輝利哉君のひ孫が大正時代にタイムスリップするお話   作:科学大好き人間

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兄の雁哉君視点です。若干話し方が黒死牟っぽくなってきてます。月の呼吸の影響か? それとまた独自解釈です。


8話 煉獄邸

「俺は先日柱になったばかりの煉獄杏寿郎だ!! よろしく頼む!!!」

 

「俺は半月ばかり前に柱になった間雁哉だ・・・よろしく・・・」

 

「間は声が小さいのだな!! しっかり飯は食べているか!!?」

 

「いや・・・俺の声量は普通だと思うぞ。煉獄の声が大きすぎるというかなんというか・・・」

 

「まったく、派手な髪色と声量だな。俺は音柱の宇随天元だ。よろしく頼むぞ。」

 

「ああ!! よろしく頼む!!!」

 

 

ここは煉獄邸の庭だ。今日は宇随さんと一緒に挨拶のつもりで来たのだが、想像以上に元気な人だった。

 

いや、正直そんなことは顔を見た瞬間予想がついた。

 

この人、100億%、桃寿郎の祖先だろ・・・同じ剣道部にいたあの・・・

 

煉獄なんて珍しい名前、聞いた瞬間にもしやとは思ったが、顔を見て確信した。瓜二つというか、もはや同一人物だろこれ・・・

 

 

「間、お前も煉獄みたいにもっと派手に話せよ。これから伝える話は、とてもお前の地味な声量には似つかわしくないだろ。」

 

「いや・・・この話は本来お館様以外知るはずのない極秘事項だから・・・大きな声で話す内容ではないと思います・・・」

 

「うむ!! ならここではだめだな!! 客間に案内しよう!!!」

 

 

いや・・・この声量の男に、極秘の話してもいいのだろうか・・・不安でしかない・・・しかし・・・

 

 

「ああ、よろしく頼む・・・」

 

 

煉獄の実力は本物だろう。この人は下弦の弐を単独で撃破した男だ。

 

その鬼の血鬼術の詳細は知らないが、俺がたまたま遭遇して瞬殺した下弦の陸と比べて桁違いに厄介だったはずだ。

 

桃寿郎の祖先なら、相当な剣の才があっても可笑しくない。

 

やがて客間に案内された俺は、声量をさらに抑えて話し始めた。

 

 

「これから話す内容は、他言無用で願いたい。」

 

「ああ!! わかった!!!」

 

「それともう少し声を抑えてくれ・・・家族に聞こえるだろう・・・」

 

「うむ! すまない! これぐらいでいいか!!」

 

「いや・・・俺と同じくらいの声量にしてくれ・・・」

 

 

この男はこそこそ話ができないんじゃないか?

 

まあ、分別がない人間でもないし、決心して俺は口を開いた。

 

 

「上弦の壱は・・・戦国時代にいた月柱である可能性が高い・・・やつを倒すために協力してほしい・・・」

 

「なんと!!! それは本当か!!!!!」

 

「おい・・・! 声抑えろって言っただろうが・・・!」

 

 

あまりの声量に、つい口調が荒くなってしまった。俺は人選を間違えたかもしれない・・・

 

 

「あくまでも可能性だが、柱だった男が鬼になって人間の柱に討伐されたとは考えにくい・・・もし生きていれば・・・300年以上研鑽を積み、鍛錬を重ねているはずだ。上弦の壱になっていてもおかしくはない・・・」

 

 

「俺も初めてこの話を聞かされた時は、こんな地味なやつからこんな派手な話が飛び出てくるなんて思いもしなかったぜ。」

 

「間はなぜそのことを知っているんだ?」

 

 

声量を抑えた煉獄から疑問の声が上がる。ようやくまともに話ができそうだ。

 

 

「俺より古株の柱は全員知っているんだが、俺は産屋敷家の遠縁の血を引く人間なんだ(嘘)。それで、他の人からは良く思われていないが・・・お館様には懇意にさせてもらっている・・・今も産屋敷家の一室を借り受けてそこで生活しているからな・・・当主しか読めない書物にも目を通させてもらった・・・もちろん許可をもらってだが・・・」

 

「ちっ・・・元忍の俺ですら教えてもらえない機密事項を、こいつはやすやすと教えてもらえるからな。正直腹立たしい限りだが、もうそんなことを言ってる場合じゃねぇ。おい、煉獄・・・」

 

「なんだ?」

 

 

さらっと日ごろの不満を吐露した宇随さんだったが、すかさず煉獄に本題を話すようだ。

 

 

「間は地味な野郎だが、月の呼吸っつう派手な呼吸を使いやがる。今回お前に会いに来たのは、今後上弦の壱(仮)と会敵したときにむざむざ殺されないよう、こいつの呼吸で柱全員の目を慣らさせるための一環だ。時間があるときはこいつに手合わせしてもらえ。」

 

 

「なるほど!! わかった!!! よろしく頼む!!!!!」

 

 

声量が戻ってしまったが、もう本題は終わったしいいか・・・それでは・・・

 

 

「早速手合わせするぞ。庭に出ろ、煉獄。」

 

 

こうして俺たちは煉獄が日ごろ鍛錬している庭へと集まった。

 

 

「お互い、夜には任務がある。十合二十合ほどで終わらせよう・・・」

 

