輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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しのぶさん視点です。ついにしのぶさんも遊郭に潜入します。それと17話までのサブタイトルを変更しました。読み直す方がいたらご不便をかけます。序盤あまりにも適当に名前付けしてたのでこの際変えました。


52話 薬売り

「鬼の候補がある程度絞り込めた。俺と稲葉の作戦に従い、今後お前たちにも協力してもらう。胡蝶もそれでいいか?」

 

 

稲葉君が吉原に長期任務に行ってから二か月以上経った。そんなある日、宇随さんが蝶屋敷に戻ってきた。

 

大事な話があると言われ、私とカナヲ、炭治郎君、善逸君、伊之助君の五人は蝶屋敷の道場に集められる。

 

そこで、任務の状況を共有され、私たちに増援として来てもらいたいとの申し出をされたのだ。

 

私は最初戸惑った。てっきり遊女として潜入を強いられると思っていたからだ。みんなには恥ずかしくて言えないが、私の(みさお)は稲葉君のために取っておきたかった。

 

例え任務のためとはいえ、見ず知らずの男の人に捧げたくない。何か理由をつけて断ろうと思考を巡らせている矢先、薬売りとして潜入してほしいとの話を聞いて、私はほっとした。

 

その話が出るまで、私は相当に緊張していたのだろう。手汗も凄かった。その様子を見て宇随さんは笑う。

 

 

「お前を遊女として潜入させるなんて言ったら、下手すると俺が稲葉に殺されるわ。そんな過度に心配すんなよ。」

 

 

どうやら宇随さんには全て私の考えていることがお見通しだったようで、私は思わず顔が赤くなる。幸い、この場でそれに気づいているのは宇随さんだけだった。

 

他の子たちにバレてたら、きっと恥ずかしさで任務どころではなかっただろう。

 

 

「わかりました。稲葉君と宇随さんの奥様達の頑張りを無駄にはしません。最善を尽くします。」

 

 

私はそう言って、遊郭に薬売りとして潜入するための準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サルファ剤ねぇ・・・聞いたことない薬だけど、本当に効くのかい?」

 

「はい。感染症の類に限定すれば、幅広く効果があります。肺炎から梅毒まで効き目は期待できますよ。如何ですか?」

 

「わかった。試しに使わせてもらうよ。効き目があれば、次回からは金を払ってでも買わせてもらうから。」

 

「はい。今後ともよろしくお願いしますね。」

 

 

私は現在、この店の女将さんに薬の売り込みをしていた。怪訝な反応だったが、お試しの分はお代はいらないと伝えると、意外とすんなり受け取ってくれた。

 

今後、遊女たちとも直接会って話す機会があれば、さらに情報収集は進むだろう。

 

 

「ちょうどつい最近、雛鶴という子が病気になったのよ。せっかくだから診察と薬の処方をお願いできるかい?」

 

「っ! はい。いいですよ。その方は今どこに?」

 

「町のはずれの切見世にいるわよ。場所は・・・」

 

「切見世なんて最下級の女郎屋よ。お医者様のお目汚しになるわ。そこまでしてもらわなくていいんじゃない? ねえ、女将さん?」

 

 

私が女将さんから話を聞く直前で、横から艶やかな声が聞こえた。振り向くと、そこには刺々しいほどに着飾った蕨姫花魁がいた。

 

私は内心動揺するが、気取られないよう平静を装う。笑顔を作り、穏やかな口調で話す。

 

 

「しかし、ご病気の方がいらっしゃるなら私どもで力になれるかと。薬が効かなければお代は結構ですので・・・」

 

「別にお金の話をしているんじゃないわ。高貴な身分のお医者様が足を踏み入れるような場所じゃないって言ってんのよ・・・!」

 

「こ、こら! 蕨姫花魁・・・! お医者様に失礼だろう? そんな言い方・・・」

 

 

蕨姫花魁は眉間にしわを寄せ、女将さんを睨む。その凄みに女将さんは押し黙ってしまう。

 

 

「どうしても余計な人助けがしたいなら、他の店をあたることね。きっと歓迎されるわよ?」

 

「はあ・・・そうですか。まあ無理にとはいいませんが・・・」

 

 

私はその場から少し下がり、お辞儀をする。

 

 

「また来週もお伺いいたします。薬がお役に立ちましたら、遠慮なくまた申しつけください。それでは。」

 

 

そうして、私は京極屋をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結論から言うと、蕨姫花魁は鬼で間違いありません。会って気配で確認しました。店の外で待機していた炭治郎君と善逸君、伊之助君の五感でも同様に確証が得られたようです。

