輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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弟のカナト君視点です。ダラダラ続けてもつまらないと思うので、彼の最後の戦いは今回と次回で決着させる予定です。それではどうぞ。


86話 無限城

「これで私を追い詰めたつもりか!? 貴様らがこれから行くのは地獄だ!!」

 

「地獄に行くのはお前だ無惨!! 絶対に逃がさない!! 俺達全員で必ず倒す!!」

 

 

愈史郎の札を着けて奇襲をかけた柱全員の攻撃をたった一手でひっくり返された。

 

猗窩座の闘気のよる感知により、無惨に注意喚起が行われた瞬間、僕たちの足元に一斉に複数のふすまが出現する。

 

無惨も同様に無限城に落ちていく。このままだと見失ってしまうと僕は思った。

 

しかし、一瞬の出来事だったが、遠くで雁哉が白峰さんと獪岳を掴んで血鬼術を発動させるのが見えた。恐らくあの三人は無惨のいる場所へと移動したのだろう。

 

きっと雁哉たちが無惨の足止めをしてくれる。なら僕は雁哉に任された仕事をきっちりこなさなければ・・・!

 

 

「しのぶさん!!」

 

 

僕は傍に居たしのぶさんを咄嗟に引っ張り抱き寄せながら無限城の中を落ちていく。

 

やがて蓮の花が咲く池が傍にある、ふすまの前に着地する。僕は周囲を警戒しながらふすまを開けると、中にはさらに広々とした蓮の花の池とその上を張り巡らされた橋が多くかかった景色が広がっていた。

 

 

「やあ、また会ったね? 鳴女ちゃんに頼んで君らは俺の場所に落ちてくるよう取り計らってもらったんだあ。」

 

 

視界に今まで飽きるほど見た、屈託なく笑う童磨が座して待っているのが見えた。その距離ざっと20mと言ったところか。

 

 

「っ!! 童磨・・・!!」

 

 

しのぶさんは青筋を浮かべて前に出ようとするが、僕はしのぶさんをむしろ後ろに下がらせる。更に僕はしのぶさんを庇えるよう三歩前に進む。

 

 

「初めて会った日の夜も、君はそうやって女の子を庇うようにして俺の前に立っていたね? なんだか懐かしいなあ。」

 

「そう・・・でも懐かしむのも今日で終わりだよ。お前は僕らで力を合わせて殺すから。」

 

「アハハ! 死ぬのは君らの方じゃないかな? だって君らの手の内はもう充分把握してるし、逆に君らは俺の血鬼術に対処しきれないだろう? 戦う前から結果は見えてるよ。」

 

「この数ヶ月で僕らが何も準備していないとでも? お前の方こそ手の内バレバレなんだよ。当然対策してるに決まってるだろ?」

 

 

売り言葉に買い言葉、僕は童磨と口論を交わす。しかし童磨は笑顔を崩さない。自身の優位が揺らがないと確信しているからだろう。

 

 

「対策ねぇ・・・もしかして目隠しの血鬼術で隠れている傷だらけの彼がいるから大丈夫だとでも思ってるの? 残念! 鳴女ちゃんの視覚共有のおかげで君らのすぐ後ろにいることはわかってるよ?」

 

「っ!!??」

 

 

僕もしのぶさんもすぐ後ろを振り向く。すると何もない空間から不死川さんが姿を現す。

 

 

「てめえェ・・・気がついていやがったのか・・・」

 

「アハハ! はったりで言ったんだけど本当にそこにいたんだね! 鳴女ちゃんがすぐ傍に風の柱も落としたって思念で教えてくれたから、もしやとは思ってたんだけど当たりだったみたい!」

 

「・・・糞がァ・・・」

 

「不死川さん。童磨はこういう奴なのであんまり真に受けてると身が持ちませんよ・・・」

 

 

童磨に一杯食わされたと思った不死川さんが苛立っているが、すぐにしのぶさんがなだめる。僕もそれに続く。

 

