輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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弟のカナト君視点です。本小説の上弦の鬼は黒死牟が死んでからみんな数字が上がっています。加えて無惨から血を追加されているので強くなっています。猗窩座と童磨は以前陸のままですが。ちなみに鳴女は既に肆です。彼女は猗窩座と同じかそれ以上に無惨に気に入られてます。原作以上に鳴女が成長しているので、それによる話の展開の変化も書く予定です。それでは本編どうぞ。


53話 兄妹鬼

「アンタ・・・鬼狩りだったの? しかも遊女の振りしてた癖に男だったなんて・・・! アンタもそこの須磨花魁と一緒に食ってやろうって思ってたのに!!」

 

「はあ・・・どうせ僕は女顔ですよ・・・人のコンプレックスあまり刺激しないでくれる?」

 

 

僕は現在、ときと屋の須磨さんの仕事部屋で目の前の蕨姫花魁だった鬼と相対している。

 

昼間の花魁の格好ではない。裸体を晒すような下着姿に派手なニーハイののようなものと下駄を履いており、腰に巻いた毒々しい派手な模様の帯がうねうねと宙で動いている。

 

それにしても、この時代の女性下着って腰巻だったと思うんだけど、こいつはなぜこんな近代的なもの履いてるんだ・・・まあどうでもいいか・・・

 

そんなことより目には『上弦』『参』の文字・・・僕は内心冷や汗を流していた。

 

今の僕は禿の格好ではない。昼間にしのぶさんから今夜作戦を決行することを聞いていたので、日暮れと共に隊服に着替え、いつもの若草色の羽織を重ね、矛の日輪刀を背負っている。

 

僕は矛を構えたまま、須磨さんを庇うような立ち位置で目の前の鬼に話しかける。

 

 

「上弦の参・・・か。猗窩座はどうなったの?」

 

「猗窩座? あいつは花札の鬼狩りを殺せなかった罰で数字を陸に落とされたわ。そんなことより!!」

 

 

目の前の女鬼から殺気が放たれる。僕はいつでも対応できるよう、防御の構えを取る。

 

 

「アンタ童磨さんの頭をかち割った鬼狩りでしょ!! その矛!! 一目でピンときたわ!! アンタみたいな女男に童磨さんが不覚を取ったなんて信じられない!!」

 

「童磨・・・さん!?」

 

 

僕はあのサイコパスイカレ野郎がさん付けで呼ばれていることに違和感を覚え、反射的にそうつぶやく。

 

 

「お前・・・童磨のなんだ?」

 

「なんだも何も、私たちを鬼にしたのは童磨さんよ! 人間の時、糞みたいな客と女将に生きたまま焼かれて死にかけたところを助けてもらったんだから!!

 そんな童磨さんも、アンタのせいで数字を陸に落とされて散々な目に遭ったわ!! どう責任取ってくれるのよ!!??」

 

「へえ・・・そいつはいい気味だね。あいつは善意で人を食い殺す気違い野郎だったからそれくらいで丁度いいよ。」

 

「ふざけんな! 死ね!! 女男!!!」

 

 

僕の発言が地雷だったようで、その帯の女鬼は複数の帯で僕に攻撃してくる。

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 肆ノ型 穀種争乱ー

 

 

 

 

 

僕は帯の攻撃を全て跳ね返す。帯の女鬼はまさか全て跳ね返されるとは思っていなかったようで、一瞬動揺し、動きが止まった。

 

僕はすかさず須磨さんを抱きかかえて、部屋の窓から外へ飛び出し、建物の屋根に上る。

 

 

「カナデちゃん! 私のことは構わず鬼に集中してください!! このままでは他の人にも被害が・・・」

 

「須磨さん。カナデちゃんって言うのやめてくれない? それに今降ろしたら須磨さんも巻き込まれるだろうね。」

 

 

僕はそう返答し、すかさず横跳びする。すると、今さっき僕がいた屋根の下から、無数の帯が飛び出す。周囲に瓦礫が舞う。

 

 

「うわああああん!! やっぱり降ろさないでください!! 私味噌っかすなんですぐ死んじゃいますぅううう!!!」

 

「うん。だから一旦距離を取るね。」

 

