輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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炭治郎君視点です。デート回を書くつもりが、いつの間にかみんなでお祭りに参加するだけの回になってしまいました。本格派の方々には先に謝っておきます。すみません。ただ、これはこれで平和な感じがしていいかなとも思っています。


82話 縁日

「炭治郎。私あっちの屋台で売ってるラムネ買いたい。ダメかな?」

 

「そうだな、カナヲ。先に買ってからみんなと合流しようか。」

 

 

俺達は今夜最寄りの町の縁日に参加している。恰好もいつもの隊服ではない。俺は薄緑色の甚平を着て、カナヲは桃色を基調とした百合の柄の浴衣を着ている。

 

俺達はラムネを片手に屋台の並ぶ通りを進む。やがて、神社前の階段の傍で手を振ってるカナトさんを発見した。

 

 

「あはは、もう買ってる。」

 

「すみません! 俺たちが最後でしたか? 一番乗りのつもりだったのですが・・・」

 

「おせーぞ! 権八郎!! 俺だって腹減ってんだぞ!!」

 

「伊之助さん。もう少し待ってください。私が買ってあげますから・・・」

 

「きいいいい!! なんで炭治郎も伊之助もカナヲちゃんやアオイちゃんと連れ添って来てんだよ!! 俺なんて禰豆子ちゃん連れてこれなくて一人でここまで来たってのにぃいいいい!!!」

 

 

合流して伊之助と善逸から抗議の声が上がる。俺は苦笑いし平謝りする。

 

他にもカナトさんの隣にはしのぶさんがいて、その近くで玄弥がなほちゃん、きよちゃん、すみちゃんに囲まれて何だか困っていた。

 

そんな様子を眺めて笑う身重のカナエさんと、いつでも支えられるように傍に付き添う不死川さんも来ていた。

 

 

「よし。全員そろったね。それじゃあ見て回ろうか。」

 

 

カナトさんがそう呼びかけると、屋台の通りへ伊之助が真っ先に向かっていき、その後ろをアオイさんが慌てて追いかける。

 

続いて玄弥がなほちゃん、きよちゃん、すみちゃんに引っ張られながら屋台へと連れ去られ、その後ろを善逸が不機嫌そうにしながら後をついて行った。

 

カナトさんとしのぶさん、そして不死川さんは身重のカナエさんを気遣ってか傍を離れようとはしなかった。三人が神社前の階段の端っこに腰を下ろすと、カナトさんが俺に声を掛ける。

 

 

「せっかくの縁日なんだ。二人で仲良く楽しんでおいで?」

 

「え・・・でも・・・」

 

「気を遣わなくても大丈夫だよ。もし気になるなら、僕らの代わりに何か買ってきてくれると嬉しいな。」

 

「は、はい! わかりました!! すぐ買ってきますね!!」

 

「いや、だからゆっくりしておいでって。鬼の出現はピタリと止んでる今ぐらいしかこんな機会楽しめないんだからさ。カナヲちゃんとしっかり楽しんできてよ。」

 

 

カナトさんはそう困ったように笑う。実は今回みんなで夜の縁日に参加しようと言い出したのはカナトさんだった。

 

無惨との最終決戦前に何を言ってるんだと最初不死川さんは苦言を呈していたが、カナエさんが『戦いの前だからこそ全力で息抜きしなきゃダメじゃない!』と言い放ったことにより、このような場が設けられたのだ。

 

幸い柱稽古が始まってからは鬼の出現が一切なくなったのだ。きっと、今ぐらいしかこんな風にみんなで夜に出かけるなんてできないだろう。

 

それにいざという時のための対策は既に打ってあるとカナトさんは言っていた。詳細を伏せていたので、十中八九、愈史郎さんの目隠しの術で誰かを傍で待機させていると思われる。

 

周囲に鬼の気配もしないし、俺はひとまず安心していいと判断してカナヲの手を引いて縁日の屋台の並びに向かった。

 

 

「カナヲは何か買いたいものはあるか?」

 

 

俺がそう聞くと、カナヲはさっき寄った屋台を指さす。

 

 

「ラムネ飲みたい。」

 

「さ、さっき飲んだばかりだろう? せっかくだから他のも見て回ろうよ、カナヲ。」

 