 

「そうです、不死川さん。愈史郎さんの目隠しの術が童磨自体には有効なことがわかったので、寧ろ好都合です。

 僕らのうち二人が陽動になれば、誰かしら童磨に悟られず接近することができると思います。これは重要な情報ですよ。」

 

 

「へぇー、まさか俺がその術に対して何の対策も考えていないと思っていたの? それは楽観視し過ぎじゃないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 蓮葉氷・改 鈴鳴り(あられ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬で部屋全体に目で視認できるサイズの氷の粒が蓮の池から浮かび上がり、部屋中に浮遊する。

 

 

「っ!! 吸うな!! しのぶ!! 稲葉!!」

 

 

不死川さんの一声で、僕ら全員は口を羽織のすそで抑える。まさか一瞬でこの部屋全部に氷の粒を散布できるとは・・・!

 

 

「ふふっ、安心していいよ? これ、吸える程氷の粒軽くもないし小さくもないから。ただし、この氷の粒が物体に触れると俺は知覚できるんだ。だから、姿を隠して奇襲なんてできないよ? 残念だったね?」

 

「・・・」

 

 

童磨の言葉がどこまで本当なのか判断できない以上、鵜呑みにして呼吸を使うこともできない。しかし、氷の粒で知覚できるという話は本当だろう。一層厄介だと僕は思った。

 

 

「まあ、近づいてきたら遠慮なく普通の蓮葉氷で肺胞を凍らせてあげるけどね? まあ、その前にその他の俺の血鬼術で氷漬けになる方が早いかな?」

 

 

童磨は扇子を広げる。このまま呼吸無しで奴と正面からやり合うのははっきり言って無謀だ。僕はやむを得ないと思い前に進む。

 

 

「僕が一旦呼吸有りの状態で童磨と切り結ぶよ。それで問題なさそうだったらしのぶさんも呼吸を使って追撃して。不死川さんもいいですね?」

 

「っ!! 何言ってるんですかカナト君!! もしそれで肺をやられたら・・・!」

 

「おい、稲葉ァ。それは無謀がすぎるだろォ・・・せめて捨て石の役目は欠損のある俺が受け持つべきだろうがァ・・・!」

 

「ここは僕に行かせてください。二人は一旦待機で。」

 

 

僕は二人の意見を無視して一人童磨に向かって突進する。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 壱ノ型 草薙の一振りー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

童磨は僕の横薙ぎを上体を下げて躱し、下段から扇を一閃し迎撃する。すぐさま両者の間で凄まじい切り合いとなり、火花が散る。

 

 

「なぁんだ残念、呼吸を使わないでくれれば今ので殺せたのにね? 君は後ろの二人と違って思い切りがいいんだね?」

 

「別に・・・ただこの中で僕が一番体を張るべきだとそう思っただけだよ。」

 

「ふふっ。そっか、健気だねえ。それにしても今回はやけに反応速度が速いね? 俺の扇の攻撃、以前の君なら目で捉えなかったはずだけど・・・」

 

 

そこまで言うや否や、僕の目を見て感心するかのような表情に変わる。

 

 

「そっか、その薄紅色の瞳、目の血流を良くして動体視力を上げてるんだね? はじめて戦った時も似たようなことしてた気がするよ。」

 

「よく見てるなお前・・・まあバレたところでどうってことないけど・・・」

 

 

僕は童磨の斬撃をはじき、すぐさま斬り掛かる。

 

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 肆ノ型 穀種争乱ー

 

 

 

 

 

 

 

「いや、もう何度目かなその技。いい加減見飽きたよ。」

 

 

童磨は危なげなく僕の技を躱して細かい斬撃を打ち込んでくる。僕は矛でそれを受けるも対処しきれず切り傷を負う。

 

僕はこのままでは不利だと判断し、矛の柄を捻る。すると柄は三分割に外れ、鎖でつないだ三節棍のような形状へと変わる。

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

ー草の呼吸 拾ノ型 蛇轍槍(じゃてつそう)

