輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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カナヲちゃん視点です。本小説では最終選別の段階で炭治郎君とカナヲちゃんに接点があるので二人の仲は原作よりも進んでいます。炭治郎君が蝶屋敷に運び込まれた場面から本文はスタートです。


42話 自覚

「炭治郎!? どうして蝶屋敷に!?」

 

「ごめんカナヲ・・・上弦の鬼との戦いであちこち負傷してるんだ・・・しばらく世話になるよ。」

 

「ううん! 嬉しい! しばらく一緒に居られるね!」

 

「え? ああ、そうだな。・・・?」

 

 

炭治郎がしばらく蝶屋敷に滞在することになった。嬉しくて気持ちがそわそわする。

 

隠の人が私を見て目を丸くしていたけど、どうしてだろう?

 

あとは私が面倒を見ると言って、帰ってもらったけど、なんだか不思議そうに私の様子を見てた。

 

病棟に炭治郎を連れていく。足を引きずってたり、腕を抑えたりしてるからやっぱり痛いんだ。

 

私はそんな炭治郎に肩を貸して運んでいく。いつもより炭治郎の顔との距離が近くて、胸がドキドキする・・・!

 

 

「善逸!?」

 

「え・・・炭治郎!? なんでカナヲちゃんに連れてこられてるの!!??

 きいいいいいいい!!!!! 俺なんて包帯ぐるぐる巻きにされて荷物みたいに運ばれたってのにいいいいいいい!!!!!」

 

「こら!! 静かになさってください!! 薬を飲むときもそうですが、うるさいですよあなた!!!」

 

「うわあああああ!!! 差別だああああああ!!! なんで炭治郎と俺でこんなに待遇違うの!!?? あんまりだよ!!!!!」

 

 

ゴッ

 

 

鈍い音と共に善逸が静かになる。

 

 

「善逸、うるさい。他の人の迷惑。」

 

 

私が善逸を黙らせ、冷たい目でおとなしくなった様子を眺める。

 

 

「カナヲ? 前にも言ったが、暴力を振るうのはよくないぞ? 善逸は俺よりも重症なんだから、安静にさせてあげないと・・・」

 

「っ! ごめんなさい! 炭治郎・・・怒った?」

 

「怒ってはないけど、今後はこういうのはなしだ。いいか、カナヲ?」

 

「うん・・・! 気を付けるね・・・!」

 

 

私が頷いていると、アオイが目を見開き、口を押え、とんでもないものを見たかのように、後ずさりする。どうしてだろう。

 

 

「カナエ様!! カ、カナヲがーーーー!!!!」

 

 

アオイは全集中の呼吸を駆使して移動したのではと思うぐらい素早くその場を去った。

 

やっぱり、私が善逸を殴ったことを怒られるのだろうか・・・そうだよね・・・炭治郎もよくないって言ってるし・・・

 

しかし、連れてこられたカナエ姉さんは思ってたのと違い、とてもニコニコしていた。

 

 

「あらあら~。カナヲ~? ようやくあなたにも春が来たのね~。姉さん嬉しいわあ。」

 

「? カナエさんですか? もうそろそろ春も終わりますよ? どうしたんですか?」

 

「あら~。炭治郎君って言ったかしら~。あなたどことなく稲葉君に似てるわ~。鈍感なところとか~。」

 

「っ! すみません! 気遣いが至らなくて・・・長男として不甲斐ないです!!!」

 

「まあ、まじめね~。うふふ~。カナヲ、いい人が見つかってよかったわね~?」

 

「? 炭治郎はとても優しくていい人だよ。悪い人じゃないよカナエ姉さん。」

 

「うふふ~。そういうことじゃないのよ~。カナヲはまだ自覚していないのかしら~?」

 

「?」

 

 

カナエ姉さんは一体何を言ってるのだろうか? 私にはわからなかった。ひとまず、炭治郎を善逸、伊之助よりも奥のベッドに寝かせた。

 

 

「っ! つう・・・」

 

「! ごめんなさい! 炭治郎痛むの?」

 

「うん・・・でもこれくらい平気だ! 常中が使えればすぐに治るよ!!」

 

「炭治郎・・・私がずっと看病するから・・・早く良くなってね・・・」

 

「ああ、わかった! ありがとな、カナヲ!」

 

「うん・・・!」

 

 

その様子を、そばのベッドで横たわる女の人がニコニコして見ていた。

 

 

「ふふ、炭治郎、よかったね? そんな可愛い子にずっと看病してもらえるなんて。男の子冥利に尽きるんじゃない?」

 

