輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話 作:科学大好き人間
ー氷の呼吸 肆ノ型 氷塊・雪
ー血鬼術 枯園垂りー
瞬時に左右交互の鋭い八連撃と、冷気を纏った対の扇による攻撃で、激しい応酬が繰り返される。
ー血鬼術 凍て曇りー
ー氷の呼吸 参ノ型 氷瀑・砕氷落としー
瞬時に周囲を氷結させる煙幕に対し、上段からの赫刀による五連撃が裂くように振り下ろされ、氷を蒸発させる。
俺はその隙間を縫うように入り込み、しなるような斬撃を放つ。童磨の頸筋から鮮血が散る。
「おい! 邪魔すんじゃねぇよ!!」
「五月蠅い。隙をついて斬りかかっただけの話だ。」
俺と白峰はそう言い合いながらも、白峰が血鬼術にうまく対処しながら、俺が僅かな隙に針を通すがごとく斬撃を放ち、童磨の肉体を何度も切り裂いていく。
「俺の赫刀じゃねぇと再生されるだろうが! 余計なことすんな!!」
「黙れ。頸を刎ねるのならどちらでも同じことだ。お前の斬撃は鋭いが直線的すぎる。」
「っ! 口論してる割には息ぴったりだね・・・! これならどうだい!?」
ー血鬼術 散り蓮華ー
ー氷の呼吸 弐ノ型・改 紅蓮・氷輪回しー
数えきれないほどの氷の破片が舞うが、白峰は自身を独楽のように回転させ、赫刀を旋回させるように振り回し、それらを全て切り払い蒸発させる。
ー蛇の呼吸 参ノ型 塒締めー
童磨の周囲を駆け回り、四方八方から切り付ける。
童磨は対の扇で捌いていくが、両足の筋に斬撃が入り、体勢を崩す。
ー蛇ノ呼吸 弐ノ型 狭頭の毒牙ー
白峰の対処により周辺の氷の粒子がなくなったおかげで呼吸が続けられる。とどめとばかりに背後の死角より頸に一太刀入れる。
しかし、これも童磨に扇で防がれる。
ー血鬼術 蔓蓮華ー
こちらの動きを制限しようと氷の蔓が迫る。俺と白峰は回避し距離を取る。
ー血鬼術 冬ざれ氷柱ー
さらに頭上からの氷柱の攻撃。どんどん距離が離される。
ー血鬼術 寒烈の白姫ー
相当な広範囲を凍結させる霧が氷像より吹き放たれる。いよいよ近づくのが難しくなってきた。
ー血鬼術 結晶ノ御子×参ー
氷の霧を放っている間に、童磨は自身を模した人形を生成し、白峰にけしかける。
「糞が!! また俺にかよ!!」
白峰が悪態をつくのを尻目に、童磨は俺に扇をかざす。
ー血鬼術 冬ざれ氷柱ー
ー蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇ー
俺は降り注ぐ氷柱の間を縫うように躱し回避しながら童磨に接近し斬りかかる。しかしこの攻撃もはじかれる。
「うん。だいぶ目が慣れてきたかな? もう少ししたら全部防げるようになるかも!」
「くっ!」
ー蛇の呼吸 参ノ型 塒締めー
童磨の周囲を駆け抜けると同時に乱れ斬り。しかしこれもほとんど捌かれてしまう。
「アハハ! 流石にこの短時間で何度も見ていると受けられるようになるよ!」
俺が斬り込むと同時に一閃されていたのか、俺の肩から血が噴き出す。すぐさま呼吸で止血するため距離を取る。
ー血鬼術 蓮葉氷ー
再度氷の粒子が周囲に舞い広げられる。そしてすぐに氷の人形が生成される。
ー血鬼術 結晶ノ御子×弐ー
「少しずつだけど俺が押し返してきているね。もう少しで形成逆転かな?」
ー血鬼術 蔓蓮華ー
ー血鬼術 冬ざれ氷柱ー
まずい・・・! また距離を離される。そしてその間にさらに人形を増やされる。まさに悪循環だ。俺はここで決めに行かないといよいよ後がないことを悟った。
ー蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇ー
