輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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出だしだけ雁哉君視点で、それ以外は悲鳴嶼さん視点です。ちなみにですが、気が付けば投稿始めて一か月経ってましたね。始めた時は47話も投稿することになるとは夢にも思ってもいませんでした。一週間くらいで毎日投稿もリタイアするかと思ってたのですが、意外と継続できるものですね。できれば100話までには本小説を完結させたいのですが、果たしてどうなることやら。流石に終盤は投稿が数日おきになるかもしれません。筆者の拙い書き物ではありますが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しい限りです。今後ともよろしくお願いいたします。


47話 最強対最凶

「こちら不死川ァ、悲鳴嶼ァ、応援要請のあった地点に現着ゥ、上弦の壱、黒死牟らしき鬼と遭遇ゥ、只今より討伐を開始するゥ・・・」

 

 

黒死牟の正面に悲鳴嶼さん、炭治郎たち、動けない俺と煉獄と続き、さらに後ろから不死川さんがカナト制作の無線機を背負って現れる。

 

どうやら炭治郎の救難信号は届いたようだ。正直増援としてこれほど頼もしい二人はいない。

 

 

「不死川。無線機を竈門たちに渡して、その子供たちに間と煉獄の傷を治療させろ。特に間は一刻の猶予もない状態だ。時間稼ぎは私が引き受ける。」

 

「はい。悲鳴嶼さん・・・オラ竈門ォ! 我妻ァ! 嘴平ァ! 間と煉獄を汽車の方まで運べェ!! 特に間は雑に扱うんじゃねぇぞ!

 羽織で担架作って安全に運べェ! 治療道具は一式渡すから、絶対に死なせるんじゃねぇぞ!! わかったら返事しろやァ!!!」

 

「は、はい!!!」

 

「うし! 運べェ!!」

 

 

そうして俺は汽車の方へと運ばれていった。気が付くとそこには何人か隠の者たちが集まっていた。事故に巻き込まれ怪我をした乗客の手当てをしているようだった。

 

俺はそれを肉眼で確認し、俺は目を閉じて炭治郎たちに治療を任せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は日輪刀の鉄球を手元で振り回し、その回転速度を徐々に上げる。

 

目の前の鬼、上弦の壱、黒死牟はそんな私の様子を見て笑い、震えている。武者震いでもしているのだろうか・・・

 

私は呼吸をより深くし、しばし奴とにらみ合う。ここはやはり先手を打つべきだろう。

 

私は回転速度を上げ切った鉄球を黒死牟に投擲した。奴は最低限の動作で横に躱し、刀を構える。その瞬間、奴の六尺はゆうに超える刀が半ばで折れる。

 

好機と判断し、手斧を投擲する。奴は再び最低限の動作で薙ぎ払いの一撃を躱す。

 

両手の武器を手放した私を見て、今度は奴の好機と判断したらしい。真っすぐ突進してくる・・・と同時に私は鎖ごと踏みつけて地を割る。

 

 

 

 

 

ー岩の呼吸 弐ノ型 天面砕きー

 

 

 

 

奴の頭上に鉄球を落とす。黒死牟はそれを横に跳んで躱し、こちらに向き直る。

 

私はすかさず鎖を奴の頸周辺に巻きつけようと放つ。黒死牟は一度刀で頸が締まるのを防ごうとするが、鎖が切れぬと判断し、上体を下げて回避する。

 

私の武器は全て最高純度の猩々緋砂鉄及び猩々緋鉱石より作られたもの・・・鬼の作り出した武器で防げるはずがない。

 

奴はすかさず私に肉薄し剣を振るう。太刀筋は間との稽古で何度も見た月の呼吸の一閃。

 

私は刀の軌道周辺を切り裂く斬撃も考慮して危なげなく頭上に躱し、空中で体を捻りながら鉄球と斧の投擲を交互に放つ。

 

黒死牟が私の武器を見て、間合いに入ろうとしているのは明らか。奴は刀を上段に構えるが、すかさず鎖を巻き付け、刀をさらに半ばで折り、短くする。

 

奴はこちらに再度突進するための予備動作に入る。少し構えが異なるが、これは間が放った弐の型に相違ない。

 

 

 

 

ー月の呼吸 弐ノ型 珠華の弄月ー

 