 

僕は屋根を飛び、だいぶ離れたことを確認して須磨さんを地面に降ろす。

 

 

「僕は奴の相手をしにいく。須磨さんは隠の人達と連携して周辺の人達の避難誘導をお願い。ついでに宇随さんも呼んできて。」

 

「はいぃいい!! がんばってくださぁあああい!!!」

 

 

そうしてべそをかいて走っていく須磨さんを確認し、僕はもとの屋根の場所に戻る。そこには既に帯の女鬼がいた。

 

 

「何? わざわざ戻ってきたの? ご苦労なことね。逆に追いかける手間が省けたわ。」

 

「ねえ君。本当に上弦の参なの? 思ってたより弱いんだけど。」

 

「はあ!? アタシは上弦の参よ!! ちゃんと数字だって貰ったんだから!!」

 

「う~ん。猗窩座に比べると雲泥の差だね。僕が少し本気出したら殺せるくらいの強さだと思うけど・・・」

 

「はあああ!? ふざけんじゃないわよ!! アタシは本当は強いのよ!! 柱だって何人も殺してるんだから!!!」

 

「そう・・・でも僕は痣があるから、その人たちよりはずっと強いと思うよ? まあいいや。君も多分、那田蜘蛛山の彼と同じで数合わせなんだろう。

 この程度なら、しのぶさんや宇随さんの力を借りるほどでもないかな?」

 

「ごちゃごちゃごちゃごちゃ五月蠅いわね!!! 他に柱がいたとしても問題ないわよ!! 一人残さず食ってやるから!!!」

 

 

再び帯の攻撃が迫る。十三本。毒らしき赤い液体が染み込んでる。数は多いし、喰らえば危なそうだけど、速さだけ見れば痣を発現した僕からすればひどく温い攻撃だ。

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 参ノ型 舞い散る葉のささめきー

 

 

 

 

 

僕は帯を最小限の矛の動きでさばきつつ、一瞬で肉薄する。帯の女鬼はあっけに取られている。僕は反応させることもなく矛を一閃し頸を刎ねる。

 

 

「わぁあああああ!!! 頸斬られたぁああ!! 頸斬られちゃったぁああ!!! お兄ちゃああん!!!」

 

「っ!!??」

 

 

突如、凄まじい悪寒がし、僕はすかさず距離を取る。すると、首無しの帯の女鬼の体から、もう一人のガリガリにやせ細った斑点のような痣のある鬼が生えてくる。

 

 

「泣いたってしょうがねえからなああ。」

 

 

その鬼は僕に見向きもせず、帯の女鬼の頭を拾い、くっつける。その間僕は微動だにできなかった。

 

 

「頸くらい自分でくっつけろよなああ。お前は本当に頭が足らねえなああ。」

 

 

僕は矛を構えたまま、防御の構えを取る。赫刀の発現のため、柄を握る力を強める。やがて、やせ細った鬼は僕の方へ振り返る。

 

 

「いいなあ、お前いいなあ。綺麗な肌してんなぁあ。男のくせに上等な遊女かってくらいになぁあ。ハリもあるしシミ一つねぇんだなあ。

 肉付きもいいなあ。俺は太れねえんだよなぁあ。特に顔がいいなぁあ。ここまで整った顔はそう拝めねぇなあ。女どもがほっとかねえだろうなあ。嘸かし持て囃されるんだろうなぁあ。」

 

 

そこまで言うと、やせ細った鬼は自身の顔や体を掻きむしり始める。

 

 

「妬ましいなああ、妬ましいなあああ! 死んでくれねえかなぁああ! そりゃあもう苦しい死に方でなああ!」

 

「・・・別に羨ましがられるほどの容姿してないと思うんだけど・・・」

 

 

僕は内心の焦りを隠すため、平静を装う。そんな僕に対し、目の前のやせ細った鬼は睨みを利かせる。すると傍で泣いていた帯の女鬼が突如思い出したかのように声を荒あげる。

 

 

「そうだお兄ちゃん!! そいつ他にも柱がいるような口ぶりだったの!! みんなで寄ってたかってアタシのこといじめようとしたの!!」

 