 

 

 

 

 

 

 

僕は三節棍の矛を両手で小刻みに動かし、童磨の高速の斬撃を細かく捌く。

 

加えて、三節棍の矛を蛇のようにくねらせ独特な軌道を描きながら童磨の胸に突き技を放つ。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

童磨は攻撃を受けて、一度下がる。左胸には再生できない刺し傷の痕が残っていた。当然僕の矛は既に赫刀となっているからだ。

 

 

「驚いたなぁ、まさかその矛が三節棍になっていたなんて。前回の戦いではそんな仕掛けなかったよね? もしかして新しく作っ・・・」

 

 

 

 

 

 

ー風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬りー

 

 

 

 

 

僕の真後ろから突然現れるように不死川さんが童磨へと接近し、水平斬りを放つ。しかし童磨はそれを難なく扇で防ぐ。

 

 

「だから言ったよね? 周辺に浮いてる氷の粒に触れるだけで君らの動きは知覚できるんだって。不意打ちなんて何の意味もないよ?」

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 冬ざれ氷柱ー

 

 

 

 

 

「くっ!!」

 

 

童磨は何もない空間に氷の槍を降らせる。すると血が舞い、しのぶさんの姿が現れる。

 

 

「これでわかっただろう? 目隠しの術なんて何の意味もないってことが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

ー風の呼吸 漆ノ型 勁風・天狗風ー

 

 

 

ー草の呼吸 弐ノ型 枝葉のざわめきー

 

 

 

 

 

 

 

不死川さんの空中で回転しながら繰り出す縦複数回の斬撃と、僕の左右交互の斬撃で両側から挟む。

 

童磨はそれらを対の扇で捌き、離れた場所へと距離を取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 結晶ノ御子ー

 

 

 

 

 

 

童磨がすぐに分身を生成するので、すかさず僕は鞄から自作のリボルバー式拳銃を引き抜き、御子の頭部を撃ち抜く。御子は粉々に割れて崩れ落ちた。

 

 

「え?」

 

「まさか火器を持ってきてないとでも? 敵の本拠地に来てるんだからちゃんと準備してきてるに決まってるだろ?」

 

 

僕はそのまま射撃を続けて童磨を牽制しつつ、しのぶさんに声を掛ける。

 

 

「しのぶさん! 日輪刀を!!」

 

「っ!! わかりました!!」

 

 

するとしのぶさんは自身の日輪刀を僕に投げる。僕はそれを受け取り片手で握りしめる。

 

 

「まさか俺の前で日輪刀を手放すなんて、気は確かかい? しのぶちゃん。」

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 散り蓮華ー

 

 

 

 

 

童磨は不死川さんを血鬼術で足止めし、しのぶさんへと急接近する。するとしのぶさんは羽織の下からあるものを取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

ー恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななきー

 

 

 

 

 

 

「っ!!??」

 

 

しのぶさんは帯のような日輪刀を振り抜きながら童磨の横をすれ違うように駆け抜ける。童磨の扇はしのぶさんに届かず、一方的に体を切り刻まれる。

 

 

「これって、確か他の女の子の柱が使ってた呼吸じゃ!?」

 

 

 

童磨が驚いた瞬間、僕は拳銃で童磨の額を打ち抜く。一瞬の隙が生まれ、不死川さんが間髪入れず畳みかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風ー

 

 

ー血鬼術 枯園垂りー

 

 

 

 

 

 

 

 

爪の引き裂きに似た上下複数回の斬撃を、童磨は冷気を纏わせた扇の斬撃で相殺し跳ねのける。

 

 

「何してくるかわからない矛の君から殺した方がよさそうだね?」

 

 

童磨は不死川さんを置き去りにし僕へと急接近する。僕は拳銃を捨て、代わりに黒い丸薬を取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