 

ー岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征ー

 

 

 

 

 

奴の剣と私の鎖が左右交互に激しく打ち合い周囲に土煙が舞う。

 

私は一度下がり、距離を取った。やはり間の剣速と膂力の比ではない。凄まじい速度と破壊力だった。

 

 

「折られた所で・・・すぐに再生するのだ・・・攻撃は無意味・・・哀れな・・・人間よ・・・」

 

 

奴は衣服が一部裂けた程度の損傷。対して私は致命傷ではないものの、体のところどころが流血していた。

 

黒死牟は再生させた刀身をこれ見よがしに見せつけてくる。実力の差は歴然と言いたいのだろう。

 

せめて、一瞬でも隙があれば・・・

 

 

 

「遅れました悲鳴嶼さん!! 俺が少しの間壁になるんで、赫刀を使ってください!!!」

 

 

丁度いい頃合いで不死川が戻る。私は不死川の背後へと下がる。

 

 

 

 

ー風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹ー

 

 

 

 

不死川が黒死牟と切り結んでいる間に、私は鉄球と斧を打ち付ける。甲高い音と火花を散らして、私の日輪刀は赤く変色していく。

 

黒死牟はその様子を見て目を見開く。しかし、その隙をついて不死川が畳みかける。

 

 

 

 

ー風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風ー

 

 

 

 

爪の引き裂きに似た風の斬撃が迫るが、黒死牟は刀を一閃させ切り払う。

 

 

 

 

ー風の呼吸 伍ノ型 木枯らし颪ー

 

 

 

 

その一瞬で不死川は肉薄し、打ち下ろしの一撃を放つ。防御に回った黒死牟は動きを止める。

 

 

「っ!!!」

 

 

黒死牟は膝をつく。私の斧の投擲による足への薙ぎ払いにより、片足のくるぶしより下を失ったためだ。

 

 

 

 

ー月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦ー

 

 

 

 

しかし、黒死牟は不死川と刀のつばぜり合いをしたまま、周囲に渦を巻くような月の呼吸の斬撃を放つ。これは恐らく血鬼術によるもの・・・!

 

回避した不死川と距離を取るため、奴は片足のまま、地面をけって後ろに下がっていく。

 

 

「異なる呼吸の使い手同士で・・・さらにはこの速度の戦いで・・・連携してくるとは・・・」

 

「柱同士で稽古しといてよかったなァ! 悲鳴嶼さんよォ!!」

 

「うむ。」

 

 

黒死牟は片足の損傷を気にしてか、その場を動こうとしない。

 

 

「上弦の壱、黒死牟・・・お前は確かに強い・・・しかし、赫刀による損傷は例え上弦であっても再生できぬ。自切して再生しようとすれば、その隙をついて頸を刎ねる。」

 

「ハッハア!! 間が情報共有した赫刀ってのは強力だぜェ!! これで俺たち人間と鬼との間で、体の損傷については五分五分だからなァ!!!このまま削り切って殺してやるぜェエエエ!!!!!」

 

 

不死川はこれ以上ないと言わんばかりに上機嫌だ。しかし、そんな私たちの様子に黒死牟は動じることがない。

 

やがて刀を掲げると、再び刀身が六尺以上に伸び始める。

 

 

「ならば近づかせないまで・・・」

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 漆ノ型 厄鏡・月映えー

 

 

 

 

 

一振りで複数の斬撃が大地を伝い私たちにまで届く。距離は三十から四十尺以上離れていたはずだが、回避が遅れた不死川は斬撃の余波を受け鮮血が散る。

 

 

「不死川!!!」

 

「問題ねぇって、悲鳴嶼さんよォ!! むしろ好都合だぜェエエエ!!!」

 

 

ふいに黒死牟の状態がふらつく。刀身を地面に着けて平衡を保っている。

 

 

「お前・・・稀血か・・・それも相当な・・・」

 

「ハァアア!! ふらついてんじゃねぇか! ざまあねえなァ!! 稀血の中でもさらに希少な血だぜ!! 存分に味わえ!!!」

 

 

 

 

ー風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐ー

 

 

 

 

下段より振り払われる不死川の斬撃に黒死牟は片足で地を蹴り、刀を引きずって後方へと下がる。

 