「そうだなあ、そうだなあ、そりゃあ許せねえなあ。俺の可愛い妹をいじめる奴らは皆殺しだぁあ。」

 

「それとそいつ童磨さんの頭かち割った鬼狩りなの!! 仇取ってよお兄ちゃん!!」

 

「そうかあ。なら取り立てるぜぇ、俺はなあ。やられた分は必ず取り立てる。死ぬときグルグル巡らせろ。俺の名は妓夫太郎だからなあああ!!!」

 

 

妓夫太郎と名乗った鬼は掌から二本の鎌を生み出す。それらを僕に投擲してくるので、僕は鎌を矛ではじき落とす。

 

 

「まだだ、飛び散れ、飛び血鎌。」

 

「っ!!」

 

 

妓夫太郎の言葉に反応するかのように、血肉でできた鎌が再度浮かびあがり、赤く血濡れたかと思った瞬間、鎌は独りでに周囲に血の斬撃を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 弐ノ型 枝葉のざわめきー

 

 

 

 

 

 

僕の前で散弾のように迫ってくる血の斬撃を、矛の波状攻撃で打ち払う。赫刀のおかげか、切り払った血の鎌は焼けこげるかのように蒸発して消えてなくなる。

 

すると今度は血肉の鎌が遠隔操作されてるのか、空中で浮かんだ状態で僕に斬りかかってくる。

 

僕がその対処に追われる間に、妓夫太郎の接近を許してしまった。両手には新たな血肉の鎌が握られている。

 

 

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 漆ノ型 千草生い茂る峰塵ー

 

 

 

 

 

 

 

僕は瞬き一つの間に、数十回の矛の刺突を放つ。矛が妓夫太郎の頬を掠めた瞬間、妓夫太郎は表情を変えて後ろに跳んで離れる。

 

その直後、僕は浮いてる血鎌を矛で殴りつけて、妓夫太郎の足元に打ち付ける。

 

 

「へえ、やるなああ。確実に殺したと思ったがなああ。いいなあ、お前いいなぁあ。」

 

「どうも。まあ赫刀がなかったら今ので死んでたと思うけど・・・」

 

「そうだなあ、その赤い刀、太陽の気配が強いなぁあ。俺の血鎌は斬ってもバラバラにならない限り何度でも向かっていくのに蒸発したなあ。童磨さんが不覚を取ったのも頷けるなぁあ。」

 

「あのさ、妹の方の口ぶりでも気になっていたんだけど・・・」

 

「ああ?」

 

「童磨は鬼に対してはいいやつなの? 僕が初めて会った時は、僕の師匠の肺を凍らせて傷つけた癖に救ってやるとか抜かしてた糞野郎だったんだけど。」

 

「アンタまたそれ!? 童磨さんの悪口ばかり言って、私許さないから!!」

 

「いや・・・僕は事実を淡々と言ってるだけなんだけど・・・君らは随分と懐いているんだね。」

 

「童磨さんは俺達の恩人だからなぁあ。忘れもしない、妹が生きたまま焼かれた日、誰も俺たちを助けちゃくれなかった・・・

 どんな時だって全てが俺たちに容赦しなかった。あの日もそうだ。焼かれた妹を抱えて俺は雪の降る中一人で延々と歩いていた。

 人間は誰も助けてくれなかった・・・だが童磨さんは俺達を鬼にし、助けてくれたなぁあ。そんな人を悪くいうなんて許せねえよなあああ!!!」

 

「・・・そうか。君達には同情する。でも童磨は善行のつもりで人を大勢殺し喰らい理不尽の限りを尽くしている。それは許されることじゃない。

 他者に蹂躙されることの理不尽さを、君たちは一番身に染みてわかっているはずなのに何故それを肯定するんだ?」

 

「人間どもの理屈で説教するなよなあああ!! 関係ねえなあ、俺たちは鬼なんだからなぁあ。

 許されねえからこそ、自分が受けた理不尽を人にやって返して取り立てる。自分が不幸だった分は幸せな奴から取り立てねぇと取り返せねえ。

 それが俺たちの生き方だからなあ。言いがかりをつけてくる奴は皆 殺してきたんだよなあ。お前も例に漏れねえなぁああ!!」

 