「あ、真菰さん! 怪我は大丈夫なんですか!?」

 

「う~ん。すっごく痛いけど、骨や内臓までは斬られてないから多分大丈夫だと思うよ~。」

 

「そ、そうですか・・・ならよかったです・・・」

 

「炭治郎こそ、安静にするんだよ? あんまりカナヲちゃんを心配させちゃだめだからね?」

 

「カナヲを? はい、わかりました。」

 

 

その人は真菰さんと言って、炭治郎の先輩らしい。私より年上で幼げがあるけどすごく綺麗な人・・・

 

炭治郎が真菰さんと話してると、どうしてか胸がもやもやする。そう思っていると、私は無意識に炭治郎の手を握っていたらしい。

 

そんな私の様子を真菰さんや蝶屋敷のみんなはニコニコして眺めている。

 

一方、伊之助はずっと寝てるのか無反応で、善逸はベッドのシーツを嚙み締めながら目をひん剝いて泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではそろそろ機能回復訓練に移りましょうか。」

 

 

半月ほど経ち、師範の許可が下りたので、炭治郎と伊之助を道場に案内する。アオイが体のほぐし、湯呑を使った反射訓練、鬼ごっこの全身訓練の説明をする。

 

私は反射訓練のため薬湯が入った湯呑を運ぶ。薬湯を作ってくれた師範は私を見てとても嬉しそうに笑っていた。何かいいことがあったのだろうか。

 

やがて、炭治郎と伊之助のもみほぐしの時間も終了し、反射訓練になった。

 

 

「よし! カナヲ! 手加減なしの真剣勝負だ!!」

 

「うん。いいよ。私負けないよ?」

 

 

やがて反射訓練開始となる。私が湯呑を持った瞬間、炭治郎はそれを防ぐため私の手を湯呑ごと抑える。

 

 

「っ!」

 

 

しかし、手が触れた瞬間、私の心臓が跳ねる。調子を狂わせてしまい、あっけなく炭治郎の持った湯呑で薬湯を浴びせられる。

 

 

「っ!? カナヲ!? すまない! 勢いよくかけ過ぎた! 大丈夫か?」

 

 

私は髪を伝い滴る薬湯をぬぐう。どうしてだろう。私ってこんなに反応鈍かったかな。炭治郎の手が触れた途端、思うように自分の体を動かせなくなった。

 

 

「カナヲ? 体調が悪いなら、休んでていいんだぞ? 俺の訓練に無理して付き合わなくてもいいんだ。」

 

「ううん。無理してない。ただ、一瞬脈拍が狂っちゃって・・・すぐに落ち着くと思う・・・」

 

「そんな・・・! カナヲ! しのぶさんに診てもらった方がいいぞ!? 何か良くない病気かもしれない!」

 

「う、うん。わかった。念のため、師範に診察してもらってくる・・・」

 

 

私は手拭いで薬湯の水気を拭き、師範のいる診察室に移動する。道場を出るとき、アオイが笑ってた気がする。何がそんなに可笑しいんだろう・・・

 

私は師範に症状を伝える。その時の出来事も話した。すると、師範は困ったように笑って、私の手を握る。

 

 

「カナヲは・・・まだ気づけていないのね・・・」

 

「?」

 

「ううん。なんでもないわ。でもそうね・・・どうすればいいかしら・・・」

 

 

師範は悩んでいた。そんなに私は深刻な状態なのだろうか。私は焦った。鬼と戦えない私に、一体何の意味があるんだろう・・・

 

その考えを率直に師範に伝えると、優しく私のことを抱きしめてくれた。

 

 

「カナヲもゆっくりでいいのよ? 大丈夫・・・きっとすぐに良くなるわ。

 それにカナヲは戦えること以外にだって、魅力的なところが一杯あるわ。きっと炭治郎君ならそこを見つけてくれるわよ。」

 

 

師範がなんのことを言ってるのか、私にはわからなかったけど、抱きしめられている間は、胸の奥がじんわりと暖かかった。

 

師範と一緒に道場に戻ると、炭治郎が心配そうにこちらを見ていた。でも師範は心配いらないと言う。

 

 

「カナヲは伊之助君と訓練しましょうか。炭治郎君とは私が代わりに訓練に付き合いますから。」

 

 

そういわれて、胸のあたりがすごくもやもやした。なんだろう・・・あんまりいい状態じゃない。

 