 

カナヲは不服そうに俺を見てくる。仕方がないので、追加でラムネの瓶を数本買い、俺は手持ちの手提げ袋に入れた。

 

 

「先にお腹が膨れるものを食べよう。焼きそばやたこ焼きなんてものもあるぞ、カナヲ?」

 

「むう・・・」

 

「あ、甘いものはお腹に何か入れた後の方がいいんだぞ、カナヲ? 食後にちゃんと飲ませてあげるから・・・」

 

「・・・わかった。食べ物はどれがいいかわからないから、炭治郎と同じものを食べるね。」

 

 

そうして、俺とカナヲは次々と屋台に寄っては買い食いをする。不服そうにしていたカナヲも、日ごろ食べることのない目新しい食べ物を見て目を輝かせていた。

 

俺はそれが嬉しくてつい笑ってしまい、手持ちのたこ焼きを楊枝で持ち、カナヲに近づける。

 

 

「はい、カナヲ。あ~ん。」

 

 

カナヲは一瞬驚いていたが、すぐに嬉しそうに笑い、口を開いて俺が近づけたたこ焼きを口に含んだ。

 

 

「っ!!」

 

「ああ、ごめん。熱いって伝えてなかったよな。次からはフーフーしてから食べような?」

 

 

以降、カナヲは俺が息で冷ましたたこ焼きを次々と食べてくれる。まるで雛鳥に餌をやるようだと内心思ってしまい俺は笑ってしまう。

 

そんな俺を見てカナヲも恥ずかしくなったのか、途中から自分で冷まして食べるようになった。

 

やがて、手持ちの食べ物もなくなり、カナヲが俺の手提げ袋に視線を注ぐ。

 

 

「よし、とりあえず一本だけな? 他にもカナヲに食べてもらいたいものがあるんだ。」

 

 

カナヲは俺の話が耳に入ってるのか心配になるほど、ぐびぐびとラムネを飲んで堪能していた。途中「けふっ」と声がして俺は笑ってしまう。

 

 

「カナヲ、これなんてどうだ? 甘くておいしいぞ?」

 

 

それから俺はカナヲに次々と甘味を渡す。わたがし、りんご飴など様々に。

 

 

「ありがとう、炭治郎。おかげで今日は初めてのものばかり食べれたよ。凄く楽しかった。」

 

「そうか、ならよかった。あ、あっちに金魚すくいもあるぞ? カナヲやってみるか?」

 

「でも金魚どうやって飼えばいいかわからない・・・」

 

「しのぶさんも以前飼ってたし、俺も世話の仕方知ってるから大丈夫だよ。二人でやってみよう、カナヲ。」

 

「うん。わかった。」

 

 

そうして俺達は二人で金魚すくいを楽しんだ。俺がなかなかすくい取れずにいる傍ら、カナヲはポイを一つもダメにせず金魚を次々とすくっていく。

 

 

「カナヲ、うまいな! どうやってるんだ?」

 

「私、目がいいから、こういうの得意なんだ。」

 

「そうなのか! やっぱりカナヲは凄いな!!」

 

「ふふっ。でもこんなに金魚飼えないから、二、三匹だけでいい気がする。」

 

 

そうして他の金魚を返却し、お店の人に持ち帰り缶に数匹金魚を入れてもらい、そのまま屋台をあとにした。

 

 

「あれ? あそこにいるのは玄弥か?」

 

 

どうやら射的の屋台のようだ。玄弥は射的が相当に上手いらしく、ほぼ百発百中で景品を落としていく。

 

 

「兄ちゃん。勘弁してくれ。これじゃ商売あがったりだよ・・・」

 

「ああ、すみません。じゃあこの子達に一人一つずつだけ景品もらいます。」

 

 

そう言って、玄弥はなほちゃん、きよちゃん、すみちゃんに景品を渡していく。遠目だから分かりにくいが、何かの装飾品だろうか。

 

 

「玄弥凄いな! 射的得意なのか?」

 

「おお、炭治郎か。まあ、支援部隊で射撃は結構やってたからな。今じゃ刀よりこっちの方が得意なくらいだ。」

 

 