 

「微酔う感覚も何時振りか・・・愉快・・・さらには稀血・・・」

 

 

不死川が押し込む背後から、私も距離を詰める。しかし、黒死牟は不死川の稀血に適応したのか、すぐにふらつかなくなり、不死川の刀を残された足で踏みつけて地面に打ち込む。

 

 

「っ!!!」

 

 

引きずる刀を持ち上げようとする黒死牟に私は鉄球を投擲する。

 

 

 

 

ー岩の呼吸 壱ノ型 蛇紋岩・双極ー

 

 

 

 

赫赫と赤く発光する鉄球は螺旋を切り、黒死牟へと放たれる。黒死牟は持ち上げた刀で受けるものの、赫刀と化した鉄球に刀身は砕かれ、鉄球は奴の左肩に直撃し、肉を削りえぐり取る。

 

 

「っぐううううううあああああ!!!!!」

 

 

苦痛のうめき声をあげ、黒死牟は片足で地面を強く蹴ってかなり離れた位置まで後退する。

 

 

「まだだ!!! 畳みかけろ!!! 頸を・・・頸を斬るまでは・・・!!!」

 

 

私と不死川は駆け、距離を詰めようとする。その時、黒死牟より声が聞こえた。

 

 

「そうだ。その通りだ。」

 

 

瞬きの間に周囲に突風が吹いたかと錯覚した。その瞬間、私と不死川の全身から血が噴き出す。土煙が舞っているが、それもすぐにおさまり攻撃の正体が判明する。

 

 

「恐らくお前たち二人が・・・柱の中でも実力上位・・・貴様ら二人を討ち果たしてしまえば・・・残りの柱はたやすく済みそうだ・・・」

 

 

黒死牟の刀は再び六尺以上に伸びていた。赫刀で砕いたにも関わらずになぜ・・・!

 

 

「言ったはずだ・・・折られた所で・・・すぐに再生するのだ・・・攻撃は無意味・・・

 距離さえ一度取ってしまえば・・・肉薄されるまでの間に・・・刀身も足も赫刀で切られた断面を握りつぶすことでいともたやすく元通り・・・」

 

 

黒死牟の足も同様に再生している。砕いた左肩のみそのままだが、黒死牟は片手で悠々と異様に長い刀を掲げている。

 

 

「痣者ですらないお前たちでは・・・私の動きについてこれぬ・・・加えて透き通る世界が見えるかの有無で・・・反応速度にも大きな隔たりがあるのだ・・・

 もうお前たちの攻撃は私には届かぬ・・・」

 

 

間が言っていた透き通る世界・・・敵の体が透けて見え、動作の前から相手の動きを読むことができるという至高の領域だったか・・・!

 

間自身も柱全員に要領を教えようと必死だったが、一度到達した間ですら、死を実感するほどに追い込まれた極限の集中状態でなくば再現できないようだった。

 

しかし、目の前の黒死牟は、常時その状態を継続できるというのか・・・!! なんという人外の成せる離れ業か・・・!!!

 

 

「先ほど切り刻んだ産屋敷の血を引く柱は・・・私の攻撃をかいくぐり日輪刀を私の胴体に突き立てたが・・・お前たちはどうだろうな・・・」

 

「っ!!!」

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 捌ノ型 月龍輪尾ー

 

 

 

 

 

 

一薙ぎで周囲一帯が月の呼吸の斬撃で埋め尽くされる。凄まじい間合いの広さ! 私の日輪刀でもこれでは届かない!!

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 玖ノ型 降り月・連面ー

 

 

 

 

 

 

浴びせられるような斬撃の幕が私たちに振り下ろされる。私は比較的離れた距離にいたため躱せたが、攻めに転じようとしていた不死川が攻撃を喰らい、あちこちが裂け鮮血が飛ぶ。

 

 

「不死川ーーーーーー!!!!」

 

「悲鳴嶼さん!! 俺に構わず戦ってください!!! このままではジリ貧です!!!」

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 拾ノ型 穿面斬・蘿月ー

 

 

 

 

 

夥しい数の斬撃を渦のようにまとった旋盤状の攻撃が不死川に迫る。不死川は地面に手を着き、とても躱せるような状況ではない!!