 上弦の鬼かは判断ができませんでした。炭治郎君たちの反応からして、十二鬼月の下弦以上の強さは間違いなくあるようです。

 それと、宇随さんの奥様の一人、雛鶴さんが今病気で切見世に送られたそうです。会いに行こうとしたら蕨姫花魁に止められました。

 もしかしたら、鬼であることに気づいて、蕨姫花魁に怪しまれて手を打たれたのかもしれません。日中に救助に向かうことを勧めます。

 現在、カナヲたち四人に京極屋周辺を見張らせていますが、これからどうしますか?」

 

 

私は、藤の花の家紋の家で宇随さんと合流し、一通りの報告をした。宇随さんは顎に手を当てている。

 

 

「よし。ひとまず今夜俺が闇に乗じて蕨姫花魁を暗殺する。下弦なら何事もなく倒せるだろう。ただ、もし上弦なら俺が返り討ちに遭う可能性もある。その時は、お前ら全員で協力して鬼を殺せ。わかったな?」

 

 

宇随さんはそういうと、その場を立ちあがる。

 

 

「先に雛鶴を助けにいくか。もしかした鬼がさらった人たちの情報を知ってるかもしれない。」

 

「先に救助に向かわれますか? 蕨姫花魁に気づかれるのでは?」

 

「もし気づかれたとしても、竈門たちが見張ってるんだ。逃がす心配はない。それに奴が動くとしたら夜だ。今のうちに助けに行く。」

 

 

そう言って、宇随さんはその場を去ろうとする。

 

 

「稲葉君には私から今夜決行の旨を伝えますね。」

 

「ああ、頼む。できればまきをにも伝えてくれ。」

 

 

そう言い残し、宇随さんはその場を去った。思ってた以上に鬼をあっさりと断定することができた。これで何事もなく倒せればいいのだけれど・・・

 

私は上弦だった時のことを考え、手持ちの毒の種類や量を確認する。そうしていると、部屋に白髪の長身の男性が入ってきた。

 

 

「ん? 鬼見つかったか?」

 

「あなたは確か・・・白峰さんでしたか?」

 

「お~。合ってる。まさかこんな美人な子に名前覚えてもらえるなんて感激だな。この後お茶でもどうだ?」

 

「申し訳ありませんが、私は稲葉君と交際していますので、あなたの申し出には応えられません。」

 

「そうか。あいつも隅におけねぇな。こんないい女侍らしてるんだから。」

 

「・・・あのですね・・・! 私と稲葉君は真剣にお付き合いしているんです! そんな言い方しないで下さい!!」

 

「おお、こっわ・・・怒ることないだろ。まあいいや、他にもいい女いるし、そっち誘うわ。」

 

「まさかカナヲのこと言ってますか・・・!? あの子は私の継子です!! 手を出したら承知しませんよ!!!」

 

「大きな声出すなって・・・今二日酔いで頭痛えんだからよ。そんなカリカリしてねぇで小魚でも食いな?」

 

「あなたとは根本的に合いそうもありませんね・・・! 本当になんであなたのような人を稲葉君は連れてきたのか理解できません!!」

 

「そりゃあ俺がお前らよりも強いからだろ? だからあいつも多めに見てくれてるんだろうし、そこは感謝してるけどな。」

 

「心外ですね・・・私は柱ですよ? あなたに後れを取ることなんてありません・・・!」

 

「ふ~ん。カナトは俺に一太刀も浴びせられなかったけどな。お前があいつより強いとは思えねぇけど・・・まあいい、どのみち今夜鬼と戦うんだ。

 そこで俺にお前の強さを証明してくれ。そうしたら少しはお前のことを見直してやるよ。」

 

「っ! あなたに見直されても嬉しくありませんが上等です!! 必ず思い知らせてやりますから!!」

 

「おう、精々頑張りな。」

 

 

そう言って、白峰という男は部屋を出ていった。あんな男が私や稲葉君より強いなんて信じられない!!

 

今夜目に物を見せてやろうと私は決意するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




全国の白峰さんすみません。創作上のキャラの名なので現実の方とは一切関係がないことをご理解ください。
オリキャラの白峰が不遜な態度を取れるのは透き通る世界が見えるため純粋に柱より強いからですね。まあ彼には今後痛い目には遭ってもらいますが・・・一応今後の炭治郎たちのパワーアップイベントの為に生み出した登場人物なので、暫くはお付き合いください。
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