輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話 作:科学大好き人間
ここは産屋敷邸当主の一室。複数の無線機が一列に並んでおり、次々と連絡のベルが鳴る。それらを産屋敷家の家族全員で手分けして、緊急連絡を受けているところだった。
「こちら刀鍛冶の里!! 現在壺が生えた魚のような鬼多数と、大樹の龍を従えた上弦らしき鬼に襲撃を受けています!! 月柱の指揮の下、霞柱様、日柱様、花柱様で交戦中!!」
「遠距離支援部隊の宿舎より報告!! 以前報告にあった猗窩座と思われしき鬼の襲撃を受けています!! 既に数十名の射撃部隊が殉職しました!!
現在、岩柱様及び炎柱様の二名で応戦中!! 二人の指示によりその他の隊士は避難に当たらせていただきます!!」
「こちら蝶屋敷の蟲柱より・・・現在周辺の草柱管轄の生産施設が同時に襲撃されています・・・直ちに生産員の避難誘導は命じました・・・
各拠点へは草柱並びに連絡が取れた蛇柱、恋柱の計三名で固まって対処してもらっています・・・引き続き、蝶屋敷では風柱と蟲柱の二名で周囲の警戒を行います・・・」
産屋敷当主の輝哉は全身包帯を巻かれた状態で横たわっていた。傍には妻のあまねが介抱をしており、二人は連絡の対応に追われる子どもたちの様子を見ていた。
「まさか・・・無惨が・・・ここまで大きな手を打ってくるとはね・・・」
「はい。輝哉様・・・」
「なぜ・・・鬼殺隊施設が立て続けに場所を特定され・・・襲われたのかはわからないが・・・ここも危ないかもしれない・・・」
「輝哉様。私たちがここを離れるわけには・・・」
「わかっているよ、あまね。私たちは鬼殺隊の当主として・・・現場に適切な指示を送り続けなければならない・・・それができなければ・・・今夜にでも鬼殺隊の殆どは壊滅するだろう・・・
あまね・・・各襲撃場所の状況を教えてくれ・・・最も猶予のない場所へ優先的に柱を派遣しなければ・・・」
「はい。確認してきます。」
それから輝哉は、産屋敷当主の直感を駆使して、増援の手配の仕方を思考するのだった。
一方で同時刻、刀鍛冶の里にて、同じく産屋敷家の直感を働かせ現況の分析を行っている男がいた。
「・・・俺の悪い予感の正体はこれか?」
「報告します!! 月柱様!! 現在大樹の龍を操る上弦らしき鬼と、日柱様と花柱様が応戦中です!! 霞柱様は上弦の取り巻きらしき四体の鬼の一人に先ほど遠方まで吹き飛ばされたの事です!!」
「わかった。至急俺が時透が抜けた穴を受け持つ。お前らは使える火器全部引っ張り出して里を徘徊する壺が生えた魚鬼を駆逐しろ。」
「しかし!! 里長のところにも巨大な魚鬼が迫っております!! そちらは誰が対処するのですか!?」
「獪岳・・・と言いたいところだが、あいつは里の中で姿を消したらしいから、玄弥を出動させろ。例の方法で討伐を行えとな。」
「はっはい!!」
指示を飛ばし、部下が伝達に向かったのを確認して、雁哉は背中に背負った六尺に届く大太刀を一瞥する。
「場合によっては・・・決断しないとな・・・」
彼はそう呟き、闇の中へと消える。
「ヒョッヒョッ。私は玉壺と申す者なり。貴様柱ではなさそうだな。名は?」
「獪岳・・・」
「ヒョッヒョッ、獪岳よ。貴様には特別に私の新しい作品を見せてやろう!」
そう言って、玉壺は壺を出現させ、中から鍛冶師の死体で作った塔のようなものを出現させる。
「どうですか! 素晴らしいでしょう!? 名付けて
獪岳は説明も聞かず一目散に逃げる。
「貴様!! 最期まで私の話を聞けぇえええ!!!! 貴様も鬼殺隊の端くれなら逃げずに私の頸を斬ろうとする素振りぐらいしたらどうだぁああ!!!」」
「うっせえ!! 上弦の弐とか冗談じゃねぇ!! 柱でも勝てるわけねぇだろうが!!!」
ー血鬼術 千本針・魚殺ー
「うぉおおおおおおおお!!??」
突如玉壺は金魚を壺から出現し、夥しい数の太い千本を逃げる獪岳の背中めがけて放つ。
寸でのところで獪岳は木の裏に隠れてやり過ごすが、これで迂闊に背を向けて逃げることができなくなった。
「ヒョッヒョ、みっともない男だ貴様は・・・生きてても何の意味もないつまらぬ命、後生大事にしたところで何になるというのだ? せめて私の作品にしてやろう。」
玉壺の嘲笑に獪岳は何も言い返せず奥歯を噛み締めることしかできない。
玉壺が壺ごとずるずると移動していると、
ー霞の呼吸 壱ノ型 移流斬りー
「ヒョッ!?」
一瞬で頸を刎ねられ、玉壺の頭が地面に転がる。
「つまらない命なんて、この世のどこにもないよ。いや、あったか。君ら鬼の命だけは例外だね。」
「ななななな!!?? いつの間に!!?? 気配を微塵も感じなかったぞ!!?? 一体どうやって!!??」
無一郎は植物のような気配のまま、刀を振り上げる。その動きを前にしても、殺気も闘気も微塵も感じれれない様子。
瞬く間に、玉壺の頭部はみじん切りにされ、この世から消えて消滅した。
「大丈夫?」
「は、はい!! すみません!! ありがとうございました!!」
「君、階級は?」
「え? えっと・・・甲です・・・」
「そう・・・じゃあ連れて行こうかな。この後新しい上弦の壱と戦うために戻らなきゃいけないんだ。君にも来てもらう。」
「ええ!? いや俺なんて、絶対役に立ちませんよ!?」
「別に矢面に立って戦わせるつもりなんてないよ。支援部隊の人達の手伝いをしてもらうだけだから。甲なら常中もできるだろうし、他の人よりは動けると思うから。」
そう言って、やや強引に無一郎は獪岳を連れて里の中心部に戻る。里から逃げようとしていた獪岳にとって、思いもよらない展開だった。
「炭治郎!! 状況は!?」
「っ!! 雁哉さん!! 現在上弦の壱は木龍を複数体操って、斬ると増殖する取り巻きの四体と同じ血鬼術を連発して来てます!! ただ、こいつ等は全部本体じゃありません!!