 

 

「っ!!??」

 

 

しかし、その不死川を横から一陣の影が通り過ぎ、彼を災禍より逃がした。不死川よりずっと小柄の少年が脇で支える。

 

 

「時透!!??」

 

「不死川さん!! 無事ですか!!??」

 

「馬鹿野郎が!! すぐに回避態勢に移りやがれェ!!!」

 

「っく!!!」

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 拾陸ノ型 月虹・片割れ月ー

 

 

 

 

 

辺り一帯に月の呼吸の斬撃が豪雨のように振り落とされる。地面はひび割れ、土煙があがる。

 

煙で私たちの姿が隠れてもなお、奴は攻撃をやめなかった。

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 拾肆ノ型 兇変・天満纎月ー

 

 

 

 

 

 

煙で視界が皆無な中、周囲すべてを飽和するかのような斬撃が台風のように吹きすさび、私たちのいる一帯を根こそぎ薙ぎ払う。

 

 

「がはっ!!!!」

 

「ぐはっ!!!!」

 

「うああああ!!!!」

 

 

私も不死川も時透も・・・誰一人躱せず負傷しその場を這いつくばる。私と不死川は全身を切り刻まれているものの、手足の欠損はなかった。

 

しかし、時透の傍には弟の無一郎を庇ったであろう兄の有一郎がおり、彼は両足を失い、弟に覆いかぶさっている。最も重症なのは明らかで、血が流れ続けている。

 

 

「兄さん・・・どうして・・・」

 

「馬鹿野郎が・・・俺がお前を守るって約束したのを忘れたのか・・・!? 兄貴なら庇って当然だろうが!!!」

 

 

弟の無一郎は涙を流して嗚咽を漏らす。そんな中、煙が晴れる中を黒死牟が見渡していた。

 

 

「ほう・・・まさか私の子孫にまで会えるとは・・・今日は実に趣がある日・・・感慨深き事・・・」

 

 

黒死牟はそんな時透兄妹に驚きの事実を投げかけるが、やがて私たちに視線を移し話し始めた。

 

 

「ふむ・・・産屋敷の血を引く柱の時と概ね同じ手順で攻撃を仕掛けたが・・・誰一人私には届かなかったか・・・

 やはりあの者は鬼にして私の継子にしよう・・・今では童磨も猗窩座もあの方に数字を落とされ上弦の陸となった・・・一人でも多く見込みのあるものは鬼にすべきか・・・」

 

「はっ!! ふざけんじゃねぇ!! ここにいる奴で誰一人鬼の勧誘なんざ承諾する馬鹿はいねえよ!!! 命欲しさにてめえみたいな悪鬼に平伏してたまるか!!!」

 

 

不死川が全身から血を流し立ち上がる。私も呼吸で止血し同様に続く。その様子を黒死牟は怪訝な様子で見ていた。

 

 

「命云々のつまらぬ話をしているのではない・・・鬼となることで肉体の保存・・・技の保存ができるのだ・・・何故それがわからぬ・・・愚かな・・・」

 

「わかるはずもなし。我らは人として生き人として死ぬことを矜持としている。貴様の下らぬ観念を史上のものとし他人に強要するな・・・!」

 

 

私は黒死牟の主張に異を唱える。鬼殺隊の柱として、たとえ死すとも屈するわけにはいかぬ・・・!

 

 

「ほう・・・」

 

 

黒死牟は感心しているのか、嘲笑しているのかわからないような顔で我々を眺める。

 

 

「何を言うかと思えばそのようなこと・・・私は何一つ間違ったことを言った覚えは・・・」

 

「お前はなぜ鬼になることを推奨する? 技の保存がどうとか言ってたが、そういうお前が300年以上も研鑽を積み未だ鍛錬を続ける理由は一体なんだ? 縁壱さんに対抗意識でも燃やしているのか?」

 

「っ!!!」

 

 

黒死牟は背後からの声に振り返る。そこには全身を包帯で巻かれ、血を滲ませている間が、炭治郎たちの制止を振り切って近づいてくるところだった・・・!

 

 

 

 

続く

 

 




次回で無限列車編は決着します。恐らく多くの方の想定とは違う終わり方をすると思います。批判もでそうですが、筆者が書きたかった内容でもあります。ご容赦いただければと思います。
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