輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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弟のカナト君視点です。やきもち妬く女の子って可愛いですよね(急にどうした)。


76話 最愛の人

「・・・とまあ、こんな感じかァ? 隊士全体に行う柱稽古の内容はァ。」

 

「うむ!! 問題ないだろう!! 加えて夜間は柱同士での稽古を行えれば確実な戦力強化になるはずだ!!」

 

「わかった・・・早速準備しよう。甘露寺、行くぞ。」

 

「う、うんっ! 戻って準備しなきゃね! それじゃあ私たちはお先に失礼しますっ!」

 

 

やがて、産屋敷邸の一室から柱のみんなはいなくなり、残ったのは僕としのぶさんの二人のみとなった。

 

 

「さて、カナト君。いろいろと言いたいことはあるのですが、まずは・・・」

 

「ごめん、しのぶさん・・・」

 

「・・・どうして謝るんですか? そもそも何に対して謝ってるんですか? 言っておきますけど、私、別にカナト君のことを怒ってるわけでは・・・」

 

「ずっと隠し事をしてた。それと、さっきの柱合会議でも嘘をついてた。それだけは先に謝っておきたくて・・・」

 

「っ!! やっぱり! そんな気してたんです! どうしてあなたはいつもいつも・・・」

 

「ごめん・・・本当にごめん・・・ごめんなさい・・・」

 

「・・・っ! もうっ・・・そんな顔をされたら何も言えないじゃないですか・・・」

 

 

僕は今悲痛な顔をしているのだろうか。それとも自分の情けなさに打ちひしがれているのだろうか。どちらにしても辛気臭い顔をしているに違いない。

 

 

「カナト君。あなたが私たちのことを思って隠し事をしてたことはわかっています。しかし、それでもせめて、私にだけは心の内を打ち明けてはくれないでしょうか?」

 

「・・・うん・・・」

 

「それで、隠し事というのは?」

 

 

僕は雁哉が今何をしているのか、何をしようとしているのかをしのぶさんに話した。柱合会議では伏せた内容だ。これは僕の予想とかではなく、実は既に雁哉から鎹烏を通じて教えられていた内容だ。

 

しのぶさんは僕の話を聞いて、目を見開いていた。

 

 

「・・・そんな・・・なぜ雁哉君はそんな決断を・・・」

 

「僕のせいなんだ・・・僕が痣を出してしまって・・・雁哉は猶予がないと判断したんだと思う・・・一日でも早く無惨を殺すためには必要なことだからって・・・」

 

「でも、お館様からは止められていたんでしょう? なのにどうして・・・」

 

「悲鳴嶼さんが重傷を負って、戦線離脱したからじゃないかな・・・きっと悲鳴嶼さんの抜けた穴を雁哉はその方法で埋める気なんだ。」

 

「・・・それで・・・浅草に・・・」

 

「うん・・・まあ流石の雁哉も人としての一線は越えないと思う。僕はそう信じている。きっと何か特別な手段を用意してるんじゃないかな?」

 

「・・・どうしてそれを私に? 以前お館様も私にその話を聞かせないよう取り計らっていたと思うのですが・・・」

 

「・・・しのぶさんには・・・もう隠し事をしたくない・・・だって約束したから。『死が二人を分かつまで、ずっと離れず傍に』って・・・

 一緒になる人に、隠し事をして晩年を生きるなんて、僕も嫌だったから・・・」

 

「カナト君・・・そうですか・・・あなたも辛かったんですね? でもお兄さんとの約束もあったから、今まで隠してた・・・そういうことですね?」

 

「・・・うん。」

 

 

僕が俯いてると、しのぶさんは僕を胸に抱きしめてくれる。あの晩のように。

 

 

「ずっと苦しかったでしょうね。でもこれからは私もいます。なんでも打ち明けてくださいね?」

 

「・・・うん。ありがとう・・・」

 

 

いつまでそうしてたのかわからない。だいぶ時間が経った気がする。ふいにしのぶさんは口を開く。

 

 

「・・・ちなみにですが、珠世さんという女性は、お綺麗な方なのですか?」

 

「・・・うん?・・・そうだね、控えめに言って美人だったと思う。一度しか会ってないけど・・・」

 

「・・・」

 

 

しのぶさんはふいに僕を抱きしめる力を強める。

 

 

「・・・私にはカナト君だけですからね? カナト君もそうですよね?」

 

「・・・? しのぶさん?」

 

「もう・・・そこは即答してくださいよ・・・不安になるじゃないですか・・・」

 

「・・・もしかして妬いてる?」

 

「もしかしなくてもですよ・・・! 全くあなたという人は・・・本当に鈍感なんだからっ///!!」

 

 

さらにしのぶさんは抱きしめる力を強める。胸に顔を押し当てられ、息がし辛い。

 

 

「ちょっ!! しのぶさん!!?? 袈裟切りにされた時の胸の切り傷痛んじゃうよ!?」

 

「この一週間でちゃんと治りましたよ。私だって柱です。侮らないでください。そんなことはどうでもいいんですっ!!