「わかった!!! 君の月の呼吸とやら、存分に見せてくれ!!!!!」

 

 

目の前で煉獄が構える。俺はすかさず木刀を上段に担いで距離を詰める。

 

 

ー月の呼吸 弐ノ型 珠華ノ弄月ー

 

 

ー炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねりー

 

 

およそ木刀の打ち合いとは思えない甲高い音がした。

 

一度距離を取って確認すると、煉獄の木刀に傷のような跡が散見された。

 

 

「こ・・・これが月の呼吸・・・!!!!!」

 

 

煉獄は息を乱していた。まあ、本人は傷ひとつ負っていないのだから、大したものだが・・・

 

俺はこの半月で産屋敷家の書物を暇さえあれば漁っていた。

 

その中で、型の名前だけ記された記録があったので、我流で無理に型を作った。

 

まあオリジナルとはもはや別物だろうが、似たり寄ったりだろう。

 

柱の訓練にはちょうどいいと思う。

 

 

「別に煉獄の方から来てもかまわないぞ。俺だけが一方的に打ち込むのは気が引けるからな。」

 

「そうか!! ならばそうさせてもらう!! いくぞ!!!」

 

 

今度は煉獄が木刀を中段に構える。

 

 

ー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ー

 

 

瞬く間に肉薄され、剣が打ち込まれる。

 

俺は、最小限の動作で木刀を縦に構えて攻撃をいなした。

 

俺のいた場所を一瞬で通り過ぎ、再度接近して俺の背後に追撃してくる。

 

 

ー炎の呼吸 伍ノ型 炎虎ー

 

 

ー月の呼吸 参ノ型 厭忌月・鎖りー

 

 

振り向きざまに波状攻撃を繰り出し、煉獄の突進技を無効化する・・・が・・・

 

 

「まだだ!!!」

 

「!?」

 

 

煉獄は月の呼吸で周囲に放った斬撃の余波を受け、羽織が割け、頬の薄皮を切ってもなお突進し、鍔迫り合いに持ち込んできた。

 

 

「やはり!!! 君の剣速は尋常ではないが、膂力はそうでもない!!! このまま押し切らせてもらう!!!!!」

 

「な・・・」

 

 

煉獄のすさまじい猛攻に俺は防戦一方になった。型を使わない純粋な打ち合い。

 

肉薄されたことで、腕を充分に振れないため、剣速が出せず月の呼吸の特長である斬撃の余波がまるで出せなくなった。

 

このままでは煉獄の剛腕によって袋叩きにされて大けがを負うだろう。やむをえない・・・

 

 

ー風の呼吸 肆ノ型 昇上砂塵嵐ー

 

 

「な!!!?」

 

 

風の呼吸の風圧で押し込み、無理に距離を取った。すぐさま月の呼吸に戻す。肺が悲鳴を上げているのがわかるが、やらねばこちらがやられる・・・

 

 

「おい! 間!! いったん止まれ!!!」

 

 

ー月の呼吸 陸ノ型 常世弧月・無間ー

 

 

ー炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねりー

 

 

一息のうちに、左右を行き来するような波状攻撃を最大回数繰り出す。

 

煉獄も俺の反撃に命の危険を感じたのか、先ほど弐の型を防いだ技を繰り出す。

 

俺と煉獄が再び激突する刹那・・・

 

 

ー音の呼吸 壱ノ型 轟ー

 

 

激突前に爆音が鳴り響き、俺たちははじき合うように吹き飛んだ。

 

 

「馬鹿かてめぇら!! 脳味噌爆発してんのか!!?  ただの訓練でお互い再起不能になったらお館様に申し開きできんのか!!!!」

 

 

庭のど真ん中に小さなクレーターができていた。

 

宇随さんの火薬のせいではあるが、それがなければ俺と煉獄どちらかは大けがをしていただろう。

 

 

「すみません、宇随さん。あまりの猛攻に思わず頭に血が上ってしまいました・・・」

 

「一度頭冷やしてこい!!! 今打とうとした型、以前俺を丸一日戦闘不能にしたやつだろ!! そんなもん後輩の煉獄に使ってんじゃねぇ!!!」

 

「・・・はい。」

 

 

俺はただ謝るしかなかった。宇随さんの言ってることは正しかったからだ。

 

 

「お前もだ煉獄! あくまでも月の呼吸に目を慣らすためだと始めに言ったはずだ!! お前も頭冷やしてこい!!!」

 

「暴走してすまない!! 柱として不甲斐なし!!! 穴があったら入りたい!!!!」

 

「いいから井戸の水頭からかぶってこい!!!!!」

 

 

こうしてひと騒動あった煉獄への訓練はたった一日をもって終了となった。

 

宇随さんがお館様へ事の顛末を報告したからである。俺は煉獄家を出禁になった。

 

しかし、今回嫌でも実感したのが炎柱としての煉獄の実力だった。

 

すさまじいポテンシャルと勝負強さ、そして瞬時に相手の弱点を見抜く分析力の高さと頭の回転の速さ。

 

柱の後輩とは言え、歳は向こうが二つ上、純粋な剣の腕も上だと思う。

 

俺も他の柱に後れを取らないよう、さらに鍛錬に明け暮れるいいきっかけとなった。

 

 

 

続く

 

 

 

 

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