本体の鬼の匂いは森の方へ逃げていきました!!」
「値千金の情報だな。よし、炭治郎は本体を追え。既に赫刀を発現してるようだから、見つけ次第すぐに頸を斬れ。お前ならできるはずだ。
俺はカナヲと二人でこいつ等の足止めをする。加えて丘に待機している玄弥と連携して木龍を削る。いいな?」
「え!? 玄弥!?」
「いいから行け。全部終わったら説明してやるから。」
「わかりました! 必ず本体の頸を斬ってきます!! 禰豆子行くぞ!!」
「ムー!」
雁哉の指示に従い出発する竈門兄妹。その様子を見て半天狗の憎伯天は木龍をけしかけるが・・・
ー花の呼吸 陸ノ型 渦桃ー
赫刀を発現させたカナヲが跳躍し、木龍を切断する。
「炭治郎には・・・私が指一本触れさせないっ!!!」
「ひゅ~・・・お熱いね・・・」
「雁哉さん!! ふざけてないで作戦は!?」
「よし・・・お前は斬ると増える取り巻き四体を頼む。赫刀があれば頸以外を切断して無効化もできるはずだ。ちなみにその赫刀はあれか? 炭治郎と刀を打ち合って発現させたのか?」
「はい。その通りです。では・・・雁哉さんが木龍を相手にするのですか!? 失礼ですが、あれを雁哉さんに何とかできるとは・・・」
「ああ、この刀じゃ無理だな。こっち使うか・・・」
カナヲの懸案に応えるように、雁哉は背中の大太刀の鞘の留め具を外した。鞘が縦に割れて分解され地面に転がる。
「それは・・・!!」
「鉄珍様に打ってもらった新しい日輪刀だ。まだ使いこなせないが、足止めぐらいはできるだろう。」
六尺はあるだろう巨大な日輪刀を雁哉は掲げる。再び木龍が迫るが雁哉は大太刀を一閃し、10m以上離れた木龍の頭部をバラバラに切り刻む。
「凄い・・・」
「いや・・・全然凄くはないぞ。まだオリジナルの型を再現できてないからな。」
「貴様・・・今のは黒死牟の技・・・貴様が産屋敷の血を引く柱か・・・!!」
憎伯天は太鼓を叩く。複数の木龍が首をもたげて臨戦態勢に入るのだが・・・
ドウゥン!!!!!
突如轟音と共に、風切り音を響かせる赤い榴弾が木龍に当たり粉砕される。憎伯天は榴弾が飛んできた方向に振り向く。
それと同時に、雁哉の耳に着けたカナト作成のインカムから音がする。
「目標命中。次弾装填します。」
「ああ、頼む。・・・そうか、このインカムこっちからの声聞こえないんだったか。」
憎伯天が遠方を警戒してると、再び砲撃音が。暗闇の中で真っ赤に発光する榴弾が飛来し、再び木龍を粉砕する。
真っ赤な榴弾に砕かれた木龍は再生できないでいた。即ち再生阻害の赤鱗榴弾である。
「鬼の膂力を出せる玄弥くらいしか、あの馬鹿重い大砲の移動と榴弾の装填はできないからな。
加えて同じく馬鹿重くて日輪刀と同じ素材のハンマーで榴弾ぶっ叩かないと赤鱗弾にならないし、事実上玄弥だけの専用兵器といっても過言じゃないか。
鬼喰いについてはしのぶに怒られたが、まったくもって有用な戦力だな。」
「いつの間にあんな兵器を・・・」
雁哉が独り言をつぶやいてる傍ら、カナヲは驚愕に目を見開いていた。
「じゃあカナヲ。取り巻き四体は頼んだぞ。逆にあれは赫刀が使えない俺じゃ相手にできないからな。」
「っ!! わかった!!」
そうして暫くの間、半天狗と柱達との間で凄まじい攻防が繰り広げられた。
続く
この話では半天狗は上弦の壱に、玉壺は弐に昇格しています。理由は黒死牟が討伐され、童磨、猗窩座が陸のままだからです。加えて二人とも原作より無惨から与えられた血の量が多いので強くなっています。半天狗は憎伯天と喜怒哀楽を同時に出現できます。玉壺は強さを発揮する前に時透君に透き通る世界の状態で斬られて死にました。時透君は既に白峰に稽古を受けて透き通る世界が見えるのでかなり強いです。
そして地味に忘れられがちな獪岳は今後の話の都合で刀鍛冶の里に来ています。原作の彼は屑ですが、この小説では活躍させる予定です。予定は未定ですが・・・
それでは次回も視点がコロコロ変わりますが、お付き合いの程何卒よろしくお願い申し上げます。