輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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兄の雁哉君視点です。独自展開です。最後にサプライズであの人を出します。浅草で猗窩座出した時以上に驚かれそうですが、前々から書こうと思っていた展開なのでご容赦ください。それと評価欄でとても具体的なアドバイスを頂きました。本当に有難いです。確かに無惨側の描写をあとがきでなく本文に明記するのが必須だと思いました。後日番外編を出したいと思います。彼の臆病さ、頭の悪さを如何に表現するかは筆者の課題なのですが、頑張りたいと思います。原作からかけ離れた設定で話を進めているからこそ、その理由付けを丁寧に描写すべきだと実感しました。皆様に少しでも面白いと思える内容を提供できるよう頑張っていきたいと思います。前置きが長くなりましたがどうぞ。


45話 無限列車

「うまい! うまい! うまい!」

 

「煉獄さん! 雁哉さん! お疲れ様です!」

 

「炭治郎。それから善逸と伊之助だったか。遅かったな。」

 

 

俺が煉獄と駅弁を食ってると、炭治郎たちが合流した。ここは無限列車の車両の中だ。現在列車は移動中だ。

 

 

「すみません。いろいろあって・・・」

 

「まあいい。とりあえず座れ。」

 

「うまい! うまい! うまい!」

 

「煉獄。いつまで食べてるんだ。あと他の乗客の迷惑だから少し静かにしろ。」

 

「うむ! それはすまない!! だがおかげで満腹だ!!」

 

 

俺と煉獄の近くの席に炭治郎たちが座る。途中伊之助が外に出て列車と競争しようとしていたから善逸が必死に止めていた。

 

 

「危険だぞ! いつ鬼が出るかわからないんだ!」

 

 

煉獄の注意喚起で二人はおとなしくなる。いや、今度は善逸が怖がりはじめてうるさくなった。どうしようもないな・・・

 

 

「今回は雁哉さんが組織した遠距離支援部隊の人達は参加していないんですね。」

 

 

炭治郎が俺に声を掛けてくる。

 

 

「そうだな。そもそも列車の中だと爆薬も赤鱗手榴弾も使えないし、赤鱗弾が打てる銃もあまり機能しないからな。結果、従来通り剣士の隊員が対応するしかないのさ。」

 

 

俺はそう苦々しく答える。赤鱗弾が打てる銃は、集団で距離を取って戦える山間部や森の中では重宝するだろう。

 

しかし、今回のように狭い屋内では鬼が現れた際に距離が取れない。銃で戦うよりも日輪刀で戦う方が合理的なのだ。

 

そもそも、俺とカナトで開発した赤鱗弾は球体の銃弾ぐらいでしか打てない。

 

理由は簡単で、球体の銃弾を先に撹拌機内で衝突させて、赫刀と同じ状態にしてからじゃないと、赤鱗弾の場合は銃に装填できないからだ。

 

そうなると、一般的な銃弾のように、予め弾丸、薬莢、火薬、雷管を一つに加工して用意することができない。つまり連射や狙撃ができない。

 

そうなるとマシンガンのような連続射撃やライフルのような遠距離狙撃ができないため、どうしても集団での一斉掃射ぐらいでしか戦えないのだ。

 

必然、部隊が潜伏できるような山間部や森の中でしか運用することできない。

 

よって繰り返しになるが、今回のような汽車の中では、銃で戦うよりも日輪刀で戦う以外に方法がないわけだ。

 

赫刀は依然として万力の握力や日輪刀同士の衝突力がないと発現できないが、柱二人もいるわけだし、大概の鬼は何とかなるだろう。

 

加えて、炭治郎の報告が本当なら、禰豆子の血鬼術でも赫刀は発現が可能なようだ。

 

仮に上弦の鬼が出たとしても、ある程度は優位に立ち回れるだろう。

 

 

「本当はもう一人柱がいれば憂いはないんだがな。上弦の鬼は最低柱三人はいないと太刀打ちできないって言うし・・・」

 

「うむ! 本当は甘露寺も連れてきたかったのだがな!! 流石に列車の中で甘露寺の日輪刀は振り回せないから今回は連れて来れなかった!!」

 

「甘露寺さんの日輪刀って普通の刀と違うんですか?」

 

 

炭治郎が疑問に思い、煉獄に尋ねる。

 

 

「ああ! 薄くしなやかに曲がる帯のような日輪刀だからな!! 列車も一緒に切ってしまうだろう!! ワハハ!!!」

 