けど、師範に言われた通り、伊之助と勝負したら、全然調子を崩さなかった。むしろ圧勝しすぎて、へそを曲げさせてしまった。

 

 

「カナヲは俺に対して手加減していたのか!?」

 

「炭治郎君。カナヲはそんな野暮なことはしませんよ。ほら、いいんですか? 私に負けているようでは上弦になんて勝てませんよ?」

 

「っ! がんばります!!!」

 

「それと柱合会議で私に恥をかかせた分、他の人よりも厳しくしますからそのつもりで。」

 

「っ!!??」

 

 

私はずっと伊之助の相手をしていた。反射訓練も、全身訓練も負けなしだった。途中少し手加減してあげてと師範から言われた。むう・・・

 

やがて数日経ち、善逸も訓練に参加したが、アオイの説明を受けて血相を変えて炭治郎と伊之助を道場の外に引っ張り出していた。

 

外で何か言っていた。おっぱいとかお尻とか下品な言葉が聞こえてくる。私は無性に腹が立った。

 

帰ってくると、善逸と伊之助はやる気を出していた。反対に炭治郎は元気をなくしていた。

 

やる気を出していた善逸と伊之助は、アオイに圧勝し、調子に乗っていた。善逸はアオイにべたべた触るし、伊之助は肩車して走り回るなど危ないことばかりしてた。

 

私はとても腹が立ったので、善逸と伊之助を訓練を通して完膚なきまでに叩きのめした。そうしたら次の日から来なくなってしまった。

 

 

「カナヲ・・・そこまでしなくても・・・」

 

「何? 炭治郎。私いけないことしたかな?」

 

「いや、そうじゃないんだが・・・うん。俺が二人のことは何とかするよ。」

 

 

私は炭治郎を困らせてしまったようだ。どうして。私は炭治郎に笑ってほしいのに。

 

よく師範が、感情の制御ができない者は未熟者って自身に訴えてるから、私もそうだったのかもしれない。私はしばらく落ち込んでしまった。

 

 

「大丈夫か? カナヲ・・・」

 

「炭治郎・・・私・・・どうすればよかったのかな・・・」

 

 

炭治郎に心配をかけてしまった。本当は安心してほしいのに。でも炭治郎は優しく私の頭を撫でてくれる。

 

 

「カナヲはえらいよ。人と関わるのが苦手なのに、一生懸命努力してる。改善しようとしてる。だから大丈夫だよ。

 俺はそんなカナヲの頑張り屋なところが好きだよ?」

 

 

「っ!!!」

 

 

痛いくらいに心臓が跳ねた。鼓動が激しくなる。炭治郎と一緒だと病状が悪化する。どうしてだろう。

 

私は、耐えられなくなってその場を立ち去ってしまった。

 

 

「炭治郎さん! カナヲは初めてなんです! 気を遣ってあげてください!!」

 

 

後ろからアオイの声がしたが、気にしてられなかった。私は気が付けば縁側に一人で座っていた。

 

 

「カナヲ? こんなところで何をしているの?」

 

 

カナエ姉さんがそう尋ねてくる。私にもわからなかった。私はなぜ炭治郎から距離を置いてしまったのか。

 

カナエ姉さんは隣に座り、優しく頭を撫でてくれる。

 

 

「しのぶも稲葉君の前から恥ずかしくて距離を取っちゃうことが多いけど、やっぱりカナヲもなのね。でも姉さんはカナヲが以前と変わって嬉しいわ。」

 

 

変わった・・・私が・・・? 今まで何も感じてこなかった。親から暴力を振るわれるようになってからずっと。

 

でも、炭治郎といると、いろんなことを感じられるようになった。それが変わったって言うことなんだろうか・・・

 

 

『好きな男の子でもできれば、カナヲだってきっと変わるわよ。』

 

 

あ・・・そうか・・・カナエ姉さんが言ってたことってそういうことだったんだ・・・

 

私は変わった。炭治郎のおかげで。いろんな感情が芽生えるようになった。これも全て炭治郎と一緒にいたから・・・

 

そうなんだ。私は炭治郎を好きになったんだ。好きな男の子ができて、いろんなことを感じられるようになったんだ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

それに気づいたことをカナエ姉さんに伝える。

 

カナエ姉さんはとても嬉しそうに、いつまでも私の頭を撫で続けていた。

 

 

 

続く

 

 

 

 




炭カナ最高ですね。結局炭カナのタグは追加しました。今後多いと思うので。毎話こんな感じで投稿したいのですがそれだと展開が進まないので悩ましいところです。
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