血鬼術及びそれらを放つ人形共を一掃し、童磨に肉薄する。
ー血鬼術 枯園垂りー
俺は冷気を纏った縦横無尽の扇の攻撃をかいくぐり、背後に回ってすぐさま攻撃を放つ。
ー蛇の呼吸 弐ノ型 狭頭の・・・
ー血鬼術 凍て曇りー
「ぐああああああ!!??」
俺が斬撃を入れるその瞬間、ほぼ同時に冷気の煙幕をぶつけられる。俺は即座に攻撃を中断し距離を取ったが、俺の右手の肘から先は完全に凍り付いてしまった。
「ぐううう・・・!!」
「だからさ、この短時間で何度も同じ技を見せられたら流石に慣れるって。もういつ攻撃が来るか大体わかるようになってきたよ。今ので利き手を凍らしたし、勝負あったかな?」
俺は動かない右手から日輪刀を左手に持ち替えて構えなおす。
「なめるな・・・! 蛇の呼吸は片手でも充分に戦える・・・! まだ勝負はついていない!!」
「うーん。それでも今までのようにはいかないんじゃないかなあ。まあ、それ以前に君にこの数の御子の攻撃は防げないと思うよ?」
ー血鬼術 結晶ノ御子×肆ー
「アハハ! もう諦めなよ? 君じゃあ赫刀は使えそうもないし、俺の血鬼術の対処なんてできないでしょ? 無理に決まってるのにそれでもまだ頑張る気かい? 君はもう終わりだよ!」
俺に四体の氷の人形がけしかけられる。まさかこれほどの敵だったとは・・・無念だ・・・
俺はうなだれたまま、その場を立ち尽くし、片手で日輪刀を構えることしかできなかった。
ー恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風ー
「っ!!」
周囲の動きがゆっくりに感じられ始めた瞬間、広範囲に斬撃の嵐が吹き荒れる。俺が呆然としていると、目の前に華やかな桃色の髪をたなびかせて着地する彼女の後ろ姿を見た。
「遅れてごめんなさい!! 伊黒さん無事かしら!?」
「甘露寺・・・」
俺は彼女の顔を見て、思わず固まってしまった。
「わあ!! 伊黒さん腕が凍ってる!! どうすればいいのかしら!? お湯を沸かしてかければいいの!? でも私マッチもお水も持ってないわ!!」
「甘露寺・・・」
「わっわたしが体温で温めればいいのかしら!? 地肌で包むのは恥ずかしいけど仕方ないわ!!/// 伊黒さん腕だして!!」
「甘露寺・・・君のおかげで俺は命拾いをした・・・ありがとう・・・」
「え!? ええっと・・・どういたしまして!?」
「だから俺のことは気にしないでくれ。そんなことよりも今は・・・」
俺が状況を説明しようとした矢先、甘露寺に目線が注がれているのを感じた。
「わあ! 女の子だねえ! 君は柱かな? 今日は本当についてるなあ。しのぶちゃん以外にもこんな上等なごちそうがやってくるなんて。」
童磨の発言に身の毛がよだつと同時に、抑えようのない溢れんばかりの怒気を俺は童磨にぶつけた。
「貴様・・・!! 甘露寺には指一本触れさせんぞ!!!」
「君には話しかけてないよ? だって君もう戦えないだろう?」
「伊黒さん!! あとは私が戦うわ!! 腕が治るよう温めてて!!」
そう言い残し甘露寺は童磨に突進していく。人形はさっき俺を助けるときに一掃して今は一対一だが、それでも無謀としか思えなかった。
ー血鬼術 蓮葉氷ー
「甘露寺・・・! そいつの血鬼術を吸うな!!」
「伊黒さん!! 大丈夫! 安心して見てて!!」
ー恋の呼吸 参ノ型 恋猫しぐれー
甘露寺の振り撒く斬撃の嵐に、周囲の氷の粒子が霧散する。加えて、先ほどの技で童磨は肩から血を噴き出していた。
「まいったね。まさか蓮葉氷の範囲外から攻撃してくるなんて・・・これは戦い方を変えなきゃだなあ。」
ー血鬼術 凍て曇りー
「氷の煙幕!? でも関係ないわ!!」
ー恋の呼吸 弐ノ型 懊悩巡る恋ー