「実際笑い事じゃないだろ・・・鬼を斬る前に乗客に死人が出る・・・」

 

「そ・・・そうなんですね・・・そんな刀を使いこなせるなんて・・・」

 

 

俺達が話し込んでいると、後ろから車掌さんが現れる。どうやら切符の確認をしているらしい。

 

切符に切れ込みを入れてもらう瞬間、何だか嫌な予感がした。産屋敷の直感だろうか。

 

待ったをかける前に、パチンという切込みの音がして、俺は瞬くまに意識を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん・・・俺は何をしていたんだっけ・・・確か汽車の中にいたはずなんだが・・・

 

 

「雁哉さん。起きてください。早くしないと学校遅刻しますよ?」

 

 

誰かが俺の体をゆする。徐々に意識が覚醒する。

 

 

「雁哉さんのお母さんに頼まれてるんですから。早く起きて朝ご飯食べて下さい。」

 

 

俺は目を開ける。すると目の前に、見知った顔があった。

 

 

「・・・瞳・・・!?」

 

 

俺は目を見開き、跳ねるように上体を起こす。一瞬腰の日輪刀を握ろうとするが、そんなものはなかった。

 

俺の様子を不思議に思ったのか、目の前の彼女は首を傾げる。

 

 

「そうですよ? もしかしてまだ寝ぼけているんですか? 雁哉さん。」

 

 

そんな俺を見て笑っているのは、俺の一個下の彼女、神代瞳だ。

 

俺が小学校の時、カナトが同じ神職の家系の知り合いがいると教えられて、それで出会ったんだ。

 

俺は中学の時に瞳に告白した。瞳は最初戸惑っていたが、最後には頷いてくれた。

 

それから、俺たちはお互いの家に上がるまでの仲になった。

 

今では親公認の仲なため、瞳はこうして俺の部屋まで毎朝迎えに来るようになった。

 

カナトはそんな俺たちをからかうでもなく、いつも嬉しそうに眺めていた。

 

 

「なんだろう・・・ずっと長い夢を見ていた気がする・・・」

 

「・・・! 雁哉さん。どうして泣いているんですか・・・!?」

 

「え・・・?」

 

 

俺は頬に触れる。濡れていた。泣いている自覚なんてなかったのに。

 

 

「・・・怖い夢でも見たんですか?」

 

「・・・いや、何も思い出せない・・・なんでだろうな・・・」

 

 

瞳は俺を心配して、学校を休むよう言ってきたが、俺は平気だと言い張り、その日は登校することになった。

 

俺とカナトと瞳は、毎朝一緒に登校した。俺たちの学校は中高一貫だったから、俺が高校生になってもそれは変わらなかった。

 

昼間は授業を受けて、放課後は剣道部で汗を流す。瞳は部活で美術室にいたり、図書室にいたりとまちまちで、俺とカナトの練習が終わるまでよく待っててくれていた。

 

今日も練習を終え、ふと剣道場の壁を見た際、飾ってあった木刀が一瞬日本刀に見えた。

 

俺が目をこすり、再び確認するといつもの木刀にしか見えなかった。俺は疲れているのだろうか。

 

今日は早く帰ろうと思い、その場を去ろうとすると、部の先輩から声を掛けられる。

 

 

「雁哉。大会も近いし、最後に一勝負しないか?」

 

「・・・はい。白峰先輩・・・」

 

 

白峰先輩は日本人なのに白髪で長身だ。

 

白峰先輩が言うには、明治生まれの祖先が日露戦争の旅順攻囲戦に陸軍第七師団の歩兵として参加して、その時の心的外傷で白髪になり、それが目の前の先輩に遺伝したとのことだ。

 

はじめて聞いたときは意味が分からなかった。ストレスで白髪になるとその子孫まで白髪になるのか?

 

そんなはずないのだが、この人は冗談めいた口調で本当のことを言うから嘘か真かわからなかった。

 

白峰先輩は、その恵まれた体躯と天性の剣の腕で、高校一年の時からずっと個人戦で全国大会に出場し続けている。

 

そんな人がわざわざ入部したての俺と勝負・・・?

