輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話 作:科学大好き人間
あとDr.STONE要素あります。一応調べて書いてますが、間違ってたらすみません。アニメもアメリカ編始まりましたし楽しみです。
「派手に伸びしろのあるやつだな。間。」
「・・・どうも。」
ここはとある山の火口付近。周囲には爆炎による黒煙が立ち込めるが、決して火山の噴火が起きたわけではない。
第一ここは死火山だ。噴火など起きない。これは人為的によるものだ。
目の前の大男がどこから取り出したのか黒い丸薬を周囲に投げつけ突進してくる。
ー音の呼吸 伍の型 鳴弦奏々ー
再び周囲が爆炎及び爆音に包まれる。俺は刀を鞘に納め、爆風に巻き込まれないよう背中を見せてでも全力で距離を取る。
「納刀したまま背中見せたらやられるぞ!」
俺の背後に騒音の発生源、宇随さんが出現する。
俺の頭上へと二節棍のように鎖でつながれたバカでかい出刃包丁のような日輪刀が振り下ろされる・・・が、
ー月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮ー
俺は振り返りざまに抜刀し、打ち下ろしの一撃を切り払う。
「うお!」
宇随さんは、刀がはじかれた途端距離を取る。
俺は刀を再度納刀する。
「おいおい、その呼吸の型、どういう原理だ? 抜刀した途端、太刀筋とは別の斬撃が周囲に飛んできたぞ。」
呆れる宇随さんだが口元は笑っている。
今の技の精度では、柱なら難なく見切れるようだ。
「ええ、まあ。風の呼吸の応用ですかね。斬撃の速度で周囲の空気に影響を与えてるんだと思います。」
「だと思うってなんだそりゃ? 自分で使ってるのにわからねぇのか?」
「産屋敷の大昔の記録簿に断片的に残ってた文章を参考に再現したものなので、正直原理はわからないんですよ。」
そう。月の呼吸はほとんど記録に残っていないため、我流で再現するしかなかった。
そもそも一太刀で複数の斬撃を周囲にまき散らす芸当など、どういう理屈で成り立っているんだ。
正直、自分でもなぜ使えるのかわからない。
全集中の呼吸を常時行い、体を可能な限り鍛え上げ、一日1万回の素振りを大昔の記録を参考に太刀筋を意識して繰り返していたら、なぜかできるようになった。
だから説明を求められても詳細は何も言えないのだ。
加えて、現在使えるのは壱ノ型のみ。
戦国時代に存在した月の柱はさらに多くの型を扱ったそうだが、如何せん記録が少なすぎる。
壱の型の記録ですら産屋敷当主のみに伝えられる極秘書類の中に辛うじて記載があっただけだ。
今後を考えると、新しい派生の呼吸を開発すべきかもしれないが・・・
「正直、体には合ってるんですよね。加えて風の呼吸より殺傷能力が高いので、原理はわからなくても使い続けようとは思っています。」
「はっ! いいね! 何よりも派手な太刀筋してっからなあ!!」
再び、宇随さんは俺に向かってくる。俺もそれを迎撃する。
こんな感じで、宇随さんの稽古は実践形式だった。
最初は音の呼吸を教えると息巻いていたが、俺が火薬玉を刀で切り付けて爆破させる度に耳を塞いで動けなくなるのを見て諦めたようだ。
正直、ヌンチャクもとい二節棍のような武器を使いこなす曲芸じみたスキルなど俺にはない。
こちとら平成の剣道部所属の元男子高校生だ。使えてもせいぜい普通の日本刀までだ。
きっと、月の呼吸の方が動きが基本に忠実だから、俺に合う気がする。そう確信している。
やがて、宇随さんの手持ちの火薬がなくなったのか、稽古は終了となった。
俺は蝶屋敷に来ていた。理由はカナトと合同で進めていることがあるからだ。
俺は薬と包帯を受け取り、宇随さんとの稽古でできた軽めの火傷の治療をしながら待った。
しばらくすると、カナトが俺のいる診察室に顔を出した。
「待たせてごめんね。」
「いや、問題ない。それで進捗は?」
俺はカナトに尋ねる。そうすればご機嫌な声色で回答が返ってきた。
「硫酸と硝酸は産屋敷家の伝手で手に入ったよ。蝶屋敷にはしのぶさんが余らしてるガラス器具もあるから作ろうと思えば作れると思う。」
「わかった。あとは珪藻土か? もっといいのがありそうだが、くれぐれも爆死だけはしないでくれよ。」
「最大限気を付けるよ。一応この時代の7年くらい前から群馬で国産の発破生産が始まっているらしいんだけど・・・」
「ふっ・・・鬼殺隊は政府非公認組織だぞ。大量に発注依頼できるわけないだろう。」
「だよね~。まあ、鬼殺隊で生産体制ができるのは何年後になるかわからないけどね。お金だってかかるだろうし。」
「そこは俺たちが柱になればいくらでも産屋敷家のポケットマネー使いまくれるだろう。鬼を倒すためならあの人は必ず了承する。」
「了解。しばらくは僕の方で試作品試すね。他にもマグネシウムとかあれば閃光弾とか作れるだろうし。」
「どうせなら音響閃光弾を作ろう。鬼とはいえ視覚と聴覚麻痺させればかなり弱体化させられるはずだ。」
「いや~。あんまり音だすと市井の人に鬼殺隊の存在ばれるんじゃない?」
「そうか。そうなるとダイナマイトもかなりグレーだが、山奥の戦闘でなら使えるかもな。」
俺たちは今二つの計画を進めている。一つは火器・兵器の自作生産。そして、もうひとつは・・・
「それよりも、雁哉の方はどう? 輝哉さんには相談できた?」
「ああ、とりあえず試験的に、今年大勢入隊した隠の隊士から、何人か動けるやつらを捻出してもらえることになった。」
「将来的には、工兵みたいな遠距離支援部隊ができるといいね。」
「狙撃で鬼が殺せるなら、そういう専門部隊を作るべきなんだろうが・・・」
「まあ、せいぜいは地雷原の準備とその地点までの誘導くらいかな。うまく機能すれば呼吸が使える隊士が一人いれば、雑魚鬼には負けなくなるね。」
「まあ、どちらにしても、俺たちの実績次第だろう。これで任務の生存率が跳ね上がれば、次の計画に進めるだろう。」
「いや~。まさかここで雁哉のハリウッド映画鑑賞で培った知識が生きてくるとはね。人生何があるかわからないねぇ。」
「お前こそ、某文明復興漫画の知識フル活用してるじゃねぇか。お互い様だ。」
「いや~。実現したらファンタジーに科学で勝てるようになるね~。あの台詞のように・・・」
「おい。それ以上は言わなくてもいいわ。すべてはうまくいってからだろう?」
「うん。そっちはよろしくね~。」
こうして俺は蝶屋敷を後にした。正直現時点では皮算用でしかない。ただ、なんとなくうまくいく気がする。
最近になって、産屋敷家の勘のようなものがよく働くようになってきたようだ。
続く