輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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猗窩座視点です。猗窩座が黒死牟に稽古をつけられている場面からスタートです。「番外編 鬼側の動向」の続きだと思ってください。時間経過としては、浅草編終了後から無限列車編終了後までの内容になっております。


番外編 猗窩座と黒死牟

ー破壊殺・空式ー

 

 

ー月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮ー

 

 

 

 

 

 

 

現在、無限城の中における黒死牟の鍛錬場にて俺は戦いを繰り広げている。

 

俺の放った空圧正拳を抜刀の一太刀で払いのける黒死牟。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 弐ノ型 珠華の弄月ー

 

 

ー破壊殺・脚式 冠先割ー

 

 

 

 

 

 

一瞬で俺に接近し、交差に振り払う斬撃を奴は放つ。加えて、俺の手足を寸断するほどの斬撃もばら撒かれ、俺はその間をギリギリで縫って奴の刀身を蹴り上げる。

 

 

「ふむ・・・よく回避した。」

 

 

 

 

 

 

ー破壊殺・脚式 流閃群光ー

 

 

 

ー月の呼吸 参ノ型 厭忌月・鎖りー

 

 

 

 

 

俺はすかさずそのまま連続蹴りを放つが、奴はそれらを切り払い、俺に無数の斬撃を浴びせる。

 

 

「ぐっ!!」

 

「温い・・・」

 

 

俺は片足を失い、後方へと退避し再生させるが、その間に黒死牟に接近を許してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 陸ノ型 常世弧月・無間ー

 

 

 

 

 

 

「があっ!!??」

 

 

俺は五体バラバラにされ、後方へと飛び散る。血だまりの中、俺は四肢を再生させるも、再び接近を許し、振り下ろしの一撃で頭部を粉砕される。

 

 

「話にならぬ・・・彼是無惨様より命じられ・・・ひと月鍛錬を行うも・・・漆ノ型以上を使うこともなく・・・この有様とは・・・猗窩座よ。」

 

 

俺は頭部を再生させるも屈辱により青筋を浮かべる。しかし、彼是数日続けての攻防に、流石の上弦とは言え再生力が落ちて来ているのを実感する。

 

 

「鳴女・・・猗窩座に補給を・・・」

 

 

 

 

 

ベベンッ

 

 

 

 

 

すると俺の頭上よりふすまが現れ、上から数十人の男女問わない死体が落ちてくる。この補給もこれで何度目になるだろうか・・・

 

 

「喰うがよい・・・完食でき次第・・・すぐに再開する・・・」

 

 

俺は男の死体を優先して捕食を完了させるが、女の死体を喰らおうとして全身が硬直する。

 

 

「猗窩座よ・・・何を戸惑う・・・人間の頃の記憶など・・・貴様には既にないであろうに・・・躊躇せず喰らえ・・・」

 

 

俺は全身が強張りながらも無理やり女の死体も喰らい続ける。俺の中で何かがひび割れて壊れるような音がする。

 

 

「では再開する・・・しかしこのまま同じことの繰り返しをしたところで変わらぬ・・・趣向を変えるとしよう。」

 

 

奴はそう言って、刀を掲げる。刀身が倍以上に伸びる。

 

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 玖ノ型 降り月・連面ー

 

 

 

 

 

 

「ぐおおっ!!??」

 

「ふむ・・・手足の切断のみで済んだか・・・悪くない・・・」

 

 

俺は片足だけの状態で背後へと下がり、手足を再生させると同時に距離を取る。

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 漆ノ型 厄鏡・月映えー

 

 

 

 

 

 

「ぐあっ!!」

 

「下がるだけではどうにもならぬ・・・貴様は逃げることしか能のない臆病者か・・・?」

 

 

俺がさらに後方へ退避しても追い打ちをかけるように地面を伝わって斬撃が通り過ぎる。四肢の切断こそないが、胴体を激しく損傷する。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー破壊殺・乱式ー

 

 

ー月の呼吸 捌ノ型 月龍輪尾ー

 

 

 

 

 

俺は遠距離から空圧正拳を乱れ打つが、奴の一振りの薙ぎ払いにより全て切り伏せられる。

 

 

「これよりひと月・・・私の全ての型で貴様を攻め続ける・・・これらを捌き続けるのであれば・・・貴様は私に次ぐ強さを得たと思ってもよいだろう・・・」

 

 

それから一か月の間、俺は一方的な黒死牟の攻撃を浴びせられ続けた。バラバラになり、再生が遅くなれば即補給となり、そしてすぐさま同じことを繰り返す。

 

 