ー音の呼吸 壱ノ型 轟ー

 

 

 

 

 

 

 

僕は丸薬を童磨に投擲し、間髪入れず三節棍の矛で爆破させる。案の定、童磨は不意を突かれ、顔面を爆風で負傷し、視界を失う。

 

 

「ぐっ!? 今度は音の柱の・・・!!」

 

「稲葉ァ!! 畳みかけろォ!!!」

 

「はい!!!」

 

 

 

 

 

 

ー風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹ー

 

 

ー草の呼吸 捌ノ型 万緑叢中に咲く緋華ー

 

 

 

 

 

 

前後から挟み込むように容赦ない追撃を童磨に浴びせるが、奴は一瞬で姿を消してしまう。

 

 

「危なかったよ。新しい血鬼術が無かったら今の攻撃に対応できなかったかも。」

 

 

頭上から童磨の声がした。僕と不死川さんは反射的にそちらを振り向く。

 

天井に反転した状態で着地し、足裏を氷で固定しぶら下がる童磨の姿が見えた。

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 結晶ノ御子・改 豊穣の白雪姫ー

 

 

 

 

 

 

童磨は御子に似た少女のような氷の分身を生み出す。あれは報告にあった分身を生み出す分身の血鬼術。このままではまずいと判断し、僕は新しい拳銃を抜いて連射する。

 

しかし、弾丸は全て童磨の扇に防がれてしまう。

 

 

「遠距離攻撃がそれだけなら問題なさそうだね。あとは御子を大量に増やしてここから血鬼術を浴びせ続ければ決着かな?」

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 冬ざれ氷柱ー

 

 

 

 

 

天井から雨のように氷の柱が落とされる。僕らがそれの回避に時間を取られている間に、少女の形をした人形は次々と分身を生成する。

 

 

 

 

 

ー血鬼術 蔓蓮華ー

 

ー血鬼術 冬ざれ氷柱ー

 

ー血鬼術 散り蓮華ー

 

 

 

 

分身が増え、天井から振り撒かれる氷の血鬼術の量も増す。僕らはなすすべもなく、回避するだけで手一杯となる。

 

 

「アハハ! これでもう時間の問題だね! でも安心してよ! ちゃんと君らは仲良く一緒に食べてあげるから!!」

 

 

憎たらしい童磨の笑い声と氷の血鬼術が振り撒かれる音だけが周囲に鳴り響く。

 

正直もう出し惜しみはしてられない。一度きりの手だがここで使うしかないと思い、僕は鞄からあるものを取り出そうとするが・・・

 

 

「どぉありゃアアアアア!!! 天空より出でし伊之助様のお通りじゃアアア!!」

 

 

突如として童磨の張り付く天井の傍の壁が壊れ、穴から伊之助が大声を出して飛び出してくる。

 

 

「は?」

 

 

童磨もあまりの予想外の出現の仕方に目を丸くし固まる。

 

 

 

 

 

 

ー獣の呼吸 伍ノ牙 狂い裂きー

 

 

 

 

 

 

加えて伊之助の荒れ狂う周囲への斬撃により、天井に張り付いていた結晶ノ御子たち全てが粉々に斬り砕かれる。

 

 

「ドンピシャじゃねぇか烏の道案内はよォ!! 勝負勝負ゥ!!!」

 

 

斬撃を放った伊之助と童磨は部屋の中央の床へと降り立つ。すると、童磨は目を見開き、震える唇で一言呟いた。

 

 

「え・・・伊之助・・・? 伊之助って言ったのかい・・・? まさか・・・そんなまさか・・・!?」

 

「アァ・・・? 誰だてめぇは・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきまで高笑いしていた童磨が一転、今まで見たことのない困惑の表情で動揺し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




本小説だと伊之助君ほぼ空気ですが、次回は童磨との絡みでフォーカス当てます。童磨が原作とはかけ離れたキャラになりますが何卒ご容赦ください。

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