 まさかとは思いますが、その珠世という女性にも色目を使ったんじゃないでしょうね? もしそうだったら私許しませんからっ///!!」

 

「く、苦しいっ!!」

 

「どうなんですか? さっさと白状したらどうなんですか!?」

 

「ないっ! 100%ないって!! 僕にはしのぶさんしか見えてないよ!? それに珠世さんには旦那さんがいるし・・・」

 

「・・・鬼なのに旦那さんが?」

 

「うっ・・・人間の時のね・・・だから何もないって・・・もう放して・・・」

 

「つまり今は未亡人・・・そいうことですよね? 今はもういない旦那さんの代わりにカナト君がその心の穴を埋めたりとかも・・・」

 

「ちょっ!!?? 誤解だって!!?? もう息が・・・」

 

 

しのぶさんは僕が限界を迎える直前で解放してくれる。僕は一気に酸素を取り込む。

 

 

「ゼエゼエ・・・もうしのぶさんは心配しすぎだよ・・・ってええ!!??」

 

 

再度、僕はしのぶさんの胸に抱かれ、顔を胸に押し当てられる。

 

 

「心配もしますよ。だって、カナト君は鬼殺隊の女性隊士のみなさんとも日頃から仲良さげに話しているじゃないですか? いつもあの素敵な笑顔で。きっと私みたいに心を奪われた方も少なくないと思いますよ?」

 

「ちょっ!! 待って!!??」

 

「私、それを見るたびにどれだけ心がかき乱されたことか・・・」

 

「僕にはしのぶさんだけだって!! しのぶさんだけが僕の唯一無二の最愛の人なんだから!!!」

 

「っ///!!!」

 

 

しのぶさんは一度僕を放して、僕の顔に両手を添える。

 

 

「もう・・・/// 最初からそう言ってくださいよ? 本当にいけずな人なんだから・・・///」

 

 

しのぶさんの朱色に染まった顔が傍に迫る。流石の僕も真っ赤になる。

 

 

「しっしのぶさ・・・」

 

 

僕の言葉はしのぶさんの唇に遮られる。一瞬何が起こったか認識できなかった。

 

 

「・・・え///?」

 

「ふふっ、カナト君もようやく私とお揃いで真っ赤になってくれましたね///? 私すっごく嬉しいですよ///?」

 

 

それから何度もしのぶさんに言葉を遮られる。僕は全身から火が噴きそうなほど真っ赤になり、思わず顔を背けてしまう。

 

 

「いきなりこんな・・・/// しのぶさんらしくないよ・・・///」

 

「そうですか? でも私をそうさせたのはカナト君なので、ちゃんと責任取ってもらいますからね///」

 

「ええっ!!?? 責任って僕らまだそんなことまでしてないのに・・・///」

 

「あら? そこまで意識してもらえるなんて思ってなかったです。でもカナト君さえよければ私はいつでもして差し上げますからね///?」

 

「ちょっ!!?? しのぶさん!! ストップストップ!!!」

 

 

僕はしのぶさんから距離を取ろうとするが、しのぶさんも同じく距離を詰める。

 

 

「もうっ・・・いいじゃないですか? ここには私たちしかいないんですから・・・///」

 

「いやいや!! 急すぎるって!! ここお館様の屋敷の中なんだけど!!??」

 

「あら、そういえばそうでしたね。でも関係ありません///」

 

「ええっ!?」

 

 

それから暫くの間、僕としのぶさんとの引いて迫っての応酬が繰り広げられる。

 

やがて、僕らの声が聞こえたのか、ふすまを開けて輝利哉君が現れてその場面を目撃してしまい、ゆでだこのように真っ赤にさせてしまう。

 

 

「も、申し訳ありませんっ!! どうぞごゆっくりっ///!!!」

 

「ちょっ!!?? 違うって!? 輝利哉君誤解だよ!! ちょっと待ってぇえええええ!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が傾き始める中、産屋敷邸に僕の声が響き渡り、結局僕らのやりとりは全て輝哉さんやあまねさんにまで知れ渡ることとなった。

 

 

 

 

続く

 

 

 




受けと攻めが逆転してしまいましたね・・・これが所謂主従逆転ごっ・・・ゲフンゲフン。やっぱりなんでもないです。
漸くこの二人も恋人らしくなりましたね。付き合って一年半以上経ってますが(笑)
因みにカナト君の家にお泊りしたあの夜からずっとしのぶさんはお預けを喰らっています。
なのにこの七日間添い寝は継続中という・・・生殺しか何かか?
彼の情緒の成長速度は亀の如き歩みなのでしのぶさんには苦労かけますが、それはそれで書いてて楽しいかもしれません(鬼か?)。とは言え、本小説完結までに二人には命一杯幸せになってもらう予定なので、引き続き楽しんでもらえる内容を書いて行こうと思います。
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