輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話 作:科学大好き人間
「死ね! 平凡な顔の女ども!! 師弟まとめてあの世に送ってやるわよ!!」
「はあああ!? 誰が平凡な女だこの阿婆擦れがああああ!!! 一回目ん玉ほじくり返してアセトンで超音波洗浄かけてこいやああああああああ!!!!!」
「カナヲは可愛いじゃないか!! カナヲは平凡な顔じゃない!! おかしいのはお前だ!!!」
「ちょっと待て! 稲葉!! 竈門!! 一旦落ち着け!!! お前らがあっちに行ったらこっちの兄貴の鬼の対処ができなくなるっつうの!!!!」
俺は一体何をさせられているんだ・・・俺は上弦の鬼と戦ってたはずだ・・・
一瞬でも気を抜けば即座に毒の鎌を喰らい、死への秒読みが始まると肌で感じる。この鬼は今まで戦ってきたどの鬼よりも強く賢く恐ろしい奴だ。
妓夫太郎はとんでもなく厄介な鬼だった。柱でも対処が難しいほどの変則的な動きにこの速さ、加えて猛毒の鎌。
さらにその猛毒の鎌を、距離を空けるたびに掌から創り出し、お手玉のように宙へ投げその数を増やす。そしてその鎌は全て自律して攻撃してくる上に、飛ぶ斬撃の血鎌まで放ってくる。
血鎌も迎撃したところで終わらない。稲葉の赫刀で斬って蒸発させるか、俺の音の呼吸で爆散させないと何度でも旋回し向かってくる。しかもそれは全て猛毒付きなのだ。
俺はまだ掠っても暫くは動ける。忍びの家系で毒に耐性があるからだ。しかし、稲葉や他のガキ共はそうもいかない。
一太刀でも浴びればすぐさま心臓が止まるだろう。嘴平も掠っただけで死ぬことを肌でビンビン感じるとか叫んでる。
ガキ共は皆五感のどれかが突出して優れてるのか、今はまだ一撃も喰らってない。しかしそれがいつまで持つか・・・!
「ひひひっ 俺の妹と比べたらどの女も平凡な面してるからなあ・・・まあ無理もねぇよなぁあ。」
「うるさい黙れ
鬼殺隊の柱で、鬼の頸が斬れなくても代わりに毒で殺せて、医療にも精通していて、聖母のような慈愛の心で傷を癒してくれるし、ドイツ語も読めるし凄く賢い才女なんだぞ!!
それでいて頼りになるし、頭の回転も速いし、よく気が付くし、継子の育成も上手だし、下の子たちから慕われてる人望のある人なんだぞ!!
それにしのぶさんは優しいし、笑顔が素敵だし、声も綺麗だし、指先とかも綺麗だし、藤の花のいい匂いもするし、お化粧すると滅茶苦茶美人になるし、小っちゃくて可愛いし、仕草も愛らしいし、すぐ真っ赤になるくらい純情で心の綺麗な人なんだぞ!!