するとカナヲが一歩前に出て玄弥にお辞儀をする。

 

 

「刀鍛冶の里ではありがとう。あの時のお礼、まだ言ってなかったから・・・」

 

「いや、俺にはあれくらいしかできないから、お礼言われるほどのこともないよ。寧ろ二人には代わりに上弦を倒してくれたことを感謝してる。同期で柱なんてつくづくすげえよ、二人とも。」

 

「いやいや! 玄弥だって凄いと思うぞ! あんな遠距離から砲撃したり、射撃したりできるんだから! 他の隊士達も玄弥のおかげで何度も助かったって声聞いてるし、もっと誇らしくしていいと思う!!」

 

「はは、そうか。俺も少しは鬼殺隊の役に立てるようになれたかな。入隊する時に呼吸も使えないのにふざけんなって兄貴に怒られちまったけど・・・」

 

「それってだいぶ前の話じゃないか? それに、玄弥のお兄さんは純粋に玄弥に危ない目に遭ってほしくなくてそう言ったんじゃないか? 

 俺は匂いで人の感情がわかるんだ。お兄さんは今でも玄弥のことが大切だから、それできっと反対したんじゃないか?」

 

「炭治郎・・・」

 

「それに、今ならきっともう怒られないよ! 玄弥は後方から援護射撃できるほどの腕があるんだ! 前衛で戦うよりも、むしろお兄さんは安心していられると思う!

 この後、お兄さんと話してみたらどうかな? きっと仲直りできると思うよ?」

 

「・・・そうだな。この後話に行くよ。ありがとな、炭治郎。」

 

「いやいや、お礼ならカナトさんに言うべきじゃないか? なにせこの場を設けてくれたのはカナトさんなんだから。

 それに、今ならカナエさんもいるしきっとうまく仲介してくれるよ。絶対仲直りできると思う。だから大丈夫だよ、玄弥。」

 

「ああ、ありがとな、炭治郎。俺今から兄貴に会いに行ってくるよ。なほたちのこと頼むな?」

 

「わかった。いってらっしゃい、玄弥。」

 

 

そうして玄弥は再び神社の方に戻っていった。俺はなほちゃん達を引率しながら、他の屋台を見て回る。するとカナトさんと善逸の二人とばったり会う。

 

 

「やあ、炭治郎。楽しんでる?」

 

「はい! おかげさまでカナヲと楽しんでますよ! ・・・ちなみにカナトさんは善逸と何をしてたんですか?」

 

「ん・・・ちょっとね・・・善逸が将来禰豆子ちゃんと一緒にこういうところ来た時の助言をしてたんだよ。」

 

「助言? 禰豆子のですか?」

 

「なあ、炭治郎。禰豆子ちゃんってこういうところ来たらどこに寄りたがるかなあ?」

 

 

善逸が俺に自信なさそうに質問してくる。俺は顎に手を当てて考える。

 

 

「う~ん。どこに寄りたがるかはわからないけど、金平糖とか好きだから、やっぱり砂糖菓子の屋台には行きたがるんじゃないか?」

 

「そうなのか炭治郎!! 恩に着るよおおお!! 今度禰豆子ちゃん連れてきたら、そういう屋台探してみるよおおおお!!」

 

「ふふっ。でも一番大事なのは、善逸が禰豆子ちゃん以外の女の子に気を取られないことじゃないかな? むしろそれが一番重要だと思うよ?」

 

「大丈夫ですカナトさん!! 俺は禰豆子ちゃん一筋なんで!!」

 

「そう、なら安心だね。おや、あそこにとっても美人なお姉さんが・・・」

 

「え!! どこどこ!! どこにいるのっ!! カナトさん教えてくださいよ~!!」

 

「・・・・・・善逸。」

 

「はっ!! 違うんです!! 反射的に言ってしまっただけで!! そんなつもりはないんですよおおおおお!!!」

 

「善逸。禰豆子一筋じゃないなら兄貴として交際は認めないからな。」

 

「嘘おおおおお!! 炭治郎おおお!! そんなこと言わないでくれよおおおおお!!!」

 

 

俺が低めの声でそういうと、善逸は泣きながら俺のすそに縋り付く。

 

 