「ふむ・・・私の癖を掴むのはいい・・・だがそれだけではどうにもならぬ・・・」

 

 

さらに一か月経過し、俺は奴から受ける攻撃を減らしながらもバラバラにされ続けた。羅針が一切反応しない相手との戦いは熾烈を極めた。

 

 

「猗窩座よ・・・なぜこれほどに打ちのめされてもなお進化することができぬ・・・やはり呼吸も使えぬ武人など・・・この程度が限界だというのか・・・」

 

 

俺は全身を切り刻まれた状態で、膝を着いていた。俺の周りはあたり一帯、血の湖と化していた。

 

 

「もし仮に・・・お前が呼吸無しで私と同じ領域に到達するとしたら・・・やはり血鬼術の進化以外考えられぬ・・・もっと人を喰わせるべきか・・・」

 

 

俺の羅針は黒死牟相手に一切機能しない。透き通る世界だか何だか知らないが、奴はそれが見えている間、一切の闘気を消す。視認で奴の攻撃を回避するのも不可能・・・

 

俺の血鬼術の進化・・・人を大勢喰らうことで変化が起きることを、黒死牟も無惨様も期待しているのか・・・俺の武はその可能性にも及ばぬ、高みへと到達するに至らぬ程度の低いものなのか・・・

 

 

「だいぶ前だが・・・元下弦の累が殺された・・・無惨様の血の適応速度は中々のものだったが・・・発展途上故あっけなく敗れた・・・

 猗窩座よ・・・貴様はそのような醜態を晒してはならぬ・・・貴様は少なくとも無惨様に可能性を期待されている・・・それに応えなくば貴様の命はないのだぞ・・・」

 

 

いや・・・同じ領域にさえ到達すれば・・・俺は奴と対等に戦えるはず・・・それを如何に実現するか・・・闘気のない相手の攻撃を如何に知覚するか・・・それだけに意識を割け!!

 

 

「猗窩座よ・・・失望させてくれるな・・・」

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 拾陸ノ型 月虹・片割れ月ー

 

 

ー血鬼術 破壊殺・・・

 

 

 

 

 

 

周囲が切り刻まれ、血の湖にも波紋が広がる。やがて、それも収まり、再び深紅の水鏡が広がる。

 

 

「・・・猗窩座・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー破壊殺・羅針・改 明鏡止水ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は波紋一つない血の湖の中心に立っていた。黒死牟の斬撃を最小限の動作で反応しながら受け、損傷を最小限に抑えた。その結果再生も容易だった。

 

 

「見事・・・呼吸も使えぬ身でありながら・・・必要な感覚のみを残して閉じ切り・・・極限の集中状態を維持している・・・その結果が今の最適化された回避行動か・・・」

 

 

俺の頭は過去に前例がないほど冴えていた。感覚が研ぎ澄ませてているのを感じる。そしてそれは・・・俺の羅針へも影響を及ぼしている。

 

 

「闘気ではなく・・・五感で得られる全ての情報から・・・最適なものだけを取捨選択した上で無意識に知覚し回避するのだな・・・透き通る世界とはまた別の・・・至高の領域というべきか・・・」

 

 

俺は瞬時に黒死牟に肉薄する。

 

 

奴も俺の体を透き通る世界で見ることで動きを先読みしてたのか、俺を唐竹割で真っ二つにするかのような斬撃を振り落とす。しかし・・・

 

 

 

 

 

 

ー破壊殺・鈴割ー

 

 

 

 

 

「っ!!??」

 

 

俺は黒死牟の振り下ろされる刃を側面より裏拳でうち叩き、真っ二つに折る。

 

黒死牟は下がるも、俺も同時に距離を詰め、互いの距離は先ほどと一切変わらない。

 

 

「貴様っ!! 肉体の予備動作が・・・」

 

 

 

 

 

 

ー破壊殺・脚式 冠先割ー

 

 

 

 

 

 

「っ!!??」

 

 

俺は黒死牟の切り払いを上体を下げて回避し、その反動のまま蹴り上げる。黒死牟の頭蓋が粉砕される。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 伍ノ型 月魄災渦ー

 

 

 

 

 

 

俺の動きと同様、一切の予備動作無しに斬撃が周囲に展開される。俺は下がりこれを回避する。その隙に黒死牟は頭部を再生させる。

 

 

「信じられぬ・・・肉体の筋肉の収縮、血管の流れ、肺の動きまで一切の予備動作が起こらぬ・・・攻撃と同時の一瞬のみしか兆候が存在せぬとは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー破壊殺・空式ー

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ!!??」

 

 