それに、しのぶさんは僕が作ったお菓子美味しいって食べてくれるし、僕のお喋りにも付き合ってくれるし、僕が悲しいことがあると慰めてくれるし、僕に甘えてくれるし、最近は少しずつおねだりなんかも・・・」
「ちょっとちょっと!! 稲葉君何言ってるんですか!!?? みんなの前でそれ以上言うのやめてぇええええええ!!!!!!」
「稲葉一旦止まれ!! 仲間を動揺させて隙作ってどうする!? 胡蝶がうずくまりはじめたぞ!! 栗花落が居なかったら殺されていたっつうの!!!」
「師範!! 今は戦いに集中してください!! 私一人じゃ対処しきれません!!」
「うう・・・だってぇ・・・」
「ああっもう!! しのぶ姉さんいい加減にして!! カナト兄さん殺されてもいいの!? 私たちが妹の鬼抑えてないと帯があっちに行くよ!!」
「っ!! ごめんなさいカナヲ・・・私もう大丈夫だから!!」
栗花落の喝で胡蝶も何とか復帰した。俺たちに迫る帯の攻撃もひとまず落ち着いたかに見えたが・・・
「何アンタ? 今のくらいで真っ赤になってうぶなのね。もしかしてまだ生娘のままなのかしら? 歳も十七になるっていうのに随分遅れているのね?」
「っ!? 鬼にそんなこと言われる筋合いありません!!」
「あっそ。でも私は人間の時からとっくに経験済みだったけどね。所詮は鬼狩りしか取り柄のない小娘ね。女として負ける気がしないわ。」
「っ!! 私と稲葉君はあくまでも清い良識的なお付き合いをさせていただいてるんです!! あなたみたいな不埒な女と一緒にしないでください!!」
「ふ~ん。そんなこと言って、本当は男に相手されないだけの小娘なんでしょ? 男の肌のぬくもりも知らないくせによく言うわよ。」
「っ!!! 私だって!! 稲葉君に抱いてもらったことくらいありますから!!!」
「え・・・師範・・・カナト兄さんとはそこまで進んでいたの・・・!?」
「っ!? ち・・・違います!! カナヲは誤解しないでください! 私と稲葉君はそんなふしだらな間柄では・・・」
「そうら!! 隙だらけね!! 二人まとめて殺してあげる!!!」
妹鬼の安い挑発に動揺させられ、隙だらけになった胡蝶は再び危機に陥る。栗花落もそのとばっちりを受けていた。
「お前らいい加減にしやがれ!! 相手は上弦の鬼なんだぞ!? 死ぬかもしれない戦いの真っ最中に浮かれた漫才かましてんじゃねぇわ!!!」
「ひひひっ お前らの女の柱よりも、妹の方が一枚上手みたいだなぁあ ひひひっ!」
「うるせえ! はっ倒すぞこのガリガリ野郎!!!」
「できるもんならやってみるんだなぁあああ!!!」
俺は音の呼吸で周囲の血鎌を全て爆散させ、妓夫太郎と距離を詰める。俺の思わぬ反撃に多少動揺し動きが鈍ったようだ。
俺は日輪刀を旋回させながら突進し、周囲の火薬玉を炸裂させ続ける。
ー音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々ー
「ひひひっ 騒がしい技で押したところで意味ねぇんだけどなああ。」
俺は下がる妓夫太郎に、手持ちの藤の花毒付きくないを数本投擲しさらに距離を詰める。俺の動きに合わせるように、すかさず妓夫太郎の足元を電撃が走る。
ー雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃ー
「ぐっ!!」
膝から下を切り飛ばされた妓夫太郎は一瞬硬直するが、再生よりも先に俺のくないをはじこうとした。だが・・・
ー獣の呼吸 玖ノ牙 伸・うねり裂きー
「っ!!??」
突如として妓夫太郎の視界は閉ざされる。当然だ。両目を切り裂かれたのだから。嘴平が腕の関節を外し、中距離から腕を伸ばして切り裂いた。これは初見では対処できない。
「っ!」
ダメ押しでくないが奴に突き刺さる。下弦程度ならしばらく動けなく代物だ。
「我妻!! 嘴平!! お前らに感謝する!!!」
俺は妓夫太郎の頸に斬りかかる。稲葉も俺の横から矛を伸ばす。俺たちの攻撃は奴の頸に届くかに見えたが・・・奴は両足をすぐさま再生させた!!!
「いやあよく効いたぜこの毒はなああ。」
ー血鬼術 円斬旋回 飛び血鎌ー
腕の振りなしに血鎌を広範囲に!!?? これは対処しないと全滅する!!!
