以外の下弦は補充をいくらしても殺され続けたため、その結果無惨は処分するつもりで残った二人に血を大量に打ち込みました。魘夢は適応後無限列車で人を捕食し始めます。累は魘夢以上に大量の血に適応できたため、上弦並みに強くなりました。累は強くなった後、自身が多少弱体化してでも家族に力を分け与えます。その結果、累の家族は下弦並みに強くなったので、新しい十二鬼月の数字をもらいました。今話で下弦の鬼が多数出てきましたが、原作とは異なりみんな累の家族です。以上の内容を理解した上で今後もお読みいただければ幸いです。
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