拳を打ち、空圧正拳が届くまでの刹那で黒死牟は防御する。俺は両の拳を握り構え、前傾姿勢を取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー月の呼吸 拾肆ノ型 兇変・天満纎月ー

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲すべてを飽和するかのような斬撃が台風のように吹きすさび、あたり一帯を根こそぎ薙ぎ払う。が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー破壊殺・滅式ー

 

 

 

 

 

 

俺は技の派生よりも早く黒死牟に肉薄し、上半身のばねと両足の踏み込みと共に両手を前方へと打ち出す。

 

瞬間、黒死牟の上半身が血煙をあげ消滅する。

 

すぐさま黒死牟は再生するが、攻撃してくる気配はない。

 

 

「見事なり・・・今のお前は・・・間違いなく私よりも強い・・・もしかすれば縁壱よりも・・・いや、流石にそれはないかもしれぬが・・・」

 

 

俺は戦いが終わったと認識し集中を解く。それ以降、黒死牟が俺に声を掛けてくることはなかった。

 

暫く時間が経過すると、俺は無惨様に呼ばれた。

 

 

「猗窩座。お前は私が思った以上に成長した。素晴らしい。」

 

「光栄にございます。」

 

「私はお前に期待している。あの黒死牟を一度とは言え打ち負かした。これからももっともっと強くなれる。私の力になれる。特別な鬼だ。

 猗窩座よ。これからも一層に励むのだ。次私が命じた仕事を完璧に果たせ。いいな?」

 

「はい。無惨様。」

 

 

そうして再び、無惨様からの新たな命令が下されるまでの間、青い彼岸花の捜索をすることになった。以前と違うのは、鳴女も捜索を命じられるようになったことだ。

 

俺が黒死牟と戦っていた三か月の間で、奴も相当の血に順応し、索敵能力を向上させたらしい。無惨様もそれについては相当に評価し、上機嫌だった。

 

しかしそういった期間もそう長くは続かなかった。

 

ある日のことだ。俺は鳴女の探索範囲よりも遥か遠方の地域まで足を運び、もと来た道を帰る最中だった。俺は無限城に唐突に呼ばれた。いや、俺だけではない。上弦全員だ。俺はそこで驚愕の事実を知ることとなった。

 

黒死牟が死んだ。

 

無惨様が言うには、耳に花札のような耳飾りをした鬼狩りの抹殺に向かわせたにも関わらず、産屋敷の血を引く鬼狩りに言いくるめられ、無惨様の呼びかけにも一切反応することなく、あろうことか頸を差し出してそのまま殺されたという。

 

なぜ、自ら死ぬことを選んだのか。俺に一度負けたとは言え、奴はあの時の一戦以外では常に俺よりもはるかに強かった。

 

奴なら俺以上に鍛錬すれば、今の俺よりも強くなってたはずだ。

 

さらなる高みへの開けたかもしれない道を自ら放棄するとは・・・軟弱ではないのか、黒死牟っ!!!!

 

 

「もういい。黒死牟のような腑抜けなどどうでもよい。そもそも奴は私の一協力者に過ぎない。元鬼狩りの柱だったとは言え、心底期待外れな男であった。

 それより猗窩座よ。お前は既にあの黒死牟よりも強い。新たに進化した血鬼術を使えば、お前はどの配下よりも強いのだ。それだけが黒死牟の成果とも言える。

 私の役に立て。邪魔な鬼狩り共を全員殺せ。お前なら例え一人でも、私の役に立てるはずだ。猗窩座よ。」

 

「はい。無惨様。」

 

 

黒死牟は俺も腹立たしかった。以前、奴に申し込んだ入れ替わりの血戦では、完膚なきまでに俺はやられ、奴の気まぐれとこだわりで俺は殺されなかった。それをずっと恨んでいた。

 

だが、奴は紛れもなく十二鬼月最強の男だった。それを俺も認めていたからこそ、ずっと恨めしく思っていたのだ。それなのに・・・自ら頸を差し出すなど・・・俺は奴の決断に納得ができなかった。

 

 

 

 

 

 

それからの日々、至高の領域を求め続けた以前とはまた異なる不快感が付きまとい、俺は悶々と過ごす時間が増えた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




以上が、鬼側で行われていた猗窩座と黒死牟の一部始終でした。一連の出来事を通じて、猗窩座は黒死牟よりも強く進化しました。一方で、黒死牟の訃報に思うところがあったような描写をさせて頂きました。今後猗窩座が登場する際、原作の生き生きとした感じとは違い、終始曇った描写になると思います。どうかお含みおきください。
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