ー音の呼吸 肆ノ型 響斬無間ー
俺は奴の血鎌を迎撃用の型で爆散させる。しかし、俺の背後から自律で動く血肉の鎌が複数迫りくる。
ー草の呼吸 肆ノ型 穀種争乱ー
間髪で喰らうところを稲葉が切り払い、防いでくれた。有難い。
今のやり取りの間に、竈門が妓夫太郎の頭上の背後に反転した状態で刀を振るう姿が見えた。
ーヒノカミ神楽 火車ー
しかし、竈門の攻撃は頸には届かず、手持ちの鎌ではじかれてしまう。竈門は奴の反撃を受けるが咄嗟に防御し距離を取る。
「なかなか統制が取れた動きだなあ。継子ってのは本当のようだなぁあ。」
以前として、妓夫太郎には一太刀も浴びせられていない。ここまでの奴だとは予想外だった。
「なるほど・・・これが上弦の参か・・・稲葉、以前戦った猗窩座とどっちが上だ?」
「そうですね・・・単純な強さなら猗窩座の方が凄かったですが、妓夫太郎はマルチタスク・・・つまり並行処理能力が極めて高いようです。甲乙つけ難いですね・・・」
「猗窩座さんは武芸の心得があるからなぁあ。単純に切り結べば俺に分はねぇが、鎌と妹の支援があれば今はわからねぇなあ。あのお方に血を分けて貰ってから、血鬼術の操作能力は格段に上がってっからなぁあ。
まあ、猗窩座さんもここ数ヶ月で以前とは比べものにならないぐらい強くなってるらしいが・・・」
稲葉が赫刀で血肉の鎌を全て叩き切ってくれたおかげか、少しの間猶予ができた。俺はすかさず稲葉に提案する。
「もうじき譜面が完成する。お前は先に胡蝶の方へ合流して、速攻妹鬼の頸を刎ねろ。まずは片方だけでも潰さねぇと話にならねえ。」
「まだ早いです。宇随さんが妓夫太郎と対等以上に切り結べるかを確認するまでは安心できません。こっちが全滅したらどのみち皆死にますよ。」
「こいつらの倒し方が看破できない以上ジリ貧だ。ひとまず妹鬼だけでも頸を刎ねて無力化しろ。そのあと全員でこっちを倒して③の案を確認する。それでダメなら②の確認だ。
そもそも俺はお前とあんまり組んだことがないからな。このまま戦い続けても連携はたかが知れてる。なら組んだ経験が多い胡蝶の方に行った方が建設的だ。違うか?」
「・・・僕の代わりは誰が務めるんですか? 前衛が宇随さん一人じゃ譜面完成前に死にますよ?」
「竈門!! 俺とお前で前後挟み撃ちにする!! 柱候補ならここで結果出して見せろ!!」
「っ! わかりました!! 俺は背後から攻めます!! 善逸と伊之助は引き続き宇随さんと連携してくれ!!」
「わかった!!」
「おっしゃああああ!!! ついてこい子分ども!!!」
「今だ行け!! なるべく早く片付けてくれよ稲葉!!」
「っ!! 死なないでくださいね・・・!」
そうして俺は稲葉を胡蝶の方へ送り出した。それを見て目の前の妓夫太郎は笑っている。
「ひひっ いいのかぁあ? お前一人とひよこの鬼狩り三人じゃ確実に死ぬぜえ? 弱いくせに虚勢張ってみっともねぇなああ ひひひっ!」
「なめんな!! こいつら三人は優秀な俺の継子と後輩だ!! 手足がちぎれても食らいつくぜ!! それに稲葉は俺よりも本当は強え!! お前の雑魚い妹なんざ瞬殺だわ!! 派手にな!!!」
そうして俺は妓夫太郎に向かって走る。奴は再び掌で血肉の鎌を量産し、宙に投げる。
やがて周囲に再び爆音と、高速で鎌が旋回する風を切るような音が鳴り響き始めた。
続く
この小説のしのぶさん、いつも何かしら辱しめを受けてる気がする・・・筆者の潜在的な願望のせいなのだろうか・・・(汗)
ちなみに戦闘の組み合わせは、妓夫太郎vs男衆、堕姫vs女衆にしました。実は他に何パターンか考えていたのですが、いろいろ悩んだ挙句、最終的にジャンプっぽいかなと思ってこうなりました。
さて、途中から宇随さんの判断で戦力の割り振りが偏りますが、果たして吉と出るか凶と出るか・・・次回をお楽しみに。