「そうか・・・できれば僕が君たちに手を差し伸べてあげたかった・・・残念だ・・・」

 

「同情される筋合いはねぇなああ。お前はこの後喉笛を掻き切ってやるからなぁああ。」

 

 

妓夫太郎がそう言い切り、笑い声をあげた直後、奴ら兄妹の頭上に影が差した。

 

 

 

 

 

 

 

ー音の呼吸 壱ノ型 轟ー

 

 

ー蟲の呼吸 蝶ノ舞い 戯れー

 

 

 

 

 

 

周囲に爆音が鳴る。屋根の瓦が飛び散り、煙が舞う。すぐさま僕の背後に宇随さんとしのぶさんが着地した。

 

 

「稲葉君無事ですか!?」

 

「状況は!?」

 

 

二人の問いかけに僕は簡潔に答える。

 

 

「現状無傷です。妹の方の頸を刎ねたら、お兄ちゃんらしき鬼が生えてきました。」

 

「頸を斬っても死なないのか!?」

 

「それにはいくつか候補が考えられますね。

 

 ①お兄ちゃん鬼が本体で、そっちを斬ったら死ぬ

 

 ②生き返る上限回数が決まってて、それを超えると死ぬ

 

 ③二人同時に頸を斬ると死ぬ

 

 ④本体が別にあって兄妹鬼は斬っても死なない

 

 ⑤兄妹鬼は頸の弱点を克服していてそもそも太陽でしか殺せない

 

 ⑥太陽を克服していて殺せない

 

 こんなところでしょうか?」

 

「①②③までなら私たち三人でもできなくはないです。④の場合は炭治郎君たちが来るまで時間稼ぎが必要です。五感が鋭くないと索敵できません。

 ⑤も厄介ですね。持久戦になってしまいます。⑥は絶対にありえません。無惨が黙ってるはずがありませんから。」

 

「流石しのぶさん。頭の回転が速くて助かるよ。」

 

「よし!! じゃあ順番に試すぞ!! 他に何か共有事項あるか!?」

 

「憶測ですが、奴らは毒を使います。妹鬼の帯の攻撃の際、赤い液体が染み込ませてありました。おそらくお兄ちゃん鬼の血の鎌の攻撃も同様の効果があると思います。なにせ妹の中から出てきた鬼ですからね。」

 

「了解です。カナヲたちが到着したら共有しますね。本当は宇随さんと私で京極屋にいる蕨姫花魁を暗殺する予定だったのですが・・・」

 

「まさか食いに出かけてるとは思わなかった。雛鶴に聞いた情報によると、妹鬼の帯に人を取り込んで移動ができるそうだ。地下の空洞にも大勢拉致された遊女たちがいた。

 我妻と嘴平に京極屋を見張らせていたが、気配を察知できても追跡まではできなかったらしい。全く厄介な血鬼術だ。」

 

「では帯に取り込まれないことも念頭に入れて戦うしかないですね。そい言えば白峰さんは今どこにいるんですか?」

 

「あの人のことは知りません・・・もうどうでもいいです・・・」

 

「あいつ昼間から浴びるように酒飲んだ挙句、夜は二日酔いだとか抜かしてやがった!! もう派手に除隊でいいだろ!!! あのボンクラは!!!」

 

「・・・そうですか・・・いれば心強かったのですが仕方ないですね。さて、そろそろ煙が晴れてきましたよ。」

 

 

僕が会話を切ると、目の前で帯のドーム状の壁ができていた。やがてその中から、兄妹鬼が肩車した状態で姿を現す。

 

 

「俺たちは・・・二人で一つだからなあ・・・!」

 

「私たちに毒で攻撃するなんていい度胸ね! お返しに惨たらしく殺してやるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

そうして長い長い夜の戦いの幕開けとなった。

 

 

 

 

 

続く

 

 




上弦の鬼パワーアップ内容(原作比)
・妓夫太郎の鎌のファンネル化(血鎌の手数以前の3倍くらい)
・堕姫の帯の数増加&毒付与
まあこれくらいしないと、柱三人+かまぼこ隊+カナヲでフルボッコにされちゃいますからね。それと本章でも追加要素があります。お楽しみに。
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