甘露寺は帯のような日輪刀を前方で手首を回して回転させる。周囲を凍結させる氷の雲を切り裂くが、そこに童磨の姿はなかった。
「その武器、近接戦闘には向きそうもないね。」
「きゃっ!?」
一瞬で甘露寺の背後に回る童磨。その童磨の背後に俺は間髪入れずに回り込む。
ー蛇ノ呼吸 弐ノ型 狭頭の毒牙ー
「甘露寺に近づくな・・・
「伊黒さんっ!!」
俺の不意打ちに童磨は再度距離を取る。俺たちの様子を伺っているようだ。
「ふーん。俺が攻撃する瞬間の隙をうまく狙ったんだね。一対一の時とはまた動きが違うなあ。まさかほんとに左手一本でまだ戦えるなんてね。」
「あたりまえだ・・・! この五体全て凍らされようと、甘露寺には傷一つつけさせん!! 例えこの身を肉壁にしてでも守り切る!!!」
「いっ伊黒さんっ!!///]
童磨は俺の必死の威嚇にもどこ吹く風だ。扇で口元を隠してはいるが、やがて肩を動かして笑い始めた。
「アハハ! そう! 甘露寺ちゃんのことそんなに大事に思っているんだ! 健気だなあ。せっかくだから君らも一緒に救済してあげるよ。そうしたらずっと二人で一緒にいられるだろうから・・・」
ー蛇の呼吸 肆ノ型 頸蛇双生ー
俺は頭に血が昇り、童磨に肉薄する。左右を振り抜く斬撃を放つが難なく躱され、俺はその場を通り過ぎ、奴に背中を見せてしまう。
「安い挑発に乗るなあ。君、柱失格だよ。さようなら。」
完全に無防備な状態で背後を取られた。背中へと扇が迫る。死を覚悟した。
「伊黒さん!!」
甘露寺も俺と童磨の距離が近すぎて日輪刀を振るえないのだろう。俺の器量のなさで彼女の前で命を落とすことを無念に思った・・・
ー氷の呼吸 陸ノ型 銀世界・寒風吹雪ー
突如俺と童磨の間を、体を捻りながら駆け抜け切り払う者の気配がした。振り返ると、童磨の右腕が宙を舞い、腕の切り口が焼かれたように煙をあげていた。
「おらぁあああ!!! 御子は全部潰したぞ!! 次はてめぇだ!!!」
再度白峰は肉薄するが、童磨は信じられない速度で後退して距離を取る。
ー血鬼術 結晶ノ御子ー
童磨は距離を取りながら、一体ずつ氷の分身を生成し、けしかけてくる。血鬼術も連射してくるが、白峰はお構いなしに赫刀で迎撃しながら追い縋る。
「もう半刻もしないうちに日の出だ!! 頸を斬るのが先か! 日に焼かれるのが先か!! どっちだろうなぁあああ!!??」
白峰は狂気の笑い顔で童磨との間の距離を詰めようとするが、やがて結晶ノ御子が七体になり、血鬼術の攻撃も苛烈を極める。
ー恋の呼吸 伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪ー
白峰が攻めあぐねているところに、甘露寺の広範囲を切り裂く凄まじい物量の斬撃が吹きすさぶ。飽和攻撃ともいうべき血鬼術の嵐が一瞬だが霧散する。
ー蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇ー
俺は霧散した血鬼術の間を縫うように駆け、結晶ノ御子達を片っ端から破壊していく。
それにより、再び童磨までの道が開ける。奴は目を見開いていた。
「頸は俺がもらうぜ!!!」
間髪入れず白峰が突進する。童磨に刃が届くという距離まで接近すると、奴は扇を構え直す。
ー血鬼術 霧氷・眠蓮菩薩ー
突如として、巨大な観音像のような氷の巨像が出現する。凄まじい広範囲に冷気が立ち込め、氷像が手刀を打ち下ろすとその衝撃に大地が揺れ、あたりが一瞬で凍り付く。
「しゃらくせぇえええええ!!!!」
ー氷の呼吸 伍ノ型・改 大獄活断・御神渡りー
白峰の怒号と共に、赫刀による凄まじい剣圧の切り上げで、巨大な氷像が縦真っ二つに割れ、焼け溶ける。