 

この人の意図はさっぱりわからなかったが、貴重な経験だと思い、俺は再び防具を着用し、白峰先輩と向き合う。

 

俺がすかさず面を打ち込むがあっさりいなされる。

 

 

「ダメだな。こんなんで上弦に勝てると思ってるのか?」

 

「は? 上弦?」

 

「最低でも透き通る世界ぐらい見えないと、黒死牟は勿論、猗窩座にすら勝てないんじゃないか?」

 

「黒死牟? 猗窩座? 一体なんの話をして・・・!」

 

「いつまでこんなつまらない夢を見ているつもりだ。柱なら、下弦の鬼の術ぐらいあっさりと破って見せろ。じゃなきゃ死ぬぞ。」

 

「っ!」

 

 

突如、白峰先輩の竹刀が日本刀に変わる。俺はすかさず後ろに下がる。俺は自身を確認すると、日輪刀と隊服に羽織を着ている姿になっていた。

 

 

「ほら、さっさと頸を斬って自害しろ。そうすればこんな血鬼術すぐ破れる。そしたらとっと下弦の鬼を殺してこい。もうじき、上弦の鬼が来るぞ。覚悟を決めるんだな。」

 

「・・・!!! 白峰先輩・・・あなたは・・・」

 

「今の俺はお前の意識が創り出した幻だ。本物の俺はこんなに親切じゃねぇぞ。さっさと起きるんだな。それと、透き通る世界は戦闘中ずっと使えるようにしとけ。死にたくなかったらな。」

 

「・・・上弦の鬼・・・まさか黒死牟が来るのか!!??」

 

「さあな・・・でも幻の俺がそう言うなら、お前の産屋敷の直感がそう言ってるってことなんじゃねえか? 死なないよう精々頑張るんだな。」

 

 

すると、俺の周りの景色が全て消え去る。俺は白峰先輩の幻の言葉を信じて、自身の頸を斬り落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付けば無限列車の中だった。だが、周囲は肉塊だらけで、眠ってる乗客を襲おうとしている。

 

俺はすかさず日輪刀を抜き、車両内部にありったけ斬撃を入れる。

 

状況は呑み込めないが、これは鬼の仕業に違いない。とにかく市井の人に被害がでないようにしなければ・・・!

 

俺がそう思考していると、すさまじい断末魔と揺れが響き渡る。列車が横転しようとしている。

 

 

 

ー月の呼吸 陸ノ型 常世弧月・無間ー

 

 

 

俺はすぐさま列車を飛び出し、ありったけの斬撃を列車の側面にぶつけ、脱線を防ごうとする。

 

目の端に、煉獄も同じことをしているのが見えた。結果、列車の脱線は防げなかったが、想定したよりは安定したまま、列車は止まった。

 

 

「炭治郎!!! どこにいる!!!」

 

 

俺は声を上げ、周囲を走り回った。頭の中で警鐘が鳴っている。心臓の鼓動が嫌に騒ぐ。悪寒が止まらない。

 

夢の中で白峰先輩が言っていたことが気になって仕方がない。

 

もし、炭治郎が鬼と会敵して、その鬼を通じて無惨や上弦の鬼が見ていたのなら・・・

 

一刻の猶予もない。俺はそう確信していた。

 

 

 

ベベンッ!!

 

 

 

少し離れた場所にふすまのようなものが浮かび上がる。その傍には煉獄と炭治郎が居て、その二人が振り返った先に、侍のような姿をした男が現れる。

 

 

「その耳飾り・・・お前か・・・日の呼吸を使う剣士というのは・・・」

 

 

俺は煉獄の傍に駆け付ける。

 

目の前の侍らしき男の目は六つもあり、そのうちの二つには、『上弦』『壱』と刻まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 




ここで兄上の登場です。ずっと前から雁哉君vs黒死牟は早めに書こうと思ってました。もう45話だけど・・・
ちなみにオリキャラが二人でました。
瞳ちゃんは雁哉君の彼女です。白峰先輩は剣道部の先輩です。彼の祖先は陸軍第七師団の鶴見中尉と縁があったとかなかったとか。もしかしたら金塊争奪戦に参加してたかもしれませんね(妄想)。
さて、黒死牟が出た時点で、普通に考えて圧倒的に戦力が足りない雁哉君たちですが、果たして彼は産屋敷家の末裔として雪辱を果たすことができるのでしょうか!? 次回へ続く・・・


追記:次回は番外編とします。理由は無惨側の様子の描写を早々にした方がいいと思ったからです。続きを楽しみにしていた方はすみません。一話分お付き合いください。
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