「俺は禰豆子ちゃんが一番だからあああ!! 信じてくれよおおおおお!!!」

 

「本当か?」

 

「本当だよおおおおお!!! 嘘だったら切腹するからああああああああ!!!」

 

「よし。男に二言はないな!? 信じるぞ!?」

 

「うう・・・やっぱり切腹は無しで・・・」

 

「善逸。そこは反故にしちゃだめだよ? 禰豆子ちゃんに愛想尽かされてもいいの?」

 

「嫌だああああああああ!!! そんなの絶対にいやああああああ!!!」

 

「よし、善逸は今後禰豆子ちゃんだけを見るんだ。そうすればきっと禰豆子ちゃんも振り向いてくれるよ?」

 

「はい・・・ってえええ!! そもそもまだ振り向いてすらいなかったの!!?? 俺初耳なんだけど!! そんなのあんまりだよ!!!!」

 

「そりゃあ禰豆子はまだ鬼のままなんだから、人間に戻ってからが本番に決まってるじゃないか。」

 

「そんなの酷いよ!!! 俺の今までの努力って一体なんだったの!!??」

 

「まあまあ、対無惨の薬の研究が終われば、すぐにでも禰豆子ちゃんは人間化薬で元に戻るんだから、そう先の話でもないんじゃないかな。もう少しの辛抱だよ? 善逸。」

 

「うう・・・頑張ります・・・」

 

「むしろ禰豆子が人間に戻ってからが大事だからな? いいか、善逸。今後お前の覚悟を見せてもらうからな?」

 

「はい・・・頑張ります・・・」

 

 

そうして落ち着いた善逸をなだめながら、俺たちは神社の階段付近へと向かった。

 

そこにはしのぶさんとカナエさんが並んで座っていた。不死川さんと玄弥は屋台で買い物でもしてるのだろうか? それに伊之助とアオイさんもまだ帰って来てないのか?

 

 

「・・・なんだけど、どうすればいいかしら、姉さん。」

 

「そんなの簡単よ! 押し倒しちゃえばいいのよ!」

 

「ばっ!! 馬鹿なの!!?? それができれば苦労しないわよ!!!!」

 

 

なんだか二人で言い争っている? 俺は気になり声を掛ける。

 

 

「どうしましたか? 何か揉めたりしたんですか?」

 

「た、炭治郎君!? カナト君まで!!?? な、なんでもないから気にしないでください!!!」

 

「? わかりました。」

 

「しのぶさん? 何か悩み事? 僕でよければ相談に乗るよ?」

 

「カ、カナト君には言いたくありません!!」

 

「ええっ!? そうなの!!??」

 

「もう、稲葉君ったらそんなに落ち込まないの! しのぶだって言いたくないことの一つや二つあるわよ?」

 

「そ、そうなんですね・・・わかりました・・・なんの話かわからないけどごめんね、しのぶさん・・・」

 

「い、いえ! 謝らなくても結構です! ・・・後日お話しますから。」

 

「ん? うん、わかった。しのぶさんが話してくれるまで待ってるね。」

 

 

話がひと段落したところで、不死川さんと玄弥、伊之助とアオイさんが帰ってくる。

 

 

「カナエ、しのぶ。買ってきたぞ?」

 

「カナエ様、しのぶ様。買ってきました。どうぞ召し上がってください。」

 

 

そうして、大量の食べ物が振舞われる。二人が食べきれない分は、俺と伊之助を筆頭に綺麗に完食した。

 

夜が更けていく間、俺達はみんなで談笑し、楽し気に過ごすことができたように思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




因みに周辺で待機してるのは雁哉君です。この時は既に最終決戦に備えての秘策は実行済みです。なので相当強いです。
それは置いといて、とにかく平和な日常回でした。五感組の絡みも最終選別の時くらいしか書いてなかったので個人的には満足です。もっとイチャイチャしてるところも書きたかったのですが、二人きりでもないしまたの機会の方がいいかなと思いこうなりました。その機会を用意できるかは不明ですが・・・
それと最近毎日投稿のデメリットを痛感しているところです。なので最終章の無限城編は週1か週2になるかもしれません。それでも映画までには完結させるつもりなので、最後までどうかお付き合い下さい。
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