二人の攻防に驚愕したのは俺だけではないはず・・・そうだと思いたい・・・
案の定、甘露寺も俺のすぐ後ろで驚きの表情を浮かべていた。
やがて氷像はひび割れ、自重による落下でことごとく砕け散った。
「ハア・・・ハア・・・げほっ!!!」
この冷気の中で呼吸を使用したせいか、白峰は盛大に吐血し、その場で膝をついた。しかし、奴はそれでも警戒を怠らない。
やがて、冷気の霧も消え去り、視界が開けてくるのだが・・・
「げほっごほっ!! 糞が!! 逃げやがったあの塵屑野郎がぁああ!!!」
「なに!!??」
俺も周囲一帯を駆け、索敵を行うが、童磨の気配は微塵も感じられない。
「上弦のくせに・・・俺達から逃げたのか・・・!? まだ日の出まで時間があったにも関わらず・・・!!!」
俺もその事実に奥歯を噛み締める。死人無しで上弦を追い払ったと言えば聞こえは良いが、奴との戦闘に柱五名も費やして仕留めきれなかった事実に俺ははらわたが煮えくり返る気がした。
「伊黒さん・・・」
「すまん甘露寺・・・せっかく駆け付けてくれたのに・・・奴を殺せなかった・・・」
「っ!! いいのよ伊黒さん!! 伊黒さんがいなかったら私助けに来てすぐ殺されていたわ!!」
「違う・・・何度も助けられたのはこの俺の方だ・・・俺は何もできなかった・・・加えて右腕をこの戦いで失った・・・これから先・・・俺に・・・生きる意味はあるのだろうか・・・」
「伊黒さんっ!! そんなことないわっ!!!」
「っ!?」
俺が自身の無力さにうなだれていると、甘露寺は俺に後ろから抱き着いた。
「伊黒さんが生き残ってくれただけで、私良かったって思ってる!! 伊黒さんが死んでたら、上弦の鬼を倒せたとしても私喜べないわ!!! お願いだからそんな風に言うのはやめてっ!!!」
「甘露寺・・・俺は・・・」
俺が暫く茫然自失していると、口から血を垂らしたままの白峰が俺たちを見ていることに気が付いた。
「なんだよお前ら・・・できてんのかよ・・・せっかく胸のでかい抱き心地の良さそうな女が来たから後で口説こうって思ってたのに・・・・やってらんねぇわ・・・」
「はあっ!? 白峰!! きっ貴様っ!! 甘露寺をそんな目で見てたのか!! 断じて許せん!!」
「げほっ!! あー・・・まじで糞だわ。肺も痛えし、踏んだり蹴ったりじゃねぇかよ。まじでふざけんなよ・・・」
さっきまで死にたいくらい落ち込んでた俺だが、目の前のろくでなしのせいで烈火のごとく全身に力がみなぎった。
今なら一人でも上弦を殺せるのではないかと錯覚するほど俺は怒り狂い、その後延々と白峰を追い回していたらいつの間にか日が昇っていた。
続く
以上、遊郭編終了です。柱が一人も死ななかった結末に驚かれた人もいるかもしれません。ただ、可能な限り原作よりはメインキャラの死者は出したくないと思っています。所謂原作キャラ生存って奴ですね。タグ追加しておきます。加えて恋愛もタグに追加しておきます。今更な気もしますが、今後その描写が増える気がするので念のため。
もしこれまでの話で面白かったと思える内容があれば、高評価お願いします。モチベーションアップにつながるので。序盤に低評価爆撃を連発された影響で、赤評価はもう無理だろうなとは諦めているのですが、それでも他者からの肯定的評価は励みになります。今こうして連載できているのも、一番最初に応援の感想をくれて高評価してくれた人のおかげです。それがなければとっくの昔に書くのをやめてたと思います。厳しい評価ばかりで書き続けられるほど筆者はメンタル強くないので。
現状映画公開日も決まって多少モチベーションは維持できていますので、もし面白いと思われる方がいれば今後もその人たちと自身の為に頑張って投稿していこうと思います。